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| IT戦略、電子自治体に向けた経済界の意見 |
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経団連
- 経団連「IT立国に向けた提言」
社団法人・経済団体連合会が2000年5月29日に出した「デジタル・オポチュニティ活用のために」と副題の付いた提言。概要(PDF)、骨子、本文が提供されています。
提言は、IT革命による経済社会の構造変化は、「いわば『デジタル・オポチュニティ』ともいうべき機会を創造して」おり、「IT革命は、少子・高齢化、地理的ハンディキャップなどの課題の克服に貢献し、持続的経済発展、雇用機会の増大、地域の活性化などを可能とする。21世紀の繁栄は、IT革命を推進し、全ての人、企業が参加できるかどうかにかかっている」とした上で、「日本自身がITを積極的に活用し、世界最先端の『デジタル・オポチュニティ』の国となる意志を早期かつ明確に打ち出すとともに、IT革命の恩恵が世界中に伝播するよう、貢献していく必要がある」と述べています。
IT革命推進の国内的課題として、IT活用を促進する環境整備、電子政府の実現、情報リテラシーの向上を、また、IT革命推進の国際的課題として、IT関連企業活動の世界的展開を促進する環境整備、デジタル・デバイドの克服を上げ、IT革命推進のためには政治のリーダーシップが必要として、副総理格の特命事項担当大臣の設置と恒常的スタッフ部門の整備を提言しています。
特に、電子政府の実現に関しては、次ぎの三点を提言しています。
a. ITは行政改革のツールとしても効果的である。政府は、行政サービスの提供者とネットワークの最大の利用者という立場からITを積極的に活用し、業務効率の向上、行政情報の一層の公開、ならびに行政サービスの向上を図るべきである。
b. 電子政府実現のためには、まず、効率・情報公開・サービス向上の観点から、具体的で明確な目標と時期を設定し、その達成状況を適宜評価していくことが不可欠である。また、単年度予算主義の弊害を防止しつつ、省庁横断的に行政内部ならびに官民の接点の情報化を推進するとともに、政府と地方公共団体との統一的な取り組みを進めることが特に重要である。
c. さらに、独自規格ではなく相互運用性が確保された技術の採用と、民間へのアウトソーシングの推進を通じ、技術革新への柔軟な対応と行政コストの削減等を図るべきである。高度道路交通システム(ITS)推進の基盤を整備する観点から、交通情報、電波等の関連規制を緩和すべきである。
この提言を見る限り、情報通信技術(IT)戦略本部・戦略会議(2000.7.18〜)で「IT基本戦略」が議論される前の2000年5月の時点では、経団連は、電子政府構築の目的をコスト削減を中心とする「行政改革」に置いていたようです。また、電子政府の実現時期に関する記述もありません。
- 経団連「『一つ』の電子政府実現に向けた提言」
社団法人・経済団体連合会が2000年8月2日に出した「デジタル・オポチュニティを個人・企業・社会に開くために」と副題の付いた提言。概要(PDF)、本文、別添資料の他に、このページからは、「電子政府化重点項目に関するアンケート結果」(未定稿)、「電子政府実現に向けたIT投資と行政の業務改革の同時実施について(IT戦略会議・IT戦略本部第3回合同会合[2000.9.20]への提出資料)」が提供されています。
提言は、電子政府は、「国・地方を問わず、行政のあらゆる分野でITを活用することであり、国民サービスの質的向上と行政運営の効率化・スリム化を目指したもので」あり、その実現は、「『社会』全体のIT化を推進し、全ての『個人』、『企業』がIT革命がもたらすデジタル・オポチュニティを積極的に活用することを可能に」し、「グローバルな規模で経済社会の構造が変化する中、電子政府は21世紀の日本に豊さと活力をもたらす重要な取り組みである」とその意義を述べています。
その上で、「制度・政策は産業界の国際競争力に大きな影響を及ぼしており、政府も国際的な制度間競争にさらされているという意識を持って、電子化された『世界最高水準』の政府を目指す必要が」あり、「電子政府化の取り組みを早急に強化・加速しなければならない」としています。
行政改革の一環としていた2000年5月の「IT立国に向けた提言」とは違い、この提言では、産業界が国際競争に打ち勝つための必要不可欠の基盤として「電子政府」を位置付けていることがわかります。このことは、「『世界最高水準の電子政府』を実現するために不可欠なことは、情報処理の自動化、効率化を促進するともに、組織などの『壁』を超えて迅速な情報の共有・活用を可能にするというITの特性を行政に注入することである」として、提言されている「旧来の制度・慣行よりも、IT時代に対応した業務の確立ならびに省庁や国・地方等の壁を超えた『一つ』の電子政府」の実現という言葉に単的に表れています。
ここには、国際競争に打ち勝つための「IT革命」の遂行のためには、地方分権も地方自治も全く眼中にない、経済界の意向が強く現れています。
