当サイト管理者による解説
まず、三派共同提案による修正案が起立多数で可決される。
続いて、可決された修正部分を除いた原案が起立多数で修正議決される。
最後に、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の共同提案に係る附帯決議が提案され、総員起立によって議決される。
討論者 宮路和明(自由民主党)
討論者 土肥隆一(民主党)
討論者 白保台一(公明党)
討論者 春名直章(日本共産党)
討論者 知久馬二三子(社会民主党)
※ 強調は、当サイト管理者による。
○坂井委員長 これより会議を開きます。
第百四十二回国会、内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案及び宮路和明君外二名提出の修正案を一括して議題といたします。
両案につきましては、昨十日質疑を終局いたしております。
これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
○宮路委員 私は、自由民主党及び自由党を代表して、政府提出の住民基本台帳法の一部を改正する法律案及びこれに対する鰐淵俊之君外二名提出の修正案に対し、賛成の討論を行うものであります。
政府提出の住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、二十一世紀の高度情報化社会に向けて、行政サービスの重要な基礎となる全国的な本人確認システム、すなわち住民基本台帳ネットワークシステムを導入しようとするものであります。
このシステムは、近年におけるコンピューター等の技術の飛躍的発展に呼応して、住民サービスの向上を図るとともに、国、地方を通じた事務の省力化、効率化等、行政改革にも資するものであります。
また、このシステムは、市町村が住民基本台帳制度を運営するという制度の基本的枠組みを堅持しつつ、市町村、都道府県が共同して構築、運営するものであり、このように地方公共団体自身が全国的な広域連携を図っていくことは、まさに地方分権の精神に合致するものであります。
改めて申し上げるまでもなく、このシステムが円滑に運営されるためにはプライバシーの保護に万全の対策を講じるべきであり、これまで当委員会においても、この点に最も重点を置きながら、参考人質疑の六時間を含めて、三十時間以上にわたって慎重かつ十分な審議を尽くしてまいりました。私は、この審議は、民間部門をも含めた個人情報保護の議論のきっかけとなる、歴史に残る大変充実したものであったと高く評価したいと思います。
委員会審議の中では、このシステムの導入について慎重な御意見もありました。しかしながら、ただ単に案じているばかりでは何も変わらないのであります。今や二十一世紀を目前に控え、こうした時代の要請に迅速かつ的確にこたえるのが政治の役割であり、我々は、未来を切り開くためには先を見据えた建設的な議論を行い、常に前進しなければならないと思っております。
こうした観点から、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党は、個人情報の保護に関する法律について、今国会中に検討会を設置の上、法制化の検討に着手し、年内に基本的枠組みの取りまとめを行い、三年以内に法制化を図ることで合意いたしました。そして、今後三党で十分連携をとりながら、できるだけ早急に法制化を図るよう、強く政府に働きかけていきたいと考えております。
以上のような理由により、私は、政府提出の住民基本台帳法の一部を改正する法律案及びこれに対する鰐淵俊之君外二名提出の修正案に対して、賛成の意を表するものであります。
なお、政府提出の法律案においても、プライバシー保護に格段の配慮を行っているところでありますが、政府におかれては、修正案及び当委員会における審議を十分に踏まえ、住民基本台帳ネットワークシステムの実施に当たっては、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えていただくとともに、あわせて地方公共団体に対し、改正の内容を周知徹底されつつ、地方分権の時代にふさわしいシステムを構築されるよう強く希望するものであります。
以上で、この法案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
○坂井委員長 次に、土肥隆一君。
○土肥委員 私は、民主党を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案及びその修正案に反対の立場から討論を行います。
