住民基本台帳法の一部を改正する法律案に関する国会での審議 

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第145回国会 地方行政・警察委員会 1999年7月27日

当サイト管理者による解説
 午前中に質疑を行ない、午後からは参考人からの意見聴取を行なった。

 質問者 富樫練三(日本共産党)
 質問者 照屋寛徳(社会民主党)
 質問者 高橋令則(自由党)
 質問者 松岡滿壽男(参議院の会)

――――――――――――――――――

 参考人 堀部政男(中央大学法学部教授)
 参考人 内野正幸(筑波大学社会科学系教授)
 参考人 安田浩(東京大学国際・産学共同研究センター教授)
 参考人 前川徹(情報処理振興事業協会セキュリティセンター所長)

  質問者 
 ※ 強調は、当サイト管理者による。


○委員長(小山峰男君) ただいまから地方行政・警察委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 住民基本台帳法の一部を改正する法律案の審査のため、本日午後一時から、中央大学法学部教授堀部政男君、筑波大学社会科学系教授内野正幸君、東京大学国際・産学共同研究センター教授安田浩君、情報処理振興事業協会セキュリティセンター所長前川徹君、以上四名を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小山峰男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(小山峰男君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○富樫練三君 おはようございます。
 住民基本台帳法の一部改正について質問をさせていただきたいと思います。
 私は、現在の高度情報化社会と言われている中で、国民のプライバシーを十分守る体制をつくった上で、行政事務を能率的に進めること、住民サービスを拡充させるためにコンピューターによる事務処理を進めることは必要であるというふうに考えております。現に、私自身もパソコンを使い、インターネットを利用する、そういう一人として能率化推進には異議はないものであります。
 しかしながら、今回出されております法改正、これには幾つかの非常に重大な問題が含まれているというふうに考えております。
 一つは、コンピューター処理を行う場合の個人情報につけられるナンバー、番号を従来の限定番号制から共通番号制に移行させる、こういう問題があります。この共通番号制は、世界の流れに逆行するもの、そして日弁連からは憲法違反のおそれさえある、こういうふうに指摘されているものであります。
 二つ目の問題は、四情報プラス住民票コード、この五つの情報でありますけれども、まさにプライバシーそのものであります。この取り扱いの原則、これは本人の同意と本人がコントロールする権利、これが保障されなければならないと思います。ここに基本的人権の保障があるわけでありますけれども、今回の法案についてはこの点が極めてあいまいになっている、こういう問題点があります。
 三つ目は、ICカードそのものが持っている問題点であります。
 四つ目には、衆議院で一部修正が加えられましたけれども、包括的プライバシー保護法がないもとでの今回の法改正、これは順序が逆ではないか、こういう問題もあります。
 第五に、今回の法改正は全体として国民的な合意が得られていない、こういう根本問題があると思います。
 こういう基本問題のほかにも、地方自治体では既に、外部との接続は行わない、こういうふうに条例で決めている問題との整合性のこと、あるいは、実際に国民がどれだけ便利になり、そのための費用との関係で国民が納得できるものなのか、こういう重要な問題も含まれているわけであります。
 今度の法案は、国民一人一人のプライバシー、基本的人権にかかわる問題であって、一度このネットワークシステムが動き始めて個人情報が流れ始めますと簡単にはやり直しがきかない、そういうシステムであります。したがって、間違いは許されないし、不十分さも許されない重大な問題であると思っております。
 したがって、考えられるすべての欠陥や不安をなくして全国民が安心できる内容にすることがこの委員会の仕事であり、責任でもあるというふうに考えます。そういう点で、この委員会で十分な審議を提案者にもそして委員長にもぜひお願いをしたい、こういうふうに考えております。
 さて、そこで質問でありますけれども、まず、最近NHKがこの住民基本台帳法改正に関する世論調査を行いましたけれども、その結果どういうことが出てきたのか、その結果について知っていたならばお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 NHKが行いました世論調査は、七月九日から三日間、全国の二十歳以上の男女千八百人を対象に電話で行われた調査であるようでございます。対象者の五九・九%に当たります一千七十九人から回答を得たものでございます。
 それによりますと、今回の住民基本台帳法改正案について、関心があると答えた人は五四%、関心はないと答えた人は三六%であったものと承知をいたしております。
 さらに、この制度が導入されると事務処理が効率化され引っ越しの際の手続などが便利になる一方で、プライバシーが侵害されるおそれがあるという意見があることを踏まえて法案への賛否を尋ねています。その結果、賛成が二三%、反対が五一%であったと、このように承知をいたしております。
○富樫練三君 関心があるという人が半分以上、そしてこの法案には反対だという人が約半分をちょっと超えるところ、こういう状況だと思うんですけれども、この世論調査の結果は衆議院で法案可決後の一番最新のものというふうに思うわけです。
 大臣に伺いますけれども、この調査結果について率直にどのような感想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) このアンケート、同時に行われました調査で、組織犯罪対策関連法案について同じように尋ねられておるわけです。そのときに、関心があるが六六、関心がないが二四%である。そこで、この組織犯罪対策関連法案について、麻薬やけん銃の密売などの犯罪は電話などの傍受を認めないと取り締まりが難しいという意見がある一方で、プライバシーが侵害されるおそれがあるという意見があることを踏まえて賛否を尋ねたところ、賛成が四一%で反対が二九%であるということなんですね。それから、住民基本台帳については先ほどのお話。
 ただ、私はここで申し上げたいのは、同じようにこの法案がプライバシーが侵害されるおそれがあるということを前提にしてアンケートで問うているということなんです。私どもはこの住民基本台帳の法案は、そういう御議論はありますが、少なくともその内容においては組織犯罪関連、いわゆる通信傍受法案とは違うんだということだけは、システム的、制度的、運用面においてもはっきりしている話であって、通信傍受はまさにそれは裁判所の令状をもってきちんとした枠の中でやることではあるんですが、内容そのものが質的に違うということ、ここを同じような形でプライバシーの侵害のおそれがあるがということを付して賛否を問うということになれば、それはやっぱりその種の慎重論が出てくるというのは私はあり得ることだと、そう考えております。
 したがって、率直に言って、この種の問いかけというのは果たして質問として適切であったかどうかという疑問を私は持っております。
○富樫練三君 大臣の答弁では、質問の仕方がよくない、こういうことのようであります。ただ、いずれにしましても、今度の住民基本台帳法について国民的な合意はいまだに得られていないというのは実態だろうというふうに思うんです。
 そこで、この住民基本台帳の中身でありますけれども、まず、住民票コード、番号をつけるという問題について伺いたいと思います。
 現在、既に基礎年金名簿には個人番号がついておりますし、納税者にも番号はついております。免許証には十二けたの番号がついておりますし、私自身でもさまざまな番号をあれこれの中でつけられているわけであります。たくさん番号がありますけれども、それぞれの番号というのは相互関連がない、こういう状況であります。したがって、例えば私の免許証のナンバーで検索を行ったとしても、免許証に関する私の個人情報は出てくるけれども、それ以外の情報は出てこない、こういう仕組みになっているわけであります。いわゆる限定番号と呼ばれているものであります。
 ところが、今度のネットワークシステムでいうと、住民票コードが各省庁に流される、各省庁はみずから今まで保有していました個人情報とこの住民票コードを結合する、少なくとも当面は九十二事務と結合することになります。各省庁の個人情報、それは住民票コードという統一された番号がつくことになりますね、実際には。九十二事務の個人情報と住民票コードが結びつく、こういう形になることになりますね。その点はどうですか、確認をしておきたいんですが。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民票コードを法律の定める行政機関の事務処理のために提供いたしますが、それぞれの国の機関等でどのような形で実際に活用するかはそれぞれ御検討いただけるものと思います。
 例えば、そのあり方について、行政分野ごとに独自の番号制度を設けるということは、行政の簡素効率化の観点から適当でないという考え方もあります。また一方で、個人情報保護の観点から、住民票コードがあらゆる行政分野に共通して利用されることは問題である、こういう意見もありますので、この各行政分野における住民票コードの活用についてはそういったいろいろの考え方、また住民基本台帳の趣旨などを十分勘案して慎重に判断すべきものでありまして、今回の法案においては、提供いたします国の各行政機関等においてそのまま住民票コードを使うということを前提としているものではありません。
○富樫練三君 そのまま使わない場合もあるけれども、しかし今度の法律によって使うことが可能になる、こういう状況ですよね。
 それで、小渕総理が六月二十八日の参議院本会議で、住民票コードは、氏名、住所等による本人確認に比べて、コードによる照合は明確であること、迅速な検索が可能であること、重複しないコードにより確実に本人確認ができることなどから、このシステムにおいて全国共通の本人確認を行うに当たって不可欠なものと考えた、こういうふうに答弁しております。すなわち、この住民票コードは特定の個人を確定するという目的が速くできる、ここに一つの大きな魅力があるというか、うまみがあるというか、こういうことだと思うんです。
 住所、氏名、生年月日、性別、実際にはこの四項目があれば住民票コードがなくても特定の個人を確定することができますね、ナンバーがなくてもその四項目があれば。この点はどうですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今回のこのシステムにおいても、本人確認のための情報としては、住所、氏名、生年月日、性別、これにより本人の確定ができる、こういう考え方でございます。