さらに提言は、「『一つ』の電子政府に向けた政策課題」に、業務改革の強化が必要であるとして、「政府認証基盤の一元的運営」「地方公共団体のIT化の加速」「ワンストップ・サービス」などを示しています。特に、ここで問題なのは「地方のIT化を円滑化する観点から、国として、すべての地方公共団体が達成すべきIT化の最低水準と国全体共通のプラットフォームを定め、その実現を働きかけるとともに、都道府県、市町村のレベル毎に複数の地方公共団体によるシステムの共有、広域的なシステム構築などを推進する必要がある」と、それぞれの自治体の状況や団体自治・住民自治を考慮せずに、自治体業務の標準化や、広域化を国に対し一方的に要請していることです。こうした要請が、標準化された汎用システムを利用した方が効率的だとして、自治事務の標準化をすすめる「自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針」に反映しているのでしょう。
また、「推進・評価体制の強化」の項では、「政治のリーダーシップの下に省庁横断的、国・地方一体的な電子政府化を加速する必要がある。総理、IT担当大臣、行革担当大臣が連携して司令塔の役割を果たし、IT投資の成功に不可欠な業務改革と効果的なIT投資を推進していく必要がある。特に、国・地方が一体となった電子政府を実現する観点から、地方公共団体との連携を強化すべきである」と「政治のリーダーシップの強化」が提言されています。こうした経団連の考えは、地方六団体など地方自治体関係者の参加を図らずに、トップダウン法式で電子政府構築の議論をすすめている政府の考えと共通しています。
なお、提言で言う「一つ」の電子政府の意図するところは、別添資料の「早急にワンストップ・サービス化を実現すべき国民生活や企業活動に関連の深い手続事例」にある「建築確認申請および関連手続」「道路占有許可および使用許可手続」が上げられていることを見れば明らかです。開発事業を行なう際に、一々、地元の自治体との協議に時間が取られるのは嫌だ、条件をつけられるのは嫌だということのようです。
ところで、「ミレニアム・プロジェクト」(1999.12.19決定)では「2003年度までに、民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用しペーパーレスで行なえる電子政府の基盤を構築する」となっていたのが、「IT基本戦略」(2000.11.27決定)では「文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進することにより、2003年度には、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現し、ひいては幅広い国民・事業者のIT化を促す」となり、電子政府の実現時期が前倒しとなりましたが、これには、この「『一つ』の電子政府実現に向けた提言」が大きく影響しているようです。
「21世紀初頭に『世界最高水準』の電子政府を実現するためには、2003年度までに添付書類等のオンライン提出やインターネット・バンキング等による行政手数料の納付を含め、行政手続の100%完全オンライン化を実現することとし」(「『一つ』の電子政府に向けた政策課題」の項)と書かれたこの提言は、「2003年度に全手続きの完全オンライン化を達成していただきたい」とする「電子政府実現に向けたIT投資と行政の業務改革の同時実施について」の文書とともに、2000年9月20日に行われた「IT戦略会議・IT戦略本部第3回合同会議」に提出されています。
同会議の議事要旨によれば、「IT投資と同時実施すべき業務改革の内容については、重要プロジェクトを例に示していただきたい。 ・・・(引用者略)・・・2002年までに大半の行政手続のオンライン化を実施し、2003年度に全手続の完全オンライン化を達成していただきたい」と委員の一人が述べています。経団連副会長、同情報通信委員会委員長の岸委員(東京三菱銀行会長)は欠席していたようですが、代わって誰かが、この提言に沿った発言をしたようです。この委員はさらに、続けて
重要なプロジェクトは5つほどあるが、例えば「道路占有および使用許可手続きのワンストップ化」では、事業者Aが光ファイバーを地中管路に敷設するためには、道路の占有許可並びに使用許可を得なければならないが、電子政府前では、その申請窓口は、道路の占有については、国道は建設省、県道は県庁、市町村道についてはそれぞれ自治体に別々に申請しなければならないという実情にある。道路の使用については、警察署への申請である。実際の道路工事は、国道、県道、市道にまたがるケースも多々見られ、民間事業者はかなりの手間とコストを強いられている。
それを電子政府後、電子政府の効用という意味で言えば、関係部局を電子的に結びオンラインで手続を行うようにすると、ワンストップで手続を完了し、民間の負担は軽減される。光ファイバーの敷設も迅速化され、コストダウンが可能となる。行政としても、関連業務が効率化できる。そのためには、IT投資と同時に、国、地方が必要とする情報項目の標準化、資料の提出や占用料納付等をオンラインで行えるよう、法制面の整備をすることなどの業務改革が必要である。
と、この提言で示された「『一つ』の電子政府」の経済界にとっての必要性をも語っています。