本法案は、市町村の住民基本台帳を全国的にネットワーク化し、一言で言えば、政府行政がみずからの事務遂行に当たって本人確認が瞬時にできるというもので、住民の便宜やサービスは二次的であると言っても過言ではありません。国民一人一人にコード番号を打ち、個人は記号化され、機械的に扱われるのであります。
また、ネットワーク化されますと、直ちにシステム上の問題点が指摘されることになります。確立された技術というものは存在せず、技術やシステムは絶えず変更を迫られるのであります。
あらゆる個人情報は、絶えず精査された、信頼性の高いこの住民基本台帳に帰ってまいります。また、中央、地方の行政の膨大な事務が参加することは、それだけ情報管理が難しくなり、個人情報が漏れる可能性がさらに高くなると考えます。つまり、法文上幾ら安全性を保障しても、システム上の問題点をすべて除去できるものではありません。
こうして、この法案は、将来の予測を超えた技術やシステム上の問題点をはらんでおり、しばらく技術の方向を見定めて実施すべきものと考えます。
以下、順次反対の理由を申し述べます。
第一に、本法案はプライバシーが漏れることはないという前提に立っていても、結局すべての委員を納得させることはできなかったということです。この法案とともに、民間を含めた包括的な個人情報保護に関する規定が準備されるべきだと考えます。
第二に、本法案にある個人情報保護措置でも不十分な点があります。さまざまな行政機関が蓄積したデータベースの保持期間、行政間の利用規定、その消去、あるいは取扱者の記録保存など、政省令で対応するとしても、国会でも審議が行われるべきであります。公務員の違反行為にありましても、本案の違反した者への処罰では緊張感に欠けており、即効性ある直罰とともに、その上司、責任者への処罰を定めるべきであります。
第三に、種々の資格認定上必要とされる情報収集や、犯罪捜査などの本人照会等に将来使われるという懸念を払拭するものにはなっておりません。
最後に、自民、自由、公明三党による修正案について一言申し上げます。
個人情報の保護に万全を期するため、速やかに所要の措置をすると政府に求めておりますが、総理は個人情報保護法に関する法整備を含めたシステムを整えると申しましたが、それならば、まず包括的な個人情報保護法を制定して、それを待って改めて住民基本台帳改正案を議論するのが論理的であります。これでも、さきに申しましたさまざまな疑念が解消したものでも何でもないと言える法案であります。
以上の理由から、本法案は一たん廃案とし、新たに審議するべきものであることを強調して、私の討論を終わります。(拍手)
○坂井委員長 次に、白保台一君。
○白保委員 私は、公明党・改革クラブを代表して、政府提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案及び宮路和明君外二名提出の修正案に賛成の立場から討論をさせていただきます。
公明党・改革クラブは、住民の負担軽減、サービスの向上、さらに国、地方を通じた行政改革のために行政の高度情報化の推進が進められている現在、今回の住民基本台帳ネットワークシステムは、基本的にはこうした行政の要請にこたえるために必要なインフラ整備であると考えております。
また、今回の法律案が提出されるまでに、自治省は、ネットワーク研究会や懇談会を設置し、国民の幅広い意見を聴取しながら、さらに、プライバシー保護に係る我が党の提案も取り入れ、制度、システム両面にわたり現状における可能な限りのプライバシー保護策を講じたものと認識しております。したがって、今回の改正案そのものが、本人確認情報における個人情報保護法であるとも言えるのではないかと考えます。
しかしながら、今回の法律案による住民基本台帳ネットワークシステムは、コンピューターネットワーク社会が急速に進む我が国において、個人情報保護の観点から国民の重大な関心を呼んだことも事実であります。
昭和六十三年に制定された個人情報保護法は国の機関だけを対象とするものであり、民間をも含めた包括的な個人情報保護法が整備されていない我が国においては、社会全体としてネットワークプライバシーとも呼ぶべき概念、社会的な価値観が醸成されていません。その結果、マスコミによる個人情報の漏えい事件が後を絶たない状況が続いており、確かな対策を打てないのも事実であります。
公明党・改革クラブは、個人情報保護に係る国、地方自治体、そして民間部門を通じた一体的な法整備は行われなければならない、EU諸国やアメリカに大きくおくれている我が国においては、今こそ今回の法律案を契機に困難なその作業を成し遂げなければならないと判断し、政府・与党に強く申し入れてきたところであります。
その結果、「個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする」との附則の修正案提出に至ったわけであり、我が公明党・改革クラブも共同の提案となりました。
