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民主党政権は、2009年夏の総選挙で掲げたマニフェストにもとづき「社会保障と税の共通番号制度」の導入を目指している。
民主党は、総選挙マニフェストにおいて、税と保険料を一体的に徴収する「歳入庁」の創設と合わせ、「真に支援の必要な人を政府が的確に把握し、その人に合った必要な支援を適時・適切に提供すると同時に、不要あるいは過度な社会保障の給付を回避する」(政策集 INDEX2009)ために不可欠な、「税と社会保障制度共通の番号制度を導入する」ことを掲げていた。
新政権発足後、共通番号の導入に向けた議論は、民主党内に設けた「税制改正PT」、及び、「税と社会保障の抜本改革調査会」においておこなわれ、それぞれ2010年12月6日に検討結果を政府に提出した。
これらの検討結果は、内閣官房に設けられた「政府・与党社会保障改革検討本部」 における議論に反映され、2011年1月を目途に基本方針をとりまとめ、2011年秋以降、可能な限り早期に関連法案を国会に提出できるよう取り組むものとする基本方針「社会保障改革の推進について」に盛り込まれた。
・野党時代の民主党の番号政策
・民主党「2009年 総選挙マニフェスト」
・民主党「税制改正PT」
・民主党「税と社会保障の抜本改革調査会」
なお、当研究所の代表である黒田充の共通番号制度に関する見解については、
・拙稿「新旧政権による社会保障カード、及び、番号についての議論に関する考察」『大阪自治体問題研究所研究年報 第13号』、自治体研究社、2010年8月10日
・拙稿「共通番号制の狙いは、『強い社会保障』どころか国民に対する『強い国家』」『日本の論点 2011』文藝春秋編、2010年11月25日発売をご参照下さい。
1998年4月に結党された民主党であるが、以下の文書からも明らかなように、同党は、住基ネットには反対したという過去はあるものの、結党以来、野党であった時期も含め一貫して「番号制度の導入」を政策として掲げてきた政党なのである。ただし、その目的は「金融資産等による所得を合算し総合課税するため」「所得捕捉上の不公平などを是正するため」「所得・資産の正確な捕捉のため」「利子・配当などを他の所得と合算して課税する総合所得課税を実現するため」「真に必要な人に対する必要な支援を行うため」「所得比例年金を導入するため」「給付付き税額控除制度に必要な所得の正確な補足のため」などと変遷しているのだが。
ところで、「住民票コードを国民に付ける住基ネットには反対していたのに、民主党はなぜ社会保障と税の共通番号を導入しようとするのか」という疑問を持つの方もいらっしゃるかも知れない。しかし、この疑問自体がそもそも間違いなのである。正しくは「番号制度の導入を結党以来求めてきたのに、なぜ、あのとき民主党は住基ネットに反対したのか」である。
- 『私は変えたい。』 〜民主党98参議院選挙公約〜
1998年6月5日の日付が入った第18回参議院選挙の公約(この頃はまだ「マニフェスト」とは言っていなかったようだ)であるが、番号制度に関する記述は見られない。
- 『民主党政権構想』(第一次案)
1998年6月22日の日付がある文書。
「第2章 日本経済の再建に向けた構造改革」の「2)21世紀に向けた税制の構造改革」の項に「『簡素・公平・透明』を原則に、納税者番号制度の導入を推進し、税体系における所得・消費・資産等のバランスのあり方と税と社会保険料の役割分担を見直す」、「納税者番号制度の導入によるキャピタルゲインの総合課税化を早急に実現する」との政策が盛り込まれている。
面白いのは、現在の民主党とは違い、納税者番号制度の導入の目的を「キャピタルゲインの総合課税」としている点である。民主党サイト内にある同年8月12日の「第143国会における小渕内閣総理大臣所信表明演説」に対する代表質問(民主党・新緑風会 峰崎直樹:当時)にも「高税率を引き下げる際、これまでもしばしば議論になってきた大企業役員等の高額のフリンジベネフィットに対する課税の適正化など、課税ベースの見直しも当然に検討課題になるべきものと思いますが、この点については総理はいかがお考えなのでしょうか。また、わが国ではシャウプ税制以来、包括所得税の考え方を基本に据えてきましたが、これを現時点でも放棄していないとすれば、税率引き下げと合わせて納税者番号制度を導入し、クロヨンといわれる不公平税制の解決や金融資産等による所得を合算して総合課税するという方向を明確にすべきではないでしょうか。納税者番号制度についての総理の認識、その導入についての方針と決意を伺います」との文言(「税制改革について」の項)が見られる。