こうした経済界の意向を受けて、IT戦略会議・IT戦略本部第5回合同会議(2000.11.6)に提出されたIT基本戦略草案では、「2003年度に向けて行政手続きのオンライン化を柱とする実現計画を定める。2003年度内に、計画の実施状況について評価・分析し、その後、新計画を策定・実施する」と「ミレニアム・プロジェクト」よりも多少前倒しの表現となりました。しかし、議事要旨によれば、それでは不充分だとして、電子政府に関して、
経団連の意見は、2003年度までに24時間365日、自宅、職場からインターネットで国の実質的にすべての行政手続を可能にし、2002年度内に大半の行政手続についてこれを実現するという踏み込んだものであるが、草案ではかなり柔らかい書き方になっている。今回のIT戦略会議はタイムテーブルをきちんとつくって、その実行状況をフォローするということに大眼目があったはずなので、例えば2003年度内にすべての行政手続が電子的に受付が可能になるようなことをせめて目指すということで結構なのでもう少し踏み込んだ書き方をしていただきたい。
との発言が委員(岸さん?)からなされました。
こうして最終的に、IT戦略会議・IT戦略本部第6回合同会議(2000.11.27)に提出された「IT基本戦略」では、経団連の提言に沿った形で、「文書の電子化、ペーパーレス化及び情報ネットワークを通じた情報共有・活用に向けた業務改革を重点的に推進することにより、2003年度には、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現し、ひいては幅広い国民・事業者のIT化を促す」と、「基盤を構築する」としていた「ミレニアム・プロジェクト」よりも遥かに前倒しの計画となりました。なお、この表現は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の第1回会合(2001.1.22)にて正式な国家戦略として決定された「e-Japan戦略」にそのまま受け継がれています。
要するに、「2003年度に電子政府を実現」の国家目標は、国民の要求でも、自治体の意向でもなく、経済界の要求に従ったものであるということです。
- 経団連「『IT国家戦略』に関する緊急アンケート結果」
「『IT国家戦略』に関する緊急アンケート」は、社団法人・経済団体連合会が、2000年末〜2001年1月12日に、主要会員企業・団体を対象に、情報通信委員会委員等計238名に対して、「IT基本戦略」に盛り込まれた施策の中で「特に重要な施策」、「2001年度中に実現すべき施策」、ならびに「改革の成果をあげるための課題」について聞いたものです(回答:80名)。
結果は、「『IT国家戦略』に関する緊急アンケート結果について ―産業界が必要とするIT政策は何か― 」と題して、経団連産業本部名で2001年 1月22日に発表されました。現在、経団連サイトと、首相官邸サイトの「IT戦略本部・第一回会合の議事次第」(資料11「IT国家戦略」に関する緊急アンケート結果について(岸本部員資料)」、「『IT国家戦略』に関する緊急アンケート結果」)、及び、「同第二回会合の議事次第」(「資料9」の「別添資料」)から提供されています。
「アンケート結果について」によれば、「業種の違いを超えて産業界として最も重要と考えられているのは、電気通信行政の大転換で」あり、「79%の企業・団体が電気通信事業者の競争促進に向けた通信事業関連規制の大幅見直しと事後チェック型行政への転換を『特に重要』とし、その68%がこれを2001年度内に実現すべき」としている。この他の産業界の強い期待としては、電子契約や情報財取引ルール等の整備、個人情報保護基本法案の成立、ノーアクションレター制度の導入、電子政府化の前提である行政の業務改革の実施(類似業務の統廃合、ペーパレス化等)、大学改革の積極的推進が上げられています。また、「『改革の成果をあげるための課題』としては、67%の企業・団体が『明確・具体的なスケジュールの提示』、60%が『省庁間の施策の有機的連携(縦割り排除)』をあげ、このための政治のリーダーシップが強く求められる」としています。
電子自治体関係について詳しく見てみると、まず、「Q1 IT基本戦略に示されている事項の中で、特に重要なものは何か」に対して、一番多いのは「行政の業務改革の実施(60%)」、続いて「行政手続、行政運営等のインターネット化に向け法令等を見直し(54%)」「明確な目標を設定し進捗状況を評価・公表等(51%)」となっています。一方、「e-Japan戦略」の主要な目標である「2003年までに国の実質的にすべての行政手続をインターネット化」は38%と政府の意気込みほど多くなく、「行政ICカードの早急導入(26%)」「国は地方のシステム標準案を提示(23%)」「2003年度までに地方公共団体の総合行政ネットワークへの接続を完成(21%)」も少数に留まっています。また、「公共事業や資材調達を電子化」に至っては、18%に過ぎません。結果を「Q1に対する主なコメント」も含めて、経団連が出した2001年2月20日の提言と比較してみると、経団連の本部と主要会員企業・団体の思惑には微妙に違いがあるように思えます。本部は「電子政府」を「IT革命」遂行のための基盤として、会員はあくまでも小さな政府に向けた「行革の手段」として考えているようです。
