『電子自治体』政策批判 2−(1) 

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2.なぜ急ぐ、『電子自治体』構築

1) 「日本新生」と e-Japan戦略

 行政の電子化は、国・地方を通じた財政危機への対処の一つとして、すなわち、人減らし合理化、経費削減という狭い意味での『行政改革』としての意味をもちろん持つてはいる。2000年12月1日に、閣議決定された「行政改革大綱」においても、行政改革の重要課題の一つに「国民の利便性の向上及び国民に開かれた行政の実現を図るとともに、行政運営の総合性・機動性を高め、その簡素・効率化を進める」として「行政事務の電子化等電子政府の実現」が位置付けられている。また、これまで多くの自治体で取り組まれて来た行政情報化の多くが、主たる目的を『行政改革』に置いてきたのも事実である。
 しかし、今、政府が進めている政府・自治体のIT化の目的を、こうした点だけに矮小化して捉えるのは、甚だしい間違いであろう。電子政府の意味を正しく捉えるには、その実現を重点施策の一つとして掲げる「e-Japan戦略」が策定された背景を見る必要がある。

 森首相は、第150国会の所信表明演説(2000年9月21日)において、「国民運動としてのIT革命」を提案し、「『日本新生』」の最も重要な柱は『IT戦略』、いわばE−ジャパンの構想で」あり、「『日本型IT社会』の実現こそが、21世紀という時代に合った豊かな国民生活の実現と我が国の競争力の強化を実現するための鍵である」と述べた。また、ITは世界規模での課題となっており、「我が国も、産業・社会構造の変革に向け、迅速な対応をしていかなければ」ならず、そのため、早急にIT国家戦略を取りまとめると宣言した。
 そして、所信表明を受ける形で、「我が国が21世紀においても、世界経済の主要なプレーヤーであり続ける」ための「構造改革と意識変革の方向を明確にする」として、10月19日に経済対策閣僚会議でまとめられた「日本新生のための新発展政策」においても、「IT革命の飛躍的推進」は4つの重点施策の一つと位置付けられている。

 こうした一連の流れの中で、11月27日に、「e-Japan戦略」の元となる「IT基本戦略」は策定されたのである。
 戦略は、IT革命への現在の取り組みの遅れが「将来取り返しのつかない競争力格差を生み出すことにつながること」を認識すべきだとし、これまでの遅れを取り戻すためには「社会経済の構造改革の方向性と改革の道筋を具体的に描いた国家戦略」が必要であり、民間がIT革命の強力な原動力となることができるように「国・地方が相互に連携して、市場原理に基づく開かれた市場が円滑に機能するような基盤整備を迅速に行なう」ことが必要だと説いている。
 そしてまた、「電子政府は、ITがもたらす効果を日本社会全体で活用するための社会的基盤」だと位置付け、「2003年度には、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現」すると、その達成の目標年次を示したのである。

 以上のように、政府の進めるIT政策は、大競争の時代における日本の国際競争力を強化する ―― グローバル経済のもとで、多国籍化する日本企業の競争力を回復する ―― ために進められる「構造改革」の一環であるとともに、その実行を図るための手段として登場したのである。そして、電子政府の構築は、その重要な柱であるとともに、よって立つ基盤でもあると位置付けられているのである。

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