○富樫練三君 ということは、ナンバーがなくても確定はできる、ここを確認したいんですけれども、どうですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民票コードを利用しないで、例えば氏名、住所などの文字情報のみによって本人確認を行うということも可能でありますが、その場合には事務処理の迅速性に欠けることに加えまして、総理からもお話がございましたように、例えば名前ですと外字が多数存在しましてその識別が非常に困難である。また、住所につきましては、同様に外字の問題もありますが、そのほかに番地等の表記、何丁目何番地と表記する方もいれば、何の何という表記もありますので、コンピューターは判別できません。そういった違い。それからマンション名などの記載の有無、こういったことでその照合が非常に困難である。また、結婚して姓が変わりまして同居する親族などと住所と名前が一緒の場合もありますので、そういったケースでは同一人物かどうか確認できないケースがある。
 そういうことで、正確性の問題もございまして具体的にはなかなか難しい面がある、こういうことでございます。
○富樫練三君 そうすると、ナンバーがなくても確認はできるんだけれども面倒だ、能率が上がらない、こういうところに問題がある、したがってナンバーをつけたい、こういうことのようであります。
 もう一つ伺いますけれども、今度のネットワークシステムによって全国どこでも住民票の写しがとれる、こういうメリットが言われております。この全国どこでも住民票の写しがとれるというのは、全国センターがなくても技術的に可能ですね。各都道府県単位でのセンターがそれぞれ横に直結をしているということでありますから、例えば北海道から沖縄であっても住民票はとれる、全国センターがなくても大丈夫、こういうことは言えますか。どうですか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今回のシステムは、市町村の区域を越えて全国の形で本人確認ができる、こういうシステムを構築するものでございます。
 それで、住民票の写しの広域交付に当たりましては、全国センター、指定情報処理機関、そこに県の権限を委任するということは予定されておりませんから、そういう意味では指定情報処理機関を介さなくても事務処理を行うことは可能であります。しかし、住民票の写しの広域交付に必要な情報通信につきましてはこのネットワークを通じて行われるものでございますので、そういう意味では全国的なネットワークが必要である。その場合に、都道府県センターだけでできるか全国センターでできるかということにつきましては、正確性の観点あるいは迅速性の観点、効率性の観点から全国センターがあった方が非常に適切である、こういうことでネットワークを考えております。
○富樫練三君 今度の制度では、各都道府県のセンターが全国センターに事務をすべて委任するということは義務づけられていません。したがって、都道府県のセンターが全国センターに事務を委任しない場合にはそこがつながらないわけでありますから、そういう点では全国センターがなくても住民票の写しをとるということは市町村が変わってもこれは全国的に可能と、ここは確認できますね。
○政府委員(鈴木正明君) このシステムにおきましては、全国センター、指定情報処理機関にそれぞれの都道府県が必要な事務を委託することができるという考え方をとっております。システム自体の考え方が、広域的な団体である都道府県が主体となって市町村と連携をしてこのネットワークを組む、そのベースは現在の既存の基本台帳制度の上に付加するものだ、こういう考え方からそういうことをとっております。そして、この全国センターで行う事務というものは、効率性の観点あるいは正確性の観点からそれにふさわしい事務を、各それぞれの都道府県で処理するよりも全国一本の一カ所の機関において処理することが正確性においてもまた効率性においても適切な事務、それを共同で処理してもらう、いわばそういう作業を都道府県にかわって代行というんですか、下請という議論もありましたけれども、そういう機関として全国センターというものを考えているわけでございます。
 お話しのように、機能的には委託しない都道府県がある場合には都道府県センターと全国センターと、そういう形で連携をとって処理することが可能でございますが、今お話し申し上げました趣旨を踏まえれば、すべての都道府県で全国センターに委託するという運営方法が望ましい、このように考えております。
○富樫練三君 ということは、全国センターに委託をしなくても制度上は可能だけれども、なるべく委託をしてもらって全国一本でやりたい、こういう意向のようであります。
 そこで伺うわけですけれども、大臣は、この間衆議院の委員会で、この制度、ネットワークシステムがいろいろな分野にその気になれば転用し得る可能性を秘めているということは、私はあえて否定はいたしませんというふうにおっしゃいました。さらに、そういう意味で、物事をスタートさせてから後においても、それを他のところに広げる可能性があるかもしれないが、それについては極めて十分注意をした上で慎重の上にも慎重に対応していかなければならぬということは当然のことだと思いますというふうに答弁をしております。
 そこで、全国センターを通じて十六省庁九十二事務と言われているわけでありますけれども、将来、これは法律で定めることを前提として、政府が考えております利用範囲の拡大の可能性、これはどういうふうに考えているのかという問題でありますけれども、既に住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会報告書というのが平成八年三月に出されております。これは、公表されている中身でありますけれども、そういう中では考えられるもの、今後どういうところに拡大が可能なのか。もちろん法律が決まってからの話でありますけれども、決めるかどうかは国会の仕事でありますけれども、政府としてはどういうところに拡大が可能であるというふうに考えているのか、この研究会の報告書ではどうなっているのか、ここのところをちょっとお知らせいただきたいのですが。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 まず、現在の法律の内容をちょっと御説明させていただきたいと思いますが、本人確認情報の利用事務につきましては、研究会報告等も踏まえながら、各制度を所管する関係省庁と十分調整を図った上で法律の別表で規定をいたしております。継続的に行われるような給付行政、または例えば宅建業とか建築士とかいった資格付与にかかわる分野ということで、国民に関係の深い行政事務などを掲げることといたしております。
 そこで、研究会報告でどのようなことが将来の利用ということで挙げられているかと申し上げますと、行政機関における本人確認事務の効率化として、選挙の際の本人確認というものが住民票カードを活用すればできるのではないか。また、災害時、緊急時等の本人確認、災害時等において自己のコードを申告することやカードを提示することによって簡易迅速な本人確認あるいは早期に安否の確認ができるんじゃないか。また、災害時や急な発病等の際にカードを所持している場合には身元の確認ができる可能性がある。あるいは、ネットワークシステムを通じて援助物資の提供やボランティアの配置などについてより迅速かつきめ細かな対応ができるようになる可能性がある。それから、旅券の交付の際の本人申請に活用できるのではないか。それから、公共サービスの広域的な利用の際の本人確認に利用できるんではないか。また、行政手続における住民票の写しの添付の省略ということで、他の行政分野におけるさらなる手続の簡素化が可能になるであろう。また、公的年金等の受給者に係る現況確認事務の省略が可能となるのではないか。それから、納税者番号制度への活用につきましては、政府税制調査会を初め各方面の議論を踏まえて、将来的に納税者番号制度が導入されることとなる場合においてはこのシステムを活用することが可能となる。
 こういうような内容でございます。
○富樫練三君 そうしますと、例えば今お話がありました選挙のときの本人確認であるとか旅券交付とか、あるいは公的年金、納税者番号、こういう点でも活用は可能だということなんです。そうなると、かなり広範な事務に住民票コードが検索のためのいわゆるインデックスとして使用される可能性としてはあるということです。
 そもそも住民票コード、ナンバーでありますけれども、これは生まれると同時に役所が番号をつける、その番号は決してダブることはない、本人の申請で変更は可能であるけれども、その後は死ぬまで同じ番号、こういうことであります。これが広範な事務に個人番号として活用されるということになると、例えば当面は十六省庁の九十二事務であっても、法律で定めれば将来は先ほど言ったかなり広範な事務に活用することが可能だ、こういうことになるわけなんです。
 そこで、これは多目的に利用する、この住民票コード、ここのところにナンバーを振る、もちろん先ほどありましたスピードの問題であるとか検索が楽であるという問題とか、そういう問題はありますけれども、同時に各方面の事務に多目的に活用できる、ここに実はナンバーを振るうまみというものがあるのかなというふうに思うわけでありますけれども、そこの点はいかがでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) それぞれの行政目的に即してそれをより効率的に簡素に、しかも確実に遂行していこう、そういう中で、その行政サービスを遂行していく中でこういった住民票コードをある種の名寄せの有力な手段として活用するということがよりその効果を高めるという判断があれば、その世界に限定してその目的のために住民票コードをお使いになる、こういう枠組みになっておるわけであって、住民票コードを転用していろんなところに全部展開していくという発想ではないんです。
 物事の発想というものは、むしろそれぞれの各省庁、国の機関の持っている行政を執行していくサイドから、それをより確実、よりスピーディーに間違いなくやっていこうという、そのことに即してこれを活用するかどうかが判断されていくということだと考えておりますので、ちょっと物事の発想が、住民票コードを核にして、いろいろなところに展開していくという発想じゃなくて、それぞれの分野でちゃんとした行政をやっていこうというときに名寄せをより確実、迅速にする上でこれを活用した方が有利であるというなら、その目的に限定したところでそれはお使いをいただくわけであって、そこのところを何かちょっとごっちゃに議論されると話が余計ややこしくなるんじゃないでしょうか。
○富樫練三君 発想はそういう発想でも構わないと思うんです。それぞれがそれぞれの事務で能率的に効率的に迅速に事務処理をするということは結構なことだろうというふうに思います。
 ただ同時に、研究会の報告書で出されているように、先ほどの選挙とか旅券交付とか、あるいは年金の問題であるとか納税であるとか、こういうところにも法律で定めれば活用は可能である。ですから、それぞれの分野で、例えば年金を担当している分野がこのコードを活用すればもっと便利にできるというふうに思えば、そこに限定してそのナンバーを使う、こういうことですね。選挙の方は、その担当する分野がこれを活用すればもっと能率的にいくというふうに思えば、その分野に限定して活用しましょう、こういうわけですね。当面は九十二事務に限定している、将来は年金や納税やあるいは選挙やそういうところにも法律で決めれば活用は可能ですよ、技術的には可能なんだ、こういうわけですね。
 そうすると、それを全体総合して考えた場合に、まさにこの住民票コードというのはいろいろなところで、限定しながらであるけれども、かなり多目的に活用できる、こういうことになります。