住民基本台帳ネットワークシステムの運用が開始されるまでに、政府においては包括的な個人情報保護に係る法制化が行われることを強く要請し、また、三党の確認書に基づき、その実現に向け、我が公明党・改革クラブとして全力を尽くすことを申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)
○坂井委員長 次に、春名直章君。
○春名委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の住民基本台帳法の一部を改正する法律案及び自由民主党、公明党・改革クラブ、自由党、三党共同の修正案に対して反対の討論を行います。
まず第一に、本委員会の審議を通じて、包括的な個人情報保護法の整備こそ今回の法改正の前提として必要であることが共通の認識となりました。そうであるならば、その制定を待って法改正を議論すればよいのであり、本法案を性急に押し通す根拠は全くないのであります。また、本法案自体が、自己の情報をコントロールする権利というプライバシーの権利を守るという点に立つならば、重大な欠陥があることを指摘しなければなりません。
本法案は、不正に個人情報を利用された場合の中止請求権、情報の提供を受けた行政機関のデータの目的外使用についての刑罰規定も明記されていません。また、他の目的への流用防止に欠くことのできない利用後の情報消去という重要な問題についても、自治省令に基づく管理規程で定めるとし、法案には明記されていないのであります。本委員会の審議の中でも修正案提案者の党からもこの点が指摘をされ、再改正を求めるという事態となっているのであります。こうした欠陥をそのままにして本法案を通過させるわけにはいきません。
第二は、史上初めて全国民に共通番号がつけられることに対しての国民合意がないことであります。
ドイツでは、一九八五年の憲法裁判所で、個人を全人格的に管理することにつながる住民基本台帳番号制度は、憲法が保障する人格権を侵害するとの判決まで下っているのであります。審議を通じて、住民票コードをマスターキーにして、利用範囲を拡大していく政府の意図も明らかとなってまいりました。国民総背番号制につながる危険な道を進むのかどうか、慎重な検討がなお必要であります。
第三は、この制度が、政府の言うような地方自治体が主体の分権型システムではなく、中央集権型、情報一元化を意図したものだからであります。
審議を通じて、このネットワークシステムの中に国の行政機関が完全に組み込まれていることが明らかになりました。市町村長がつけた個々人の住民票コードと氏名、住所、性別、生年月日の四情報が都道府県センターを介して指定情報処理機関に集められ、その情報が国の行政機関に送信されるという仕組みは、分権型どころか一元化、集権型と言わざるを得ません。そして、地方自治体が今日まで営々と積み上げてきたプライバシー保護のためのオンライン禁止条例も、この法案の成立によって廃棄されることになることも重大であります。
これらの問題点を持つ原案及び三党の修正案は認めるわけにはまいりません。
以上で反対討論を終わります。(拍手)
○坂井委員長 次に、知久馬二三子君。
○知久馬委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案並びに修正案につきまして、反対の討論を行います。
本改正案の目指す住民基本台帳ネットワークシステムの導入は、国民のプライバシーの保護及び住民基本台帳制度の基本にかかわる制度改正であり、将来の国民の権利義務にかかわる重大な影響をもたらす法改正です。そこで、社会民主党は、与党当時、自治省と数次にわたる折衝を行ってまいりました。
我が党の提起した問題点、疑問点の指摘を踏まえ、コード変更の自由化や守秘義務、罰則の強化等の一定の修正、改善が図られてきたことは評価することができると考えます。しかし、なお重要な疑問が残り、法案の提出は了承するが、法案自体に対する賛否は保留することとしつつ、ネットワークシステムに対する国民の幅広い議論、社会的理解と合意、国会における十分かつ慎重な審議の必要性を訴え、同時に法案施行時点での包括的個人情報保護法の実現を提案したところであります。
今国会から実質審議が始まりましたが、まず第一に、現時点に至ってもネットワークシステムの将来の姿も明確であるとは言えません。プライバシー保護法も議論が進んでおりません。
第二に、市町村と住民のものである住民基本台帳制度にコード化、ネットワーク化を無理やり押し込むことによる住民基本台帳自体の変質です。
第三に、EU個人データ保護指令に照らしても、不十分なプライバシー保護、強権的権力行政機関に情報提供の道が残されること、他の個別法令によるコードの開示に対する歯どめがないこと、際限のない行政機関による内部データベース作成が防げないことなど、データマッチングやデータベース作成の禁止の保障の不十分性、住民票コードの変更の記録の取り扱いの問題など、プライバシー保護の不十分性です。
