![]() | 『電子自治体』政策と公務労働 1 |
インターネットを中心とするIT(情報通信技術)の飛躍的発展を背景として、多くのの自治体で、パソコンやLANの導入、ホームページ・電子メールの利用など、住民サービスの向上や、行政の効率化などを目的として行政の情報化が進められている。
行政の情報化を自治体が進める上で踏まえなければならない点とは何だろうか。一つは、各業務の目的や性格に応じて行なわれるべきものであり、全ての業務を対象に一律的に行なわれるべきものではない点である。二つには、地域住民のリアルな生活実態や要求に依拠すべきであり、机上の空論に基づき行なわれてはならない点である。三つには、自治体が単独で行なう場合はもちろん、他の自治体との共同や連携で行なう場合であっても、あくまでも自治体の主体的な判断に基づかなければならない点である。そして、行政の情報化の選択権・決定権 ―― どれを情報化するのかしないのか、また、どこまで情報化するのか ―― は、あくまでも主権者である住民固有の権利である。
こうしたことは、地方自治の本旨や自治体の業務の性格からから見て、あらためて議論する余地のないことかも知れない。しかしながら、今日の自治体行政の情報化=『電子自治体』の構築は、住民自治も団体自治も蔑ろにした、国からの一律的なトップダウンで進められているのである。
今年の1月、「5年以内に世界最先端のIT国家を目指す」とする「e-Japan戦略」が国家戦略として決められた。戦略は、2003年度に電子情報を紙情報と同等に扱う電子政府(国だけでなく自治体も含めて)を実現することを重点政策の一つとして掲げている。しかしながら、戦略の策定に際し、当事者の一つである自治体の意見や要望が積極的に聴取された形跡は見られない。「e-Japan戦略」のもとになった「IT基本戦略」を策定したIT戦略会議には、梶原拓・岐阜県知事が参加していたが、彼は全国自治体の代表として加わっていたのではない。また、地方自治法によって、地方自治に関わる国の施策の決定に関与しうる特別の地位を与えられている地方6団体に対しても、何らの配慮もなされなかった。
一方、自治省(現、総務省)は、昨年7月、「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」を策定し、12月には、年次毎の到達目標も含めて詳細に記述された『電子自治体』を実現するための具体的な計画書である「地域IT推進のための自治省アクション・プラン」を示している。
パソコンが職員1人に1台配置され、これらは、庁内LANで結ばれ、インターネットへも常時接続されている。文書の電子化、データベース化により役所内での情報共有が図られる。庶務事務や会計事務などが電子化される。地図データを統合した地理情報システムが導入される。住民基本台帳ネットワークがスタートし、住民にICカードが配付される。政府と自治体、また自治体間の文書交換は、総合行政ネットワークにより電子化される。電子調達・電子入札が行なわれる。住民や企業から、インターネットによる電子申請を受け付ける。地方税の申告もインターネットで行なわれる。インターネット上での印鑑証明である本人確認のシステムが稼動する。電子機器を利用した選挙が行なわれる。インターネットが住民への情報提供の主流となる。
政府は、「e-Japan戦略」に基づき、これら全てではないが、大部分を2003年度までに実現させようとしている。小泉政権の「構造改革」においても、行政の情報化は重要な柱の一つであるとともに、「構造改革」を実現するための重要な道具でもあるとされている。