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福岡地裁・住基ネット訴訟判決 一部抜粋

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平成17年10月14日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

平成15年(ワ)第29号 住民基本台帳ネットワーク差し止め等請求事件(以下「甲事件」という。)

平成15年(ワ)第2941号 住民基本台帳ネットワーク差し止め等請求事件(以下「乙事件」という。)

口頭弁論終結日 平成17年7月12日

判決
 当事者 別紙当事者目録記載のとおり

主文
 1 原告らの請求をいずれも棄却する。
 2 訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第1 請求

1 被告国は,各原告に対し.11万円及びこれに対する甲事件原告らについては平成15年1月23日から,乙事件原告らについては平成15年8月26日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 被告福岡県は,
(1)住民基本台帳法30条の7第3項の別表第一の上欄に記載する国の機関及び法人に対し,原告らに関する本人確認情報(原告らの氏名,出生の年月日,男女の.臥住所及び原告らに付された住民票コード並びにこれらの変更情報をいう。以下同じ。)を提供してはならない。
(2)被告センターに対し,原告らに関する住民基本台帳法30条の10第1項記載の本人確認情報処理事務を委任してはならない。
(3)被告センターに対し,原告らに関する本人確認情報を通知してはならない。
(4)原告らに関する本人確認情報を,保存する住民基本台帳ネットワークの磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができるものを含む。以下同じ。)から削除せよ。

3 被告センターは,
(1)被告福岡県から受任した原告らに関する住民基本台帳法30条の10第1項記載の本人確認情報処理事務を行ってはならない。
(2)原告らに関する本人確認情報を,保存する住民基本台帳ネットワークの磁気ディスクから削除せよ。

4 被告福岡県は,各原告に対し,11万円及びこれに対する甲事件原告らについては平成15年1月23日から,乙事件原告らについては平成15年8月26日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 【 略 】

第3 争点に対する判断

1 争点(1)(差止請求の可否)について

(1)人格権に基づく差止請求の要件について

 原告らは,人格権に基づき差止めを求めている。
 そこで,いかなる要件の下に人格権に基づく差止請求が認められるか検討するに,まず,当該人格権が,差止請求権という物権的請求権と同様の排他的な請求権が認められるにふさわしい内容を有しており,かつ,その内容及び外延が明確なものである必要があるといえる。したがって,このような意味での権利性を有しないが,憲法13条で保障されている人格的利益は,不法行為の保護法益となることはあっても,差止請求権を有しないことになる。
 次に,人格権に基づく差止請求権は,物権的妨害排除請求権及び物権的妨害予防請求権と同様の請求権であるから,違法な行為により,当該人格権が現に侵害されているか,あるいは,侵害されるおそれがある場合に,差止めが認められることになる。
 したがって人格権に基づく差止請求の要件としては,少なくとも@上記のような内容及び明確性をもった人格権を有すること,A人格権を現に侵害し又はこれを侵害するおそれがあること及びBその侵害が違法であること(以下「違法性」という。)が必要であるといえる。
 なお,これらの要件以外の要件が必要か否かについては,本件の判断に必要がないので,言及しない。

(2)住民票コードを付する行為による氏名権の侵害を根拠とする差止請求の可否について

 原告ら主張の氏名権が,不法行為の保護法益たる人格的利益に止まらず,上記のような内容及び明確性をもった権利性を有する人格権に当たるか否かについては疑問があるが,仮にそうであるとしても,次のとおり,住民票コードを付する行為は,原告ら主張の氏名権を侵害し,あるいは,侵害するおそれがある行為ではないから,差止請求は認められない。
 すなわち,前提事実(3)イ認定の事実及び弁論の全趣旨によれば,住民票コードは,住民基本台帳に記載された個人情報を電気通信回線を用いて効率的に送信するために技術上設けられた,無作為に作成された数字であって,いったん付された住民票コードも,本人の請求によりいつでも変更することが可能なものであるから,氏名等に代わる機能は付されていないことが認められる。また,行政機関の住民に対する呼称として,氏名等に代わり住民票コードの数字が用いられるという性質のものではない。さらに,今日においては,膨大な情報を管理する便宜上情報整理のための番号等を用いて個人ごとの情報を管理することは,日常生活のさまざまな場面において通常に行われていることである。したがって,住民票コードを付する行為が原告らの氏名権を侵害し,あるいは侵害するおそれがある行為とはいえない。
 したがって,住民票コードを付する行為による氏名権の侵害を根拠とする差止請求は認められない。

