『電子自治体』政策批判 3−(3)−b 

← 前へ  ↑ 戻る  次へ →

3.『電子自治体』政策の問題点(続き)

3) 形骸化される地方自治(続き)

執筆中

b.総合情報ネットワーク

 全ての自治体と霞ヶ関を結ぶ「総合情報ネットワーク(Local Government Wide Area Network 、略称:LGWAN)」の構築が進められている。このネットワークは、地方自治体を相互に接続する広域的な行政ネットワークで、「迅速な文書交換等を実現し、地方行政の高度化、効率化を実現する」ことを目的としており、「e-Japan戦略重点計画」によって、2001年度までに47都道府県・12政令指定都市、2003年度までにすべての市町村における接続が要請されている。
 総合行政ネットワークが提供する基本サービスは、電子文書交換、LGWAN情報掲示板(例えば、地方財政白書、通達・告示、各都道府県条例、各種掲示板、WBT[Web Based Training]教育など)である。具体的なスケジュールとしては、2001年4月に LGWANの構築開始・一部運用開始、2001年10月に LGWAN本運用開始、2003年度中には全市町村との接続が、予定されている。
 また、このネットワークは、自治体を相互だけでなく、政府機関とも接続されることになっており、既に稼動している中央官庁間のネットワークである霞が関WAN(Wide Area Network)との相互接続本運用の開始が、2002年4月に予定されている。
 なお、総合行政ネットワーク運営主体は、住民基本台帳ネットワークシステムの指定情報処理機関でもある財団法人・地方自治情報センターである。

 総合行政ネットワークを使えば、紙による文書の交換に比べて、必要な時間が短縮され、発送や集約の手間も軽減される。そのため、今まで以上に大量の文書が政府から自治体に向かって送られてくることが、大いに考えられる。通達の朝令暮改も郵送にかかる時間の制約が取られることにより、より頻繁に行われるようになる可能性もある。さらに、統計を含む様々な調査も、集計など政府側の手間が大幅に削減されることから、より詳細化されるかもしれない。
 政府の側からは、自治体から集まってくる情報全てを閲覧することは当然可能であろうが、個々の自治体からは政府の情報も含めてどこまで閲覧可能なのか明らかになってはいない。情報の共有と言いながら、現実には一方的に情報を吸い上げられる可能性がある。
 自治体間の文書の交換も、総合情報ネットワークによって行なえば、政府によってチェックされる可能性がある。特定のキーワードが含まれる文書を自動的に収集することは、技術的にはそう難しくはないであろう。
 以上のように、総合行政ネットワークは、情報の一極集中をもたらし、政府による自治体の統制に力を発揮する危険性があるのではないかと考えられる。

 総合行政ネットワークは、自治省の「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」によれば、「地方公共団体間や地方公共団体と国との間で行われる申請・届出・報告、許認可等に係る迅速な文書交換」等を実現する「国・地方を通じた情報化の基盤」であるとされているが、同時に経済界の要求する「一つ」の電子政府を実現するために必要な基盤でもある。
 自治事務等の標準化は、総合行政ネットワークにより「一つ」の電子政府を実現するためには、不可欠のものである。

← 前へ  ↑ 戻る  次へ →