自治体は住民自治のために
財政情報をいかに公開すべきか
 −自治体広報紙の比較検討からその姿を探る−

「地方分権・自治体リストラと大阪の衛星都市」
  (社)大阪自治体問題研究所編、所収

1997年10月31日   黒田 充   

−−− その6 −−−

VI おわりに 

 本来、予算、決算など自治体の財政情報は、自治体運営に関する最も基本的な情報であり、住民自治の観点からすれば、行政をコントロールする住民は当然、知っているべきである。住民にとって財政情報を知ることは権利であり、行政にとって知らせることは義務である。
 もちろん、だからといってプライバシーに係わる部分や行政執行上公開できない部分を除いたとしても、全てを広報紙に載せることは不可能である。掲載量を増やせば広報紙の印刷や配布コスト上昇の問題も生じる。また、詳しければそれでいいということではない。どうわかりやすくするかという点も重要である。掲載内容・方法のあるべき姿については、引き続き具体的に検討すべきであろうが、当面、行政は、表2の全ての項目についてA評価を満たす広報紙の発行をめざす必要があるだろう。そのためには、自治体の広報担当者や財政担当者が、情報公開の意義・必要性を認識し、他の自治体の広報紙との比較検討を行うなど具体的に記事内容の改善を進めるとともに、住民も積極的に行政に対して、広報紙の内容改善に向けた動きを具体的につくっていくことが必要である。
 また、今回は予算記事についてのみ比較検討をしたが、本来は決算報告、財政状況報告をはじめ公共料金の引き上げに関する記事なども含め、年間を通じて財政情報がどのように住民に公開されているのか比較検討すべきである。また、広報紙の編集・発行過程における問題点や、広報担当職員や財政担当職員の財政情報の公開に関する意識、さらには実際に住民がこれらの記事を見てどのような感想を持ち、また具体的な行動へとつながっているのかなどについても調査する必要がある。今後、そうした方向での調査研究が必要であろう。
 最後に、地方自治を住民自治として進めるために必要なことを繰り返すなら、情報公開=情報開示請求制度と、狭く捉えるのではなく、広報紙の内容の充実をはじめ、図書館や公文書館・行政情報コーナーなどでの情報提供や、一定の情報の行政に対する公表義務づけの制度化なども含めた総合的な自治体情報政策の策定と実施である。

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