(3)公権力による包括的管理からの自由権に基づく差止請求の可否について

 原告らは,将来,住基ネット利用事務が無制限に拡大し,住民票コードを各行政機関の保有する個人情報を結合する手段として用いることにより,公権力による個人の包括的管理が行われる危険性がある旨主張する。
 しかしながら,もとより法にそのような個人の包括的管理を行う旨の規定はなく,前提事実及び後記(4)イ(ア)c記載のとおり,法に基づいて流通する個人情報は本人確認情報に限定されていること,住基ネット利用事務を拡大するためには法改正を行う必要があること及び法は各手続について法定しており,法定の目的以外での本人確認情報の利用を禁止していることからすれば,法に原告らの主張するような包括的管理の危険性があるとは認められない。原告らの主張は,法の規定が無視される抽象的危険を述べるにとどまるものであって,これを採用することはできない。

(4)自己情報コントロール権に基づく差止請求の可否について

ア 原告らの主張について

 原告らは,自己情報コントロール権が憲法13条によって認められていることを前提として,住基ネットが自己情報コントロール権を侵害するものであるから,差し止めるべきである旨主張する。
 ここで,原告らが自己情報コントロール権と称する権利が憲法13条によって保障されるプライバシー権の一内容であるか否かは別としても,本人確認情報は,これをみだりに収集,開示されたくないと考えるのは自然なことであり∴そのことへの期待ば保護されるべきであるから,これをみだりに収集,開示されないという限度での人格的利益は認められる。
 しかしながら,原告ら主張の自己情報コントロール権については,その内容及び外延が必ずしも明確ではない上,本人確認情報は,その利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性を否定することはできないものの,それ自体は,個人の私生活や人格,思想,信条,良心等個人の内心に関する情報となるものではないから,上記人格的利益が差止請求権を与えるにふさわしい内容を有する人格権としての権利性を有するかについては疑問があり,この点において差止請求が認められない可能性が高いというべきである。
 また,仮に原告らの主張するとおり,上記人格的利益に差止請求権が与えられるほどの人格権としての権利性が認められるとしても,以下に判示するように違法性の要件を欠くため,その余の要件該当性を検討するまでもなく,結局差止請求は認められない。

イ 違法性について

(ア)住基ネットの合憲性について

 原告らの主張する行為が仮に原告らの主張するとおり自己情報コントロール権を現に侵害し又はこれを侵害するおそれがあるとしても,その侵害は,法律に基づいて行われるものであるから,一般的には,法令に基づく正当行為として違法性が認められない。
 これに対し,原告らは,法の内容そのものが原告らの人格権を現に侵,害し又は侵害する蓋然性があるため達意なのであるから,達意な法に基づいて設けられた住基ネット及び法に基づく被告らの行為もまた当然に達最遠法となる旨主張するので,以下,法の合憲性について判断する。

a 合憲性判断基準

 仮に原告らの主張する人格権が認められるとしても,同権利は無制限に保護されるものではなく,公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受けることは,憲法13条に定められているところである。そして,法による原告ら主張の人格権に対する侵害が公共の福祉による制限として許容されるか否かは,法の立法目的に合理性があるか・法の予定する住基ネットの必要性があるか,住基ネットによる本人確認情報の利用態様が一般的に許容される限度を超えない相当なものであるかという基準によって判断すべきである(最高裁平成7年12月15日第三小法廷判決・刑集49巻10号842頁参照)。
 そこで,以下,上記基準に従って法の合憲性を判断する。