この傾向は、次ぎの「Q2 IT基本戦略の提言事項に盛り込まれていないもので、吹E非とも実現が必要な事項は何か」に対する回答からも窺えます。また「Q3 IT国家戦略・重点計画が、具体的な改革の成果をあげるための課題は何か」の「国・地方共通のプラット・フォーム作り」を支持する回答は28%に過ぎません。これは、「国・地方を通ずる『一つ』の電子政府のシステム基盤構築」を要請する本部の思惑が会員に伝わっていないことの現われではないでしょうか。
以上のことから、IT国家戦略は、あくまでも情報通信産業の思惑を中心として構築されており、経済界全体の思惑が反映されているものではないと見るべきでしょう。このことが、今後のIT国家づくり、電子政府づくりに、どう影響を与えていくのか、注意してみていく必要があると思います。
- 経団連「『e-Japan戦略』実現に向けた提言」
社団法人・経済団体連合会が2001年2月20日に出した「『やるべきこと』を迅速に実現する『重点計画』を求める」と副題の付いた提言。経団連サイトからは、概要はPDFで、本文、別添資料はHTMLで提供されています。また、首相官邸サイトからは、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 (IT戦略本部)の第2回会合の議事次第の「資料9」(経済団体連合会---岸本部員資料)として、「『e-Japan』に関する考え方について」、「『e-Japan』実現に向けた提言概要」、「別添資料」とともに、HTMLとPDFの両方で提供されています。
- 『e-Japan』に関する考え方について(首相官邸サイト)
岸曉本部員(東京三菱銀行会長、経団連副会長・情報通信委員会委員長)が、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 (IT戦略本部)の第2回会合に、「残念ながら所用により欠席せざるを得ませんので、書面にて、このほど経団連が取りまとめた『「e-Japan戦略」実現にむけた提言』のポイントをご紹介申し上げ、『重点計画』の取りまとめに当たり、ご配慮賜りますようお願い申し上げます 」として、「『e-Japan戦略』実現に向けた提言」とともに提出した2001年3月2日付けの文書です。
文書は「最先端のIT国家となるには、『重点計画』の初年度にどれだけの成果をあげることができるかが鍵であり、2001年度内に、全ての国民にIT革命の推進を実感させ得る成果をあげることが必要」とした上で、「通信事業者間の競争促進、国際競争力の強化などに向けた事前規制の抜本的見直しを早期に実現していただきたい」と、規制緩和を要請しています。
電子政府に関しては、「組織の壁を越えてITを活かす業務プロセスを確立することが不可欠であり、国民からみて行政の業務改革の象秩Eとなるのが、輸出入・港湾関連手続などのワンストップ・サービスの実現であると存じます。インターネットを経由した一回のデータ送信で、関連省庁全てに対する手続を完了させ、縦割り行政の常識をITで覆すことによって、真に国民・企業のための電子政府を早期に実現することが重要であります」としています。ここには、企業活動に関わるコストの削減のために、電子政府の実現をせまる経済界の意向が見て取れます。
また、この文章の添付資料として、提言とともに「『重点計画』に盛り込んでいただきたい75項目」が付けられています。
この中には、自治体の行政と関わる項目として、
事後チェック型行政の充実(人員拡充等) 、道路占用規制の緩和、河川占用規制の緩和、公園緑地等における工作物設置規制の緩和、情報BOX・共同溝等の一層の整備、公共空間に埋設済み設備に関する共通データベースの整備、道路工事等に係わる法律・申請手続等に関するマニュアルの整備(以上、01年度実現)
行政の既存業務の検証実施(01年度早期実現)
電子的行政手続・行政運営を包括的に認める法令の制定(01年度実現)
適正な人員配置や組織編成の実現(02年度実現)
現品の提出等を求める法令等・手続のインターネット化を阻む規制・制度の見直し(01年度早期実現)
行政手続電子化アクションプラン(00年9月策定)の見直し・実施、税務関連書類の電子保存制度の改善(以上01年度実現)
実質的に全行政手続のインターネット化(03年度実現)
世界最高水準のワントップ・サービス提供に向けた明確な実行計画の策定(01年度実現)
道路占用・使用手続のワンストップ化、建築確認申請関連手続のワンストップ化、住民記録関連手続のワンストップ化(以上02年度実現)
歳入・歳出手続の電子化に関する全国一体的な取り組みに向けた諸課題の解消、歳入・歳出手続の電子化に向けた民間ネットワークの効率的活用策の明示(以上、01年度実現)
歳入・歳出手続の電子化に向けた書面の使用を義務付ける会計法令の見直し(01年度早期実現)
国・地公体のシステム標準仕様の提示(01年度実現)
地方公共団体間のシステム共有の推進(01年度より順次)
モデル電子自治体の選定基準・支援内容の決定と実施(01年度早期実現)
モデル電子自治体の効用についての評価(02年度早期実現)
行政ICカードの集約化(原則一枚)、行政ICカードの基本仕様の決定、行政ICカード導入に向けた法制面での基盤構築、行政情報のより迅速な公開、各種政策・方針等に関する国民との情報交流強化、GIS行政情報の公開と民間利用の促進(01年度実現)
