住民基本台帳法の一部を改正する法律案に関する国会での審議 

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第145回国会 地方行政委員会 1999年5月18日

衆議院議事録

当サイト管理者による解説
 公明党の三委員の質問(白保委員の最後の質問、同富田委員の冒頭の発言、同桝屋委員の質問)と、それに応じる野田自治大臣の答弁は、6月8日の自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党による三派共同提案につながっているように読めます。改正住基法が可決されても、施行までに個人情報保護法が制定されれば、問題点は全て解決するので、それを自治大臣が確認すればOKというように。

 質問者 桑原豊(民主党)
 質問者 白保台一(公明党)
 質問者 富田茂之(公明党)
 質問者 桝屋敬悟(公明党)
 質問者 春名直章(日本共産党)
 質問者 知久馬二三子(社会民主党)
 ※ 強調は、当サイト管理者による。


坂井委員長 これより会議を開きます。
 第百四十二回国会、内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桑原豊君。
桑原委員 おはようございます。民主党の桑原でございます。
 今までこの住民基本台帳法の改正の議論を私なりに聞いてまいりました。法案の提案理由にもございましたように、住民の利便を増進するということと国や地方公共団体の行政の合理化、そういうものを進めていく、そして、あわせて住民の本人確認情報の保護という措置をとっていくということでございますけれども、この間の議論を聞いておりまして、いわゆる住民の利便の増進というものを住民側に立って考えてまいりますと、この制度を入れることによって、それほど大きな利便の向上というものがどうも感じられないという点が一つございます。これほどいろいろなことをやって、住民にとって一体どうなのかというところがはっきりしない。
 そして、逆に、個人情報の保護という面では、大きなネットワークシステムということによって、いろいろなセキュリティーが講じられておるわけですけれども、しかし、それは必ずしも一〇〇%ではない。そして、万が一漏れるようなことがあったりねらわれるようなことがあれば、非常に大量の情報というものが悪用される、漏れる、そういう危険性をはらんでいる。
 そして、将来的には、これをいろいろなものに活用することによって、管理社会というものが現出するのではないかというような不安もこれまた大きなものとしてのしかかっている。
 私は、もう一つ、国や自治体の行政の合理化に資するという点では、これは、そういう意味での仕組みは大変取り入れられておりまして、その点だけは非常に合理化ということで進むというように受けとめるわけです。しかし、そうであっても、そのことによって、国や県や市町村のいわゆる権限の問題、責任の問題、そのことが逆に広域化をすることによって非常にあいまいになってくるのではないか、責任の所在が確かなものにならないのではないか、そういった面での広域化に伴う危惧というものも私は覚えるわけでございまして、きょうはそこら辺に少し焦点を当てながらお尋ねをしてみたい、こういうふうに思っております。
 どうも、議論が私どもからすればまだ序の口で、いよいよこれから国民的な関心も呼び、何が問題なのか、何を克服しなければならないのかという大きな論議の渦がこれからではないかというふうに思います。にもかかわらず、何か伝え聞くところによれば、そろそろこの議論は衆議院では終息の方向に向かわせられるというような話も聞くわけですけれども、そんなことがあってはならないと思いますし、ぜひさらに議論を深めていくように、私もそう思いますし、また、そういった方向で審議を進めていただくようにお願いも申し上げたいと思います。
 そこで、まず、この住民基本台帳に係る事務の区分でございますけれども、現在はこれは団体委任事務という区分だろうと思うんですけれども、将来的に分権一括法の後は自治事務ということになろうかと思いますが、この事務区分の区分けについて、県そして市町村、そういう段階でどういうふうに区分けをされるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民基本台帳に関する事務は、現在市町村の団体事務ですが、分権法の改正の後も自治事務というふうに考えております。都道府県は、このネットワークシステムにおいては運営主体という位置づけでございますので、都道府県の自治事務、こういう考え方で基本的に考えております。
桑原委員 都道府県そして市町村の自治事務ということでございます。
 そこで、私は、本来この情報というのは、市町村が汗をかいて住民一人一人と接しながら情報を収集し、登録し、そして、市町村の住民の皆さんにとっても、この情報というのは市町村が責任を持って管理そして運用していく、こういう情報だというふうに考えていると思いますし、本来、基礎自治体としてあるべき市町村の立場からして、そのようにとらえていくというのが私は筋であるというふうに思うわけです。それが、今度の改正では、ネットワーク化をすることによって、国等の行政機関への個人情報の提供、本人確認情報の提供については県の事務ということで、そのことは市町村の手から離れていくことになるわけです。
 この点について、やはり市町村が責任を持って住民に対応する、そんな制度として一貫性を持つべきだ、私はこういうふうに思うんですけれども、その点について、そういう仲立ちを入れてやらなければならないということの必要性というのがどうしてももうひとつ得心がいかないわけでございますけれども、その点について御説明をいただきたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 このシステムは、住民基本台帳制度というものを踏まえまして、さらにその上に広域的なシステムとして仕組む、こういうものでございます。そういう意味におきましては、市町村長はこれまでどおり、住民基本台帳を整備して正確な記録が行われるように努める、また、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるように努める、こういう責務は依然としてあるものでございます。
 それにのっとりまして、市町村の区域を越えた本人確認のための新たな制度ということで、広域かつ統一的な処理を必要とする事務を、いわば広域団体である都道府県がその役割を担うということで、このシステムの運営主体というふうに考えているわけでございます。そういう意味では、市町村と都道府県とが連携をしてこのシステムを成り立たせていく、こういう考え方でございます。
桑原委員 連携をしていくということですけれども、私はどうもそこら辺にむだな、ある意味では屋上屋を重ねて、そして結局は都道府県のさらに上に情報処理の指定情報処理機関を置いて、それは県の委任によってやるとはいえ、中身的には完全に国の監督下でいろいろなことを行っていくということで、まさに自治事務と言いながら、中身は従来の市町村の手から大きく離れて県に行き、さらに国に行くというような、広域化によって自治事務の実態というのが一体どうなっていくのか。
 一方では、自治省は分権の法案を出されておるわけですけれども、そういうものとこれがどう整合性を持つのか、私は非常にそこら辺がおかしなことになっておるのではないかと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 このシステムは、市町村の管理しております基本台帳というものをベースにいたしまして、市町村の区域を越えたいわば本人確認のためのシステムということで、市町村の間の連絡調整を図る、あるいは広域的な、統一的な処理が必要だということで都道府県がその役割を担うということといたしているところでございます。
 そこで、お話しの指定情報処理機関につきましては、都道府県がこういった仕事をしていく場合に、事務処理の効率性あるいは正確性というものを確保するためには全国的組織、専門的組織が一括して事務を行った方が適当である、こういういわば機械的な事務につきまして、都道府県のみずからの判断において、いわば指定情報処理機関を下請的な機関として、そこに委任できるということとしているところであります。そういう意味では、あくまでも都道府県の判断に基づいて事務を委任する、こういう考え方でございます。
    〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
桑原委員 その下請というのは全く私は逆だと思うのでして、国が下請ではなしに、県や市町村がまさに末端であり下請であるというような、そんな扱いを実際には受けざるを得ないのに、虚構的にそういうものを説明するというのでは、本当に私は実態に合わない、実際の運用に合わない、そういうことになるのではないかというふうに思います。
 そこで、少し個別にお伺いをしたいのですが、今度の改正案では、いわゆる広域交付ということで住所地以外の市町村でも住民票の写しの取得ができる、こういうことなんですけれども、このときに、広域交付の申請をする、そしてそれを受理して、それに基づいて交付をするという権限は、権限といいますか事務は広域交付をする市町村の仕事だ、こういうことになるわけですけれども、これは住所地の市町村の権限というものを侵すことにならないのか。
 住所地の市町村は、法に基づけば不当な目的での請求等については拒否ができるというような現行法十二条の規定もあるわけですけれども、そういったことの余地が住所地の市町村にはなくなってしまうのではないか。まさに、情報を管理する前線の、第一線の市町村が全く機械的に、請求をされればそれに従うというような仕組みになるのではないかと思いますが、それはそれでよろしいんですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 今回の改正案で住民票の写しの広域交付という仕組みを設けております。その手続といたしましては、交付地の市町村におきまして、請求者が住民基本台帳カードあるいは自治省令で定める書類を提示して写しの交付を請求する。交付地の市町村長は、電気通信回線を通じて住所地の市町村の市町村長に必要な事項を通知する。それを受けまして、今度は住所地の市町村におきましては、交付地の市町村長からの通知を受けて、住所地の市町村長は交付地市町村長に住民票の写しの作成に必要となる情報を通知する。それで、最後に今度は交付地の市町村でございますけれども、住民票の写しの作成に必要となる情報を受信いたしまして、それで住民票の写しを作成し、請求者に交付する。
 こういう一連の手続を経るということになりまして、住所地市町村と交付地市町村がお互いに連携をして住民票の写しを作成し交付する、こういう仕組みになるわけでございます。
 なお、この住民票の写しの広域交付の場合は、本人あるいはその家族ということにいたしております。
桑原委員 連携をしてその処理を行うというのはそれでわかるのですけれども、そのことによって、一体どの市町村がその交付のことについて受理をし交付をするという責任を負うのか、権限があるのか、一体住所地の市町村というのはどんな位置づけになるのか、住所地の市町村が非常に問題があるとしてそれを拒否するというようなことがこれではできるのかできないのか、そこら辺をもう一回教えてください。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 申請者の本人確認、本人とその家族ですから、そういった本人確認はその交付地の市町村長が行うということでございます。
桑原委員 ですから、住所地の方は、例えば十二条の四項では、市町村長は「請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。」というような規定になっていますね。それでは、こういう判断は住所地の市町村長がするのですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 交付地市町村長が行います。
桑原委員 それでは、住所地の市町村長というのは管理している個人情報についてどういう管理責任を果たすことになるのですか。交付地の市町村長というのは、まさに全くある意味では便宜的にそこを通るわけですから、そこら辺はどういうふうな組み立てになるのですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 先ほどのこととの関連でございますが、広域交付の住民票の写しの場合は本人と家族ということでございますので、お話しの不当な目的とかいうところの議論とは直接かかわりなく、本人、家族ですから写しを交付する、こういうことでございます。それから、住所地市町村長は、住民票の写しの交付に必要な情報を住民基本台帳から抽出いたしまして、それを交付地市町村長に対して送信する、こういうことでございます。
