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・ 日本弁護士連合会の意見書など
・ 東京財団の提言など
・ 共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会
・ 全国保険医団体連合会
なお、当研究所の代表である黒田充の共通番号制度に関する見解については、
・拙稿「新旧政権による社会保障カード、及び、番号についての議論に関する考察」『大阪自治体問題研究所研究年報 第13号』、自治体研究社、2010年8月10日
・拙稿「共通番号制の狙いは、『強い社会保障』どころか国民に対する『強い国家』」『日本の論点 2011』文藝春秋編、2010年11月25日発売をご参照下さい。
日本弁護士連合会(日弁連)の共通番号制度に関する意見書。
- 「税と社会保障共通の番号」制度創設に関する意見書
2010年8月19日付けの意見書。8月25日付けで内閣府、国家戦略室、財務省、総務省、厚生労働省に提出したとのこと。
意見書の趣旨
信頼できる税制と社会保障制度の構築が急務であり、また、「国民ID」や「番号」を活用した電子政府化の推進が各国で進められていることは事実であるが、それらの国と日本とでは、国情や国民性などに大きな違いがあるから、拙速に「番号制」の創設のみを進めるべきではない。特に、情報公開制度の充実,EU諸国やカナダなどに存在する独立の第三者機関の設立などを前提とした、プライバシー保護を踏まえた、国民・在留外国人に信頼される制度とすることが必要であり、慎重かつ根本的な検討が必要である。
意見書全文(PDF)
公益財団法人・東京財団は、日本財団(財団法人・日本船舶振興会の通称)によって設立された民間シンクタンク。理事長は旧大蔵省官僚の加藤秀樹氏。笹川陽平・日本財団会長が顧問を務める。
竹中平蔵・慶應義塾大学教授もかつて理事長を務めていた。
- プロジェクト「税と社会保障の一体化の研究―給付つき税額控除・納税者番号制度―」
「世代間の不公平や社会保障に対する不安・不信といった問題の深刻化に対応するには・・・・・・税と社会保障を別々に議論するのではなく、両者を一体にした仕組みを根本的に考えていく必要」があるとして、東京財団において進められている研究プロジェクト。
税と社会保障の一体化の柱として「給付つき税額控除制度」の導入おき、そのためには番号制度の導入が不可欠と主張。
プロジェクトリーダーは、上席研究員の森信茂樹・中央大学法科大学院教授(元、財務省官僚)。
- 政策提言「税と社会保障の一体化を考える―給付つき税額控除制度の税制における意義と具体的提案―」(2007年11月14日)
本文(PDF)
- 「税と社会保障の一体化の研究」報告書(2008年5月14日)
本文(PDF)
- 日本型給付つき税額控除―給付付き児童税額控除の提言―(2008年5月14日)
本文(PDF)
- 政策提言「納税者の立場からの番号制度導入の提言」(2009年6月8日)
本文(PDF) 概要版(PDF)
第5章「納税者番号と新しい租税政策―納税者の立場からの納税者番号」で森信茂樹・上席研究員は、「第1 章で、納税者番号は、国民の利便性に配慮した税制とは何かという観点から柔軟に設計していく必要があると指摘したが、具体的にどのような税制なのか、以下考えてみよう」として、番号制度の必要性について次の5点をあげている。
(1) ばらばらな社会保障制度・税制を整理統合し、税と社会保障を一体的・効率的に運営する新たな制度―給付付き税額控除制度作りに必要
(2) 金融所得の一体化(分離課税、同一税率、損益通算)による適切な課税を実現(ただし、金融所得の一体化を特定口座の活用により進めていくに際しては、広く国民に付番する納税者番号制度でなく、金融所得に限っての番号で十分ともいえるとしている)するためには不可欠
(3) 番号とe―Taxの組み合わせによりサラリーマンにも、実額控除を可能とする自主申告制度への道を開くことができる
(4) 記入済み申告制度(税務当局が番号を通じてあらかじめ把握している資料情報を、納税者の申告書に記載するという手法で提示し、納税者がその内容を確認することで申告を終了させる仕組み)への活用
(5) 実額での経費控除ができることで多様な政策税制の導入が可能となる
- 給付付き税額控除 具体案の提言 〜バラマキではない「強い社会保障」実現に向けて〜(2010年8月)