電子的行政手続・サービス利用具体的インセンティブの決定・導入、手数料後納制度等の導入(以上、01年度早期実現)
などが、含まれています。ここに上げられた項目の多くは、「重点計画」に忠実に反映されています。
- 『e-Japan』に関する考え方について(本文)(首相官邸サイト)
社団法人・経済団体連合会が2001年2月20日に出した「『やるべきこと』を迅速に実現する『重点計画』を求める」と副題の付いた提言。経団連サイトでも提供されています。
まず、「基本的要件」として、「IT分野のスピードの速さに照らし、3月末に策定する『重点計画』は、3ヵ年(2001〜2003年度)のアクションプランとすることが適切である。その上で、毎年度評価・分析を行って見直し、ローリングすることとすべきである。また、2001年度本予算後は、『重点計画』の実現を優先する観点から、予算編成が行われることを確保する必要がある」としています。
次ぎに「盛り込むべき具体的事項」として、超高速ネットワークインフラ整備および競争政策、電子商取引ルールおよび新たな環境整備、電子政府の実現、人材育成の強化の4つの分野について、それぞれ具体的な項目を上げ、その趣旨、実施スケジュールについても記載しています。
電子政府の実現については、電子政府化の投資額と国民への「配当」の明示、電子政府の前提として行政の業務改革の実施、実質的に全ての行政手続のインターネット化、世界最高水準のワンストップ・サービスの実現、歳入・歳出手続の電子化、国・地方を通ずる「一つ」の電子政府のシステム基盤構築、地方公共団体の先進的取り組みの支援、公共事業および資材調達に関する電子入札・開札の実施、調達方式の見直し、行政ICカードの導入、公共分野の情報化の推進、行政情報のインターネット公開・利用促進、電子的行政手続・サービス利用のインセンティブの導入等を上げています。
いくつか詳しく見てみると、「実質的に全ての行政手続のインターネット化」では、「2003年度までに実質的に全ての手続をインターネット化すべきである。この目標の実現は、あらゆる国民と中小・零細企業を含めた全ての企業に、IT活用の強い動機を与え、わが国の経済活力の拡大に大きく貢献する」としていますが、これは、「電子政府の実現」が、国民と中小・零細企業を含めた全ての企業を、主体的な意志とは関わりなく「IT化をせざるを得ない」ところへ追いこんでいく上で、経済界にとって有効な手段であることを示しています。
「世界最高水準のワンストップ・サービスの実現」では、「世界最高水準」のワンストップ・サービスの実現は、「縦割りの弊害を除去した『国民本位』の行政の象徴である」としていますが、ここでは、「ワンストップ・サービスの実現」の言葉は一般的に考えられているような、市役所へ訪れた際に窓口をあっちこっち回らなければならないことの解消という意味で使われてはいません。ここで、「2002年度中に提供すべく、明確な実行計画を策定すべき」項目として上げられているのは、「 輸出入・港湾関連手続(含:通関手続のワンストップ化)」、「道路占用・使用手続」、「建築確認申請関連手続」、「自動車生産・販売・流通手続」、「住民記録関連手続」であり、企業活動におけるコスト削減が「電子政府実現」の意義であることを露骨に示しています。特に、「道路占用・使用手続」、「建築確認申請関連手続」に関しては、地方自治の本旨の一つである団体自治など眼中にないかのように、コスト削減を理由に申請様式の標準化を要請しています。
事務の標準化については、「歳入・歳出手続の電子化」においても、「地方公金事務については、国民・企業の利便性向上とコストの抑制の観点から、全地方公共団体の足並みを揃えた電子化を推進する必要がある」として、2001年度に「地方税納付書の様式・申請項目の標準化などの課題を早急に洗い出し、解消すべきである」としています。
極めつけは、同じ経団連の提言である「『一つ』の電子政府実現に向けた提言」(2000.8.2)を受けた「国・地方を通ずる『一つ』の電子政府のシステム基盤構築」の項です。ここでは、「電子政府、電子自治体が国民・企業に対して、大きな『配当』をもたらすには、国および全地方公共団体が共通プラットフォーラム(原文ママ)の上にシステムを構築するなど、一体的な取り組みを行うことが不可欠である」として、2001年度に「地方公共団体のシステムの標準仕様の提示」、2001年度より順次実現として「地方公共団体間のシステム共有の推進」を上げています。コスト削減の大義名分さえかざせば、地方の自主性も特性も無視して当然という態度です。
「行政ICカードの導入」では、「これを利用する国民の利便性と社会的なコスト・ベネフィットを最優先し、導入を図るべきである」として、2001年度に「現在行政ICカードは、各省庁縦割りで検討が進められている。国民の利便性ならびにコスト抑制の観点から、原則一枚の行政ICカードに集約し、行政組織の枠を越えて利用可能なものとすべきである」と集約化を要請しています。ここで、「現在検討されている行政ICカード」として、 介護保険カード、保険証(政府管掌分)、住民基本台帳カードとともに、各省庁・地公体として公務員身分証明証が「500万枚 電子政府実現スケジュールにあわせ順次」と書かれています。中央省庁はいざ知らず、地方自治体の職員に身分証明証としてICカードを利用することは既定の事実となっているのでしょうか。自治体の首長は、知っているのでしょうか。また、2001年度に「国民が容易にオンラインの行政サービスを利用することのできるよう、行政ICカードには、電子印鑑の機能を持たせ、簡便な本人認証の手段として機能させるべきである」と基本仕様の決定を要請していますが、「電子印鑑の機能」は、行政サービスだけでなくネット上での商取引における本人確認(意志確認)の手段として必要不可欠です。経済界が、こうした要請をするのは当然と言えば当然です。