桑原委員 本人とその家族だからそういうことはあり得ないというふうにおっしゃるわけですけれども、私はどうもそこら辺も、たとえ家族であろうと本人であろうと、そんなふうに規定をするというのはどうも納得がいかないわけです。
 それと関連をしてですが、この四情報は、都道府県と全国センター、ここで蓄積をされておるわけですけれども、そこで提供されることについて、市町村というのはどのようなかかわりを持つのか。ともかくそこへ知らせて、市町村が県へ知らせてしまえば、後はその情報がどんなふうに使われてもそれはもう法定でやられることなのだからあずかり知らないということになるわけですけれども、そこら辺私は、市町村の情報の管理といいますか、責任、保護、そんな面からこの制度というのは甚だ問題があるのではないか。
 こういうふうに先ほどの振り出しの議論になるわけですけれども、その点は、そういったことでよろしいのでしょうか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民基本台帳の情報管理の関係で、市町村と都道府県、あるいは全国センターとのかかわり合いでございます。このシステムにおきましては、本人確認情報は、市町村長から都道府県知事及び指定情報処理機関に通知をされます。その磁気ディスクに記録されるということになっております。
 さらに、市町村長が住民票の記載あるいは消除、または記載事項の全部または一部の修正を行った場合には、その事項に係ります本人確認情報を都道府県知事に通知する。通知を受けた都道府県知事は、これを磁気ディスクに記録して、これを一定期間保存しなければならないとされております。さらに、指定情報処理機関にも都道府県知事は通知するということでございまして、これも通知を受けた指定情報処理機関は、これを磁気ディスクに記録し、これを一定期間保存しなければならないとされております。
 そして一方、都道府県知事あるいは指定情報処理機関が、本人確認情報に誤りがあった場合には訂正の申し出などがございますから、それを契機といたしまして、市町村長への通報など、法律でそういう規定を置いておりますので、そういう措置をとりまして、市町村における住民票の記載が訂正される。そういったことで、結果的に本人確認情報が適切に訂正されるということでございまして、都道府県及び指定情報処理機関が保有する本人確認情報というものは、あくまでも市町村の住民基本台帳に記載された情報、これをもとにして行われるということでございます。
桑原委員 市町村が県に、県が指定情報機関にということで、先ほどの説明では、まさに下請的にそれを受けてネットワークが形成されるんだ、こういうことであるならば、私は、下請をしたところはそのとおり元請の要請に基づいてちゃんと執行されているのかどうか、そこら辺に問題がないのかどうか。そういったことを元請が管理監督をしたり、あるいは下請の方から報告をしたりというようなことが仕組みとしてあれば、なるほど、市町村が中心で、それに基づいていろいろなことが運用されているんだなということがわかるのですけれども、ここでいう下請あるいは委任というのは、全く何か逆の上下関係のような仕組みになっていて、そこら辺の仕組みが欠けているのではないか、私はこういうふうに思うのです。
 ですから、下請と何遍言われても、いや、下請ではない、逆だ、こういうふうにしか思えないのですけれども、その点の制度的なそれを保障するものというのは一体何なのですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 このシステムは、市町村が管理しております住民基本台帳の情報、そのうちでの本人確認のためのいわゆる四情報プラス住民票コード、付随情報ですが、それをやはり市町村を越えて利用しようということで、住所地にかかわらず、勤務地であるとか全国で利用できるようにしようとするシステムでございますから、いわば市町村を越える広域的な機能が必要だということで、都道府県がその役割を担うことといたしております。その都道府県が担う仕事のうち、全国的な一つの組織で対応した方が正確性の面あるいは効率性の面で適当であるという事務を指定情報処理機関に委任する、こういう仕組みでございます。
 したがいまして、その指定情報処理機関はいろいろな方式はありますが、指定法人方式という方式をとりまして、地方公共団体が出資する公益法人というものを基本にいたしまして、その他の法律上の基準を満たすものということにいたしておりますが、そこに処理させるという仕組みにいたします。都道府県は、法人監督、指定法人について一般的な監督の方式がございますので、それに必要な監督を行うということで、委託する都道府県、また制度を所管する自治大臣において法人について監督をする、こういうふうにいたしております。
桑原委員 どうも制度の組み立てに私はやはり問題があるのではないか、こういうふうに思わざるを得ません。
 そこで、改正法案の三十条の六という条文を見ておるのですけれども、この条文では、いわゆる四情報で、他の市町村から条例の定めによって本人確認情報の提供が求められたときは、市町村はそれを条例の定めによって提供するものとする、こういうふうに決められております。一見なるほどというふうにも思うのですけれども、こういったことは、ここまで法文でこんなふうな規定をしないと市町村は他の市町村に本人確認情報の提供を求めることもできないし、また提供する側もこの規定がなければ提供できない、そんなことになるのですか。私は、自治事務という考え方に立てば、こういうものの必要性はどうもないのではないかというふうに思うのですけれども、それはどうなのですか。
    〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 今御指摘の三十条の六でございますが、「市町村長は、他の市町村の市町村長その他の執行機関であつて条例で定めるものから条例で定める事務の処理に関し求めがあつたときは、条例で定めるところにより、本人確認情報を提供するものとする。」こういうふうに規定されておりまして、通常は市町村同士のお話し合いになるのだろうと思いますけれども、これは、情報を提供する側の市町村が、自分のところの条例で定めている場合において、条例で定める市町村から、条例で定めている事務について、その処理のために求めがあった場合、こういうことでございます。
 したがいまして、住所地の市町村長が他の市町村長からの情報提供請求に応じるか否か、これはそれぞれの市町村の条例で定めているところということで、まさに自治事務という考え方でございます。
桑原委員 私の言うのは、法律で細々とこういうふうに規定をしなければそういったことができないのかと。市町村が管理をする情報を、市町村の自治事務ということで、いろいろ条例でやろうが何でやろうが、それは自分の判断に基づいてやるべきことだろうと思うのですけれども、こんなふうに条例をつくってやりなさいよという規定まで法律で決めることが、自治事務に対する姿勢としてそれでいいのかということなのです。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 現在、住民票の写しという制度があるわけでございます。もちろん閲覧という制度もございます。それに加えまして、今度、新しいシステムを住民基本台帳の制度の上に付加しようというシステムでございまして、住民票コード及び四情報、付随情報という本人確認情報を提供するシステムを、今回、法律によりきちっと整備をしようとするものでございます。
 基本的には、国の機関等には法律で明確に規定したものに限るとしておりますが、市町村については、お話しのように、住民基本台帳の主体でございます。都道府県については、このシステムの運営主体でございます。そういうことにかんがみまして、条例で利用する対象者を書き、目的を書き、そういう場合には本人確認情報の提供ができる。それは団体自治事務ということで、市町村がそれぞれの議会で御審議いただいて条例で決めることによりできる、こういう考え方で規定を置いているものでございます。
桑原委員 それでは、次の課題についてお伺いいたします。
 住民の利便性の向上を図るということが大きな目的でございます。私は、これが最大の目的だろうというふうに思うのですが、しかしながら、その目的の割に、本当に住民の利便性が大きく向上するようなことになっているのかということについては、甚だ疑問があるというふうに言わざるを得ません。
 いわゆる付記転出届、転出地の市町村へ足を運ばなくても、転入届と同時にカードを提示するということによってその届けが省略をされる。この付記転出届、あるいは、住民票の写しの広域交付の問題も利便性を高めていくということの一つだろうと思いますし、また、住民票の写しを国の行政機関等に届け出をするような場合に、カードを提示すれば住民票の写しの添付が省略をできるというようなことなど、利便性の向上を挙げておられるわけですけれども、この点について少しお伺いをしたいと思います。
 まず、付記転出届の場合に、転入先の市町村へ赴くわけですけれども、そこで本人の識別というのはどんな手段でなされるのか、お伺いしたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民基本台帳カードによる本人確認は、このカードの暗証番号、パスワードの照合あるいは申請書の記載内容とカード内の情報の照合、これによって的確に行うというふうに考えております。
桑原委員 このカードの暗証番号なのですけれども、これは、カードのICチップの中にその番号を入れるというふうに理解をしてよろしいのですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民票コードはICカードの中に記載する、こういうふうに考えております。
桑原委員 いや、住民票コードではなしに暗証番号の方なのです。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住基カードを使用する場合のパスワードにつきましても、本人確認のために必要ですので、カードの中に記載するという方向で考えております。
桑原委員 それは、ICチップの中に入れるということですね。
 それで、最近の犯罪といいますか、暗証番号などを違うものに偽造して、そのカードを使って金融犯罪に及ぶというようなケースがあるわけですけれども、そういったことに対する予防というのはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
鈴木(正)政府委員 住基カードによる本人確認の場合でございますけれども、一つは、お話しのパスワードの照合ということですが、この際に申請書も出していただくわけですから、申請書の記載内容とカード内の本人確認情報との内容の照合ということで本人確認を的確に行っていく、こういうことでございます。
桑原委員 例えば、暗証番号を偽造することによって、そういうことによる犯罪があるということなんですけれども、そういうことを予防するセキュリティーというのはあるのですか。例えば、直接役所のコンピューターに暗証番号を登録をして、それと連動しない限りは使えないというような仕組みにするとか、そういった方法があるようなんですけれども、そんなことも含めてセキュリティーを考えておられるのかということです。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住基カードには、高いセキュリティー機能ということでICカードを使用するということを考えているわけでございます。
 このカードの特性といたしまして、こじあけ等の物理的な攻撃に対して強い、あるいは、第三者が不正にカードの情報の読み取りや書き込みというものを行おうとした場合に、自動的にそれができなくなる機能を持つとか、あるいは、カードと市役所のコミュニケーションサーバーとが相手の正当性を相互に確認し合う、こういう機能というものを有しているわけでございまして、こういった機能によってカードの偽造を防止できるというふうに考えております。
 また、カードの紛失などの場合には、その届けを出すということにいたしまして、速やかに全国の端末での利用を停止するという措置を講じるということにいたしております。
桑原委員 そういうセキュリティーがあるにもかかわらず、それを偽造するということが行われている。
 さらに、そういうことで悪用させないために、先ほど私が申し上げましたように、役所なり、民間でやられる場合には、金融機関なりのコンピューターにパスワードを登録して、そしていかに偽造しても、そのナンバーではもうこじあけることができないというような、新たなセキュリティーのようなものを考えて対応しているということが行われているわけです。そういったことまでこの仕組みの中では考えているのか、それは今のICの中に埋め込むことによって十分なんだ、そういうことなのかということを聞いたわけです。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 ICカードのセキュリティー機能というものにつきましては、先ほどお話ししましたが、高いセキュリティー機能を持つということで、その活用というものを考えているわけでございますけれども、議員の御指摘の点につきましては、十分その点も踏まえて、これからさらに効果的な利用というものを考えてまいりたいと考えております。
