![]() | 第12回全国IT情報政策討論集会に向けた自治体全国調査に関する報告 |
ITへの取り組み状況や思惑を基準に、自治体を独自先進派、政府追随派、慎重派、消極派に区分することができるようだ。
独自先進派は、政府の戦略や方針と距離を置きながら、独自に電子化を進めていこうとしている自治体である。独自先進派の担当者に対するヒヤリングでは、「政府のシステムはうまく行ったことがない」としてE8などで主導的にシステムの提案や開発が必要だと政府に批判的な発言も出ていた。しかし、設立総会に片山総務大臣が出席し「是非、全国のリーダーになっていただき、電子自治体の実現を、大きなうねりにしたいと考えている」と挨拶していることに見られるように、独自性の発揮は、あくまでも政府が容認する範囲内に限られるのであろう。また、独自先進派の中にも開きがある。政府の打ち出すモデル事業などに対する評価が大きく違っているのだ。これは、独自の価値観と判断で、電子化を進めてきた、進めようとしているからこそなのかも知れない。
政府追随派は、政府の提案する様々な実験やモデル事業に次々に参加することによって、電子化を進めている自治体である。首長のパフォーマンス的な部分や担当職員の姿勢、補助金などの財政的な理由が、追随の背景にあるようだ。行われている施策の中には、地域の実態や住民の要求と乖離し、住民の生活の向上につながらず、結果的に市町村にとって無駄な支出となっているものもあるように見受けられる。
慎重派は、政府の計画が必ずしもうまく行かないという前提で、自らの判断でことを進めようとしている自治体である。失敗した過去の教訓が、慎重にならざるを得ない大きな原因のようであり、中には、先進やモデル事業が引っ張っていく時代ではなく、みんなで一緒に一歩前へ進む時代ではないかといった声もある。また、政府や総務省の住基ネットへの対応から、不信感を募らせ慎重にならさせるを得ないところあるようだ。
消極派は、慌ててやらなくても、先進的なところが実現した果実をうまく利用すれば良いと考え、大きな動きは控えている自治体である。慎重派が、自治体がITに取り組むのが焦点になっているのだから、逆にきちっと押さえる必要があるとしているのとは、かなり違う。問題なのは、このままこれといったことを何もしないいままで、将来必要となったときに、どの果実を採用するのが最も適当なのか、また果実をどう自分に合わせて加工すれば良いのか判断することが可能かどうかである。
では、こうした差異はどこから現れてくるのか。まず、自治体の財政問題が大きいな要因のようだ。財政の余裕度が大きければ、政府のモデルなどに頼ることなく、先進的な自治体になる(なりつづける)ことが可能である。ヒヤリングを行った自治体の中には、かって先進的なシステムを導入したが、財政問題がネックになりシステムの更新を続けることができず、今では使い勝手の悪いものとなってしまったが改善できず、共同化の進展に頼らざるを得ないないところもあった。
政府の動きに無批判に追随している自治体は、財政問題とともに、首長の姿勢が大きく影響しているのであろう。また、担当職員の姿勢・資質や、過去の教訓をどう捉えるかなども、電子自治体実現に向けた取り組みに差異を生じる要因になっているようである。
ヒヤリング調査からわかったことは、自治体には、電子自治体構築に向けた意識にも、現状にも、取り組みにも、大きな開きがあり、政府の思惑に反し、足並みは乱れていることである。このままでは、政府の思惑通り全ての自治体が早期に電子化され、2005年に世界最先端のIT国家になることは困難であろう。特に、先進的な部分にすら、電子申請や共同化などに対する考え方に大きな開きがあるのは、政府にとって致命的だと言える。
しかしながら、全ての自治体は否応でも、自治体電子化の枠組である住基ネット、住基カード、公的個人認証、LGWANなどに対応せざるを得ないのもまた事実である。日々形作られていく枠組の中で、自治体にどれだけ自由が許されるのかわからないが、見せかけの便利さや、一面的な効率性の追求ではなく、真の住民生活の向上(=働き甲斐のある職場づくり)につながる電子自治体の実現に向けた主体的な模索と地に足のついた議論が必要なのは間違いないであろう。