当時、党代表であった菅直人自身も1998年11月30日の第144国会における小渕内閣総理大臣所信表明演説に対する代表質問(民主党サイト内)において「所得税率を引き下げる・・・その際には、いうまでもなく、納税者番号制度の導入による所得税の総合課税化について、実施の方向と時期を明確にすることが大前提であります」と発言している(もっとも1999年5月18日の街頭演説では党代表として当時の国会審議の焦点の一つであった「住民基本台帳法」改正案(民主党は反対の立場)について「総背番号制を導入すれば一見便利に見える。しかし、病気や犯罪歴、またビデオレンタル情報まで、あらゆる個人情報が国家管理される危険がある」「自由を名乗る政党が国家管理をやろうとするのは、全くおかしな話だ」としている)。
民主党は、少なくとも結党時には、分離課税となっている金融資産等による所得を総合課税化する目的で納税者番号制度の導入を政策としてもっていたようだ。因みに2009年の総選挙時に掲げた「政策集 INDEX2009」では「本来すべての所得を合算して課税する『総合課税』が望ましいものの、金融資産の流動性等にかんがみ、当分の間は金融所得については分離課税とした上で、損益通算の範囲を拡大することとします」(「金融所得課税改革の推進」の項)となっており、総合課税化のための納税者番号制度という考えは放棄したようだ。
- 政権政策委員会提言
「民主党政権政策委員会」による1999年8月24日付けの文書。
「4.自立を支える税制の確立」の「1)所得、資産、消費課税のバランス」の項の「所得税の簡素化・総合課税化」に、「個人所得課税については、総合課税化と課税ベースの拡大を通じた税率の引き下げをめざす。この観点に立ち、国と地方を合わせた最高税率を、40%以下を目標として引き下げるとともに、納税者番号制度を導入して所得の把握を公平にする」とあり、同じく「2)徴税システムの充実」の項の「納税者番号制度の導入」に、「公平な所得捕捉と課税には、納税者番号制度の導入が不可欠である。利子・配当・株式譲渡益などの総合課税化を行うのに必要な範囲に限定した番号制度を、プライバシー保護などに留意しつつ導入する」とある。
当時は、政権奪取後とは違い、納税者番号制度を利子・配当・株式譲渡益などの総合課税化を行うためのものと捉え、その利用も限定的に考えていたようである。
- 2000年度税制改正について―自民党税制改正大綱への見解を中心に―
1999年12月16日付けの民主党税制調査会の文書。
「11.税務行政関係」に「かねてから問題となっている所得捕捉上の不公平などを是正するため、個人のプライバシー保護策の充実などに留意しつつ、税務行政等への利用に限定した納税者番号制度を早期に導入すべき」とある。納税者番号制度を総背番号制とならないよう利用を限定したうえで導入しよう考えていたのであろう。
しかしながら、現在の民主党政権は「『幅広い行政分野』での利用を視野に入れつつ、まずは『税+社会保障分野』から開始」(社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会中間整理(概要))と“変説”している。
- 税制改革の基本構想〜信頼と安心の税制を築くために
2000年5月18日付けの文書。
「2. 改革の基本構想」の「〈1〉所得税」の項の1に「 総合課税か分離課税かの論議にかかわりなく、適正な税務行政を行う目的に限定した『納税者番号制度』を導入し、所得・資産の正確な捕捉を進める」とあり、4には「所得税については総合課税を原則とし、所得再分配を通じた社会の安定化のために現状程度の累進構造を維持する」とある。結党以来掲げていた納税者番号制度を金融資産等による所得を総合課税化するために導入するとの考えは、総合課税化ともども多少弱まったようだ。
もっとも「2001年度税制改正について」(2000/12/08)の「株式譲渡益課税」に関する項では「今後はむしろ納税者番号制度の導入により他の所得と合算し総合課税する方向で抜本改革を進めるべきである」としている。民主党のお家芸である「ふらつき」がここでも現れている。
- 「税制改革の基本構想」について
策定経緯、位置づけ、概要
- 第19回参議院議員通常選挙政策 すべての人に公正であるために/7つの改革・21の重点政策
2001年4月17日付けの文書。
「第6の柱―財政構造改革」の「5.透明で公平な税制を確立します。〜まずは信頼の再生から〜」に「『納税者番号制度』の導入等による総合課税化を進めることによって、透明で公平な税制を確立していきます」とある。