桑原委員 住民票の写しの広域交付の問題でございますけれども、法案では、台帳カードまたは自治省令で定める書類を提示すれば住民票の広域交付が受けられるということで、台帳カードを持っていない場合もかわるもので対応できるということなんですが、この自治省令で定める書類というのはどんなものを想定されているのか、お伺いをいたします。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民票の写しの広域交付の関係でございますが、ここで自治省令で定める書類といたしましては、詳細は未定でございますが、例えば運転免許証、パスポートといった本人確認をするに足りる書類ということを予定いたしております。
桑原委員 現在、全国的な広域交付ではございませんけれども、例えば浜松方式であるとか、各地で、私の住む金沢なんかも周辺のところと提携をしてやろうということですけれども、そういった周辺を含めたいわゆる広域交付ということでいろいろな試みが行われておるわけです。私は、住民の利便を考えていく上では、それで本当にかなりの程度カバーできるのではないか、こういうふうに考えておるわけですけれども、この自治省令で定める書類を提示してやる方式と今行われているような浜松方式などとはどこがどんなふうに違うのでしょうか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 今お話しのように、各地において、それぞれの市町村が協力し合って住民票の写しの広域交付に取り組んだり、あるいは取り組みを検討いたしたりいたしております。お話の出ました浜松市を含みます静岡県の西部の地域では、二十二の市町村でございますけれども、事務の相互の委託方式というやり方で住民票の写しの広域交付を実施しているということでございます。
 こういった取り組みは、それぞれの市町村が自主的に、また個人情報の保護に留意しながら、住民サービスの向上のためということで取り組みを進めているということで、評価をいたしているわけでございますが、何分にも現行制度の活用ということでございますので、この静岡の場合は二十二市町村でございますが、エリアが限られる。全国的な形、市町村を越えるあるいは都道府県を越える全国的な形で本人確認ができるというシステムにするには、今回の改正法案が必要である、こういう考え方でございます。
桑原委員 特殊な仕事をやっておられて、しょっちゅうそのような広域交付の必要性があったり、あるいは届け出についての住民票の写しの添付を省略することが非常に大きなメリットになるという方もそれはあるとは思うのですけれども、一般の住民の皆さんにとって、そういったケースは非常に数少ないものだろうと私は思いますし、それから地域的にも、浜松のようなケースの方がむしろ全国的な展開よりもかなりウエートが高いのではないかな、こういうふうに思うのです。
 加えて、先ほども少しお話をしましたが、暗証番号というものについては、暗証番号ということでいろいろな危険性、それが盗まれる危険性といいますか、読み取られる危険性というものがかなりあるというふうにも思いますし、また、ICの中に暗証番号を埋め込んでも、それをさらに読み取っていく、改造していくというような技術もあるということであれば、こういった住民票コードを入れることによってこのようなシステムをつくっていくということの住民サイドから見たメリットというのは、必ずしもそんなに大きなものではないのではないか。
 例えば、そういう具体的な申請があったときに、本人確認をする手だて、さっきお話しになられましたけれども、例えば運転免許証のようなものですとか、そういうものの提示があったときに、それを本人確認の手だてとして住所地の市町村長にファクスで送信をして、電気通信回線で送信をして、そして住民票の写しとかそういうものを取り寄せていく。
 そのような手だてにした方が、いろいろなやりとりでございますから、多少時間はかかりますけれども、住民基本台帳を管理する住所地の市町村長のいろいろな保護監督権限、そんなものを尊重した上で事務のやりとりをしていくというやり方の方が、本当はより確実といいますか、市町村の権限というようなものも尊重したやり方ではなかろうか、こういうふうに思うんですけれども、その点についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 現在行われている市町村間の相互協力による取り組みというものは大変評価しているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように非常に地域的に限定される。例えば首都圏の場合ですと、県を越えて隣県から東京都に通勤の方もいらっしゃいます。また学生さんの場合ですと、全国から東京都に入ってきたり、あるいはそれぞれの大学の所在地、地方の方に行かれるとか、また就職のこともありますし、それから就業の問題もありますので、実態としては、住民の方々の移動というものはかなり全国的に行われているということがあるのではないかということが一つ。
 それから、最初の方で御議論いただきました住所地市町村長の責任と交付地市町村長の責任というものをやはり法律上明らかにしていくということが、これからそういった全体的な、広域的な交付ということを考えますと、法律上そこを明らかにしていくということが適切であるということで、今回改正法をお願いしている次第でございます。
桑原委員 どうもその利便性というものがこの法案提案の一番最初に最大のメリットとしてうたわれている割には、私は必ずしもそのような内容になっていないのではないかと思うんです。そして、むしろそれにかわる手段、先ほどの、自動車の免許証やパスポートで本人識別をして、そしてファクスなりでやりとりをするというようなかわる手段もあるわけですから、そういったことなども考えてやった方が、いろいろな意味で市町村長の権限、そういったものも侵すことなく進めていくことができるのではないかということを申し上げて、この質問は一応終わりたいと思います。
 それで、次に、プライバシーの保護、人権尊重、そんな角度からちょっとお伺いをしたいんですが、標準の文字以外のいわゆる外字というのがございますね。私の名前なんかも、私は豊という名前なんですけれども、いわゆる昔風の大変込み入った名前で登録をされておりますけれども、住所にしてもそうですが、そういういわゆる外字というものがあるわけです。
 この外字の扱いは、それぞれの市町村で大変苦労をされて、いろいろと長い努力をされて積み重ねてきた歴史がありまして、特にこの問題はアイデンティティーといいますか文化というか人格権というか、そういったものと深くかかわりがあるということで尊重をされてきているわけですけれども、自治省の考え方では、この機会に外字の統一的処理と細部にわたる効率化というようなことで、これをある程度標準化をしていくというような考え方なのかどうか。
 そこら辺、私は、外字というものをちゃんと尊重したネットワーク、仕組み、そんなものを考えていくべきだ、ネットワークをやるということになれば当然そうだというふうに思うんですけれども、その点、この外字についてはどのような扱いを考えられているのか、お尋ねをしたいと思います。
鈴木(正)政府委員 このネットワークシステムを組む場合の外字の扱いの関係でございます。
 このシステムでは、住所に使用されている一定の外字につきましては、標準文字として統一コードを定めていきたいと考えております。住所関係のものです。その他の外字につきましては、今お話がございましたが、図形情報として取り扱うという考え方でございます。したがいまして、上記以外の、今申し上げました以外の外字については、人名をあらわす漢字を含めまして、標準文字としての統一コードを定めるということはしないで、その外字の字形を図形情報として取り扱うということでございます。
 もちろん、詳細な取り扱いにつきましては、法律を認めていただいた後に、市町村における円滑な業務運営と、今先生のお話がございましたが、そういう円滑な業務運営が可能となるよう、システム構築については十分な検討を行っていきたいと考えております。
桑原委員 住所地は別にして、名前の方は図形情報ですか、そういう形で尊重していくんだということですが、私はこの外字というのはかなりの量があるのじゃないかというふうに思いますので、そういった意味でのコストなんかについてはどういうふうに考えておられるのか、お尋ねをいたします。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 外字の基本的な扱いにつきましては今ほど述べたところでございます。こういった取り扱いを行った場合に、すべての外字に統一コードを付して運用する場合、それとの比較がありますが、各市町村が既に利用している外字とこのシステムで規定した外字のコードと字形を比較、変換する作業というものが要らなくなるということでございますので、それとの比較の問題でございまして、経済的な手法ということを頭に置きまして、今後、十分検討してまいりたいと考えております。
桑原委員 それでは次に、現行法第十一条では「住民基本台帳の閲覧」「何人でも、市町村長に対し、住民基本台帳の閲覧を請求することができる。」ということで、原則公開といいますか、そういう仕組みになっており、市町村長がその必要によってそれを制限できるというような規定になっていると思うんです。私は、個人情報というのは、何でこの規定がそうなるのかよくわからぬのですが、むしろ原則非公開であって、そしてこの情報についてはこういう理由で公開だというような規定の仕方であるべきではないかと思うんですけれども、この点について、なぜこういう規定の仕方になっているのかということを教えていただきたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 現行の住民基本台帳制度におきましては、住民基本台帳が住民の居住関係を公証するということと同時に、国及び地方公共団体のあらゆる住民に関する行政の基礎となるものであることにかんがみまして、不当な目的によることが明らかな場合等を除きましてこれを何人にも公開するということといたしまして、住民の利便及び地方公共団体の行政のために活用されることを予定している、こういう考え方でございます。
 住民基本台帳の閲覧は、世論調査あるいは学術調査、市場調査などの各種の統計調査を行うときの最も基本的なベースとして広く活用されております。こういったことで、住民基本台帳の閲覧を抜きには正確な統計調査などを行うことが極めて困難であるということでございまして、こういった現状にかんがみますと、住民基本台帳の公開原則を根本的に見直すということにつきましては慎重に判断する必要がある、このように考えております。
桑原委員 今度の改正では、四情報が原則公開、こうなるというふうに解してよろしいわけですか。今までの住民基本台帳の物の考え方と今度の四情報の公開の考え方、ここら辺の関係はどうなんですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 現行制度におきましては、住民票の写しの交付につきまして、市町村長は、特別の請求がない限りですが、氏名と住所と性別と生年月日の四情報以外の情報の全部または一部を省略することができるとされております。各市町村においては、適正な住民記録の管理の観点から、特別の請求がない限りこれらの四情報に限った住民票の写しの交付が行われている、このように考えております。
桑原委員 そうすると、新しい改正案での考え方と基本的に相違はない、こういうふうに解してよろしいわけですか。
鈴木(正)政府委員 そのとおりでございます。
桑原委員 ここで大臣にお伺いしたいと思います。
 私は、四情報の公開は、プライバシーを尊重していくという新しい社会でそれでよいのかというふうに思っておるわけですけれども、四情報というのは氏名、住所そして性別と生年月日ということなんです。
 これまでいろいろダイレクトメールなどで悪用されてきた生年月日というのが、そういう意味では非常に大きな要素になってきたと思います。あるいは生年月日と男女別なんですけれども、例えば性同一性障害の患者であるとか、性別を知られること自体が人格権の侵害だ、こういうふうに受け取る人々の存在とか、そんなことが私はこれからどんどん出てくるんではないかというふうに思うんです。そういう意味では、性別や生年月日はそんな大したことじゃないじゃないかというふうに思われる向きもあるわけですけれども、この二つの情報は、名前と住所とはちょっとまた違う意味づけができるんではないか。
 そういう意味では、行政情報としてそれらを公開していく、使っていく、提供していく、そのことはそれでいいと思うんですけれども、閲覧なども含めてそれ以外の公開は、やはり生年月日や男女別については本人同意というようなものが必要なのではないか、プライバシー保護の観点からこれからそんなことの必要性が出てくるのではないか、そんなふうに思うんです。
