『電子自治体』政策批判 1 

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1.2003年度までに、電子政府・自治体の実現を目指す政府、総務省

 情報通信産業を中心とした財界の代表や竹中慶大教授(現、経済財政担当相)らを構成員として、2000年7月7日に発足したIT戦略会議(議長:出井伸之・ソニー株式会社会長兼CEO )は、同日に発足した情報通信技術(IT)戦略本部(本部長:森内閣総理大臣)との合同会議の議論を元に、同年11月27日、「IT基本戦略」を打ち出した。
 「5年以内に世界最先端のIT国家を目指す」この戦略は、「電子情報を紙情報と同等に扱う行政」、すなわち電子政府を2003年度に実現することを、超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、電子商取引と新たな環境整備、人材育成の強化と合わせて、4つの重点政策として位置付けた。
 「IT基本戦略」は、電子政府を「行政内部や行政と国民・事業者との間で書類ベース、対面ベースで行われている業務をオンライン化し、情報ネットワークを通じて省庁横断的、国・地方一体的に情報を瞬時に共有・活用する新たな行政を実現するものである」と説明している。電子政府には、霞ヶ関の中央省庁だけでなく、全国約3300の自治体も含まれているのである。
 また、「IT基本戦略」は、電子政府の実現により「誰もが、国、地方公共団体が提供するすべてのサービスを時間的・地理的な制約なく活用することを可能とし、快適・便利な国民生活や産業活動の活性化を実現することになる。即ち、自宅や職場からインターネットを経由し、実質的にすべての行政手続の受付が24時間可能となり、国民や企業の利便性が飛躍的に向上する」とその意義を述べている。

 政府は、2001年1月22日には、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するために、同年1月6日に施行された高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の第25条の規定に基づき、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部、本部長:森内閣総理大臣)を発足させた。
 同日、第1回会合が開催され、「IT基本戦略」は、IT革命を遂行するための国家戦略である「e-Japan戦略」として決定された。
 また、IT戦略本部は、同年3月29日に、「e-Japan戦略」を具体化し「高度情報通信ネットワーク社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策の全容を明らかにする」ものとして、「e-Japan重点計画」を、6月26日に、「e-Japan戦略」、「e-Japan重点計画」を各府省の2002年度の施策に反映する年次プログラムとして、「e-Japan2002プログラム」(平成14年度IT 重点施策に関する基本方針)をそれぞれ決定した。
 「e-Japan重点計画」は、行政の情報化における情報通信技術の活用の推進の目標として、「行政情報の電子的提供、申請・届出等手続の電子化、文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進し、2003年度までに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現する」とし、自治体への取組支援などについて具体的に示している。また、「e-Japan2002プログラム」は、「平成15 年度までに電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現するため、平成14 年度中に全府省において、申請・届出等手続の電子化に関わる共通的基盤システムを整備するほか、行政情報の電子的提供、政府調達の電子化等を推進する」とし、自治体に関わっては、取組支援に加えて「地方公共団体による広域的なシステム整備」、「地方選挙における電子投票」などを進めるとしている。

 一方、自治省(現、総務省)は、IT戦略本部が内閣に置かれたことを受けて、2000年7月26日、自治体においてIT革命に対応した情報化施策等を的確に推進する取組を積極的に支援するためとして、同省官僚による「情報通信技術(IT)革命に対応した地方公共団体における情報化推進本部」(地域IT推進本部、本部長:自治大臣)を発足させた。
 同本部は、約1ヶ月後の8月28日には、早くも「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を策定し、さらに、12月25日には、この指針を踏まえた「地域IT推進のための自治省アクションプラン」を示した。アクションプランは、2003年度までを期間とし、『電子自治体』の構築に向け、「自治省が地方公共団体を支援するために実施する事項について、担当部局、年度毎に予定している取組内容等を具体的に示した」計画書である。

 パソコンが、職員1人に1台配置される。これらは、庁内LANで結ばれ、インターネットへも常時接続されている。職員1人1人が、電子メールアドレスを持つ。文書の電子化、データベース化により役所内での情報共有が図られる。庶務事務や会計事務などが電子化される。地図データを統合した地理情報システムが導入される。住民基本台帳ネットワークがスタートし、住民にICカードが配付される。政府と自治体、また自治体間の文書交換・情報交換は、総合行政ネットワークにより電子化される。電子調達・電子入札が行なわれる。住民や企業から、インターネットによる電子申請を受け付ける。地方税の申告もインターネットで行なわれる。インターネット上での印鑑証明である本人確認のシステムが稼動する。電子機器を利用した選挙が行なわれる。インターネットによる住民への情報提供が行なわれる。
 これが、「地域IT推進のための自治省アクションプラン」などを元に、想定される『電子自治体』である。政府は、これら全てではないが、大部分を2003年度までに実現しようというのである。
 では、なぜ、政府は、このように『電子自治体』の構築を急ぐのだろうか。次章では、その理由と背景を探ることにする。

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