「わが国では、ワーキングプアの増加や、母子家庭や子育て家庭に対する支援といった問題が山積」している一方、「国の財政状況の悪化を考えると、単なるバラマキにならないよう効率的な政策が求められ」ているとしたうえで、「こうした状況に対処する新たな政策として、2007年より『給付付き税額控除』導入の必要性を訴えて」きたが、「その集大成として、今回はより詳細な制度設計の論点整理、海外の導入事例に加え、日本における各種導入モデルを提言」したとする東京財団からの提案。
提言は、給付付き税額控除の「制度運営に当たっては、給付対象者となる低所得者の所得捕捉を厳格に行う必要があり、また家族単位での名寄せの必要性を考えれば、番号という課税インフラは不可欠である。そこで、番号を住基ネットと年金番号のどちらに接合するのかという点、プライバシーの問題等を早急に議論し詰めていく必要がある」としている。
本文(PDF)
河村たかし・名古屋市長が設けた委員会。委員長は平松毅・姫路獨協大学法科大学院特別教授。他の委員は、浅野洋・税理士(名古屋税理士会)、石村耕治・白鴎大学法学部教授【委員長代理】、園田寿・甲南大学法科大学院教授。
2010年8月から3回にわたり議論・検討を行い、同年12月3日検討結果として意見書を名古屋市長へ提出。
「意見書聴取依頼の内容」は「国が検討している社会保障・税の共通番号制度が市民生活に与える影響について」及び「市民の自由権の確保と地域主権について」の2点。
- 共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会意見書
名古屋市長が設けた「共通番号及び国民IDカード制度問題検討名古屋市委員会」(委員長:平松毅・姫路獨協大学法科大学院特別教授)がとりまとめた意見書「国が検討している社会保障・税の共通番号及び国民ID制度が市民生活に与える影響について」。
意見書は、共通番号や国民ID〔カード〕制は、憲法に抵触する可能性が極めて高いツールであり導入すべきではないとしている。
憲法論・人権論に照らして精査すると、国がめざす共通番号や国民ID〔カード〕制は、国民・住民のひとりにしてもらう権利、情報に関する自己決定権(自己情報決定権)という憲法上の権利の恒常的な侵害につながるツールであり、公共の福祉を持ち出してもその侵害を容認するのが難しい仕組みである。言い換えると、共通番号制や国民ID〔カード〕制は、自治体住民の自由権を恒常的に侵害するおそれが強く、憲法に抵触する可能性が極めて高いツールである。したがって、国は、共通番号や国民ID〔カード〕制は導入すべきではない。
意見書は「海外における情勢」として、イギリス、ドイツ、オーストリア、スウェーデン、アメリカにおける番号制度について紹介し、それぞれ検討を加えている。以下、要約すると
- イギリスでは人権を蝕む国民ID カード制を廃止
2010年5 月に誕生した保守党・自由民主党による新連立政権は、自民党の政権公約等にしたがい、「国家が必要以上に国民の個人情報を収集しない方針」を打ち出し、前労働党政権下で導入した個々人の生体認証情報を含む個人データをベースとした監視システムである「国民ID カード制」を、恒常的な人権侵害装置であるとして廃止を決定し、議会に国民ID カード廃止法案を提出した。下院での審議を終え、11月1日現在、議会上院において審議中、近く議会を通過する。
現在、国民ID カード制は停止中であるが、法案成立後直ちにシステムが廃棄される。
- ドイツにおける共通番号禁止の実情
行政分野共通の番号を採用せず、複数の分野別限定番号を採用(セパレート・モデル)し、国民の自己情報決定権の保護を優先している。背景には、連邦憲法裁判所が下した、1983年の国勢調査に汎用の共通番号を利用することは違憲となる可能性がある旨の示唆を含んだ判決及びこの判決に基づいた汎用の共通番号の導入は連邦憲法上ゆるされないとする連邦議会の見解がある。
各個人に11 桁の番号を連邦財務省が付ける「納税者番号」を2007年7月から導入。納税者番号は限定番号であり、その番号を使って納税者から納税目的以外の情報を入手することやデータベースを構築することは禁止されており、日常の取引などにも利用できない。他の行政機関や民間機関は、納税者のデータを整理する場合や課税庁に送達する場合に限り納税者番号を利用することが認められる。
連邦憲法裁判所は、各個人にはデータベースの開示、訂正などについて裁判上の救済を求めることができる自由権として自己情報決定権を認めている。本人が知らないデータベースにより、本人に対する評価や決定が行われたときには、自己が、自己の意思又は良心に基づいて行動する自由、例えば、デモ参加、署名、講演出席などを自主的に決定する権利が妨げられるからである。