また、「21の重点政策」の「18.税制改革」に「所得税の総合課税の実現」として「利子・配当などを他の所得と合算して課税する総合所得課税を実現します。このため、納税者番号制度を導入します」とある。
総合課税化のための納税者番号制度の導入へと、どこまで本気であったのかは不明ではあるが、参議院選挙を前にして再び舵を切ったようだ。
- 2002年度税制改正についての考え方--雇用と新産業を創出し環境を守る税制への提案--<
2001年12月13日付けの文書。
「2.民主党の求める2002年度税制改正の課題」の「(5) 納税者番号制度の導入と納税者権利憲章の制定を速やかに進める」に「株式譲渡益課税が申告分離課税に一本化されることなども踏まえ、納税者番号制度の速やかな導入を図る」とある。納税者番号と総合課税の関係が再びあいまいに。
- 税制改革の基本構想
2002年8月22日付けの「税制調査会会長 峰崎直樹」名の文書。
「4. 基幹税目について」の「(1)所得税」の項に「2.公正な税制の確立と的確な社会保障給付の実現」として「国民の税制に対する信頼感を高めると共に、『真に必要な人に対する必要な支援』(適正な社会保障給付を行うには、正確な所得の捕捉が必要となる)を実現するために、納税者番号制度を導入する。なお納税者番号制度は、プライバシー保護の観点や法人にも付番する必要があることなどから、住民基本コードや基礎年金番号とは独立した形で導入する」とある(「住民票コード」を「住民基本コード」と記しているのはご愛敬か)。
この文書で初めて番号制度導入の目的として、「2009年 総選挙マニフェスト」にある「真に必要な人に対する必要な支援」のためという言葉が出て来る。ただし、導入するとしているのは社会保障番号制度ではなく納税者番号制度である。
また、「3.世帯単位の『税の控除』から必要な人への『社会保障給付』への転換」として、「高所得者に有利な『控除主義』を改め、必要な人に対し確実な支援が可能となる『給付主義』へと転換する」とあるが、これは後に「2009年 総選挙マニフェスト」に盛り込まれることになった「給付付き税額控除」政策へとつながるものであろう。
一方、これまで掲げてきた総合課税については「総合課税を原則とするが、金融所得を分離課税する二元的所得税についても、今後検討を進めていく」と大きく後退し、番号制度導入と総合課税化の関係も断ち切られた。
- 2003年第43回衆議院総選挙 Manifesto 2003
「Manifesto 2003」自体には、番号制度導入に関する記述は見あたらないが、付属文書である「民主党政策集『私たちのめざす社会』」の「年金制度改革と税制」の項には、「公的年金制度を一元化し、全国民が加入する所得比例年金を創設するにあたり、所得捕捉を公平に行い、かつ的確な年金給付を担保するために、税及び年金保険料徴収と年金給付に共通の付番制度を導入します。併せて国税庁と社会保険庁を統合し、歳入庁(仮称)を創設します」とある。ここでは番号制度の導入が「所得比例年金の創設」を目的として語られ、総合課税化は上げられていない。また、導入するのは納税者番号ではなく「税及び年金保険料徴収と年金給付に共通の付番制度」と表現され、「歳入庁」という言葉も初めて登場している。
その一方、住基ネットについては「4 子どもや高齢者、女性、誰もが安心して働き、暮らせる社会をつくります。」の「4. 一人ひとりの人権が尊重される社会を実現します。」の項で、「盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。」として「住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、直ちに見直しに着手し、平成17年度中に抜本改正のための法律案を国会に提出します」と書かれている。
住基ネットに関しては「民主党政策集『私たちのめざす社会』」により詳しい記述が見られる。「住民基本台帳ネットワークシステム施行問題」として、「行政が個人情報を勝手に収集・蓄積して活用していたという事件や、企業による個人データ漏洩事件が多発しており、国民の多くは、行政や企業の個人情報取扱いについて、不安と不信をいだいています。政府提案の個人情報保護法は成立しましたが、不備な点が多く、国民の不安や不信に応えるものではありません。しかも、現行の住民基本台帳ネットワークはシステムに欠陥が多く、重大なプライバシー侵害が起きる危険性があるとの指摘もあり、実施主体である自治体からも凍結を求める声が多くあります。よって、住民基本台帳ネットワークについては、凍結も含め、慎重に検討するべきと考えます」とあるのだ。住基ネットに対するこうした認識は、2009年夏の政権奪取とともに胡散霧消してしまったのだろうか。