 これは、少しこの先未来の考え方も含めた話になるわけですが、大臣としてどういうふうにこの問題をとらえておられるか、お伺いをしたいと思います。
野田(毅)国務大臣 今の住民基本台帳制度のもとにおける取り扱いについては、先ほど来局長からるる御答弁申し上げたとおりでございます。いずれにせよ、住民の利便それから地方公共団体の行政のために活用されるということを予定しておるわけであります。
 住民基本台帳の閲覧というのは、世論調査、学術調査それから市場調査などの各種の統計調査を行うときの最も基本的なベースとして広く活用されているものでありまして、住民基本台帳の閲覧を抜きに正確な統計調査などを行うということは極めて困難なものであると考えられます。
 そういう現状をかんがみますと、四情報のうちで、今御指摘のような性別と生年月日だけは区別して本人の同意を開示要件にするということについては、ちょっと慎重な検討、対応、判断をする必要があるのではないか。
 将来的にどうかという御質問であるわけですが、プライバシーの保護のあり方の問題としてその点で将来的に検討していく余地は私はあると思いますけれども、そもそも住民基本台帳の閲覧という今日行われておりますこの原則、その目的というのは先ほど申し上げたとおりでございますので、今ここで直ちに御指摘のような形での限定をするということについては慎重な判断に傾かざるを得ないというふうに考えます。
桑原委員 時間も迫ってまいりましたが、住民票登録情報の閲覧、交付の問題なんですけれども、自己情報の開示につきましては、その情報の開示を求めるとかあるいは訂正を求める、それに対する通知というようなことが規定をされております。しかし、先ほど、県は市町村の、そして指定情報機関は県の、こういう下請の関係だ、こういうふうにおっしゃられたんですけれども、私は、基本にあるのは市町村のもとに生活をしている住民の皆さんだ、こういうふうに思うわけですね。市町村もある意味では住民の負託を受けて管理をしている、そういう関係だというふうに思うんです。
 その住民の方が自分の情報の開示を求めると同時に、下請機関たる市町村や県や指定情報機関に対して自分の情報の開示の履歴、これは開示の請求なども含めてこれを求めるということは、当然の権利だろうというように思うんですけれども、このことが規定をされておりません。その点について、私は規定すべきだと思うんですけれども、どう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民の方々の自己情報の開示とかあるいは訂正といったこととの関連でございます。
 このシステムにおきましては、本人確認情報の提供を受けるという機関、またその利用目的というものは法律で明確に規定しておりまして、国民の目に見えるということでございます。また、都道府県が本人確認情報を利用、提供する場合には、条例により明確に定めるということでございます。
 このシステムの運営主体であります市町村長、都道府県知事、それから指定情報処理機関、また本人確認情報を受け取る受領者、そういったところで本人確認情報を本来の目的以外に利用、提供することは禁止しているということで、法律、条例で明らかにされている者が明らかにされている目的のために使うということでございます。
 また、都道府県知事または指定情報処理機関は、本人確認情報の国の機関などへの提供、いわばこのネットワークから外の国の機関等への提供の状況については、報告書を作成して、これを公表するというふうにされているところでございます。そういう意味で、今回のシステムにおいては、住民の方がみずからの本人確認情報について、どういう目的でどの機関が利用しているかということを知ることができる、このように考えております。
桑原委員 不正なそういうアクセスなどというものはあり得ないというような考え方のようですけれども、私は、やはり個人情報の保護ということを考えるならば、そうした履歴を知り得るそういう制度的な保障というのは当然必要だろうというふうに思います。
 時間がなくなりましたが、最後に、厚生省の課長さんにもおいでいただいておりますので、現在既に自治体のカードで住民の医療情報、福祉情報、そういったものを入力している、そういうカードを運用している市町村もございます。また、この基本台帳カードに将来的にそういった情報を入れていくということについては、自治省も一つの例として説明をされているわけですけれども、医療情報、福祉情報ということになりますと、個人のプライバシーに大変深いかかわりを持ってまいりますし、また、この情報の特殊性からして継続性なども求められると思います。
 単にチップに余裕があるから入れるということではなしに、いろいろな角度からの検討が必要だと思うんですけれども、こうした現状とか、将来の情報を入れていくことが可能だということについて、厚生省としてどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
中村説明員 厚生省の政策課長でございます。ただいまの先生の御質問についてお答えさせていただきます。
 医療、福祉の情報化につきましては非常に重要なことだと考えておりまして、厚生省といたしましては、情報そのものをよく活用していただくこと、それからサービスの利用者の立場に立って情報化を図っていただくこと、それから今御指摘のありました個人情報の保護を含めまして情報の安全性の確保に努める、こういう基本的な考え方に立って、しかし、積極的に情報化の推進を図っていきたい、こういうふうに考えております。
 先生の御指摘にございましたように、保健、医療、福祉等の個人情報のカード化、これは幾つかの自治体で取り組まれております。そういった場合につきまして、医療情報につきましては、特に標準化を図ること、それからその情報を活用する場合の本人の御納得といいますか、同意といった問題、それから情報提供範囲をどうするかといったような、個人情報の十分な保護について検討する必要があるというふうに考えております。
 厚生省の方では、ICカードを保健、医療、福祉に使うというようなことについて、実は昭和六十二年からフィールド実験をしておりまして、平成六年七月にそれらの実験の成果を踏まえましてガイドラインをつくっております。時間の関係でそこで規定しておりますことは省略させていただきますけれども、いずれにしても、カード化によりましてこういう保健、医療、福祉情報を取り上げていただく場合、そういったガイドライン等で規定してありますことを十分踏まえた上でやっていただくことが必要ではないかというふうに考えております。
 仮に、住民基本台帳のカード化がこういうことに活用される場合には、当然のことながらそういうガイドラインを踏まえた上で活用を検討されるということ、特にほかの用途と重複して使われる場合にはそういった面での配慮がなおさら必要になるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
桑原委員 時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
坂井委員長 次に、白保台一君。
白保委員 大分議論も進んでおりまして、いろいろと皆さんの質疑等を聞いて、また答弁等も聞いてまいりました。
 そこで、私は、どうしてもひっかかることが一つあるものですから、まず最初にそれを聞いておきたいと思っております。
 何度もこの話は出てくるんですけれども、中間報告の中で、「すべての住民を対象として、生涯を通じて一つの番号を付すものであり、その導入が及ぼす社会的影響は、極めて大きいものがあると考えられる。したがって、導入に当たっては、住民の理解を得る必要がある。」この「住民の理解を得る必要がある。」という文は、先般もお聞きしましたが、その住民理解というのは、局長、どういうふうに考えられているんですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 この新しいシステムというものにつきましては、これまでも御説明をしてまいりましたが、住民基本台帳制度というものを踏まえまして、その上に全国的な、いわば市町村の区域を越えた本人の確認のシステムを構築するものだ、それは地方団体主体で、都道府県と市町村が連携をして築き上げていくんだ、その際に一番重要なことはプライバシーの保護、個人情報の保護ということであるから、十分それを念頭に置いて法律上のとり得る措置というものを講じていくということでございます。
 現在、民間分野を含めました個人情報保護法制というものはまだまだでございますので、そういったことも十分念頭に置いて必要な手だてを講じるということでこのシステムなり法律改正を考えてきたわけでございますので、その趣旨について十分国民の方に御理解いただくということで考えております。
白保委員 今のお答えは私の質問の答えになっていたんでしょうか。
 例えば、私などは、皆さんそうですけれども、毎週地元に帰りますね。帰りましたら、白保さん、今何をやっているんですか、こういう話になるのです。いろいろお話をします。そして、例えばこういうことですよということで、今議論になっていることに住民基本台帳法の改正の問題がありますという話をしますと、大体みんな初めて聞くような話です。そして、それからお話を、それじゃということで一つ二つ話をしてやると、だんだん話を聞いてきますね。住民の理解を得るというのは、局長はいろいろと話されましたけれども、私の方がよほど努力しているのです。お礼を言ってもらわなきゃ困ります。本当にそれぐらいみんな知りません。
 そして、話をしていきますと、先ほどの答弁の中にもお話がございましたように、プライバシーの問題、この問題についてやはりいろいろと懸念を示される方々もおられます。あるいはまた、私のところは遠いですから、便利になっていいですねなんと言う人も中にはいます。そういう面では、まだまだ理解をされていないというのが状況ですね。
 ですから、そういう面で、もっともっと努力が必要であろう、こういうふうに私は思うわけですが、ここで懸念というものの一つにプライバシー保護の問題がありますね。これは中間報告のときにはいろいろな意見が出されたわけですが、この中間報告自体にも、「住民の理解を得るためには、住民基本台帳番号制度の活用と関連して、特に懸念されるプライバシーの保護の問題について、次のような点を中心として更に検討を行う必要がある。」として、五項目挙げているわけです。
 一つは、「センター等において、この個人情報の保護を適正に行うためには、どのような具体的措置が必要か。」この検討が必要である。五項目のうちのまず一点ですよ。こういうふうに検討を必要としているということが言われているわけですね。
 この問題について、それではどのような具体的措置が必要かという検討がなされたのか、基本的な問題ですが、お答えいただきたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 特に、全国センター、指定情報処理機関について、個人情報保護を適正に行うための検討措置ということでございます。
 具体的には、制度面、システム面とございますが、制度面におきましては、本人確認情報の提供先、利用目的というものを法律で具体的に規定するという措置を講じている。また、関係機関に対する安全確保措置、また従事する職員について秘密保持の義務づけ、これはいろいろ、その後四年間にわたる検討の中で、試案も公表いたしましたし、国会での御議論もありました。そういうものを踏まえまして、委託業者も含めまして、この安全確保措置及び秘密保持の義務づけを講じております。また、本人確認情報の目的外利用を禁止する措置を講じております。民間部門の住民票コードの利用禁止ということも法律に書いております。
 また、システム面におきましては、ICカードや暗証番号によるコンピューター操作を行う者の厳重な確認を、また通信相手となるコンピューター同士では相互の認証を行う仕組み、また専用回線上の本人確認情報は暗号化で行う、またネットワークシステムに蓄積されているデータへの接続制限を行う、またデータ通信などの履歴管理、操作を行った人の履歴管理という措置を講ずるというふうにいたしております。
 運用面でも、きちっとした体制がとれるような措置を講ずるということといたしているわけでございまして、本人確認情報を厳格に保護するということで具体的な措置を講じているところでございます。
白保委員 それで、今五項目のうちの一項目についてお聞きしましたが、二番目、三番目、四番目、五番目を申し上げますと、「センター等を窓口とした住民基本台帳番号に関する情報の提供は、どのような条件、手続きの下に行われるべきか。」三番目に「住民基本台帳番号を利用する個別の行政分野においては、どのような個人情報の保護措置を設けるべきか。」そして、四番目に挙げられたのが「民間の機関が、住民基本台帳番号をキーとして、独自のデータベースを構築すること等も予想されるが、このような民間の活動についてどのように対応していく必要があるか。」五番目に、先ほどもありましたが、「交付された番号カードを偽造されたり悪用されないようにするためには、どのような対策を行う必要があるか。」ということについて、一つ一つ検討がなされてきたと思うのですね。