 そうしますと、例えばこういうことですね。一度この制度を導入する、システムを一回つくれば後はどこでどういうふうに活用するかは法律で定めればいい。問題なのは、総理も答弁しているわけですけれども、参議院の本会議でこういうふうに言っているんです。さまざまな個人情報を一元的に収集、管理することを認めない仕組みとなっておりますと、これは総理がこう答弁しているんです。したがって、国民に付した番号のもとに国があらゆる個人情報を一元的に収集、管理するという国民総背番号制とは異なるものと考えておりますと、こういうふうに答えているんです。確かにそうだと思うんです、それぞれみんな分野別に分かれているわけでありますから。
 しかしながら、残された問題というのは、一元的な管理というのはまだやっていないわけですから、法律上もそれはできない。しかしながら、法律を変えれば今度は一元的な管理ができる。そういう準備というか、やろうと思えば、法律を変えればそれが可能なシステムであるということも間違いないと思うんですけれども、どうですか。
○国務大臣(野田毅君) その論理を展開するならば、この住民基本台帳ネットワークシステムという問題とは別として、別途その種の一元的な管理をするための法律をつくればそれも論理上は可能なことでありまして、したがってこの法案と一元的に国が管理、収集しようとする可能性があるということとは別問題だと私は認識しております。それを無理やりひっつけるから妙な話が飛び出してくるわけで、基本的にこの法案では、少なくともそういう誤解を与えることのないように一元的に収集、管理することを認めない仕組みに構築してあるわけです。
 ですから、今おっしゃるとおり、もし別途一元的に国が収集、管理していこうということを国会でお決めになるなら、別にこの法案の改正なんということじゃなくて、この法案がなくたって、それぞれの行政分野においてはそれぞれのデータベースをつくって、それぞれの必要な行政分野におけるきちんとした管理をされているわけですから、それをどこかで何らかで集約すればそれはできるわけでしょうから、ですからこの問題と結合させるというのはちょっと無理があるんじゃないかというふうに私は考えております。
○富樫練三君 住民基本台帳というのは、すべての国民にナンバーがつけられるわけでありますから、仮に将来一元的な管理をしようと思えば一番いい方法なんです。例えば、社会保険のナンバーであるとか免許証のナンバーであるとか、ナンバーというのはたくさんあります。しかしながら、すべての国民を網羅できる、しかもそれが一番正確にできる、それは住民基本台帳なんだということだと思うんです。ただ、今回はそこまではやらないんだということです。
 しかし、いわゆる総背番号制と言われている問題の準備段階というか第一段階というか、そういうことに客観的にはなり得るものと、やろうと思えば可能なわけですから、ただ今回はやらないということを法律で決めているわけですけれども、そういう性格のものだろうというふうに思うんです。
 そこで、この住民基本台帳番号制度、これについて旧西ドイツの場合でありますけれども、かつてこの導入が見送られた。憲法裁判所がこの台帳番号制度を憲法違反だと判断して、この制度が見送られたという経過が八〇年代にあるわけですけれども、そのときの憲法違反ではないかと言われた中心的な問題は何だったのか、この点、もしわかっていたらお知らせいただきたいんですが。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 委員が御指摘になっているのは、一九八三年の国勢調査法に関する判決ではないかと考えます。これは論点が二つほどありまして、そのうちの一つが今お話しの点と絡むのではないかと思いますが、この判決で憲法違反とされたことによって住民番号制の導入が見送られたという事実はない、このように承知をいたしております。
 そこで、一九八三年に西ドイツの連邦憲法裁判所において出された国勢調査法に関する判決での違憲性の指摘の論点でございますが、これは国勢調査法の規定についての判決でございます。統計目的のための国勢調査と他のデータ、例えば住民登録簿とをマッチングすることは憲法上の要請に適合しない。二点目は、行政目的のためのデータ提供を予定しているのか否かを認識できず、データ提供の際に目的がどのように具体的かつ明確に定義されているのかがはっきりと認識できない。それから三点目は、データが提供される目的が統計上のためだけなのか、あるいは行政執行目的のためにも提供されるのかが十分に認識できないこと、これが挙げられている、このように考えております。
 こうした違憲性の指摘を踏まえて、調査データの目的外利用の禁止などを規定した新しい国勢調査法が一九八五年に成立いたしまして、一九八七年に国勢調査が実施されております。
○富樫練三君 今三点にわたって言ったわけですけれども、論点は二つあるわけなんです。つまるところ、この憲法裁判所が判断をしたというのは、個人を全人格的に管理することにつながる番号制度、これは憲法が保障する人格権を侵害する、そういう制度はよくない、一言で言えばそういうことなんです。
 この国民に番号をつけるという問題について、今度の住基台帳法との関連で日本弁護士連合会、日弁連が見解を発表しております。その中では日弁連の見解として、今度の制度というのは個人の尊厳を著しく侵害するものである、憲法十三条、個人の尊厳、幸福追求権に違反するおそれがある、おそれと言っているわけなんです。日本国憲法はこのようなシステムを許容していないというふうに理解できる、こういうふうに言っているわけですけれども、この憲法との関係ではどういうふうに考えていますか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 平成十年三月に日本弁護士連合会から出された意見書においては、「国民のあらゆる個人情報をすべて掌握できるようなシステムは行政上の目的をこえるものであり、各行政機関が個別に保有する個人情報を随時かつ瞬時に把握されることになれば、そのことだけで国民のプライバシーが丸裸にされることになる。」、そこでお話しの憲法十三条に違反するおそれがありと、こういう見解でございます。
 このシステムにおきましては、これまでも御答弁いたしておりますが、保有される情報は四情報プラス住民票コード及び付随情報という限定された情報のみでございまして、さまざまな個人情報を一元的に収集、管理することを認めない仕組みになっているところでございます。
 したがいまして、日弁連の意見書にございますように、国民のあらゆる個人情報をすべて掌握できるようなシステムは行政上の目的を超えるものであるとの指摘は当たらない。また、国民のプライバシーが丸裸にされることになる、個人の尊厳を著しく侵害するものである、憲法第十三条に違反するおそれがある、監視国家に導くものである、憲法はこのようなシステムを許容していないなどの御指摘は当たらないものと考えております。
 なお、先ほどの西ドイツの憲法裁判所での判決の論点、二つあると申し上げましたが、もう一つの論点にお触れになったわけでございますが、全人格的に管理することにつながる住民基本台帳制度は憲法に違反するとされたという一部の御指摘があるわけですが、その根拠となっているのは先ほどの判決でございますが、その判決においては御指摘のような表現は述べられておりません。
 以上でございます。
○富樫練三君 時間が大分たってしまいましたので、予定している質問を全部できないんですけれども、プライバシーの問題について伺いたいと思います。
 プライバシーを保護するというのはもう大前提になっているわけなんですけれども、参議院の本会議で大臣は、「今回の改正案におきましては、本人確認情報の利用を公的部門に限るとともに、住民票コードの民間利用を禁止しているところであります。」と、こういうふうに答弁されております。これは説明の中でもあったわけですけれども、例えば四情報プラス住民票コードと五情報、これは民間では利用できない、禁止しているというわけですけれども、これにもしも違反した場合にはどういう対応になりますか。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 住民票コードの民間利用につきましては、一般的に広く住民票コードの告知を求めてはならないということで禁止をいたしております。特に、改正法案におきましては、契約条件として住民票コードの告知要求をすること、あるいは住民票コードの記載されたデータベースの構成といった行為に違反する場合には、都道府県知事はまず違反をした者に対して当該行為を中止すべきことを勧告する、または当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる、さらに勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、都道府県知事は都道府県に設置される本人確認情報の保護に関する審議会の意見を聞いて、その者に対し期限を定めて当該勧告に従うべきことを命ずることができる、この知事の命令は罰則をもって担保される、こういうことでございます。
○富樫練三君 そうすると、今度の改正法案の三十条の四十三の第四項、ここで、「前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、」云々と、こういうふうになっているわけですけれども、ここで言う「反復して」というのはどういう意味ですか。
○政府委員(鈴木正明君) 今回の改正法案におきましては、契約条件としての住民票コードの告知要求を禁止し、また住民票コードの記録されたデータベースの構成を禁止するということでございます。
 お話の第四項は、この二つを受けまして、さらに反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは都道府県知事は勧告をすることができることとされておりまして、この前の契約条件としての住民票の告知要求の禁止違反、あるいは住民票コードの記録されたデータベースの構成違反に一回しか違反していない場合であっても、個別具体の事情に応じまして都道府県知事の勧告の対象になり得るもの、このように考えております。
○富樫練三君 反復というのは二回以上です。一回目は反復とは言いません。ということは、一回目はいい、二回以上やったらそれは勧告の対象になる、その勧告の言うことを聞かなければそれは罰則もありますと、こういう意味です。そうすると、これは法律を一回は犯してもいい、こういう条文です。これを条文どおり、文章どおり読むと一回はいいということです。
 しかも、この条文にありますように、その対象は住民票コードの記録されたデータベースです。ですから、ナンバーが入っているものです。そういうデータベースを民間でだれかがつくったとします。それをこの条文の中に、このデータベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの、他に提供するというわけですから、他人に売ったり配ったり、そういうことが予定されているものです。ということは、こういうデータベースは一回はつくっても罰せられることはない。しかも、それを他に販売したり提供したりしても一回は大丈夫と。
 私、考えますと、このデータベースというのは、住民票コードでありますけれども、一回ナンバーを振られますと原則として本人が申請して変更しない限りはそのナンバーは死ぬまでずっと同じナンバーです。ですから、実はこのデータベースというのは一回つくればいいんです。あとはコピーをたくさんつくればいいんです。コピーをつくって幾ら外に出しても一回目のデータベースについては罰則の対象にはならない、こういうわけです。これじゃ何の歯どめにもならない、こういう中身です。条文のとおり読めばこれは全く歯どめにならない。そのコピーがどんどん世の中に流れていく、それでもこれは規制の対象にはならない、こういう中身なんです。これでは国民の基本的な人権、プライバシーを守ることはできないというふうに思うんです。
