![]() | パソコンとインターネットと、市役所の『明日』 11 |
建築確認申請および関連手続は、地方公共団体との事前協議を含めて多様な窓口での手続が必要になっている。また、窓口毎に書類や図面を必要部数提出するように求められるため、同一書類であっても窓口ごとに提出しなければならない。地方公共団体により異なる申請書様式の標準化等を伴うワンストップ化は、企業の事務処理負担の軽減に大きく貢献する。
これは、2000年8月に、経団連が政府に示した「『一つ』の電子政府実現に向けた提言」の一部です。建築確認は全国共通の手続(様式・添付書類など)にし、インターネット上に設けた全国共通の「一つの窓口(=『一つ』の電子政府)」への申請だけで済ませろという財界の主張です。
自治体は、安全で暮らしやすい住環境を維持するために建築確認の申請時に、独自のまちづくり条例などをもとに、様々な行政指導を行なってきました。財界の要求が通れば、こうした努力は全て水の泡です。経団連の提言は、道路占用手続などについても、同様の主張をしています。
政府は、自治体が行なっている申請等の手続の標準化と標準システムの構築を進めていますが、その背景には、こうした財界の思惑があるのです。彼らは、電子自治体の実現で、利益追求の邪魔になっている規制(=「地方自治」)を実質的に取っ払うことができると考えているようです。
地方自治を骨抜きにする電子自治体構想は、自治体抜きで決定されてきました。「03年度に電子自治体を実現」は、政府のIT戦略本部において01年1月に決定された国家戦略「e-Japan戦略」の目標ですが、決定に自治体の意向が汲まれた形跡はありません。総務省による自治体を実質的に拘束する事細かな計画も、一方的に決められたものです。国民的な議論もありませんでしたし、肝心の首長や議員、職員など自治体関係者の大多数も、電子自治体構想の内容について知らされていません。財界の意向を受けた政府と官僚、そして情報通信産業により、遮二無二進められているのです。