「行政情報のインターネット公開、利用促進」では、その必要性については「政府への国民の信頼を高めるとともに、わが国経済の活力を高める」ためとし、他国と比べて政府系サイトの利用率が引くいことに対し「世界でも最も利用される政府系サイトとなるべきである」としています。行政情報の公開の必要性を民主主義と結びつけない点は、日本の経済界のレベルから見て仕方がないとしても、「何でも一番」を志向する経団連の姿勢にはあきれ果ててしまいます。また、GIS行政情報の公開と民間利用の促進として、「デジタル地図をベースにした高付加価値情報を国民に利用可能とする観点から、地理データならびにメタデータ(空間データの種類、入手方法等を示す詳細情報)の電子化を促進し、個人情報保護に十分配慮した上で原則最大限公開すべきである」とし、「インターネットでダウンロードした地理情報に対して、民間企業による新たなデータの追加や分析等を可能にする観点から、著作権法、情報公開法、地方公共団体の情報公開条例等、法制度面からの具体的な検証を進め、国、地方公共団体に共通する地理情報の民間利用ガイドライン等を定めるべきである」としていますが、ここからは、住民の財産である地理情報の企業の営利活動への一方的な提供を狙っているように読めます。
政府・自治体をいくら電子化しても、国民が利用しなければ意味がありません。この点について提言は、「電子的行政手続・サービス利用のインセンティブの導入等」の項を設け、「オンラインの行政手続・サービス利用に関するインセンティブ等を早期に提示することによって、全ての国民、中小・零細企業を含むあらゆる企業の電子政府への期待値を高め、積極的利用を確保すべきである」として、2001年度早期に「インターネットで行った行政手続に関しては、英国等の例にならい、例えば納税額を一律2000円減、手数料1割減等のインセンティブを決定すべき」、また「インターネット化された手続の利用を促進する観点から、手数料の一括後納制度の導入等につき、検討を行い、これを導入すべき」と具体的な提案をしています。デジタルデバイドの存在や、インターネットにアクセスしたくない人たちの権利、個人情報のデジタル化を拒否する権利などは、彼らの眼中にはないのでしょう。
「推進体制」のところでは、「ミレニアム・プロジェクトで設けられた民間人による評価・助言会議は、IT戦略本部による評価・分析のための専門組織と位置付けるべきである」とするとともに、政治のリーダーシップが不可欠であり、「総理、IT担当大臣は、司令塔としての役割を果たすとともに、国民にその明確な成果を示すことが求められる」としています。「IT政策の効果的実施のためには、省庁や国・地方の壁を越えることが不可欠である」の言葉と合わせて読めば、引き続き、中央主導のトップダウン方式、言いかえれば、地方自治体の意向など汲まずに問答無用の押し付けでやっていくべきだということでしょう。
- 別添資料(首相官邸サイト)
「事前規制の抜本的見直し(2001年度早期に実現すべきもの)」、「公有地の有効利用促進策(2001年度に実現すべきもの)」、「VICS情報が提供されていない地域例」(PDF)、「医療・介護分野におけるIT活用推進の課題」、「『IT国家戦略』に関する緊急アンケート結果 (2001年1月22日発表)」が 別添資料として提言に付けられています。これらは、経団連サイトでも提供されています。
電子自治体関係では、「公有地の有効利用促進策」に、「道路占用規制、河川占用規制、公園緑地等における工作物設置規制の緩和」が上げられています。ここでは、「道路を掘削して回線を敷設する際、工事掘削禁止の区域や期間が設定されていたり、昼間の工事が禁止されているため、結果として多大なコストと時間を要している。また、事業者が公益事業者の所有する管路へ回線を収容する際、管路所有者は占用変更許可をとらなければならないため、事業者は占用変更許可が認められるのを待たなければ、回線敷設できない。利用者へ最短ルートで回線を敷設しようにも、途中に公園があると、公園緑地では電線や変圧器などの工作物の設置は原則認められていないことから、事業者は代替用地の確保など、別ルートでの回線敷設を行なわなければなら」ず、「事業者の円滑かつ低コストでのネットワーク構築が妨げられている。事業者の円滑で低廉な線路敷設が可能」となるよう「回線を敷設する場所毎に存在する法的規制の緩和等を図り、公共空間の円滑な利用を促進する制度を整備すべきである」としています。「工事掘削禁止の区域や期間が設定され」ていたり、「昼間の工事が禁止され」ていたり、「管路所有者は占用変更許可をとらなければなら」なかったり、「公園緑地では電線や変圧器などの工作物の設置は原則認められていない」のを問題視していますが、これらは、自治体として市民の生活権や安全を守る上で必要な規制ではないでしょうか。経団連の要望どおりこうした工事に対する規制を緩和し、事業者の好き放題に任せれば、市民の生活を最も身近なところで守るべき自治体の存在意義は無くなってしまいます。