 これは、今まで答弁の中で総理も言っていますけれども、制度面や技術面や運用面、こういう点で個人情報の保護に万全の措置を講じているんだ、こういうふうに衆議院からずっと何度も答弁してきました。ところが、実際にはこれはもう穴だらけだというふうに言わざるを得ないと思うんです。名簿屋さんというのがいるわけですけれども、名簿をつくって売る商売です。これについて言えば、一回ならデータベースをつくってもいいです、ただし二回以上つくっちゃだめです、こういう法律になっている。こういう大穴があいている。これが今度の法律だというふうに思うんです。
 まだまだたくさん問題点がありますけれども、この点についてはぜひともこれは改善しなければならないというふうに思うんです。そういう点でこの法案そのものはもう一回見直すべきであるということを主張して、時間が参りましたので私の質問を終わります。
○照屋寛徳君 社会民主党の照屋寛徳でございます。
 私の方からも何点か質問をさせていただきたいと思います。
 まず、修正案の提案者にも一、二点でございますが通告をいたしましたところ、出席をいただきまして感謝を申し上げたいと思います。
 私は、本会議における大臣の本法案の趣旨説明に対する代表質問の中でも、この法案に対して多くの国民が特に住民票コード十けたの番号が付されることについて、個人の非人格化を強く感じておるのではないか、そして人間が番号によって管理されることへの抵抗感や不安感や嫌悪感を持っておるのではないか、こういうことを申し上げました。
 今や、我が国も国際社会もまさに情報化社会であり、またコンピューター情報化社会とも言えるような状況にございます。そういう中で、私は本法律案を審議する大前提として、プライバシーの権利を私どもがいかように考えるのか、いかようにとらえていくかということが大変大事ではないかというふうに思っておる次第であります。
 そういう意味で、まず冒頭、大臣にプライバシーの権利についてどのような御所見をお持ちか、お伺いをいたします。
○国務大臣(野田毅君) プライバシーの権利という概念、その内容について、どうも確立された定義なりというものがこの社会にまだ存在しているかどうかちょっとよくわからないんですが、あえて一般論というかそういう面で言いますと、まず個人の秘密が公開されないということが一つあると思います。それから、誤った情報あるいは不完全な情報によって自己に関して誤った判断がなされるということがないようにすること。それから、自己の情報を知って、それをみずからコントロールし得るということ。こういったようなことが、プライバシーの権利という中にそういったものも含まれた中で議論されているというふうに考えております。
○照屋寛徳君 私は、大臣がおっしゃるように、確かに欧米諸国に比べて我が国ではプライバシーの権利に関する論争というか、あるいは判例法上の形成が十分でないという面はよくわかります。しかしながら、かつてプライバシーの権利が私生活をみだりに公開されないという消極的な意味での権利、いわば一人にしておかれるというんでしょうか、一人にしておかれる権利から、今やっぱり我が憲法上の幸福追求権との関係で、自己に関する情報の流れをコントロールする個人の権利というふうに判例法上も高まってきたのではないかなと思いますし、私もそういう点ではプライバシーの権利はまさに憲法十三条の幸福追求権に基づく自己情報のコントロール権というふうに積極的に理解をすべきだと思っております。
 特に、先ほど申し上げましたように、これだけ高度な情報化社会またコンピューター情報化社会になりましたから、そういう点では余計に自己情報のコントロールの権利ということを行政のあらゆる分野で私たちはしっかり位置づけておく必要があるだろう、こういうふうに思うわけであります。
 それで、住民基本台帳法の一部改正におけるいわば個人確認情報とプライバシーの権利との関係についてはいかようにお考えか、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) この法案でプライバシーの保護がどのように配慮されているかという趣旨であろうかと思いますが、そういう点で言いますと、制度面、システム面、運用面、いずれの面においても厳重に本人確認情報を保護するという体制をとっております。
 第一点としては、それと同時に、本人確認情報の範囲あるいは利用できる分野を法律に規定するということ。それから第二に、自己の情報の開示請求権を法律に規定いたしておるということ。それから、住民票コードについて変更請求権を認めているというようなことなどで、プライバシーの権利の考え方も踏まえた個人情報保護措置をあわせて講じているというふうに考えております。
○照屋寛徳君 それでは、修正案の提案者にお伺いをいたします。
 共同修正のようでございますのでどなたでも結構でございますが、私は修正案提案者の皆さんにもまず大枠でのプライバシーの権利についてどのような御所見、御認識を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○衆議院議員(桝屋敬悟君) 照屋委員の御質問にお答えをしたいと思います。
 実は、衆議院で随分この法案を議論いたしました。大臣が最初にお答えになりましたけれども、プライバシーの権利というのは、憲法十三条、幸福追求権の話も出ておりましたけれども、我が国には明確な概念があるようで、特に国民の中にそうしたものがまだ定着をしていない。実は衆議院の地方行政委員会でこの住民基本台帳法を議論する中で、我が党は公明党でございますが法律家も多いわけでありまして、先ほどから話が出ておりますまさに自己情報のコントロール権、自分自身の情報をコントロールするという権利、これがまさにプライバシーの権利ではないかというふうに私自身も教えていただいた次第であります。そうした観点から見ますと、まさに自分の知らないところで自分の情報が動く、この方法が悪用されても防ぎようがないわけであります。このように解釈をし、この住民基本台帳法の一部改正案の審議の中でも、我々衆議院段階でもそうした観点から御議論させていただいた次第であります。
○照屋寛徳君 せんだっての委員会で修正案の提案者の方々から、私のメモに基づくことですので必ずしも質問、御答弁が正確でないかもしれませんが、おおむね私が聞いておりましてメモったところで、修正案を提出した目的、あるいは動機というんでしょうか、その中で、プライバシーの保護に関して漠然とした不安、懸念があったということを随分強調していたやに私は記憶をいたしております。
 そういうことで、私のメモにあるわけでありますが、そのおっしゃった趣旨は私なりによく理解できるつもりでありますが、修正案提案者の方々が原案である住民基本台帳法の一部を改正する法律案のどの部分にプライバシー保護に関して不安や懸念をお感じになったのか、それをより具体的にお聞かせ願えればありがたいなと思っております。
○衆議院議員(宮路和明君) それでは、衆議院の地方行政委員会の理事会の場で最初に修正案の提案をいたした者としてお答えをさせていただきたいと思うわけであります。
 今回の改正法案、先ほど自治大臣からもるるお話があったところでございますけれども、私どもは必ずしも今回の改正法案におけるプライバシーの保護の問題に関して最初から不安あるいは懸念を持っておったということは実はないわけでございます。
 と申しますのも、私ども自民党の地方行政部会におきましても、政府の提案いたしました改正案にかかわる骨子の段階から我々は随分議論を一緒にさせてもらいまして、そしてその中で、特にプライバシーの保護についての議論が我が党の中でも沸騰をいたしたわけでございます。
 そこで、我が党としては、まず第一点は、電算業、情報処理の受託をする業者についても守秘義務を課すという新たな項目を追加してもらったことが一点。それからまた、守秘義務違反の場合に加えて、場合に加えてというか、場合よりももっと重い罰則をこの法律による秘密保持義務違反について課すというようなことも新たに追加して、政府が当初考えておったものに追加してもらったり、あるいはまた請求によって住民票コードの変更を可能にするという道も私どもの党の議論の中から新しく生まれてきたわけでございまして、こういったことをいろいろ加えることによってプライバシー保護に万全を期していこう、こういうことで改正案ができ上がりまして、そして国会へと提案された。
 そこで、国会において、地方行政委員会において種々議論をいたしたわけであります。その中で、先般の当委員会における御審議の際にもお話がありましたような、これが国民総背番号制につながっていくのではないかといった御懸念、あるいはまた納税番号につながっていくんじゃないかというふうな御心配等々の議論とあわせて、たまたま我々の審議の時期におきましても幾つかコンピューター処理された情報が漏えいするというような事件もあったりいたしました。そこで、国民が不安やあるいは懸念というものを持っているそれをもっと払拭できるような、そういう意味でもプライバシー保護についての一層厳重なといいましょうか、対策を講ずべきではないか、そういった御議論が野党の皆さんの方からも大変強く展開をされたわけでありますし、幾ら万全だと言っても、いざやってみるとそれはどこかからまた漏れていくのではないかというような御心配の向きもいろいろ議論されたわけであります。
 そういったことで、先般も私の方からお話し申し上げましたし、また今、照屋先生の方からもお話がありましたけれども、我が国としてそれではプライバシーの保護という面で欧米諸国と比べてどうかなといったことを考えますときに、政府が持っておりますコンピューターの情報についてはその保護のための法律が既にあるわけでありますが、その他の部門については整備をされていない。またこれから、この間自治大臣からもお話しありましたように、この改正法が施行されるまでの間、相当の期間があるわけでありますけれども、その間に日進月歩技術がいろいろと進歩、発展していく。そういう中で、本当にその時々刻々の変化に対応したプライバシーの保護というのは万全なんだろうか、十分なんだろうかということをもろもろ考えますときに、やはりこの際、プライバシーの保護について我が国としてもしっかりした体制をつくっておく必要があるのではないかというようなそういう判断をいたしました。
 そして、この修正案におきまして、御案内のとおり第一条の二項にこうした規定を盛り込ませていただいて、政府の方で、今後における、また状況の変化にも対応した、あるいはまた欧米諸国のプライバシー保護に関する法制などとも決して引けをとらないようなものをつくっていく必要があるんじゃないかということでこういう修正案を提示させていただいた、このように御理解をいただきたいと思います。
○照屋寛徳君 私は、このプライバシーの権利にかなりこだわっておりますけれども、これは先ほどから申し上げておりますとおり、高度な情報化社会の到来との関係でどうしてもここは私たちしっかり把握をしておらなければならないと思うからであります。
 公明党の修正案提案者の先生にもお伺いいたしますが、私は全国的なことは知りませんけれども、沖縄でも白保議員を初め公明党の議員の皆さん方にも私は日ごろいろいろお教えいただいたりしておりますが、やっぱり公明党は人道主義を大事にするから沖縄なんかでも信頼を得られていると思うんです。そういう点からすると、プライバシーの保護については非常に敏感であるだろうと思うんです。