- 2004年度税制改正についての考え方
2003年12月19日付けの「税制調査会会長 峰崎直樹」名の文書。
「2.民主党の求める2004年度税制改正の課題」の「(1)所得税関係」の項に「財政状況が厳しい中で、真に支援の必要な人に対して適切な支援を行うために、プライバシー保護に配慮しつつ、納税者番号制度の導入を早急に検討する。これは民主党の主張する年金制度の抜本改革にとっても必要不可欠なものであり、税と社会保険料の徴収一元化と併せて早期に実現を図る必要がある」とある。
2002年8月の税制改革の基本構想と同じく、「真に支援の必要な人に対して」の言葉が見られるが、導入するとしているのは納税者番号制度である。また、番号制度が必要不可欠とここで言うところの「年金制度の抜本改革」とは「Manifesto 2003」で示された「所得比例年金の創設」のことであろう。
導入目的から「総合課税のため」が完全に脱落しただけでなく、総合課税に関する記述そのものがなくなっている。なお、「税と社会保険料の徴収一元化」を求めているが、これは「歳入庁の創設」を意味するものであろう。
また、前年の税制改革の基本構想と同じく、「高所得者に相対的に有利な『控除主義』から、支援が必要な人への『給付主義』へ転換する」との記述も見られる。
- 2004年第20回参議院選挙 Manifesto 2004(PDF)
歳入庁の創設については、「1.年金制度の『一元化』により、多様なライフスタイルを応援する。」の項に「年金保険料の無駄づかいをなくします」として「年金制度の一元化と合わせて、社会保険庁を廃止し、国税庁と統合した「歳入庁」を創設して、税金と保険料の徴収一丸化体制を確立します。これにより、未納問題を解決し、年金保険料の無駄づかいをなくします」とあるが、番号制度についての記述は見あたらない。
一方、住基ネットについては「マニフェスト 政策各論」の「13.人権が尊重される社会」に「3.盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します」として、「住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、直ちに見直しに着手し、抜本改正のための法律案を国会に提出します」とある。
- 2005年度税制改正に対する考え方
2004年12月22日付けの「税制調査会会長 中川正春」名の文書。
ところで、番号制度導入の目的から脱落した「総合課税のため」の代わりとして「所得比例年金のため」が据えられているのだが、そもそも「税制改正に対する考え方」であるにもかかわらず主要課題として「年金改革」を盛り込んだうえ、そこでは「所得比例年金を導入するには、所得の正確な把握が必要であり、そのためには納税者番号制度が必要」という本末転倒的な納税者番号制度必要論が披露されている(これまで見られた「真に支援の必要な人に対して適切な支援」という言葉は見られない)。
そしてその一方で「2.政府与党が検討している個別改正項目について」の「(1)所得税関係」の項では納税者番号制度について全く触れていない。摩訶不思議と言う他ない文書である。
面白いのは同じ「(1)所得税関係」の項の「金融所得課税の一体化」に「既に進みつつある社会の二極分化を加速させないためにも、累進構造を備えた総合課税を維持することを基本とする」との記述があることだ。2002年8月の税制改革の基本構想にあった「金融所得を分離課税する二元的所得税についても、今後検討を進めていく」はどうなったのか。
- 2005年第44回衆議院総選挙 Manifesto 2005(PDF)
「マニフェスト 政策各論」の「3社会保障・雇用」の項に「(2)ムダづかいの社会保険庁は廃止します。」として「国民の財産である年金保険料をムダづかいする社会保険庁は廃止します。社会保険庁が行っていた年金保険料の徴収は、国税庁を改編した歳入庁で行います。税と保険料の徴収を一体化することにより、効率的かつ適切な徴収を行える体制を整えます」とある。
また「(7)納税者番号制度を導入します。」には「所得比例年金を導入するには、すべての人の所得を正確に把握することが不可欠です。また、所得の把握が正確にできなければ、将来の年金財政を正確に見込むこともできません。正確な所得の把握を可能にするために、納税者番号制度を導入します」と書かれている。当時の民主党は、年金制度のための正確な所得把握に納税者番号が必要だと考えていたようだ。