政府第三者機関として独立の「データ保護監察官」が設置されている。末端の官公庁は、違反を防ぐために一定の権限(例えば、センシティブな個人情報の利用に係る事前審査など)を有するデータ保護責任者を任免するよう求められており、法律違反がある場合は、この責任者が第一次責任を負う。データ保護監察官は、これらデータ保護責任者に助言を行うとともに、職権で各官公庁を巡回し、法律違反を摘発し、改善を指示することで、データ主体である国民を保護する任務にあたっている。
- オーストリアの付番モデルの特質
個人情報の横断的なリンケージに歯止めをかけることにより、個々人のトータルな個人情報を国家がマスターキーを使って直接掌握できないようにする分野別番号制(セクトラル・モデル)を採用。日本政府の「番号に関する原口5原則」(2010年3月15日)では、セクトラル・モデルの採用を示唆。しかし、オーストリアの例に見られるように、秘匿の番号(sourcePIN)から第三者機関(DSK=データ保護委員会)を介在させて分野別限定番号(ssPINs)を生成・付番する仕組みや手続はかなり複雑であり、オーストリアの約16倍の人口を擁する我が国において、このモデルを採用するとしても、コスト負担への疑問のみならず、こうした複雑な仕組みや手続を使って番号制度を実効的に運用できるかどうかはすこぶる疑問である。実現性は極めて低いと見ざるを得ない。
仮に、我が国で、セクトラル・モデルを採用するとしても、既に秘匿の住民票コードがあり、これを使えばよいわけで、新たに共通番号を導入する必要性はない。
- スウェーデンは共通番号を汎用した完全なデータ監視社会
フラット・モデルをとるスウェーデンでは、1947年に全住民を対象に生年月日を活用し出生時に付番・交付する形で10 桁の官民汎用の共通番号制を実施。生涯不変のこの番号は一般に公開(可視化)され官民のさまざまな目的に使われ、1967年にシステムが電子化され現在に至っている。
共通番号を使った自動データ処理や個人情報の集積に対する国民の不安の高まりを受け、1973 年に世界に先駆け「データ法」を制定し、1974年には、「データ検査院」を設置。データ検査院は、データ法の下、センシティブな個人情報を扱うデータベース設置・利用に関する許可制度の運営、データ照合プログラムの評価をはじめとしたプライバシー問題を専門に扱う特別のオンブズパースン(政府第三者機関)である。プライバシー侵害事案やその他苦情事案を処理・対応する組織とされてはいるが、人員等の限界もあり、活動は極めて限定されている。
スウェーデンは、「プライバシー先進国」してのイメージがあるが、実際には西欧や北米のプライバシー問題専門家からは、共通番号を汎用しデータ監視社会の構築を許してしまった国として厳しい評価にさらされている。
共通番号の付番・管理機関は課税庁(国税庁)であり、共通番号は当初から一般に公開(可視化)した形でまったく制限なしに使われてきた。このため、共通番号は税務を含むあらゆる行政機関だけでなく、幅広く多目的利用され、スウェーデンに居住する者は、共通番号なしには日常生活が難しい。また、警察、課税庁、国家統計局などはそれぞれ、あらゆる国民・住民の個人情報を各人の共通番号で収集しデータベース化し管理している。各種民間機関も同様であり、官官、官民・民官の間での国民・住民データの照合は、共通番号をマスターキーとして頻繁に実施されている。
スウェーデンでは、第二次大戦後早くから、共通番号を使って国民・住民の個人情報を収集・管理し、徹底したデータ監視社会化が強力に推進され、1976 年には共通番号を使い基本的な個人情報を集中管理する「全国住民登録台帳」が創設された。全国住民登録台帳には、居住外国人を含む全住民について、各人の氏名、共通番号・暫定共通番号、出生地(国内、海外)、国籍、婚姻関係、配偶者・子ども・後見人・養子、住所、登記している資産・行政区・自治体、移民・移住、海外の住所、死亡日・埋葬場所、婚姻届出日などが記載されている。共通番号を含む各人の基本情報は公の支配の下に置かれ、閲覧により被害を受けるおそれがある場合などを除き、原則として誰でもが入手可能である。
共通番号は、マスターキーに使えば個人のプロファイリングが容易にでき、国家が個人の生活のいかなる場面にも入り込み追跡できる体制を敷く仕組みであり、人間の尊厳の保障や個人の幸福につながらないとの鋭い指摘がある。他方で、マスターキーを使った国民データの電子集約管理は利便性も高く、時代の要請であり、人種偏見の強い国の侵略があった場合、一瞬にしてデータ消去・破壊ができることから、敵の手から国民を護るには文書管理よりも効率的・合理的であるとの反論もある。