 それで、今度新設される住民票コードという十けたの番号、それから個人確認情報と言われる氏名、生年月日、それから住所、性別、まさにこの住民票コードと個人確認情報そのものは保護されるべきプライバシーではないか、私はこういうふうに思っておりますが、いかがお考えでしょうか。
○委員長(小山峰男君) できるだけ答弁は簡潔によろしくお願いします。
○衆議院議員(桝屋敬悟君) ただ、私ども公明党に対して特別のお尋ねでありますから、特別にお答えを申し上げたいわけであります。
 今のプライバシーの問題、一番最初の委員会で申し上げたとおり、我が党、随分ほかの党がこの法案に対して態度をお決めになる中で、最後まで態度が決め切れずに大変に御迷惑をかけた経緯があります。それは、まさに今、委員御指摘のプライバシーの問題でありまして、確かにこの法律は制度面あるいは運用面、さまざまな形で考えられる限りの措置はとられていますけれども、しかし本人確認情報と言われる四情報、そして住民票コード、このコードこそまさに御指摘のとおりプライバシーそのものでありますから、たとえこの四情報たりといえども全国のネットワークシステムをつくるということについては、個人情報保護をどうやって守っていくのか、プライバシーをどう守るのかということを実はぎりぎりまで私どもは議論させていただいたわけであります。
 先ほどもこの法案のどこに不安を感じるのかというお尋ねをいただいたわけでありますけれども、むしろ私どもはこの法律のどこにということよりも、社会全体に対する不安、プライバシー権といいますか、先ほどから議論が出ておりますけれども、我が国においてプライバシー権というものが特に高度情報化が進展をする中で非常に概念が明らかになっていない、そしてその概念が国民に理解をされていない、価値観が醸成されていないという状況があるわけであります。したがいまして、数々の個人情報の漏えい事件あるいは名簿屋が盛んに活動しているという状況があるわけであります。
 したがいまして、私どもはこの法律を機会に、何としてもおくれている我が国において個人情報保護に関する法整備を含めたさまざまなシステムづくりというものをこの際行っていきたい、こんな思いで修正案の提出に共同参加させていただいた、こういう次第でございます。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○照屋寛徳君 修正案の附則に、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」と、こういうふうにつけ加えましたね。この附則で言う「個人情報の保護」というのは、まさにプライバシーの保護に政府は万全の措置を尽くせと、こういうふうに私は受けとめておりますが、そういうことでよろしゅうございますか。
○衆議院議員(桝屋敬悟君) そのように私どもも理解しておりますし、政府に特段の御努力をお願いすると同時に、早い機会に、この住民基本台帳のネットワークシステムが動き出すと同時に、そのときには個人情報保護のシステム整備ができている、同時スタートが必要だというふうに私どもは考えて政府に強い期待をしている、こういう姿勢でございます。
○照屋寛徳君 そこで、施行期日と所要の措置との関係ですけれども、修正案の提案者にお伺いいたしますが、本法案の施行期日の定めでは、「この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」と書いてあるわけです。施行に当たっての所要の措置と施行期日とがどういう関係になるのか。それから、わざわざ修正をして、その附則で政府に対して所要の措置を講ずるという、これは努力義務なのか文字どおりの義務規定なのか、いろいろ解釈はあるのでしょうけれども、そういう定めをした関連でどういうふうに考えたらいいのかというのが一点。
 それから、私は、我が国でも今や判例法上はプライバシーの権利については、概念があいまいだとか、まだ確立されていないのではなくして、かつての私生活をみだりに公開されないという意味での消極的なプライバシーの考え方から、自己情報コントロール権という意味での欧米のような積極的な判例法に到達をしたというふうに見ております。この所要の措置ということをおっしゃっている、その場合の民間を含む包括的な個人情報保護法の制定と絡んで、所要の措置の中身というか、修正案提案者が考えておられる個人情報の保護のあるべき理念ということについて、再度お聞かせをいただきたいと思います。
○衆議院議員(宮路和明君) 今お尋ねの第一点につきましては、これは前回の当委員会におきましても小渕総理の御答弁について御確認もあったわけでありますが、まさにそのとおりでありまして、「住民基本台帳ネットワークシステムの実施に当たりましては、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えることが前提であるとの認識であります。」という総理の答弁でございますけれども、私ども提案者といたしましても、まさにそういう気持ちでこの修正案を提示させていただいたということでございます。
 それから、所要の措置の中身でございますが、これは自治大臣の方からも既に御答弁をいただいているところでありますけれども、一つには、民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかに整えていくこと。二つ目には、今申し上げたシステムの整備状況も踏まえながら、その検討状況も踏まえながら、本住民基本台帳法におけるさらなる個人情報保護措置を講ずるための所要の法改正等もいずれ行っていくものであるということ。それから、地方公共団体が適切に住民基本台帳ネットワークシステムを運用することができますように、条例によって、カードの問題なんかは地方自治体が行うということにもなっておるわけでございますので、そういった点を十分念頭に置いて、そのシステムを運用することがしっかりとできていくように政府において、自治省ということになるわけでありますが、個人情報保護に関する指導を十分徹底を図っていただきたい。こういったことを念頭に置きながら所要の措置という修正案を提示させていただき、衆議院において御論議を賜って可決をさせていただいている、こういうことでございます。
○照屋寛徳君 私は、行政事務の簡素化、効率化、これは当然必要だろうと思うんです。しかし、今申し上げましたように民間を含む個人情報保護法の制定を急がなければ、プライバシーの保護について十分国民が安心し、そのことが担保されるような社会が実現しないと、どうしても住民基本台帳法の一部を改正する法律については多くの国民が不安を抱くだろう、抱いて当然だというふうに私は思うわけです。
 そういう点では、個人情報保護法の理念なり中身なりがまだ全然見えてこない段階で拙速に住民基本台帳法の一部を改正するのは、私は賛成するわけにはいかぬなという思いがあるということをきょうの段階ではお伝えをしておきたいと思います。
 そこで、時間が随分押してまいりましたが、総務庁おいででしょうか。──まだ来ておらないようですので、せっかく大臣がおいででございますので、次に大臣に、ちょっと順序が飛びますけれども、時間が少なくなってまいりましたので。
 私のメモですと、大臣は先日の委員会で、例の地方自治体におけるオンライン禁止条例と本住民基本台帳法の一部を改正する法律案の関係について、たしか、オンライン禁止条例と本法案との整合性については見直しが必要であろうと、あるいはその見直しが必要となってくるかもしらぬみたいな趣旨の答弁があったように記憶をしております。いま一度、現在地方自治体で制定をされておりますいわゆるオンライン禁止条例と言うんでしょうか、それと今回住民基本台帳のネットワークシステムがつくられるわけですけれども、識者によっては、いわゆる上位法によって条例の精神が変わっちゃう、あるいは効力を失ってしまう、そういうことについて、まさに分権との関係でもこれはいかがなものかというふうな指摘をする人もおるわけでありますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 地方公共団体が条例でオンライン接続を例外なく禁止しているというような場合には、住民基本台帳法に基づく情報の送受信につきましては、十分な個人情報保護措置を講じた上で今回の法律の規定を置くことによりまして、条例の禁止規定が解除されるという考えでございます。
 また、その他の情報の送信につきましては当該条例の禁止規定は従来どおり効力を有するものでありますから、そういう点で、市町村の個人情報保護制度を否定するものではもちろんないというふうに考えております。
○高橋令則君 自由党の高橋でございます。
 私は、自治大臣と政府委員に質問させていただきますので、衆議院の先生方は結構でございますので、お休みいただきたいと思います。
 この法律の一部改正については、私は、まずそれを必要とされる環境に関する認識を申し上げたいと思います。
 高度情報通信社会の到来、その必然性については既にもう多くの識者が以前から指摘されているところでございます。その状況について、平成十一年の通信白書を眺めてみました。
 現在、インターネットが急速に普及しておりまして、十年度における我が国の十五歳から六十九歳のインターネットの利用者数は約千七百万人とされています。我が国における主な情報通信メディアの世帯普及率一〇%、一割の達成までの所要期間を眺めてみますと、電話が七十六年、それからファクシミリが十九年、そして携帯・自動車電話、これが十五年、パソコンが十三年、インターネットが五年。このように、特にインターネットの爆発的な普及は驚異的なスピードであります。高度情報通信社会の進度は加速度的に速くなってきている、そういう認識を持っております。
 これに対して、関係法制度を含め我が国の環境整備がおくれている、かつ必ずしも十分ではないのではないか。既に、各委員からもいろんな御指摘がありました。この問題に限らず、民がどんどん先行する、政治、行政がおくれてついていく。面倒な問題は先送りをする、そして問題が一層深刻化する、それが近来の実態ではないのかなということを感じております。
 先日、高嶋委員が光と影ということを言われました。私も同感するところが多々あります。タイミングのよい必要な政策が民そして外国から立ちおくれ、光と影を一層際立たせてしまう、こういう状況になっているのではないかと思っております。
 今日、高度情報通信社会の構築が我が国の経済発展のかぎを握っているということは国民の大方の認識であると私は思っております。私ども自由党は、光ファイバーネットの整備、そして行政事務の電子化の促進等を含めて関連施策の促進を急速にするべきではないかということを主張しております。そして、人間が情報に振り回されることなく、主体的に活用して豊かな生活ができるような社会を築き上げていきたい、このように念じているところでございます。
 したがいまして、高度情報通信社会において官が担うべき環境整備を国が先進的に早急に進めるべきではないか。国際的な動きを見るにつけても、その必要性を強く感じている一人でございます。
 しかし一方において、この一環として当然ながらプライバシーの保護、必要な分についてはこれも早急にしなければならないということを私も感じております。各委員からお話がございましたように、衆議院の提案者の話がございましたけれども、三党のこの問題に対するプロジェクトについては私も参加しておりますが、そういう意味でプライバシーの問題を含めてこの扱いを私自身一層努力しなければならない、このように考えております。
 しかしながら、そうはいってもこの住民基本台帳法の一部改正はそうはいっても基礎的なインフラでございますので、この委員会において冷静かつ適切な審議を進めていただき、そして実現できるよう心から切に念じているわけでございます。