 しかしながら、ここへ来て、これだけ多くの議論が行われて、そして疑問が出されている。皆さんがそれなりに大変に努力をされて、そして何とか通したいということでもって御努力をなさってきたんだろう、こういうこともよくわかるのですが、まだまだこういった疑問が残されている状況であります。
 そこで、私は、この問題について国民の納得のいく状況をつくるにはさまざまな方法があるだろうと思いますが、この間の参考人質疑の中でも、堀部先生は、中間報告の後、大きな疑問を投げかけていろいろなところで書いておられましたけれども、その後、ここがもう限界だなどという話をこの間されておりました。
 しかし、まだまだ、国民の納得というものがいっているのかなということで考えると、先ほど申し上げましたように、住民理解というのは進んでおりませんから、そういう面で納得のいく方法には幾つかの努力が必要だろうというふうに思いますが、一つは、大臣、行政番号を利用する際の規制に関する立法ですね。前回も、これはこの法律改正だけでたえられないんじゃないのか、大きな視野に立って国民のプライバシーを守るためには政府全体としての法改正が必要であろう、新しい立法が必要であろうということを申し上げました。
 一つは、行政番号を利用する際の規制に関する立法、あるいは個人情報の保護のためのオンブズマンの設置、こういう人権にかかわる問題について、政府全体としてきちっとした方向性を示していくことが国民の理解、また懸念を払拭する一つの道である、こういうふうに思うわけですが、もう時間がありませんので、最後に大臣の答弁をお聞きしたいと思います。
野田(毅)国務大臣 この行政の効率化あるいは住民の利便性の向上という問題、それと個人情報の保護、いわゆるプライバシーの保護ということをどうやって両立させるか。できるかできないかという議論よりか、どうやって両立させるかという形にいくべきじゃないか、そういうふうに大変な努力をしていかなきゃならぬと私は思っております。
 この法案におきましても、今日時点で可能な限りのそういう個人情報の保護のための仕組みを、あるいは制度面なりシステム面なり運用面において講ずることにいたしておるわけでございます。しかし、いろいろなそういう技術の世界の進展等々もあるわけですから、これで万全だということにはならぬのでしょう。そういう意味で、その進歩に応じて、そういう安全性、セキュリティーの対策もさらに高度なものに発展をさせていかなければならぬ。
 そういう意味で、住民基本台帳のネットワークシステムの導入ということのみならず、今御指摘ございましたが、民間部門を含めた個人情報保護についての重要性というものは、今回の法案の御審議をちょうだいしていることで、国民的にその重要性についての認識がさらに高まっていって、よりよい内容のそういった法整備ができていくということになっていくならば、大変いい方向の議論になっていくのではないか。政府としても、この問題だけでなくて、より包括的なそういった問題への対応ということに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
白保委員 確認ですが、この法律を起点として、個人情報の保護のための立法、そしてまた、あるいはオンブズマン等も視野に入れてこれから検討される、こういうことでよろしいわけですね。
野田(毅)国務大臣 そのとおりです。
白保委員 以上で終わります。
坂井委員長 次に、富田茂之君。
富田委員 公明党・改革クラブの富田でございます。
 今の白保委員に対する最後の大臣の答弁はそれはそれなりに評価したいと思いますが、それだけでこの法案を通す何か前提条件が崩れたとは私自身は全然思えません。本当に個人情報保護法を先につくって、またオンブズマン制度をきちんとつくった上でこういう法案が成立すれば一番すばらしいのではないかなというふうに思っております。
 前回の質問の際に、最後に民間利用の禁止のところをお聞きしまして、局長から包括的な答弁をいただいたのですが、ちょっと時間がなくなって急いだ質問になってしまいましたので、まずその点の確認からしたいと思います。
 私の方から、この法案では住民票コードの提供を求めることを禁じ、また民間利用を禁止することにしているけれども、任意提供自体の禁止あるいは任意提供を受けた者に対する制裁規定がなくて、結局、任意提供があったのだということで住民票コードが利用されるおそれがあるのではないか。そういうことを考えると、民間利用を本当に効果的に禁止するには、任意提供そのものを禁止する、あるいは任意提供を受けた者に対して制裁規定も準備しておいた方がいいのではないかという質問をさせていただきました。
 それに対して局長の方から、私人の行為をどうやってとらえるかというのは非常に難しい問題だという指摘をいただきました。それは、本当にそのとおりだと思います。この法案の考え方としては、外形的な行為として悪質さがあらわれた場合、それをとらえて問題にするのだ、そして罰則で担保された行政措置で対応していくというふうな御回答でした。
 私人の行為それ自体を規制あるいは制裁するというのは、そういうことを一律にやるのはやはり難しいのではないかという御答弁で、今の自治省の考え方自体はわかるのですが、では、そのような考え方でこの法案を考えた場合に、三十条の四十三の第四項が民間利用を禁止する法文になっているのですが、この法文が実際どういうふうに運用されていくのかというのが非常に問題になると思うのですね。
 多分、ちょっと私は聞き漏らしたのですが、古賀先生の質問等にも出ていたと思うのですが、ちょっと細かくお聞きしたいのですが、この三十条の四十三の第四項「都道府県知事は、前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止すべきことを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。」というふうになっています。
 この法文をよく読んでも、何が書いてあるのか全然わからない。「前二項の規定に違反する行為」というのは、住民票コードを告知することを求める、あるいはデータベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの、そういうデータベースを構成してはならないというのが「前二項の規定」です。こういう二つの行為が行われた場合というふうになっているのですが、都道府県知事は、一体こういう行為が行われたというのをどうやって確知するのでしょうか。
 任意提供は事実上禁じられていないから、自分から任意提供しましたよと言う人がいるわけはないのですが、告知を求められた場合に、私は告知したくないのに住民票コードを告知しろと何かの取引の際に言われた、そういうことを都道府県知事に取引している当事者が言いに行くのか。民間の関係であって、そういうコードを出す人というのはそれなりの関係があるから、告知を求められて仕方なしに出していると思うので、そういう方が、わざわざ都道府県知事に対して、私は住民票コードを要求されましたというふうに行くとはとても思えないのです。
 どういうことを予定してこういう法文になっているのか、ぜひ教えていただきたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 今お話しの三十条の四十三の関係でございますが、民間の住民票コードの利用規制の関係でございます。お話しのように、二項、三項いずれも禁止されている行為は業として行う行為ということで、二項は、何人も、その者が業として行う行為に関し、契約に際して住民票コードの告知を要求することを禁止する。それから三項の方は、業として、住民票コードの記録されたデータベースの構成の禁止をかけているわけでございます。
 業として行う行為は、同種の行為が反復継続して行われるというものであると通常理解されておりまして、このような行為につきましては、広告などの何らかの外形的な兆候があらわれるというふうに考えられます。したがいまして、こうした違反行為については、外形的な兆候を契機といたしまして、住民からの通報などを通じまして都道府県知事が知るということが可能になるもの、このように考えております。
富田委員 ちょっと今のは。業は確かに広告しますよ、いろいろな契約関係、いろいろな御商売をやっているわけですから、私どもはこういうような仕事をしていますという広告はあると思うのですけれども、私どものお客さんになってくれた場合には住民票コードの告知を求めますよなんという広告をするわけがないのです。
 今の局長の答弁は、そういう広告をしている、住民票コードに関係する商売をしている人を都道府県知事がしっかり掌握して、そこに行ったお客さんの中から、私こんなことをやられましたというのが上がってくるというのを前提にしていると思うのですが、そういうことは実際あり得ないと思うのですね。そういうあり得ないことを前提にして、きちんと民間利用の禁止を法的に整備しているんだというのはちょっと無理だと思うのですね。
 次に、「当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、」都道府県知事がそう認めたときに勧告するとなっているのですが、こういうふうに認める基準というのは何か今自治省の方で考えているのですか。もともと上がってくること自体無理だと思うのですが、こういう基準も何か設定されているのか、その点ぜひ教えていただきたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 当然、この法律を認めていただいた後には、いろいろ準備を進める段階において、住民票コードの意義あるいはプライバシーの尊重ということから、民間利用の規制をしているということにつきましては、国民の皆さんの御理解を得るべく努力をいたしたいと考えております。
 また、二項、三項に該当する経済活動についても同じように努力をさせていただきたいと思っておりますが、その上で、お話しの都道府県知事の中止勧告などの対象となる行為ということでございます。業として行う行為ということで、その行為につきましては、一般的に、さらに反復してこれらの規定に違反するおそれがあると認めるとき、こういうものに該当するというふうに考えております。
富田委員 今のでは都道府県知事の判断基準を示すことに全然ならないと思うのですよ。それは業としてやっているから一般的に反復継続、その業自体は反復継続しているというのはいいですよ。でも、都道府県が、この業者さんは同じように告知を求め続けるだろう、そういうふうに認定する基準は何なのかと聞いているので、そういう業をしているんだから必ずそうなるんだということになると、常に違法な行為をする業者がいるということを都道府県知事が認めていることになりますよ。そこはおかしくありませんか。
鈴木(正)政府委員 現実に都道府県知事がこういった中止勧告をどのように運営していくかということにつきましては、今議員の御指摘の点も踏まえまして、これから自治省として基準を示してまいりたいと考えております。
富田委員 全部これからになってしまうので、ここを議論してもしようがないのでしょうけれども。
 それで、もう一点、その法文で「当該行為が中止されることを確保するために必要な措置」これは何か考えていますか。「中止すべきことを勧告」というのは具体的に書いてあるのですけれども、それ以外に「当該行為が中止されることを確保するために必要な措置」というのは、一体どういうことを現段階では考えているのでしょうか。
鈴木(正)政府委員 中止そのものでなくて、行為が中止されることを確保するための必要な措置、例えば住民票コードの告知を前提とした契約書の様式の破棄、例えば住民票コードの記載欄などをつくっているような様式についてはやめてもらう、それから、住民票コードを含んだデータベースを構築するためのプログラム、これについては消去してもらうといったことなどの措置を考えております。
富田委員 今、局長は一ついいことを言われたのですけれども、データベースは消去してもらうというふうに言われました。
 そうすると、前回もちょっと質問に出しましたけれども、この法文どおりに罰則の適用に向けて手続が進んでいく中で、かなり時間がかかる、その中で、本当にデータベースが勝手に構築されていく。そういうときに、この法案では、違法に構築されたデータベースを廃棄するという規定がありません。でも、今局長が言われたように、「当該行為が中止されることを確保するために必要な措置」というところにその廃棄の規定があるというふうに読み込んでいいのですね。今非常に大事な答弁をされたと思うのですが、そのように理解してよろしいですか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 住民票コードを記録した民間のデータベース、この廃棄についてでございますが、改正法案の中で、住民票コードの記録されたデータベースの構成といった行為を中止すべきこと、あるいは当該データベースの構成が中止されることを確保するために必要な措置という観点も含めまして、具体個別の事案に応じて検討されるべきものだと考えております。
