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これまで法的な根拠のなかった基礎年金番号をあらためて法定化することを盛り込んだ法律案が今国会に提案されています。住民票コードが、日本国籍をもつ者に限定されているのに対し、基礎年金番号は年金加入者という限定はあるものの在日外国人にまで範囲が及んでいることから、法案が可決されると、日本に在住する個人を特定するものとしては、より網羅的な管理番号となります。
また、住民票コードが本人の申請により変更可能であるのに対し、基礎年金番号は一生涯に渡っての固定化が前提(社会保険庁サイト内にある基礎年金番号に関するQ&AのQ323参照)であるため法定化する法律案には変更に関する規定は見あたりません。もし、万が一流出した場合によって生じる被害は住民票コード以上のものとなる可能性があります。
社会保険庁のWebサイトによれば、基礎年金番号の法定化を行うための条文が盛り込まれた「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案」(第164国会 閣法78号)は、内閣官房長官主宰の「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」の最終とりまとめ(2005年5月 PDF版 HTML版)及び厚生労働大臣主宰の「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」のとりまとめ(2005年12月 PDF)を踏まえ、「ねんきん事業機構法案」とともに社会保険庁改革関連二法案として2006年3月10日に閣議決定され、第164国会に提出されたそうです。
当該条文の施行期日は2008年10月1日です(法案附則第1条第5項)。
ところで、なぜ基礎年金番号を法定化するのでしょうか。理由についての詳しい説明は、社会保険庁のWebサイトのどこにもなく残念ながらわかりませんが、2004年11月26日に同庁が示した「緊急対応プログラム」(PDF)の「保険料徴収の徹底」(9頁)の項に「適用・徴収対策の強化と基礎年金番号による生涯にわたる記録管理の適正化」との記述がありますから、年金保険料の徴収強化が背景にあるのは間違いないでしょう。
年金保険料の徴収強化を図るには、まず未納者の所在の把握です。所在の把握は、お金を請求し徴収する上で、官民を問わず最も基本的なことです。所在がわからなければ督促もできませんし、財産の差し押さえや強制執行もできません。
では、基礎年金番号を法定化すると未納者の所在の把握は可能となるのでしょうか。残念ながら、それだけでは無理です。では、どうするか。国民の所在を最も正確に記録しているとされるのは住民基本台帳です。ですから、未納者の所在の把握を進めるためには、住民基本台帳のデータを容易に社会保険庁が得られるようにする必要があります。どうするのか。答は簡単ですね。基礎年金番号と住民基本台帳上の住民票コードとの突合表をつくれば良いのです。もっとも基礎年金番号に法的な根拠がなければ、この種の突合表をつくるのは困難でしょう。今回の基礎年金番号の法定化は、2008年10月1日(法定化に関する条文の施行期日)までに基礎年金番号と住民票コードの突合表を合法化(?)する、もしくは、世論の地均しをするための前段として行われるものと考えて良いのではないでしょうか。
今回の「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案」には、「突合表の作成」を合法化するものではありませんが、「被保険者等の氏名・住所の変更等の届出を原則廃止し、被保険者等の事務負担の軽減及び被保険者等記録の的確な管理を図る」ためや「34歳到達者のうち国民年金未加入者への適用勧奨を行う」ために住基ネットを利用することができるようにする住民基本台帳法の改正も盛り込まれています(第19条、第20条)。
なお、基礎年金番号には、同一人に対し、複数の番号が付けられている場合があるという重複問題がありますが、これの改善については、社会保険庁の「業務改革プログラム〜セカンドステージにおける改革の取組〜 2005年9月27日、2006年4月24日改定」(PDF)の「被保険者及び年金受給者の記録管理の徹底」(7頁)の項に、今後の取組として「新たに専門チームを設置し、重複付番の定期的な調査及び過去記録の整理を引き続き進めるとともに、年金個人情報の提供の取組を通じ、本人による記録確認の機会を増加させることにより、年金加入者の整備を推進」とあります。
また、「被保険者へのサービス向上、事務処理の効率化等を図る観点から、住民基本台帳ネットワークシステムを活用した被保険者等の記録管理を推進」とありますから、重複問題の解決に住基ネットが使われる可能性もありそうです。
III.国民年金事業等の公正・透明・効率的な運営の確保
3.その他の事項
(国民年金法、厚生年金保険法関係)
(2)基礎年金番号の法定化〔平成20年10月施行〕
ねんきん事業機構の業務と他の社会保険に関する業務の連携を図るため、基礎年金番号を年金原簿の記載事項として法定化するとともに、基礎年金番号を適正に活用するための利用制限等の措置を講じる。
第五 国民年金法の一部改正(平成二十年十月施行)
一 国民年金原簿の記録事項に基礎年金番号を追加すること。(国民年金法第十四条関係)
二 国民年金事業の運営に関する事務等の遂行のため特に必要がある場合を除き、行政機関等による基礎年金番号の告知要求を禁止するとともに、それ以外の者による基礎年金番号の利用を禁止するものとすること。(国民年金法第百八条の四等関係)
第十 厚生年金保険法の一部改正(平成二十年十月施行)
被保険者に関する原簿の記録事項に基礎年金番号を追加すること。(厚生年金保険法第二十八条関係)
第四条 国民年金法の一部を次のように改正する。
第十四条中「納付状況」の下に「、基礎年金番号(政府管掌年金事業(政府が管掌する国民年金事業及び厚生年金保険事業をいう。)の運営に関する事務その他当該事業に関連する事務であつて厚生労働省令で定めるものを遂行するために用いる記号及び番号であつて厚生労働省令で定めるものをいう。)」を加える。
第百八条の三の次に次の一条を加える。
(基礎年金番号の利用制限等)
第百八条の四第十四条に規定する基礎年金番号については、住民基本台帳法第三十条の四十二第一項、第二項及び第四項、第三十条の四十三並びに第三十四条の二の規定を準用する。この場合において、同法第三十条の四十三第一項から第三項までの規定中「何人も」とあるのは、「国民年金法第十四条に規定する政府管掌年金事業の運営に関する事務又は当該事業に関連する事務の遂行のため同条に規定する基礎年金番号の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人も」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第百十一条の二を第百十一条の三とし、第百十一条の次に次の一条を加える。
第百十一条の二第百八条の四の規定により準用する住民基本台帳法第三十条の四十三第五項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第百十三条の二中第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 第百八条の四の規定により準用する住民基本台帳法第三十四条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者第百十三条の三第一項中「前条(第三号を除く。)」を「第百十一条の二又は前条(第四号を除く。)」に、「同条の刑」を「各本条の罰金刑」に改める。
第九条 厚生年金保険法の一部を次のように改正する。
第二十八条中「以下同じ。)」の下に「、基礎年金番号(国民年金法第十四条に規定する基礎年金番号をいう。)」を加える。
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