 そこで、質問になるわけですが、まずこのシステムはあくまでも市町村が運営するということが基本になっております。当事者である市町村あるいは都道府県の意見を十分踏まえてシステムがつくられたものというふうな認識をしておりますが、まず最初に、このシステム構築に当たって自治体の生の声をどの程度調査して聴取されたのか、その実態をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 まず、地方公共団体からの要望、意見についてでございます。
 一つは、全国市長会からは、平成九年十一月に、住民基本台帳ネットワークシステムの整備を推進するため、早期に住民基本台帳法を改正することとの趣旨の御要望をいただいております。また、全国町村会からは、平成九年十二月に、このシステムについては法改正を早期に行い、制度化を図ることとの要望をいただいております。また、全国知事会からは、平成九年三月に、住民基本台帳ネットワークシステムについては住民サービスの向上、行政の効率化、高度化に資するもの、このような御意見を受けております。
 また、地方公共団体からの意見聴取でございますが、平成六年から検討を始めておりますが、住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会に地方公共団体の実務者の方、市区町村の担当課長でございますが、実務者の方に参加していただいております。
 また平成八年に、自治大臣主催のいわば懇談会というものを開催いたしておりますが、そこには各界の学識経験者の方々のほか、地方公共団体の長、都道府県知事、市町村長の方にも御参加いただき、意見をお聞きいたしております。
 さらに平成九年六月に、住民基本台帳法の一部改正試案ということで試案を公表し、また十年二月に住民基本台帳法の改正法の骨子というものを公表し、三月には法案等を国会に提出いたしまして参考資料などを作成いたしまして、その都度、都道府県を通じまして市町村に御連絡いたしました。また、各市町村の首長さん、議長さんに対しましては法案の概要を直接送付する情報媒体を持っておりますので、そこで紹介するなどいたしまして、制度の概要につきましては各市町村に対して十分説明させていただいているところでございます。
○高橋令則君 自治省の方でそれなりの努力をされているということはわかりました。
 私は、細かい問題になるかもしれませんけれども、特に実務をやっている市町村の方々からの提案でこれをやってくれというふうな具体的な話もあったと思うんです。それをこの法案に取り入れたとかそういうことが具体的にあればそれを御紹介いただきたい。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 御指摘のように、このシステムの構築に当たりましては市町村が当事者ということでございまして、大変御熱心な御議論をいただいております。その際にいただいた貴重な提言につきましては、改正法案の内容にも反映させていただいているところでございます。
 例えば、具体的に申し上げますと、住民基本台帳カードというものにつきまして、各市町村において議会の議決を経た条例に基づいて活用できることといたしている点でございます。各市町村で独自または共同して新しく付加される情報というものをカード内の専用エリアに記録して、それぞれ高度な住民サービスに役立てる。例えば、福祉とか健康管理とか公共施設の利用などに市町村がそれぞれ独自に役立てたいということのために利用できることといたしております。
 それからさらには、転入地の市町村長が住所地市町村長に住民が転入した旨の通知を現在郵送で行っております。ここをこのネットワークシステムを通じて送信する、いわゆる転入転出の特例手続を定めている、こういったことが市町村からの御提言を反映させたものでございます。
○高橋令則君 法律が施行され、またその後も含めて特に市町村の声を今後とも反映できるように御努力をいただきたいというふうに思います。
 一つは、都道府県の問題であります。私も県に長年奉職をした人間ですけれども、この住基の問題については実務はやっておりません。したがって、実はわからない部分があるわけですけれども、今後この法律が決まりますと都道府県がそれなりの役割を負うわけですね。
 したがって、都道府県が実態的に都道府県政の中でどのように変わって、そしてどのようなメリットがあるのか、それをお聞かせいただきたいと思いますし、新しい事務でありますので、それに対する処理といったものがどういう形になるのかなということを、ちょっと自分ではまだ余り具体的じゃありませんので、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 都道府県の仕事の分野というものは、地方分権がいよいよ実行の段階を迎えるということで、市町村との連携というものが非常に濃くなるだろう。その中で、特に高齢社会への対応とか災害対策といったセーフティーネットの関係というか対人サービスの充実ということが大きな課題になるのではないか。また、文化、スポーツ等の振興も市町村との連携ということが重要なことで、県としてはより広域的な観点から、いわばこういった施策を推進する役割というものが期待されてくるだろう。
 例えば、高齢者の方に対する配慮の行き届いた行政サービスというものを県もいろいろな分野で行っているわけでございます。場合によっては、災害のための被災者対策ということで、先ほども申し上げましたが、災害が起こった場合にこのネットワークシステムを通じてセンターなどから必要な情報が得られて、援助物資等の提供とかボランティアの配置などについてもより迅速かつきめ細かな対応も可能になってくるのではないか。またさらに、スポーツ施設とかその他の不特定多数の者が利用する公共施設、そういうものについて共同利用あるいは広域利用ということでより一層の有効利用に役立てるということが必要になってくる。
 こういった施策をより効果的に推進するためには、やはり広域的な本人確認というものがどうしても必要になってくるのだと思います。市町村の区域を越えたそれぞれの都道府県内での広域的な本人確認、あるいは全国ベースでの広域的な本人確認が必要ということでございまして、そういったネットワークシステムを構築するためには、広域的な地方団体であります都道府県にその役割を担っていただくということが非常に重要であるということで、具体的には住民基本台帳に載せております情報のうち、四情報プラス住民票コードと付随情報というものを市町村から都道府県で受けてそれをデータベースとして保有し、また全国のデータベースに連絡する、あるいは全国ベースから情報を逆流の形でもらうという役割というものが都道府県において非常に大きいだろうということでございます。
 その際に、やはりネットを組む場合に、国のシステムで国が管理するというよりも、市町村と都道府県が連携して都道府県の共同のいわば全国センターというものを構築して、都道府県の仕事で機械的な仕事、適切な仕事というものをそこに役割を果たしてもらう形で委託する、こういう方式が適切であろうということでこのシステムを構築いたしているところでございます。
 そういったことで、都道府県、例えば全国知事会などからも、このシステムを構築するに当たりましては、円滑なシステム導入の前提である国民あるいは地方公共団体の理解、協力が得られるように十分配慮すべきであるとの御意見、また住民のプライバシーの保護というものは極めて重要な問題であるということで、法令上も技術上も万全の措置を講じるべきであるという点、それからこのシステムというものがそれぞれの地方団体での高度情報化への取り組みなどに有効に活用できるように配慮すべきであるということ、また全国センターについては行政改革の流れも勘案して、新たに組織を設けずに既存の法人等の組織で対応できるような仕組みを検討する、こういった御意見をいただいております。
 自治省としても、こういう意見につきまして適切に対応してまいるつもりでございます。
○高橋令則君 わかりました。
 そうはいっても、都道府県にとっては新しい事務でありますので、その関係はそごのないように密にして、市町村の関係、そしてまた自治省の指導ということになりますが、それをより適切にやっていただきたいというふうに要望を申し上げておきます。
 もう一つは、角度が少し違うかもしれませんが、高度情報通信社会の推進という観点からしますと、基本的ないわゆる本人確認情報の利用というものはできるだけ多い方がいいのではないか、メリットとしては。そうはいっても、プライバシーの保護に反する問題については十分手当てをしなければなりませんけれども、それを前提としながらも、やはり利用については拡大する努力というふうなものが必要ではないかと私は思っているわけです。
 まず最初に、今九十二事務にもう限定してしまっているわけですね。法律を変えればできるわけですし、既に各委員からいろいろお話があったわけですけれども、なぜ九十二事務に限定したのか、その選択の基準といったものは一体どういうことだったのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 このシステムを構築する過程におきまして、本人確認情報の利用についてでございますが、それは法律で定めるということで、この改正法案では別表で規定する、こういうことにいたしておりますが、それぞれの行政分野でそれぞれの制度を所管しております関係省庁と十分に調整を行いまして、その上で別表を作成いたしたものでございます。
 その結果、二つの分野、継続的に行われるような児童扶養手当の支給とか恩給とか共済年金等の支給などのような給付行政の分野、または宅地建物取引業とか建築士などの資格付与にかかわる分野で国民に関係の深い行政事務などをそこで掲げると、このようにいたしたものでございます。
○高橋令則君 わかりました。
 しかしながら、前段申し上げましたように、利用事務というのはやっぱり広い方がいいし、いわゆる行政事務の行政改革の一環としても推進することが必要ではないかと思います。コストとかいろんな問題もありますけれども、そういう観点としての取り組みは政府としても必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
 一例を挙げますと、これは外務省の問題になるんですかね、例えばパスポートの連動とかという問題については、このネットワークに入れることによって、もう死亡した方についての失効とか、それからあと落とした人については早急に発給ができるようにするとか、そういうメリットが出てくるんではないかということも考えられますし、また不動産登記の問題の活用といったこともどうかなというようなことも考えております。例えば、所有者の住所移転を登記簿上にフォローしておく、今登記簿についてはほとんどやっていないというか、やっていないと言うのは失礼ですけれども、もう死んでしまった人が何代もまだ残っているというふうなものもありますし、動いている分についてもほとんどフォローできていないというような実態もあるので、連動することによってこういうメリットが出てくるのではないかというふうにも考えております。
 そういう面で、前段いろいろお話がありましたように、プライバシーの問題からいろんな意味で制限というのは必要だと思いますけれども、今一例を申し上げましたが、そういうことを含めて取り組んでいったらどうかなというふうに思っております。