富田委員 さっきの答弁から何か後退してしまって、せっかくさっき、中止されることを確保するのに必要な措置として、それまでに蓄積されたデータベースの除去ということを局長は言われたのだから、この法文に出ていないけれども、きちんと措置の一例として、自治省はこう考えていますということを明確にすべきですよ。
 そして、修正が可能であれば、そういう違法に蓄積されたデータベースは除去する、廃棄する、そういう命令をきちんと都道府県知事が出す、そういうような規定をぜひ入れるべきだと思います。そうしないと、これは全然実効性がないですよ。その点は、また言ってもまた同じような答弁になってしまうでしょうからもう言いませんけれども、ぜひそういうことを組み込んだ法案に直してもらいたいと思います。
 今のような答弁を考えますと、やはり前回最後に申し上げたように、任意提供もそれ自体を禁止する、任意提供を受けた者を制裁するのが本当は効果的ではないかと思います。でも、局長はそういうふうに考えないと言われるから、それだったら二次的な案として、例えば、第三十条の四十三の二項で「告知することを求めてはならない。」という条文になっていますけれども、事実上この告知することを求めたと同じような効果を発生するような行為は一切禁ずる、そういうような条文にしたらどうですか。
 そういうことを考えると、一つ一つきちんと民間利用の禁止というものを実効性をもって担保できるようになると私は思うのですが、これはちょっと質問通告していなかったので答えにくいかもしれませんが、どうでしょうか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 今お話しの三十条の四十三で、民間での住民票コードの利用禁止ということで規定を置いているわけでございます。例えば、国の機関等も含みますが、市町村長等以外の者は、何人も、自己と同一の世帯に属する者以外に対し、当該第三者または当該第三者以外の者に係る住民票に記載された住民票コードを告知することを求めてはならないということでございます。
 国の個人情報保護法あるいは住民基本台帳のその他の規定におきまして、不当に、不当な理由あるいはみだりに求めてはならないという規定の置き方もございますが、種々検討した結果、ここではっきり「告知することを求めてはならない。」こういう規定を置かせていただいた次第でございます。
富田委員 結局何も答弁してくれなかったので残念ですが、もう時間が来ますので、あと四問質問通告してあるのですが、最後に一問だけ、この前も御紹介しました日弁連の意見書の中に、こういう指摘があります。
 電算機におけるセキュリティーも人間がつくり出す以上、矛を強くすれば盾が強くなる、盾が強くなれば矛が強くなるという関係のように、不正アクセス、不正複写の方法も必ずやつくり出すことができ、この相互関係の中でセキュリティーが確保されるものである。ところが、この法案というのはシステムが絶対に不正使用されないことを前提にしているため、かえって不正使用を最小限にするための技術的措置については何ら触れるところがない。
 本当にそうなんですね。だから、一点、日弁連が提案しているのですよ。これはどうでしょうか。
 これらのシステムを不正に利用するときの障壁として、データベースそのもののコピーを防止するために、単一の端末からの連続データアクセス、複数のデータを一度に大量コピーしようとするとき、こういうことが発生したときは管理者に警告するシステムを設置したり、あるいは一定の連続したデータをアクセスすることやアクセスできる個人情報の件数を制限する、こういう措置を技術的な措置として考えるべきじゃないか。
 この点がこの法案はもろ抜け落ちているというふうに思うのですが、最後にこの点だけ御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 本人確認情報のデータベースの取り扱いの関係でございます。
 委員御指摘のとおり重要な問題でございまして、通常の事務処理では起こり得ないようなデータベースへの大量のアクセス、それからデータベースに対する一回当たりのアクセス可能な本人確認情報の件数の上限、これなどにつきまして一定の制限を設けるということにつきまして、何らかの技術的な措置を講じる方向で検討してまいりたいと考えております。
富田委員 終わります。ありがとうございました。
坂井委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。本日で四回目の質疑をさせていただきます。
 この住基法改正法案、本日で二十五時間ぐらいになるわけでありまして、相当議論も進んできたというふうに思っておるわけであります。我が党といたしましても、大体論点が重なってきたところもありまして、そこがまさに大きな問題だろうと思っておりますし、そうした論点で何とかまとめができないかと思っておりますが、今の同僚の富田議員の質疑あたりを聞いておりますと、まだまだ問題がたくさんあるな、こう思うわけであります。
 したがいまして、我が党、きょうだれか一人まとめてという気持ちもあったのですが、三人それぞれバッターに立たなければいけない、そういう背景がある、それはまさにこの法案の性格そのものだというふうに私は思っているわけであります。
 ただ、我が党で議論しておりますときに、この法案につきましては、相当やはり今日成案をつくるまでに、自治省におかれても、中間報告なり、これは我が党の富田議員とか前の上田議員とかいろいろな提言もさせていただいて、それなりに取り組んできていただいたということは評価をするわけでありますけれども、しかし、今日、これだけ二十五時間審議をしてきても、なおやはり我が党の中にもさまざまな声があるということはぜひ御認識をいただきたいと思います。
 私は、きょうの我が党の三人目として十五分ほど質疑をさせていただきますが、先ほど白保議員も議論いたしましたけれども、やはり今回の改正案と我が国の個人情報保護の現状について、議論をさせていただきたいと思います。
 今回の二十五時間の議論の中で、この審議を通して一番自分自身の頭に残っておりますのが、さっき白保議員も言いました堀部参考人のあの意見陳述が、大変に参考になったわけであります。参考になったというのは、この法案の現状というものを認識するのに参考になったということであります。
 もう一回整理しますと、堀部参考人の意見は、大変に苦渋に満ちた心境を吐露されたというふうに私は思ったわけであります。先ほど白保議員からは、これが限界だという御発言もありましたし、民間も含めた包括的な個人情報保護法があるにこしたことはない、あるにこしたことはないけれども、現在の我が国ではさまざまな理由から賛同が得られないという心境も吐露されたわけであります。我が国の現在のさまざまな理由、原因というのがどこにあるのかということは、もうきょうは時間がないので言及いたしませんけれども、これは本当に大事な視点だろうと思います。
 その後、堀部参考人は、むしろ国会で議論を進めてもらいたい、できるのであればぜひつくってもらいたいという心境もあわせて吐露されているわけでありまして、これはやはり、参考人の意見として私たち国会に対して重要なシグナルを送っておられる、このことも感じるわけであります。さらに堀部参考人がおっしゃっているのは、今回の改正法案だけでいえば、包括的な個人情報保護法は必要ないと思う、この住民基本台帳がいわば分野別の個人情報保護法の一側面を備えている、こういう認識も示されたわけであります。
 当然ながら、我が国の今の個人情報保護の体制がセグメント方式になっている中で、やはりセクトラル、それぞれの分野でも努力はしなきゃいかぬし、現実にその努力が進んでいるわけでありますが、そういう一分野の形としてこの住基の存在は整理できるのではないか、こんなこともおっしゃっているわけでありまして、ここもまさに複雑な心境なんだろうなというふうに私は思います。
 堀部参考人がどういう活動をされてきたか、我が党でも党内に来ていただいて、ずっと今までの活動の経緯も聞かせていただきました。やはり、堀部参考人の活動の経緯からすると、今回の改正案は、個人情報保護という観点からは、まさにおっしゃったように一分野の話であって、ここは国会に大きな期待を寄せられながら、政府全体あるいは社会全体で、我が党内でも議論がありましたけれども、個人情報保護体制の整備と同時に、個人情報は守るという価値観そのものが今我が国は全く抜け落ちているのではないか、であるがゆえに、さまざまに堀部参考人が今まで活動されてきても社会の賛同を得るところになっていない。私は、我が国の社会経済状況の中で、今、包括的な個人情報保護法ができない、その背景そのものが大きな問題だろうというふうに思うわけであります。
 そうした中にありまして、二十一世紀の高度通信社会を展望するときに、やはり最低のインフラ整備として、この住民基本台帳を使ったインフラ整備をしたいという自治省のお考えといいますか、ここもある意味では私も理解できるところなのですけれども、一歩踏み込んだわけでありまして、大変厳しいそういう社会の中で一歩踏み込まれたのは、ある意味ではほかならぬ自治省だろう。
 先ほどから大臣も、この法案の審議そのものが、この法案の存在そのものが社会にそういう議論を投げかけているのだ、こうおっしゃった。まさに私はそのとおりだろうと。自治省も個人情報保護ということでは、今の大変な日本の社会に対して第一歩を踏み出されているわけでありまして、そういう意味でいたしますと、私は、我が党内で議論するのに、今の日本の社会の価値観を何とかしたいという我が党内の意見も私自身も十分理解できますし、そこは大きな我が党の一つの精神だろう、こういうふうに思っているわけであります。
 それで、こんな難しい状況の中で、週末、地元の事務所に帰りまして、先般私のコンピューターが壊れたものですから、直しながら、やっと直って、インターネットにアクセスしながら、いろいろな個人情報の漏えい事件といいますか、改めてもう一回見てみようと思ってアクセスしまして、個人情報保護あるいは個人情報の漏えい事件というキーワードで調べましたら、まあ、出るわ出るわ、いっぱいあるのですね。
 大臣、一回、ニフティーでも何でも結構です、そのキーワードで探してみただけでも、プリントアウトするのがもったいないので私途中でやめちゃいましたけれども、現在の社会というのは、個人情報を守るという価値観から見るとそれぐらい危機的な状況にあるんだなということを私は感じたわけであります。
 幾つか紹介しますと、例えば、九六年にあった事件では、消費者金融の個人信用情報を総括する全国信用情報センター連合会、ここから大幅に大量の個人情報が流出した。あるいは、九八年には、「軽自動車の個人情報流出 検査協会京都事務所 仲介業者、全国で売買?」、こういう記事も載っておりました。これは半分パブリックな部分であります。
 あるいは、さくら銀行の顧客データの流出。これなんかも、一番怖いのは、よくよく調べますと、あれは下請、孫請のそういう企業から流出をした。しかも、その中には、業界ではこういうシステム開発の孫請というのは日常茶飯事だ、当たり前だという大変厳しい記事もありました。あるいは、情報誌出版社が九百五十人の個人情報をファクスで全部流してしまった、これはコンピューターではありませんけれども。こういうインターネットの記事を見てみますと、本当に大変な社会なんだなということを私は感じるわけであります。
 もちろん、今回のこの法案は、考えられるだけのものを、国の個人情報保護法のレベルをはるかに、はるかにといいますか、このレベルより高いセキュリティーをいろいろ検討されておられる、そこは私も理解しております。私は、法律は、ある意味ではその時代の最低のルールだ、最低の価値だというふうに思うわけでありまして、そういう意味では、この日本の社会にあって、個人情報保護という観点で包括的な法律ができないという難しい状況の中で、何としてもそれに向かって着手をする。
 我が党も、今までさまざまに個人情報保護法の制定については努力をしてまいりましたし、これからもしてまいりたい、このようには思っておりますけれども、ぜひ政府におかれても、一歩踏み出されたのはほかならぬ自治省でありますから、大臣は何度か、そういう検討はぜひ政府としてもやる、このように御答弁をいただいておりますけれども、具体的にどの部門でどういう検討を政府としてされるのか。
 これはもう事務方の問題ではありません。大臣、政府としてどのようにこれから働きかけをされようとしているのか。先ほどの白保議員の話じゃありませんけれども、国民は本当に心配しているわけでありますから、具体的な検討に着手するということが必要だろうと私は思っておりますけれども、最後に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
野田(毅)国務大臣 先ほど来、非常に貴重な御意見を交えての御提言を含め、いろいろお話をちょうだいして、改めてそれぞれについて、御意見のとおり、私も同感の思いを持ってお伺いをしておりました。