一方、住基ネットについては、「マニフェスト 政策各論」の「13暮らしの安全・安心」の項で、「盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。」として、「住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、即時に見直しに着手し、抜本改正のための法律案を国会に提出します」としていた。
- 「政策インデックス2007 「生活維新」実現−政治とは、生活である。」(PDF)
2007年1月17日付けの文書。
番号制度については「【4】財務・金融」の「税制改革」の項に「税制を簡素化し、透明性を高めるとともに、所得捕捉を公平に行い、かつ的確な給付を担保するために、税及び社会保険料に共通の番号制度を導入します」とある。「税・社会保障共通の番号」ではなく「税・保険料共通の番号」というところが、面白い。当時はまだ社会保障全般に使おうなどとは考えていなかったのかも知れない。
また「6.所得税改革」には、「高所得者に有利な『控除主義』を改め、必要な人に対し確実な支援が可能となる『給付主義』へと転換します。このため、扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除等の人的控除を見直し、これによって生まれる財源を子育て支援策などの社会保障給付の財源とします」と書かれている。
一方、歳入庁については「4.歳入庁と資産債務管理」に「国税庁・社会保険庁等を統合、歳入庁を設置して、経費節減などに努めるとともに、国民が税・社会保険料を納付する際の利便性を高めます」とある。
- 2007年第21回参議院選挙 Manifesto 2007(PDF)
「Manifesto 2007」本体には、番号制度についての記述は見あたらないが、「2007 政策リスト300」には「税・保険料共通の番号制度の導入」として「所得捕捉を公平に行い、かつ的確な給付を担保するために、税及び社会保険料に共通の番号制度を導入します」との文言がある。
一方、歳入庁については、「マニフェスト 政策各論」の「1 くらし (社会保障・はたらき方・子育て・教育)」の項の「1. 年金を抜本改革 ――消えた年金も補償」で、「国民の財産である年金保険料をムダづかいしてきた社会保険庁は廃止・解体し、業務を国税庁と統合し、歳入庁を創設します。国税庁のもつ所得情報やノウハウを活用して未納をなくすとともに、類似の業務を整理して徴収コストを削減します。また税や保険料の納付や相談が一ヶ所で行えるため、利便性が向上します」としている。
また民主党は、当時、自公政権が進めていた「社会保障カード」に対抗して「年金通帳」を提案しており、「Manifesto 2007」では「3つの約束」の一つとして、「銀行通帳と同じように、全ての加入者に、全ての納付履歴を記載する『年金通帳』を交付し、いつでも自分の記録を確認できるようにします」としていた。
- 民主党税制改革大綱 −納税者の立場に立ち「公平・透明・納得」の税制を築く−(PDF)
民主党の税制調査会が2007年12月26日に示した文書。
「II 各税目における将来の方向性」の「5.納税環境整備」の項にて、「所得の捕捉を進め、「必要な人に適切な給付」を確実に実現するため、税と社会保障共通の番号制度を導入する」とともに「社会保険庁を廃止し、国税庁に統合する「歳入庁」を創設し、税と社会保険料を一体徴収する」としている(7頁)。
また「1.所得税・相続税」の項では、所得税における中期的な改革の1つとして「格差の下への拡大を止めるために、所得税に給付付き税額控除制度を導入すること」を提言している。
- 民主党税制抜本改革アクションプログラム −納税者の立場で「公平・透明・納得」の改革プロセスを築く−
民主党の税制調査会が2008年12月24日に示した文書。
「4.執行体制の改革指針」の「(1)社会保障番号制度と歳入庁設置」において、歳入庁の創設とあわせて「社会保障制度の効率化を進めつつ、真に手を差し伸べるべき人に対する社会保障をより手厚くするために、正しい所得把握体制の環境整備が必要不可欠」であるとして、「社会保障給付と納税の双方に利用できる番号制度の早急な導入を進める」としている。
利用する番号については「最も望ましいのは、『消えた年金』『消された年金』の再発を防ぐため国民全員に交付する『年金通帳』の番号であるが、早急な番号制度の導入が必要なことから、政府が現在検討している社会保障番号も含めて検討していく」としている。