 そういうふうな新たな事務をやることによって、負担というんですか、コストのふえ方といったものはどうでしょうか。これは具体的にやったわけではないかもしれませんけれども、そういう雰囲気というか勘として、コストの伸びようというか、そういうことはどうでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 九十二という事務以外にも、今御指摘のありましたようないろんな行政分野についてこの利用範囲を拡大していくということであれば、当然のことながら国、地方を通ずる行政コストの低減、簡素化ということが前進するというのは基本的には私はそのとおりだと考えております。
 ただ、それを具体的にではそこまで実際にやるかどうかということ自体は、法改正を伴うことでもありますし、その中で十分御検討をいただかなければならないことだし、この法案作成過程の中で各省庁とそれぞれ相談をして当面九十二ということにしたその大きな背景は給付行政であったり、資格付与行政であったり、言うならそういう行政サービスという側面の上でいろいろ御判断をいただいたということでもございます。
 そういう点で、極力これが何といいますか、統制的といいますか、監視社会みたいなことにならぬようにしなきゃならぬとか、言うなら国が一元的に情報収集、管理するような形はよくないとか、あるいは一方でプライバシーというものの保護をしっかりと重視しなければいけない。そういう点で、両面からの慎重な検討が必要であるということとの兼ね合いといいますか、そういったことを踏まえてその時点で十分御判断をいただかなければならない事柄であろうかというふうに考えております。
○高橋令則君 大臣からお話がございましたが、それはそれとして、やはりこの問題はシステムを含めて、国そしてまた地方を含めて、行政改革の推進という観点からも、そしてまた情報社会の進展という観点からも、これはぜひとも相当の決意を持ってやっていただくことが必要ではないかと思いますので、最後に大臣にその決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 今申し上げましたとおり、国、地方を通ずる行政の簡素効率化、そして確実性あるいは迅速性、こういったことにどうこたえていくか、特にこれからの高度情報ネットワーク社会という中でこの行政分野をよりその社会のあり方に即して改善を加えていくということは当然のことだろうと考えます。そういう点で、これからも利用の範囲について十分検討していかなければならぬという側面があると思っています。一方で、先ほどちょっと申し上げましたが、それに対していろんな面からの慎重な検討という要請もあるわけでありまして、そういったところを十分踏まえた上で検討をしていきたいと思います。
 いずれにせよ、これを一刻も早く実施に移させていただく、その上でその活用状況、それから全体的な個人情報システムについて、民間分野も含めた保護措置なりそういったことが具体的にどういうふうにでき上がっていくかということをも踏まえながら、これらの問題はあわせて検討していかなければならない事柄であるというふうに考えております。
○高橋令則君 終わります。
○松岡滿壽男君 参議院の会の松岡滿壽男でございます。
 この法案に対しましては各界各層、国民の皆さん方も大変な関心を持って見守っておられると思いますし、先ほど自治大臣の方からNHKの世論調査のお話も御答弁としてございました。実際に今まで現場でやっておった市町村、それに今度新しく府県も絡んでくるわけですし、個人情報がどういう形で守られていくのか、こういう厳しい財政の時代に新たに国がこの事業をされるということについての新たな投資もある、そういうものについてはどうだろうかとか、あるいは今後の国と地方との負担関係は一体どうなっていくのかというさまざまな角度から、一巡目では私が最後の質疑者になりますが、先行議員の皆さん方からいろいろな角度での御質問があっただろうと思うんです。私もちょっと議運やら何やらで抜けたりしておりましたので重複することがあろうと思いますけれども、お許しをいただきたいというふうに冒頭お願い申し上げておきたいと思います。
 この法案のポイントに触れる前に、デジタル社会の急速な進展に対して法整備が全くおくれていることが大きな問題であることを指摘しておきたいというふうに思うんです。私も法務委員として何度となくその点を指摘してきたわけでありますけれども、セーフティーネットとしての法整備がなされる前に利便性を優先する法律が成立しているような感じがするわけであります。また、民間においてはさらなるスピードで情報データなどのグローバル化が進んでいるわけです。まず、セーフティーネットとしての法制化の重要性を再度指摘した上でこの法案について考えてみたいと思います。
 ポイントは四つあると思うんです。一つは、利便性とプライバシーの保護。二つには、利便性、いわゆる効果とコストの関係。三つには、一元化すべきデータとすべきでないデータ。それから四つには、いわゆる性善説と性悪説。グローバル化の中で今まで我が国の国民性で考えておったそういう罰則でいいのかどうなのかという問題があると私は考えております。もっと違うとらえ方もあると思いますけれども、この四点に着目しまして、また各界各層の意見をできるだけ忠実に生の声としてとらえた上で御質問をいたしていきたいと思います。
 まず、刑事局長、法務省にお越しいただいておるわけですけれども、何か委員会がダブっておられるようでございますので、一点だけ私が御質問を申し上げ、御退席されて結構でございます。
 先ほど触れましたけれども、デジタル犯罪に対する法整備のおくれについてどのように法務省としては考えておられるのか、今後の対策をどうされるのか、また犯罪が起きる前に法整備をすることに何か問題があるのかということなどにつきまして、まず法務省に御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) 委員御指摘のとおり、高度の情報化社会に対応した法整備の重要性はますます増大しているところでございます。その意味で、法務省としては、昭和六十二年、十年以上前になりますが、刑法の一部改正を行いました。内容的には、電磁的記録不正作出及びその供用、あるいは電子計算機損壊等の業務妨害、また電子計算機を使用した詐欺罪など、コンピューター犯罪の処罰規定をその際に新設いたしました。確かに、この刑法改正においても、電子情報処理組織、コンピューター等に入力されている情報の不正入手等についてはこの法改正の中では触れていなかったわけでございます。
 それは、情報といいましても、その中には秘密情報あるいはプライバシーにかかわる情報、あるいはその情報自体が財産的価値があるというような情報等さまざまなものがございます。その不正入手に対する罰則の要否等につきましては、これらの情報の法的保護はいかにあるべきか、殊にそれぞれの情報の特質に応じた取り扱いをどうすべきかということ、あるいはコンピューター以外で用いられております一般の情報の取り扱い等との均衡を図る必要もございます。また、関連する各種諸規定との関係をどのように考えるかなど検討を重ねる必要のある多くの問題が存在しているところでございます。しかも、情報化社会における情報管理のあり方もその高度化に伴いまして急速に変化してきております。
 このようなことから、今後さらにこの問題についてはいろいろな角度から検討を重ねる必要があると考えております。保護の必要性等について個々の分野で御検討いただいて、それぞれの法的な手当てをすべき問題も多々あるというふうに我々も考えている次第でございます。
 以上でございます。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。もう結構です。
 先ほど申し上げた観点から、この法案についても個人情報保護が優先されるべきだというふうに思いますけれども、衆議院におきましても修正がなされてきておるわけです。これについての、施行までに整備をするというのではいかにも遅いんじゃないかという感じがするんです。そういうことで国民の理解が得られるのかどうかということを非常に危惧いたすのですけれども、この点につきましてのお考えをまず伺いたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 個人情報保護という問題につきまして、まず本法案におきます住民基本台帳ネットワークシステムとの関係で申しますと、たびたび申し上げておるんですけれども、このシステムにおきましては、まず住民票コードの民間利用を禁止する、あるいはデータベースの構築を禁止するということのほかに、制度面、システム面、運用面、いずれにおきましても現在の環境の中で考えられます万全の保護措置を講じているというふうに私どもは認識をいたしておりますし、そのように御説明も申し上げておるところであります。
 ただ、そうはいっても、例えばシステム面、技術面等の世界で、日進月歩の今日のこの分野における発展というものは、今万全であったとしても、これが実際に施行されて実施に移されていく数年の間にいろいろまたそれを乗り越えるような技術革新があるかもしれないという可能性を否定するものではございません。そういった意味で、それらについてはこの法案の成立後においても技術面におけるそれを上回るきちんとした対応をしていかなければならないということはそのとおりある、これは一つございます。
 それからいま一つは、そのほか三面からいろいろ万全な措置を講じておるとはいうものの、この問題とは切り離して、漠然とというとなんですけれども、いろんな分野で個人情報が漏えいしているというようなさまざまな事件がございます。それはこのネットワークシステムと関係のない分野ではあるんだけれども、そういう個人情報の保護という問題について全体的な保護体制というものをもう一遍見直しをして、民間分野における部分であったとしても何らかの有効な手だてはないものか。それは今回の法案審議の過程の中でこれと直結はしないものの、そういった分野についてもやはり関係がないからといって放置するのではなくて、この機会にきちんと対応する努力をすべきではないかという議論があったことも事実でございます。
 それはそれとして、そういう意味では、そういう話になれば、自治省としての所管の行政の分野の中での対応ということではなくて、政府全体として省を超えた対応も必要になりますし、それから政府だけではない議会における対応もございますということで、三党間でこれらについて検討会を既にスタートしていただいて、研究もしていただいているというような背景も実はございます。
 そういうようなことが重なりまして、この個人情報システムという問題が衆議院における審議の最終場面におきまして、もろもろあわせた形の中である部分については修正ということがなされたという背景がございます。
○松岡滿壽男君 この辺の問題についてはそれぞれの自治体で保護条例とかつくって対応してきておるんですけれども、これはやはり国の問題だろうというふうに思います。特に民間の問題が出てまいりますので、これは全国的にきちっとした法整備で対応していくということが必要であろうと思いますし、個人のデータのセキュリティー、これは万全なものかどうかということが一つありますね、セキュリティー自身が。このセキュリティーシステムについてのお考えをひとつお述べいただきたいというふうに思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 このシステムにおきましては、制度面、運用面の保護措置、プライバシー保護措置に加えまして、システム面でもセキュリティー対策について十分な措置を講じ得ることといたしております。