また、「広帯域のネットワークとして期待の高いケーブルテレビ事業者も含め」て、電柱や管路などの工作物の設置による道路使用に関する「規制の緩和や占用料の低廉化等を図り、公共空間を有効に活用できるようになれば、事業者は低コストでの迅速な回線敷設とともに、利用者ニーズへの機動的な対応が可能となる」としていますが、住民は道路に電柱が林立し、ケーブルが蜘蛛の巣のように張り巡らされることを「IT革命」遂行のためには仕方ないと理解しうるのでしょうか。そんなことを要求している市民は一体どれだけいるのでしょう。とにかく、「IT革命」の錦の御旗さえあれば、何でも出来るようにすべきだとは、到底、私は思いません。
- 経団連「次期ICT国家戦略の策定に向けて」
社団法人・経済団体連合会が2005年10月18日に出した提言。
政府は、e-Japan戦略に続く2006年以降の次期ICT国家戦略の策定に向けた検討を進めているが、経団連は「引き続き、世界最先端のICT国家を目指し、ICTの利活用を進め、国民生活の質の向上や、産業競争力の強化など、目に見える成果につなげていく必要がある」として、「産業界の見解を示すべく、現e-Japan 戦略の評価を踏まえつつ、次期戦略に対する基本的な考え方、及び具体的政策課題」を提言した。
e-Japan 戦略について、「官民をあげた取り組みにより、世界最先端のICT国家の実現に向け、かなりの前進を遂げた」が、「医療、電子政府・自治体、移動・交通、教育等の分野では、国民がその恩恵を十分に実感できる成果が創出されておらず、道程はまだ遠い」と評価。
特に、電子政府・自治体については、「本来、電子化と並行して進めるべき業務・システムの抜本的な見直しが十分ではなく、国民の利便性向上につながっていない」とし、目指すべき「小さくて効率的な政府」の実現に向け、ICTが十分な力を発揮していないとしている。
また、ユビキタスなネットワーク環境を構築し、ICTの利活用を通じて、行政、経済、社会システムの再設計を図り、活力と魅力ある国家を実現することを理念とすべきとした上で、次期戦略に盛り込むべき視点として「ICTによる社会環境の変化への対応と国家的、社会的課題の解決」「ICTを利活用した産業競争力の強化」「利用者の視点に立ったICT利活用の推進」「ICTを通じた行政・立法・司法の抜本改革」「ICTを通じた安全・安心社会の構築」「フロントランナーとして世界のICTを牽引の6点を掲げている。
さらに、次期戦略で取り組むべき「重点政策課題」として、「少子・高齢化社会への対応」「安全・安心な社会の確立」「地球環境問題の解決」「小さな政府等の実現」「産業競争力の強化」の5つの項目を取り上げている。
提言は、最後に、次期戦略は「世界最先端のIT国家」に加えて「世界最先端のICT利活用国家」へと進むことで、「次代の発展と繁栄に向けた航海図と羅針盤の役割を果たすことが期待される」と締めくくっている。
- 概要(PDF、経団連サイト内)
- 本文(PDF、経団連サイト内)
電子政府に関しては「4.小さな政府等の実現」の「(1) 行政改革 −世界最先端の電子政府・自治体の実現」で言及しており、現状を「利用者にとって使い勝手のよいシステムとなっておらず、オンラインによる利用率は低位に留まっている。また、オンライン化にあわせて、省庁横断的なワンストップの行政サービスや行政事務・業務自体の見直しが十分ではなく、ICTの利活用が『小さくて効率的な政府』の実現につながっていない」と評価。その上で「ICTを利活用しつつ、公的部門(政府、自治体、特殊法人、独立行政法人等)の組織・業務の減量・効率化を図り、許認可件数を半減」し、特に、不要な業務の統合・廃止、民間へのアウトソーシングを進めることで「今後5年間で4割以上の効率性向上と、当該業務に係わる職員の総人件費の3割以上の削減を行う」とともに、電子政府・自治体について「利用者視点に基づき、システムの効率化・最適化を図り、早期にオンライン利用率を向上させる」ことを目標として提言している。
必要な施策をいくつか提示しているが、特徴的なものとしては、
- 可能なものは全て業務の電子化を進め、ゼロベースで不要な業務の廃止や共同化・標準化、民間委託の推進を図る。
- IT戦略本部において、個人認証コードの行政機関、及び民間での多目的利用の取扱について方針を早期に決定し、行政や民間の各種手続において、本人確認、個人認証に活用可能な共通IDを国民に付与するとともに利活用の推進を図る。
なお、この項には以下の注記がある。
米国では、Social Security Number が、納税、運転免許の取得、保険加入、クレジットカードの申請等、行政手続、民間の契約等様々な場面で本人確認に必要な個人認証コードとなっている。わが国でも、個人認証コードとして、例えば、住民票コード、e-Passport、社会保険番号、納税者番号等があるが、国民・企業の利便性の向上に資する形で、行政・民間手続の際の個人認証のための統一コードを確立すべきである。