 今御指摘ございましたように、今日時点で、この住民基本台帳ネットワークシステムを導入するに当たって考えられる、可能な制度面なりあるいはシステム面におけるセキュリティーの対策を講じておるところでございます。しかし、じゃ、それで万全なのか、今後ずっとそれで大丈夫かというと、技術の進展等々もあるでしょうから、それにきちんとしたキャッチアップをしていかなければならないというのは当然のことだと思っております。
 そういう点で、公布後、施行までの間にさらにそういった事情があるならば、さらなる追加を別途考えていかなければならぬ点も、あるいはあるのかもしれません。技術進歩というものがどんどん出てくれば、そういう余地もあるいはあるかもしれません。
 その中で何よりも大事なのは、先ほど御指摘ございましたが、たくさんの漏えい事件がある。ただ、これは今度の住民基本台帳のネットワークシステムほどのセキュリティー対策が何も講じられていないからそういうのがあちらこちらにあるわけであって、私は、そういう意味で民間セクターにおける個人情報保護体制の整備について、今その問題提起を、まさに今回の法案を審議していただく過程を通じて世の中に、言うなら問題意識を投げかけた点もあるではないかという御指摘がございましたが、私もそのように受けとめておりまして、この審議を通じて国民全体の中で個人情報保護の議論を高めていく契機になるということをまず期待いたしております。
 その中で、では自治省としてこの後どういうふうな具体的なアクションを起こしていくのかということでありますが、もちろん、民間部門を含めた個人情報保護の体系というものは自治省だけでできるものではございません。そういう意味で、私は国務大臣という立場ということもあるわけでありますし、自治省担当ということをも含めて、あるいは法務省なりあるいは総務庁なり、そういった内閣全体の中で、私も責任を持って関係各省庁に働きかけをして、きちんとした対応ができるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
桝屋委員 以上で終わります。ありがとうございます。
坂井委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名です。よろしくお願いします。
 きょうの東京新聞には「行革かプライバシーか 住基法改正案の行方」、こういう特集が大々的に出ています。きのうの産経新聞には今の国会の状況が出ています。週刊宝石には野田自治大臣も出ておられます。国民的な関心と討論が私たちの議論を通じて始まりつつあるという段階です。ですから、もう論点が出尽くしたから採決というような話も今出ていますけれども、論外だと私は言っておきたいと思います。これから慎重な審議をいよいよ始めていくということが大事になっていると私は思っております。
 それで、今まで指定情報処理機関と県、市町村との関係を二回にわたって伺ってきたわけですが、きょうは、指定情報処理機関に保存をされた本人確認情報の国の機関への提供問題についてお聞きをしたいと思います。
 第三十条の七の三項で、国の行政機関から要請があった場合には都道府県知事が政令で定めるところにより本人確認情報を提供する、こういう項目がありますし、第三十条の十の第一項の第三号で、この都道府県知事の事務を指定情報処理機関に行わせることができると。この問題については、何人かの同僚委員がいろいろな角度から質問をしてまいりました。その上に立って私も、私自身が理解できていない面もありますので、お聞きをします。
 まず、端的に聞きます。国の機関への本人確認情報の提供方法、やり方についてですけれども、政令で定めるということしか法律には書いてありません。ですから、この接続の方法、やり方について、これをやるということで具体的に言ってください。
    〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 指定情報処理機関から国の機関などへの情報提供に関する方法でございます。技術的な方法につきましては、さまざまな観点から慎重な検討を十分に行った上で、法律を認めていただいた後に決定していくというふうに考えておりますが、具体的には、ファイアウオールを介したオンライン接続を行う方法、また磁気媒体を通じてデータ提供を行う方法などが考えられます。
 いずれにいたしましても、今御指摘の、三十条の三十三におきまして、国の機関等の受領者による本人確認情報の安全確保措置を義務づけていますほか、個人情報の保護を第一に考えまして技術的にも十分なセキュリティー措置を講じていく、こういう考え方で臨んでいきたいと思います。
春名委員 十六省庁九十二事務、この事務にこのシステムを活用するということを詰めて議論したわけですけれども、その際に、その活用の仕方、接続の仕方はこうしますというような話は、前提はないのですか。私は全部決まっていると思っていますけれども。当然オンラインで結ぶということを前提にして情報を利用するというふうになっているのではないかと私は認識しておりますけれども。
 例えば、どこか指定情報処理機関が一つできて、磁気媒体を使ってそこに受け渡しに行く、各省庁がもらいに行く、そんな非効率なことで九十二の事務をやりますなんというような意思統一をされているとはとても思えませんので、オンラインで接続してやるのだということが既に決まっているのではないですか。前提になっているのではないかと私は認識しております、そう予想しますけれども、違いますか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 指定情報処理機関が国の機関等に提供するに当たりまして、受領機関の方でどのように利用するのか、即時的な処理を要するのかそうでないのか、例えば一年に一度本人確認のための情報を得れば済むのか、いろいろな状況があると思いますので、先ほど言いましたように、二つの方法などを今現在考えております。もちろん技術の進展がございますので、そういうものは十分勘案していきたいと考えております。
春名委員 では、改めて確認します。
 桝屋委員も質問されていましたけれども、二つの方法などが考えられているということであれば、オンラインで結ぶということも当然あるということは選択肢だということをもう一度確認したいと思いますが、ありますね。
鈴木(正)政府委員 国の機関等への本人確認情報の提供には、ファイアウオールを介したオンライン接続を行う方法も考えられます。
春名委員 これは私は非常に法案の骨格をなす一つの問題だと思っております。この法案は、省令、政令などで、非常に大事な部分が国民から閉ざされているのです。隠されているという気がしてならないわけです。
 その点、私はもう少し幾つか聞いていきたいと思うのですけれども、今、オンラインの接続ということも当然あり得るという御説明がありました。当然、そういう前提を議論しておかないと、四百億円の経費というのにそういうものも全部含まれているわけでしょう、接続の仕方によって費用が違うわけですから。そういう国との接続の関係でも、四百億円を見込む経費の中に当然入っているのでしょう。そうですよね。だから、どことどこがどうなるのか、その辺はまだほとんど未検討だというふうな段階で法律そのものを出していいのかなという気も私はするし、そもそも、例えば四百億円の経費の中で、国との関係ではどういう接続関係をするということを想定して四百億円を見込んでいるのか、その点を聞かせてください。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 指定情報処理機関から国の機関等への情報の提供でございますが、ネットワークから出る部分につきましては、国の機関、情報をもらうサイドの負担ということで基本的に考えております。
春名委員 それでは続いて、今のことを前提にしてお聞きしていきたいと思いますけれども、ネットワークシステムの概念図というのを最初から私いただきまして、見てまいりました。今の話とも関係があるのですけれども、市町村の電算システムからコミュニケーションサーバーに通じる、そしてそれが専用回線を通じて県センターに行き、高速デジタル専用回線で全国センターに行く。このネットワークシステムの概念図ですけれども、市町村電算システムを含めた全体がネットワークシステムの内部である、中である、内であるといいますか、これ全体がネットワークシステムだ、こういうふうに認識してよろしいですね。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 今お話しの市町村の住民基本台帳システム、それは外ですが、市町村のコミュニケーションサーバーから指定情報処理機関までのネットがこのシステム、このように御理解いただきたいと思います。
春名委員 それはちょっと私は意外だったので、もう一回聞いておきますけれども、今度のこのネットワークシステムの一番の目玉は、住民票の広域交付が一つあるのですね。理論的には、市町村の電算システムが、市町村コミュニケーションサーバーを経由し、そしてそれぞれの市町村の電算システムに本人確認情報が到達していくというのがこのシステムの目玉です。
 ということでいきますと、このシステムの内部の問題として、今ある市町村電算システムもそういう位置づけにしないと、システムと言えなくなってしまうといいますか、広域交付なんかできなくなってしまうので、私はそういう認識でおったのですけれども、違うのですか。外だと今言われたのですけれども。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 このネットワークシステムの構成につきましては、先ほど御答弁したとおりでございます。
 それで、コミュニケーションサーバーと既存の住基システムとの関係でございますが、これは直接接続しない方向で検討を進めているということで、具体的な方法としては、フロッピーディスクなどの磁気媒体を通じたデータ交換、あるいはファイアウオール的機能を介した上で回線による接続を行うということを検討いたしているところでございます。
 実際にどのような接続方法を採用するかについては、さまざまな観点から十分な検討を行った上で、地方団体間の協議により決められていく、このように考えております。
春名委員 それでは、もう一点別の角度からお聞きしますけれども、国の機関への情報提供の際に、オンラインで結ぶ場合には、専用回線を使うのですか、一般公衆回線を使うのですか。どちらでしょうか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 指定情報処理機関と国の機関との接続の関係でございます。今後検討すべき事柄でございますが、オンライン接続により国の機関等に情報を提供する場合には、専用回線が利用されるものと一応想定をいたしております。
春名委員 オンラインで接続する場合は専用回線を使うということのお話が今ありました。
 そうすると、私は、この概念図は違うのじゃないかと思うのですよ。不十分だと思うのです。ここから国の機関に専用回線で、オンラインで結ぶのでしょう。ということは、これは、そこも含めてネットワークシステムじゃないのですか。当然そうでしょう。専用回線でクローズなシステムをつくって、それでやるんだ、だから、ここから市町村同士の分権型システムだという説明をされているけれども、実態はオンラインでここを結ぶ、それも専用回線で結ぶという場合が大体全部想定されます。磁気媒体でやるわけないと私は思うのですけれども。
 そういうところもなるのに、この表は県と市町村の部分だけが書いてあるわけです。現実は、ここを専用回線を使って国の機関とも直通するわけでありますから、この概念図は書きかえた方がいいのじゃないかと私は思えてならないのですけれども、この点いかがですか。
鈴木(正)政府委員 今回、住民基本台帳法の改正をお願いいたしておりますが、そこで構成しておりますシステムは、先ほど申し上げましたとおりに、市町村の基本台帳が保有する情報を中心としまして、コミュニケーションサーバー、それから都道府県の管理、保有する機関、またそこから委託を受けた指定情報処理機関、これを結ぶネットワークが住民基本台帳ネットワークという考え方でございます。
 そこから国の機関等へ提供するのは、このネットワークの外に対して、法律に定められた限定された範囲で提供する、こういう考え方でございます。
春名委員 考え方は無理やりこじつけてそうすればいいのかもしれないけれども、実態的にどういう運用がされるかといえば、全然そうじゃないのですよ、今のお話を聞いていても。
 各省庁の電算システムに、十六省庁の九十二事務の電算機につなぐのをオンラインでやる場合は、それはどれぐらいの比率になるか知りませんけれども、専用回線も使ってそのままつなぐわけでしょう。先日古賀委員が、ここはもう入力の端末機だというふうに言っておられましたけれども、市町村の電算システムが。そういうつながりに結論としてはなって、それ全体がネットワークシステムそのものだと。
 考え方は、この全国単位センターまでの間がネットワークシステムだと言うけれども、しかし、実際の運用は専用回線を通じて国にまで筒抜け、直通するわけでしょう。そして、市町村電算システムとコミュニケーションサーバーとの間にファイアウオールなどをかぶせて、防火壁をつくって、直接接続するんじゃないと言うけれども接続はするということになっているわけですよ。