また、「相対的に低所得者に有利な制度」である「税額控除を基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付する制度」として「給付付き税額控除」の導入を進めるとしている。「導入する場合には、所得把握のための番号制度等を前提に、生活保護などの社会保障制度の見直し」と合わせて、低所得者に対する生活支援(基礎控除を「給付付き税額控除」に替える)、消費税の逆進性緩和(「給付付き消費税額控除」の導入)、就労促進(就労による収入以上に実収入が大きく伸びるようにする「給付付き税額控除」の導入)の「いずれかの目的若しくはその組み合わせの形で導入することを検討する」としている。
民主党が2009年8月の第45回衆議院総選挙に際して示したマニフェスト「Manifesto2009」と政策集「INDEX2009
」。歳入庁の創設や、税と社会保障制度共通番号制度の導入が盛り込まれている。
- 民主党の政権政策 Manifesto2009
「20.歳入庁を創設する」の項に、「年金保険料のムダづかい体質を一掃する」「年金保険料の未納を減らす」を目的に、「社会保険庁は国税庁と統合して「歳入庁」とし、税と保険料を一体的に徴収する」と合わせ、「所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する」ことを掲げている。
自公政権が導入に向け準備を進めてきた「社会保障カード」についてはまったく触れていない。その代わりとして全ての加入者に交付する「年金通帳」を提案し、「いつでも自分の年金記録(報酬月額を含む)を確認できるようにする」(「16.年金記録被害者への迅速な補償のため、一定の基準の下で、「一括補償」を実施する」の項)としている。
- 民主党政策集 INDEX2009
「税制」の項に「厳しい財政状況の中で国民生活の安定、社会の活力維持を実現するためには、真に支援の必要な人を政府が的確に把握し、その人に合った必要な支援を適時・適切に提供すると同時に、不要あるいは過度な社会保障の給付を回避することが求められ」るとし、「このために不可欠となる、納税と社会保障給付に共通の番号を導入」するとする「税・社会保障共通の番号の導入」(PDF版19頁)を盛り込んでいる。
また、「給付付き税額控除制度の導入」(同19頁)では「低所得者に対する生活支援を行う給付付き税額控除」「給付付き消費税額控除」「就労を促進する給付付き税額控除」を提案しているが、その前提として「不正還付・不正受給を防ぐためにも所得の正確な把握が必要であり、納税と社会保障給付に共通の番号制度」を導入するとしている。
「年金」の項では「社会保険庁廃止と歳入庁創設」(同30頁)に「歳入庁」を創設することで「税と保険料を一体的に徴収し、未納・未加入をなくす所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する国税庁のもつ所得情報やノウハウを活用して適正な徴収と記録管理を実現する――等の改革を進め」るとある。
マニフェストと同様に「すべての加入者に「年金通帳」を交付し、いつでも自分の年金記録(標準報酬月額を含む)を確認できるようにする」(「年金通帳」で「消えない年金」、同30頁)としているが、社会保障カードにはまったく触れていない。
民主党政策調査会のプロジェクトチームの一つとして2010年8月に発足。
座長は中野寛成衆院議員、事務局長は古本伸一郎衆院議員。
同年9月22日より議論をはじめ、12月6日には「真に支援の必要な人を把握し社会保障を充実させるため、また、所得を把握することなどにより不公平をできる限り是正していくため、社会保障・税共通番号制度が必要である」などとする「平成23年度税制改正主要事項にかかる提言」を政府に提出した。
- 党税制改正PT、政府に「平成23年度税制改正主要事項にかかる提言」を手交(2010/12/6付けの『民主党ニュース』)
- 税制改正PT「平成23年度税制改正主要事項にかかる提言」(PDF)
「平成23年度税制改正主要事項にかかる提言」は「税制改革と社会保障制度とを一体的に捉えることについては、民主党は現在『税と社会保障の抜本改革調査会』で検討を行っているが、当PTではその基盤整備として社会保障・税共通番号制度導入を視野に入れてきた。また、地域主権を確立するための税制についても『地域主権調査会』と連携していく必要がある」とした上で、「社会保障・税共通番号制度」について次の様な提言をおこなっている。
(1) 社会保障・税共通番号制度
○導入目的