- 民間の活力も活用しつつ、戸籍、住民票、登記、税、健康保険、年金、医療、旅券、統計、通関など、各行政機関にまたがるシステムをつなぐ形でポータルサイト(電子政府・自治体を包含する総合窓口サイト)を構築する。
- オンライン利用を進めるために、納税額、手数料を削減するなどインセンティブ方策を講ずるとともに、公的部門の職員については原則、住基カードの取得、公的個人認証登録や、オンライン利用を義務付けし、官が率先してその普及を担うようにすべき。
- 競争入札可能な案件は全て、複数年契約、総合評価方式でのライフサイクルコストでの調達方式とする。
- 日本経団連タイムス No.2788 (2005年10月20日)
経団連が、提言「次期ICT国家戦略の策定に向けて」を公表したとし、その要旨を掲載。
経済同友会
- 経済同友会「行政・政治改革推進のための国民を顧客とした電子政府の実現をめざして」(PDF)
社団法人・経済同友会が、「小泉内閣への提言 その5」として、2001年10 月26 日示した提言。本文はPDF。
まず、提言は「電子政府の構築に向けた5つの指針」をあげています。
I. オープンでアカウンタビリティが高いこと
II.ニュー・パブリック・マネジメントに基づくこと
III. ユーザーフレンドリーであること
IV.総合的・シームレスな政府を実現すること
V.民意を反映した政策形成につなげること
賛同できるものもありますが、「縦割り行政を排除し、各省庁・各自治体をネットを通じて一体化することで、国民に総合的・シームレスな行政サービスを提供する」の「IV.総合的・シームレスな政府を実現すること」には、首を傾げざるを得ません。国民にとって、自分が受けている、または受けようとするサービスの提供主体が誰であるか正しく知ることは非常に重要なことです。サービスの内容が不充分であったり、不適切であった場合、その提供者が誰であるのか、国なのか、都道府県なのか、市町村なのか知らなければ、主権者として、問題点を指摘し、改善させることは困難です。かって、私が市職員だった際に、市民の方から「所得税が高い、何とかしろ」とか「保健所をなくすそうたが、どういうつもりだ」などのお叱りを受けたことがあります。しかし、前者は国の仕事であり、私の勤務していた市では、後者は大阪府の仕事です。もっとも、今のところ、こういう人は少数派かもしれません。しかし、総合的・シームレスな行政サービスが提供されるようになれば、おそらく多数派になるでしょう。サービスにいくら不満があっても、誰に言えばよいのか、どうすればよいのか、わからず、犬の遠吠えに終わるようであれば、けっして民主的な国とは言えないでしょう。
また、総合的・シームレスな行政サービスは、提供されるサービスが全国一律であることを前提としています。しかし、全ての自治体から、同一のサービスが提供されなければならない道理はありません。そもそも、自治体は、それぞれ寄って立っている条件が違います。経済的なものだけでなく、気候など地理学的なものも違いますし、だいたい住んでいる人が違います。各々の自治体が、住民の意志によってサービスの内容を決めれば良いのです。それが、地方自治であり、民主主義ではないでしょうか。
「V.民意を反映した政策形成につなげること」で、「政治や国会の情報公開を進めるとともに、選挙の利便性・効率性を向上させるなど、より民意を反映した政策形成につなげる」としていますが、「民意を反映した政策形成」を実現するには、地方自治を機能させることがまずもって必要ではないでしょうか。
もっとも、「『一つ』の電子政府実現に向けた提言」を行なった経団連と同様に、地方自治体など不要である、政府は一つで結構とまで考えているのなら、彼らに議論を吹っかけても無駄かもしれません。
また、同提言は、「具体的提言」として、次の5点を上げています。
1. 電子政府推進のための「行政経営計画」の策定
2. IT投資における政府調達の新たなスキーム〜第2の公共事業としないために〜
3. 民間の積極的活用による電子自治体の推進
4. ワンストップ・サービスの早期実現
5. 国会、選挙の電子化への取組み
「3. 民間の積極的活用による電子自治体の推進」に対する私の考えは、「電子自治体推進パイロット事業」のページの「経済同友会『行政・政治改革推進のための国民を顧客とした電子政府の実現をめざして』」の項をご覧ください。
「4. ワンストップ・サービスの早期実現」の「(2)各種手続き・申請のワンストップ・サービスと電子納税の早期導入」の項では、「電子納税申告を早期に実現する。インターネットを利用した電子確定申告については、インセンティブとしてリタックスを行なうことを検討する」としています。これは、経団連の「『e-Japan戦略』実現に向けた提言」の「インターネットで行った行政手続に関しては、英国等の例にならい、例えば納税額を一律2000円減、手数料1割減等のインセンティブを決定すべき」と同じ考え方です。税金をまけて欲しかったらインターネットを使えということです。なお、「(3)ID用ICカードの配付」については、「行政 ICカード」に、「行政ICカードに対する経済界の対応」の項をご覧ください。
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