広報紙のPDF化について考える  

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 最近、豊中市富田林市などのように広報紙のバックナンバーをAdobe社のPDF形式のファイルで提供する自治体が増えています。PDF化された広報紙の紙面は、ホームページから手もとのパソコンへ、PDF形式のファイルをダウンロードし、Adobe(R) 社のソフトウェア Acrobat(R) Readerで読むことができます。

 この Acrobat Reader は、同社のホームページで、無料で手に入ります。しかし、ファイルサイズが、かなり大きいので接続料や通信費が高くついてしまいます。むしろ、 Acrobat Reader などが収録されている CD-ROM が付録としてついているパソコンやインターネット関係の雑誌を買った方が安くつくようです。また、最近の大手メーカーのパソコンには、あらかじめインストールされている場合もあります。

 さて、このPDFは、電子文書の配布に際して「ファイル作成時に使用したアプリケーションやプラットフォームに関わりなく、あらゆるソースドキュメントについて元のフォント、レイアウト、カラー、グラフィックスをすべて保持」(Adobe社ホームページの「AdobeのPDFについて」 http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/adobepdf.html から引用)することを目的に作られたものです。
 そのため、広報紙のPDFをダウンロードし Acrobat Reader を使えば、家庭に配布される「広報紙」と、ほぼ同じものを手元のパソコンの画面で読むことや、プリンターで印刷することができます。印刷物と同じものをインターネットで配布できるという点でたいへん優れたシステムです。

 しかし、幾つか問題があります。あまりパソコンの操作になれていないごく普通の住民にとって、PDFをダウンロードするのも、 Acrobat Reader をパソコンにインストールし起動できるようにするのも面倒ですし、たいへんでしょう。それに簡単に見ることができ、印刷することができると言っても、やっぱり Acrobat Reader の操作もできなければなりません。結構敷居が高いのではないでしょうか。
 また、根本的な問題ですが、そもそも住民がインターネットを通じて見たいのは、家庭に配布される「広報紙」そのものなのでしょうか。それとも「広報紙」に書かれた情報なのでしょうか。私は、普通、後者ではないかと思います。もしそうならば、PDFよりファイルサイズを小さくでき、特別な操作の必要もないHTMLファイルで充分でしょう。住民が広報紙に書かれている情報を見たいと思う場合、フォントやレイアウト、カラーは何であってもかまわないのではないでしょうか。グラフィックスはHTMLファイルでも充分伝えられます。
 また、広報紙に掲載された記事全てをホームページに載せる必要もないでしょうし、広報紙の体裁を取っている必要もないと思います。さらに言うなら、広報紙に掲載された情報が、住民が情報を得やすい形、探しやすい形でホームページ上にうまく分散されていれば、広報紙のバックナンバーを掲載することすら不要なのかもしれません。

 では、自治体ホームページにおいてPDFは全く無用かと言うと、決してそんなことはありません。寝屋川市のようにホームページから「職員採用試験要綱・申込書」「保育所入所申込書」などを配布する際には、極めて有効です。なぜならこうした書類、特に申込書の類は、役所側で作成した書類と受信者側で印刷した書類と、フォントやレイアウトが、違わないことが必要(条例などで様式が定められている場合もある)だからです。「どのような印刷機器を使っても常に正確に印刷でき」(Adobe社ホームページの「AdobeのPDFについて」 http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/adobepdf.html から引用)るというPDFとは違って、HTMLファイルでは印刷した場合、使用しているブラウザなどによって大きく結果が違ってきます。これでは申込書としては不適当です。
 ようは何でもかんでもPDFにしたらよいというものではなく、目的に応じて使い分けをということではないでしょうか。

 と、私が言ったところで、広報紙をPDFによる提供する自治体は増えつづけるでしょう。それは「DTPソフトで作られた広報紙の印刷データをPDFに変換するのは簡単だが、HTML化するには手間と時間がかかる。だからPDFの方が良い」との考えからでしょう。
 しかし、この理屈は、役所側の理屈であって、住民には通用しないのではと思います。誰でもが簡単に、PDFをダウンロードし、これを閲覧したり印刷したりするようには、まずならないでしょう。パソコン初心者の普通の人たちに、数多く接してきた経験から、私はそう確信します。

 もっとも、アメリカのポートランド市のように予算書そのもの(PDFで総ページ数が716ページ)をホームページで提供するような場合には、この「HTML化するには手間と時間がかかる」という理屈は、受け入れざるを得ないのかもしれませんが。

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