第四に、オンライン禁止条例を上から解除するなどの地方自治権への侵害、役所の現場で発生するであろうさまざまな問題についての対応が不明確であること等、多くの重大な問題点が残されていることであります。
第五に、省庁再編に伴い、自治省ではなく、総理の支援・補佐機能を持つとされる巨大な国家管理行政機関である総務省が所管することになりますが、これは住民基本台帳ネットワークシステムの性格の重大な変更であり、本法案の提出の前提自体が崩れ去ったと重く受けとめなければならないと考えます。
社会民主党は、全国民的番号付与の市民的・社会的利益との比較考量、国民の理解度、市民の選択権・自己情報開示請求権等の保障、強権的権力行政との遮断、プライバシー保護の強化と包括的個人情報法の実現、自治省の対応状況への評価等の六点を本法案の態度を決するに当たっての基準として臨んでまいりましたが、いずれも不十分であると言わざるを得ません。
個人情報の保護に万全を期するため所要の措置を講ずるものとするという自民、自由、公明三党の修正案についても、所要の措置やシステムの内容があいまいであり、さらに包括的個人情報保護法自体の内容の担保もないなど、歯どめの措置として満足できる内容となっておりません。
部分的な修正で本改正案の本質的な問題が直ちに解決するとは考えられないことから、社会民主党は本改正案及び修正案に反対することを明らかにして、討論を終わります。(拍手)
○坂井委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○坂井委員長 これより採決に入ります。
住民基本台帳法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、宮路和明君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決された修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○坂井委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、山本公一君外二名から、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。山本公一君。
○山本(公)委員 私は、この際、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の三会派を代表し、住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について善処すべきである。
一 政令及び省令の制定並びに法の運用に当たっては、国会審議で論議されたプライバシー保護に関する意見及び地方公共団体の意見を十分尊重し、その業務に支障を来すことのないよう配慮するとともに、地域住民が制度の趣旨を十分理解できるよう徹底を図ること。
二 住民基本台帳ネットワークシステムの導入に当たっては、データ保護及びコンピュータ・セキュリティの確保等について徹底した管理に努め、責任体制を明確化する等、プライバシー保護に十全の措置を講ずることにより、住民が信頼するに足りる制度の確立を図ること。
三 住民基本台帳ネットワークシステムの導入及び管理運営に要する経費について、地方公共団体に対し、必要な財政措置を講ずること。
四 住民基本台帳カードの保持及び利用に当たっては、住民意思による交付の原則を貫き、カード所有の有無によって行政サービスの内容等に差異が生じることのないよう十分留意すること。
五 国の機関等による住民基本台帳ネットワークシステムの利用目的を厳格に審査するとともに、定期的に利用状況を検証すること。また、システム利用の安易な拡大を図らないこと。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたしたいと思います。
○坂井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○坂井委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、野田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野田自治大臣。
○野田(毅)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○坂井委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。