これまでもスウェーデンにおいては、プライバシー保護の観点から共通番号の利用を制限しようという政治の動きはあった。しかし、共通番号の利用制限が必要との結論に至らなかった。この背景には、官民が保有する膨大な数のデータベースのアクセスナンバー(本人識別番号)である共通番号を変えるとした場合、膨大なコストがかかることがある。いったんフラット・モデルの可視的な共通番号を導入しそれを官民で汎用した暁には、さまざまなプライバシー問題が生じたとしても、後に規制を掛けることは至難の業である。
スウェーデンは、人口比発生率で見るとアメリカに次ぐ「なりすまし犯罪者天国」である。原因は、各人の生年月日・性別をベースとし容易に組成できる共通番号(政府の委員会は、2008年6月に2010年以降、新生児、移民に対しては生年月日をベースとしない新たな付番方式を採用するよう勧告)を一般に公開(見える化)し官民で汎用したことにある。また、スウェーデンが共通番号制導入によるデータ監視社会化に突き進んだのは、「高福祉高負担」政策――「福祉の不正受給、課税漏れは絶対に許さない」という考え方――がその背景にある。スウェーデン政府の最大の課題のひとつは、当局が把握できない無届就労や租税回避・ほ脱などからくる「課税漏れ」対策であるが、このことは、グローバル化が加速する中、一国が高負担政策や国民所得に対する番号管理を強めれば強めるほど、逆に、無届就労、地下経済、他のEU 諸国などへの課税源の移転が深刻になることを物語っている。
- アメリカにおける共通番号の運用と成りすまし犯罪の実情
アメリカは、1936年に、社会保障行政に使うことをねらいに「社会保障番号(SSN=Social Security Numbers)」を導入。連邦社会保障法により、申請に基づき社会保障局が発行する社会保障番号は、利用が制限が当初からなされることなく、官民にわたり幅広く使われる、可視化し一般に公開するフラット・モデルの共通番号(納税者番号としても)である。
現実空間での取引に加え、サイバースペースでの取引(電子取引・ネット取引)にも汎用されていくことにより、番号が売買、垂れ流しされ、不法行為に手を染める者の手に渡るなどして、アメリカ社会は、他人の社会保障番号を使った「成りすまし犯罪者天国」と化し、社会保障番号に係る国民の情報コントロール権は、風前の灯のようになっている。被害者の窮状が社会問題になり、他人の社会保障番号を使った「成りすまし犯罪」に対処するために、連邦や各州の議会、省庁が対策を練ってきているが、いまだ抜本策を見出すにはいたっていない。
共通番号の利用制限が進まない背景には、官民が保有する膨大な数のデータベースのアクセスナンバー(本人識別番号)として共通番号が使われている事情がある。成りすまし犯罪への対処してアクセスナンバーを変えることは、理論的には可能であっても、膨大なコストがかかり、現実的には不可能である。いったんフラット・モデルの共通番号を導入し、それを汎用した暁には、プライバシー問題で社会に混乱が生じても、その廃止はもとより規制を掛けることすら至難の業となる。
- 「社会保障・税の共通番号制」創設に反対する意見
国家戦略室が示した「社会保障と税に関わる番号制度に関する中間取りまとめ」に対する全国保険医団体連合会として、共通番号制創設に反対する立場からの意見書(2010年12月5日)。
意見書は、「連合会は、国民生活に密接に係わる個人情報を国家が利活用するための『共通番号制』は、生存権保障としての社会保障の理念を変質させ、財界が要求する『社会保障個人会計』や『自己責任』を可能にするものとなるため、創設に反対する」とともに、「これまで政府が採ってきた社会保障・税政策との関連で危惧するところが多く、政府は『共通番号制』の議論の前に行うべきことがあるという立場である」としている。
保団連は、各都道府県に設立されている保険医協会(保険医会)が加盟する全国組織で、会員数は医師・歯科医師あわせ10万3千人。
共通番号制度 Watch 民主党政権下における議論 民主党の政策 税制調査会 経済界からの要望 国民ID制度 その他の議論 新着情報 ご意見・ご感想 年表 参考文献 研究所通信 サイト内の検索 電子自治体情報 サイトマップ
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from 2011.1.16