![]() | 『電子自治体』政策と公務労働 2 |
もっとも、国が勝手に決めたのは期限だけではない。『電子自治体』が行なう事務の中身も決められようとしている。
昨年末、政府は「自治事務等に係る申請・届出等手続のオンライン化の推進に関する政府の取組方針」を明らかにした。同方針は、自治事務等(自治事務、第2号法定受託事務)に係る申請・届出等手続について、各自治体が地域の実情に応じて手続のオンライン化を図ることができるよう、国として、自治体が達成する必要のあるIT化の標準の提示、標準仕様等の提示、法令等の整備その他の環境整備に積極的に取り組むこととし、自治体が可能な限り標準化された汎用システムを利用し得るよう努めるとしている。また、この方針を受けて、6月以降、各省庁から次々と、標準仕様等の提示や法令改正の時期等に関するアクション・プランが出されている。
自治体任せでは2003年の電子政府実現は覚束ない、自治体が個別に開発していたのでは経費が嵩む、システムに整合性がなければ総合行政ネットワークが活用できないなどが、標準化の理由であろう。しかし、自治事務は、自治体が自らの判断と責任において処理すべきものであり、いかなる理由であれ、国に標準化をしてもらわなければならないようなものではない。電子化するために自治事務に枠をはめることは、機械に合わせて仕事をするという意味で本末転倒である。
経済界も、自治事務の標準化を強く求めている。経団連は、「『一つ』の電子政府実現に向けた提言」(2000年8月)等で、国と自治体共通のプラットフォームを定め、この上にシステムを構築することを要求している。具体的には、例えば、建築確認申請の際に、自治体との事前協議など多様な窓口手続が必要であり、窓口毎に書類等を出さなければなら上、自治体によって書式が異なっており、企業に負担となっているので、オンラインで行えるようにせよ ―― 国と自治体共通の「一つ」の電子的な窓口にインターネットで書類を送ることで申請を済ませろ ―― と、彼らは要求しているのである。他にも、道路や河川の占用許可申請なども例として上げているが、こうしたシステムを実現するには、「一つ」の電子的な窓口から関係自治体や政府機関に書類を転送するための総合行政ネットワークの構築とともに、自治事務の標準化が是非とも必要である。
言うまでもなく、自治体が事前協議や書類の提出を求めるのは、良好な住環境や住民の生命・財産・安全を守るために必要だからであり、主権者である住民の意志に基づいて行なわれているのである。彼らの主張する「『一つ』の電子政府」は、地方自治を真っ向から否定するものであると同時に、自治体の存在意義そのものを否定するものである。彼らは行政コストの削減だけではなく、利潤追求の妨げとなっている自治体の独自規制を撤廃させるためのテコとして、行政の情報化を要求しているのである。電子政府の構築は、新自由主義による経済界の規制緩和要求と、このように深く結びついているのである。