真に支援の必要な人を把握し社会保障を充実させるため、また、所得を把握することなどにより不公平をできる限り是正していくため、社会保障・税共通番号制度が必要である。番号導入は国民の利便性の向上、行政の効率化にも資すると考えられる。
○提出時期
国民的議論を行うためにも、来年通常国会末までに、法案骨子を作成することを求める。
番号制度導入の機は熟している。番号制度は、この国の行政のあり方を大きく変えるものであり、システム開発だけで最低2、3年は必要とも言われる。また、関係機関への影響も大きいことから、早期に導入の判断をすることが望まれる。
○利用範囲
国民にとっての利便性、情報管理のリスク・コストを勘案し、「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会中間取りまとめ」で示されたB−1案、すなわち、税務分野、社会保障の現金給付での利用を推奨する。
○使用する番号・情報管理方式
住民票コードを利用して新たな番号を付番すべきである。プライバシー侵害の懸念や、情報漏れ等の事故が生じた場合の被害を最小限にするため、分散管理方式を採用すべきである。
なお、システム開発の際には、コストが膨大なものにならないよう、専門家が助言等を行うような枠組みも検討すべきである。
○プライバシー保護
番号利用に関し、目的外利用の厳密な禁止・罰則など規制を強化すべきである。
○付番機関
昨年の税制改正大綱では、将来的に歳入庁の設置を検討するとされているが、当面は国税庁を中心としながら地方自治体等との連携を進めていくべきである。
2010年10月6日に発足。調査会会長は藤井裕久衆院議員、事務局長は大串博志衆院議員。
「必要な人に必要なサービスを適切に提供する」観点から、個々人の所得や社会保障サービスの受給状況を的確に把握するための社会保障と税の共通番号制度の創設に速やかに着手すべきであるなどとする「中間整理」をとりまとめ、同年12月6日、政府に提出した。
なお、今後の進め方について「中間整理」は、「早期に政府与党の考え方を取りまとめた上で、党派を超えた議論を呼びかけていく」としている。
- 党税と社会保障の抜本改革調査会、政府に「中間整理」を手交(2010/12/6付けの『民主党ニュース』)
- 税と社会保障の抜本改革調査会「中間整理」(ポイント)(PDF)
【社会保障改革の方向性】
(1)全世代を通じた安心の確保…高齢者の安心感、現役世代の受益感覚を高める
(2)国民一人ひとりの安心感を高める…「居場所と出番」をつくる
(3)包括的支援…支援を必要とする人の立場に立ったサービス提供体制
(4)納得の得られる社会保障制度…受益と負担を明確化、番号制度の導入
(5)自治体、企業との役割分担…医療、介護、保育などにおける役割分担を明確化
- 税と社会保障の抜本改革調査会「中間整理」(PDF)
(4)納得の得られる社会保障制度
巨額の税金を投入する社会保障制度は、効率化に常に努めることが国民の理解を得るために必要であり、同時に受益と負担の関係に納得を得ることが必要である。そのためには、ライフステージの各段階における負担と受益の関係など、「どの程度の負担でどの程度の受益を得られるのか」を国民にわかりやすく提示することが必要である。
年金、医療、介護、雇用は社会保険制度によって運営されているが、財政悪化の中での少子高齢化の進展、現役世代の所得の低迷や保険料に特有の逆進性などから負担感が増大している。高齢者の生活の基礎を支える部分の年金給付など所得の再分配機能が特に必要とされる分野については、税の役割をより拡大していくことが必要である。
「必要な人に必要なサービスを適切に提供する」観点から、個々人の所得や社会保障サービスの受給状況を的確に把握する必要がある。そのためには社会保障と税に共通して利用できる番号制度の整備が不可欠であることから、速やかに番号制度の創設に着手すべきである。
なお、社会保障を支える財源問題について「中間整理」は、「現在の仕組みでは、消費税(国分)を社会保障の高齢者3 経費と言われる年金・高齢者医療・介護に充当することとなっているが、現実にはこの3 経費に対しても約10 兆円の財源が不足している」との認識に立ち、「『現在の世代が受ける社会保障は、現在の世代で負担する』状態へ回帰させるために、できるだけ速やかに税制と社会保障制度一体での具体的な改革案」を示すこと、「国民の納得を得られる実質的に公正な負担のあり方」とすること、「消費税を社会保障の目的税とすることを法律上も、会計上も明確にする」こととしている。
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from 2010.12.8