 だから、実態は、市町村から国への一体的なシステムとしてこれは構築されておるというふうに言わざるを得ないと思うし、そういう意味では、概念図ももっと正確に、住民にも知らせる、こういう方向で行くのですけれどもいいでしょうかという議論をしなければならないのじゃないかと思うのですよ。
 住民基本台帳法という目的からいって、そこにかぶせてこういうシステムをつくりますから、いかに分権的なシステムにするかということでいろいろ御苦労されているのだと思うのだけれども、実態は全くそうならないのじゃないかということを今の御答弁を聞いて私は実感せざるを得ないわけでありますけれども、いかがでしょうか。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 このシステムは、市町村と都道府県が連携をして、いわば本人確認情報を全国的に利用するというシステムでございます。したがいまして、先ほども御議論が出ましたが、運営主体であります市町村、都道府県につきましては、もちろん法律で定める場合もありますが、条例で定めるところによりましてその本人確認情報の活用ができるということで、基本的に中の関係でございますが、国の機関等に対する提供につきましては、法律で定める機関に定める目的に限定して提供するということでございます。
 それにつきましては、現在のところは、継続的給付あるいは資格付与などについてのものを今回の法案には盛り込んでいるところでございます。
 そういったことで、接続方法は今申し上げましたように二つほど考えておりますけれども、法律によりまして規定されましたところに対しまして提供していく、そういう考え方で構成しているものでございます。
    〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕
春名委員 考え方は私も理解しているつもりです。しかし、実態がそうなるのかということをお話ししているのです。
 それで、もう一回聞きます。九十二事務の中で、磁気媒体を使うと予想されるのはどの事務ですか。オンライン、専用回線を使う事務というのはどの事務でしょうか。その点の予想、どれくらいになるのでしょうか。わかっていれば教えてください。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 法律を認めていただいた後に、各省庁と十分御相談をして決めてまいりたいと考えております。
春名委員 今の答弁を聞いていても、私は非常に不備だなと思いますね。
 今いろいろな疑問があるのですけれども、先ほど話が出たように、市町村の電算システムは端末になってしまう、入力の端末みたいな扱いにされる、そういう危惧、分権型のシステムだというけれども、全国ネットにする、そして九十二事務と限っているけれども、国が本人情報をいつでも使えるようにするというシステムになっているから、これが本当に分権型のシステムと言えるんだろうか。
 地方自治ということ、住民基本台帳法という目的からして、本当にこういうものは異質じゃないかというような疑問等々が出てきているわけですね。そこからいろいろな矛盾が出てきているわけなんですね。そこに対する骨格の部分では、これから検討していきます、どれぐらいの事務が専用回線で結ばれて瞬時に送られていくのか、それはわからない。それで本当にいいんでしょうか。
 私は、それは余りにも行政の手前勝手と言ったら失礼かもしれないけれども、法律の不十分さであるし、そういう大事な部分が政令や省令に大体任されていくという話になっているために、議論すればするほど疑問がわいてくるのじゃないかと思うんですよ。
 少なくとも、先ほど、磁気媒体を使うというのであれば、年に一回、二回ぐらいの程度の話で済む仕事だったらそういうものを使ってでもやることになるかもしれないというお話でした。では、その九十二事務の中でそういう対象になるのはどれぐらいあるのか。それぐらい見ればわかるでしょう。ですから、それぐらいの区分はここで私はしていただきたい。
 オンラインで結ぶということはそれ自身が私は重大だと思っていますので、それぐらいは回答をいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 国の機関等におきましても、個人情報保護のための安全確保措置、あるいはそこから先の委託業者についての安全確保措置の手当ては講じているところでございますが、お話しの具体的な九十二事務につきましてどのような接続方法を行うかにつきましては、今後、法律の成立を待ちまして各省と相談をしていきますし、また運営主体であります地方公共団体においても十分検討がなされるものと思います。
春名委員 こういう骨格の部分があいまいだということはとても納得できないということを申し上げまして、質問を終わります。
坂井委員長 次に、知久馬二三子君。
知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。
 先輩委員さんの意見を聞けば聞くほど、次から次から何か疑問がわいてきますけれども、私は、法案の中の細かい部分ですが、二、三お聞きしたいと思います。
 三十条の七の八項で、都道府県知事は、毎年一回、本人確認情報の提供状況について、自治省令で定めるところにより、報告書を作成し、公表することとされています。ここで対象になるのは、第三項で言う別表第一に示された国の機関等の事務に限定されています。いわゆる九十二事務です。これでは、都道府県知事が条例の規定で行う本人確認情報の提供については、その運営状況が全く公表されないことになります。条例で定める事務の処理に関して求められる本人確認情報の提供状況の公表については、各都道府県の裁量に任せるということなのでしょうか。その点について、お伺いいたします。
鈴木(正)政府委員 委員御指摘のとおり、このシステムの構築主体であります都道府県が、その事務を行う際に、みずから本人確認情報を利用する、あるいは各都道府県からこのシステムの構築主体であります他の都道府県、市町村に対して本人確認情報を提供するといったことが想定されるわけでございます。これらの場合には、各都道府県の議会におきまして、法の趣旨を踏まえた議論がなされまして、条例を定めた上で、本人確認情報の利用、提供が条例に基づいて行われるということでございます。
 お話しの三十条の七、八項で、都道府県知事は、国の機関等に対する本人確認情報の提供につきまして、報告書を作成し、これを公表するとされておりますが、これはいわばシステムの構築主体でない国の行政機関等に対しまして情報提供をいたしますので、その公表については法律上明確に規定するということにいたしたものでございます。
 都道府県が条例で定めて、本人確認情報の利用、提供状況につきましては、自主的に公表することも可能である、このように考えております。
知久馬委員 それに関連してですけれども、三十条の十一の六項でも、指定情報処理機関は、別表一の国の機関の事務に対してのみ、本人確認情報の提供状況について、報告書を作成し、公表するものとされています。都道府県知事が委任するすべての本人確認情報処理事務について、指定情報処理機関が提供状況を公表する必要がないとされる理由は何か。そこのところをちょっと明らかになるように説明を求めたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 三十条の十一の関係でございますが、これは先ほどと同じような考え方でございまして、システムの構築主体でない国の行政機関等に対します本人確認情報の提供状況、これについては公表するということで法律上明確に規定をしたということでございます。その他の本人確認情報の提供につきましては、システムのいわば構築主体であります都道府県が利用、提供することが想定をされます。これらの場合は、各都道府県の議会におきまして、法の趣旨を踏まえた議論がなされ、条例が定められて、その上で本人確認情報の利用、提供が行われるというものでございまして、その場合の利用、提供状況について自主的に公表するということも可能でございます。
知久馬委員 次に、三十条の十一の五についても少し疑問があります。
 指定情報処理機関が誤りがあると知るのはどのような状況を想定しているのでしょうか。三十条の四十、自己の本人確認情報の訂正以外にどういう内容から誤りであると判断するのでしょうか。そもそも住民基本台帳の管理はこの法律の改正後も市町村長であります。誤りか否かの判断もまずは市町村長の権限に属するものと考えますが、この点について。
 それと、市町村長から都道府県知事、それから指定情報処理機関へと、単に異動に係る本人の確認情報を通知するだけですから、指定情報処理機関に誤りであると判断する根拠も権限もないものと考えますが、この点について自治省の御見解をお伺いいたします。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 まず第一点目、誤りがあることをどのように想定しているかということですが、指定情報処理機関が、本人確認情報に誤りがあることを知る具体的な状況としましては、例えば同一の住民票コードを有する者が二人以上存在する場合、いずれかが誤っているわけでございます。そういった場合が考えられるところでございます。
 また、都道府県知事または指定情報処理機関が住民票の記載と離れて本人確認情報の訂正を行うということとなりますと、市町村における住民票情報と都道府県知事または指定情報処理機関の本人確認情報にそごが生ずるおそれがありますので、この改正法案におきましては、都道府県知事または指定情報処理機関が独自に本人確認情報の訂正を行うということは認めておりません。本人確認情報に誤りがある場合には、まず市町村の住民票の記載の訂正ということによりまして、本人確認情報が適切に訂正されるということでございます。
知久馬委員 ちょっとまだ、余り理解がしにくいことなんですけれども……。
 それで、もう少しだけ時間がありますので、実は先がた桑原委員さんが質問されました外字のことについてのあれがあったんですけれども、実は最近、東京都にある自治体の現場で実際に住民基本台帳の事務にかかわっている人の非常に具体的な心配事があったようでして、一つだけ紹介させていただきますと、現在その自治体で使っているコンピューターでは、外字、いわゆる辞典にない文字なんですけれども、三千百一文字が作成可能であるということで、既に二千四十七文字を使っているそうです、その自治体では。例えば「ワタナベ」の「ベ」だけでも四十八通りあり、外字作成能力に限界があると言われています。
 全国三千三百の自治体で、難しい名字や名前さらには地名も極めて多くの外字があると思うのでございますが、今回の法改正では、十二条の二で住民票の写しの広域交付についての規定が盛り込まれていますけれども、制度が始まって、例えば住民票の写しをとるときに他の市町村に請求するとします。そうしたときに、外字の空白の部分が出てくるようでございます。それらのことに対してどのように技術的な問題をかたしていくか、そのようなときにはどうしていくのかというような点についてお伺いしたいと思いますし、やはりコストの面についても、先がたはこれからいろいろな面で検討するということだったんですけれども、もう一度その辺をはっきりお願いしたいと思います。
鈴木(正)政府委員 お答えいたします。
 まず最初に、指定情報機関が誤りを見つけた場合には、県に通報し、県は市町村に通報する、それで市町村は、正確に住民基本台帳を管理するという立場で調べまして、誤りがあれば直す。直した結果、それによります本人確認情報の変更部分については県にまた連絡する、それで県の方は直していく、指定機関の方は直していくということでございまして、住民基本台帳を管理する市町村が主体でございます。
 それから、次の外字の問題でございますが、これは技術的な解決が必要な問題ということで認識をいたしております。
 具体的には、住所に使用されている一定の外字につきましては、標準文字としての統一コードを定める方向で検討をいたしたいと考えております。上記以外の外字につきましては、統一コードということではなくて、その外字の字形を図形情報として扱っていくという考え方でございまして、外字につきましては、標準文字としての統一コードまたは図形情報でやりとりされることになります。住民票の写しの広域交付などにおいても正確に印字ができるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、法律をお認めいただいた後に、市町村における円滑な業務運営が可能となるように十分検討を行っていきたいと考えております。
知久馬委員 大変申しわけございません。時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

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