 一つは、コンピューターの不正利用、不正操作の防止対策でございますが、コンピューターを操作する際のICカードや暗証番号による操作者の確認ということをしております。また、各コンピューターにID番号を付すことによりまして、ネットワークシステムを利用しているコンピューターを把握するということなどを行う予定といたしております。
 第二に、ネットワークシステムへの侵入あるいは盗聴及びデータの改ざん防止対策といたしましては、一つは、専用回線上でデータ通信を行う際はデータの暗号化を行う。また、通信相手となるコンピューターの相互認証のシステムにする。それから、ネットワークシステムに蓄積されているデータの接続制限を行うということを予定いたしております。さらに、データ通信の記録管理というものをしっかり行いまして、これらによりまして不正行為の防止策をより十分なものにすることといたしております。
○松岡滿壽男君 民間へのデータ流出、これが非常に心配されておるわけです。これはもう絶対にないようにしなけりゃいかぬわけですけれども、万一データ流出が発生した場合に、原因等の早期発見とか早期対応等のシステムはどのようにされるのか。先日のNTTのデータ流出のように発見が不可能ということではどうしようもないわけでありまして、そういう点についての御見解をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 制度的な面では、このシステムの端末を保持するすべての関係者に本人確認情報の漏えいを防止するための安全確保措置を義務づけることといたしております。
 その他の担保措置も講じているところですが、技術的にも、一つは、端末操作の権限を有する職員についてはその職員ごとに操作が可能な情報の範囲を限定するということにいたしておりまして、第三者や権限を有しない職員がデータベースに自由にアクセスするということは不可能といたしております。
 また、万が一権限を有する職員が故意に漏えいや盗用の目的で操作をするという場合には、これもなかなか難しい面もありますが、端末からの各種操作の記録、ログを残す、その記録を管理して定期的に不正操作がないかどうかをチェックする、こういうこと。また、そのログそのものを偽造、変造するということもありますので、そういうことを目的とした不正アクセスができないようにすることなどによりまして不正利用者を特定することができるようにしてまいりたいと考えております。
 さらに、端末操作の権限を有する職員の入退出の管理を徹底することなどによりまして、不正利用が行われないような厳正な運用を行っていくということで考えております。
○松岡滿壽男君 今回の住民基本台帳ネットワークシステムの構築に要する経費は、いわゆる初期投資が四百億円、それから年間のランニングコストが二百億円要するという試算でありますけれども、合わせて六百億円の投資になるわけです。
   〔委員長退席、理事山下八洲夫君着席〕
 今まで、それぞれ市町村でコンピューターに入力したり、いろいろ努力をしてきています。それの投資がやっぱり最初にあるわけです。さらに、それをベースにしていますからそれほど金がかかっていないにしても、それぞれ広域市町村で、この前視察に行きました浜松とか豊田町とか、それぞれ皆全国的にああいうことをやっているわけです。
 そうすると、確かに広域圏の中では住民票がどこへ行ってもとれるという仕組みにしているから、まずベーシックな三千三百の市町村でそういうことをやりながら、なおかつ広域でやってきて、今度は全国的に四項目だけやっていくと。そういう投資が少なくとも二重──三重までいかないにしても、それだけの投資をこの時期にするということになるわけでありますが、それだけの投資をするわけですから、どれだけの効果が、そのコストに見合うものが期待できるのかということにつきまして伺いたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 今、コストとその効果ということでございますが、現在住民基本台帳の事務、戸籍事務を含めてですが、三千億円ぐらいの経費で全地方公共団体というか全市町村で処理を行っているわけでございます。
   〔理事山下八洲夫君退席、委員長着席〕
 今回のシステムの経費でございますが、まず基本的な導入経費といたしまして、システムの基本設計費、またコンピューターの設置工事費、ネットワークシステムのテスト経費、それから、これが大きいんですが、既存の住基データをこのシステムに移行するための経費、こういったことで約四百億円を見込んでおります。また、年間経費といたしましては、コンピューターのリース料、維持費、また電気通信回線の使用料、こういったことを中心として約二百億円を見込んでいる、こういうことでございます。
 他方、このシステムにより期待される効果といたしましては、住民サイドでは、全国どこの市町村においても自分の住民票の写しをとることができる。また、各種の行政手続での資格申請あるいは授権といった行政手続の際に住民票添付の省略が可能となる。それから、住民基本台帳カードを利用した場合にはさまざまな行政サービスや広域的なサービスが受けられる。これはそれぞれの市町村の取り組みによるわけでございますが、そういう取り組みが可能になってくるということでございます。また、希望すれば住民基本台帳カードを身分証明書としてお年寄りとか御婦人が利用できる、こういうことでございます。また、成り済まし転出というものの不正行為をこのカードを使う場合には防止ができる、こういったようなメリットがございます。
 その反面、翻って行政サイドにおいては、その分窓口業務の簡素化によりまして窓口人員の一部を他の行政分野、福祉分野などで活用することが可能になってくる。また、国の行政機関においても、システムから本人確認情報の提供を受けられるので事務の簡素化、効率化が図られるということで、国、地方を通じた行政改革につながるメリットがあると考えております。さらには、将来的ですが、災害時における本人確認情報のバックアップが可能になる、また将来、電子申請、ワンストップサービスなどにおける本人確認に活用することが可能になってくる、こういったメリットも想定できるというふうに考えております。
○松岡滿壽男君 いろんなメリットは今の御答弁でわかるんですけれども、この四つだけの情報では結局住民基本台帳事務、今市町村がやっている本籍とか筆頭者とか国保とか国民年金とか、それからあとまた介護保険とか選挙人名簿とかいろいろくっつけてやっています、それぞれ市町村で。そういうものがまた後追い事務になって市町村における事務の複雑化とか増大化というものが考えられぬかなという懸念があるんです。結局、今市町村がやっていることを、この四つにまたたくさんぶら下げていった方がある面では便利がいいわけです、せっかくやられるのなら。だけれども、とりあえず四つだよと言っておって、あとまたこれをぶら下げるという話になっていくといろいろ複雑になるし、後追いになっていくし、その辺を恐らく市町村は皆懸念していると私は思うんです。
 その辺の話し合いというのは、例えば市長会とか町村会の方から、先ほど高橋先生がちょっと聞いておられたけれども、どの程度のやりとりが今まであったのか、その辺のお考えを伺いたいと思うんです。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。
 このシステムにおきましては、お話のようにこのシステムの保有の対象となる情報の範囲をいわば氏名、住所、性別、生年月日の四情報とプラス住民票コードと付随情報といういわゆる本人確認情報に限定して法律で定める、こういうふうにしているわけでございます。住民のプライバシー保護の観点を重視して本人確認のために必要かつ十分なものという考え方でございます。
 一つは、この情報の範囲というものを拡大していくかどうかといったことでございますが、今回の法案ではこの四情報プラス、コードと付随情報で必要かつ十分ではないか、このような考え方でおります。その先のことにつきましては、やはり住民基本台帳制度のあり方、あるいはプライバシー保護の観点などを踏まえて慎重に検討していく必要があるだろう、このように考えております。
 さらに、これをどの行政分野で活用するかということもあるわけでございまして、今回の法案では各省と調整の結果、十六省庁九十二事務における住所確認、また生存確認というものに活用するということで法律案を立案しているところでございます。その後の拡大については、これまでも種々御論議がございますが、他方でプライバシーということも考え、また市町村の実際の需要というものも踏まえながら、これからまずこのシステムを構築し、稼働していく中でまた相談をしてまいりたいと考えております。
 なお、それぞれの市町村あるいは地域で共同でさらに住民基本台帳を活用することによって情報化に対応していくということについては、可能なようにそれぞれの市町村において条例で定めた場合には、その目的の範囲内で、独自あるいは共同してカードを活用することにより高度な行政サービスができる、このような仕組みをカードにはつけ加えておりますので、それによって対応することが可能だと思います。
○松岡滿壽男君 せっかく市町村で三千億かけて住民基本台帳を整備してきている。それで、今度、国が六百億投下してやるわけですから、生き目のいく使い方をしなきゃいかぬと思うんです。今の局長の御答弁だと、四つの情報だけじゃなくて、本人確認情報ということになると、住民基本台帳事務である本籍、筆頭者、国保、国民年金まではそれにプラスするというような御答弁なんでしょうか。
○政府委員(鈴木正明君) 今回のシステムにおきまして、本人を確認するための情報としては、この四情報と住民票コードと付随情報ということで必要かつ十分と考えております。
○松岡滿壽男君 四つの情報でいいということですね。
 だけれども、今既に法律に基づいて市町村がやっている仕事が先々ついてくるということが読み 取れるわけです。だから、その辺の先が見えないので、市町村が困惑している部分があるので、その辺のお互いの対話をきちっとしておく必要があるんじゃないかということを私は指摘しておるわけで、せっかくつくれば、生き目のいく使い方を、国民の税金を使ってやるわけですから、きちっとやっていただきたいということなんです。どこでも住民票がとれる利便性はあるんだけれども、本当にそういうコストに見合った効果を期待するのであれば、先ほどから申し上げていることをよくお考えいただいて実行に移していただきたいということを私は申し上げておるわけであります。
 時間が参りましたので、今の点は要望にとどめたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(小山峰男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(小山峰男君) ただいまから地方行政・警察委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日、午後は、本法律案の審査に関し、参考人の方々から御意見を承ることといたしております。
 参考人の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を承り、本法律案の審査に反映させてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様方からそれぞれ十五分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、最初に堀部参考人からお願いいたします。

・・・・・・・・以下、サイト管理者、未整理

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