b 法の立法目的の合理性及び住基ネットの必要性について

 証拠(乙イ2・5ないし7,9,10,26)及び弁論の全趣旨によれば,法の目的は,次のとおりである。すなわち,高度に情報化された現代社会において,既に民間部門では,コンピュータ・ネットワークシステムが療築,活用されており,顧客サービスの向上や業務の効率化が積極的に進められてきている。このような中にあって,行政も,全国的な広がりをもった住民の移動や交流という実態に合わせて,行政サービスを的確かつ効率的に提供していく必要性があり,そのためには,市町村や都道府県の区域を越えた本人確認システムが不可欠であり,行政部門においても,民間部門と同様に,情報通信技術を的確に活用することが必要不可欠といえるところ,住民基本台帳の全国的な電算化が進んでいることから,これをネットワークで接続すれば,全国的な本人確認システムが安価に構築できるし,住民にとっては面倒な行政事続が簡略化され,行政側の事務負担の軽減を図ることが可能となる。住基ネットは,このような発想から生まれたシステムであって,その目的は,行政サービスの向上と行政事務の効率化である。このような法の立法目的には十分な合理性があると認められる。
 そして,このような行政サービスの向上と行政事務の効率化という立法目的を達成するためには,住基ネットが重要な役割を果たすと考えられるし,また,ネットワーク社会における本人確認手段としての住基ネットは,住民が行う行政機関への申請,届出のほぼ全てをインターネットで行うことを可能とする,いわゆる電子政府・電子自治体を実現するための基盤となる不可欠なシステムともいえる。したがって,住基ネットの必要性も認められる。
 なお,原告らは,電子政府・電子自治体の構想が始まったのは平成12年以降であるところ,法の閣議決定が平成10年3月10日であるから,電子政府・電子自治体の実現が法の立法目的であるとはいえない旨主張する。
 しかしながら,電子政府・電子自治体構想は,高度情報通信ネットワーク社会に対応するための動きの1つといえるところ,証拠(乙イ3)によれば,そのような動きは平成8年ころからあったと認められるし,すでに述べたとおり,法は電子政府・電子自治体の実現のみを立法目的とする制度ではないから,法の閣議決定日と電子政府・電子自治体構想との先後閑係の一事をもって,法の立法目的の合理性や住基ネットの必要性が左右されるものではない。

c 本人確認情報の利用態様の相当性について

(a)本人確認情報を秘匿する必要性の程度について

 4情報については,これをみだりに収集,開示されたくないという期待を保護する必要はあるものの,これらは従前から原告らの居住する市町村の住民基本台帳に記載され,何人も閲覧可能な状態に置かれていたものであり(法11条),一定の社会生活の範囲では従前から収集,開示が行われ得た情報なのであるから,行政事務を遂行する上で必要な範囲では秘匿すべき必要性は高くない。
 また,住民票コードについては,法によって新たに住民票の記載事項とされたものであるが,すでに述べたとおり,住民票コードは無作為に作成された数字であり,それ自体から個人情報が推知されることはないことから,行政事務を遂行する上で必要な範囲では,秘匿すべき必要性は高くない。
 そして,法においては,本人確認情報の収集,開示の範囲が,原告らの居住する市町村を越えて,他の市町村,都道府県及び国にまで拡大されているが,その利用事務はいずれも行政手続に関する事務に限られており,法の予定する収集,開示の範囲は,一般的に許容される限度を超えない相当なものと認められる。
 したがって,本人確認情報は,法の予定する利用事務の範囲内では,いずれも秘匿すべき必要性は高くないと認められる。

(b)情報の提供等の態様について

 また,住基ネットを利用して行われる情報提供等は,前提事実(3)エのとおり,利用事務,提供先等が法定されており,提供先も行政機関等に限られていることから,法による情報提供範囲の拡大は,その態様においても一般的に許容される限度を超えない相当なものと認められる。

(c)住基ネットを通じた情報提供による利便性について

 証拠(乙イ2,8,26)によれば,住基ネットを通じた情報提供によって,国民側は,従前,住民票の写しの提出が必要であった行政手続において,その提出が不要となることなど,負担の軽減が認められ,市町村側も,同写しの提出に伴う行政事務を省略化,効率化することができるから,住基ネットを通じた情報提供による利便性も認められる。

(d)個人情報保護措置について

 法は,次のとおり様々な角度から個人情報保護措置を講じている。

@ 保有情報の制限等

 法は,都道府県及び被告センターの保有データを本人確認情報に限定している(法30条の5第1項,30条の11第1項)。

A 本人確認情報の利用及び提供の制限等

 法は,本人確認情報の提供先である行政機関及び利用目的を法律で規定し,限定している(法30条の6,法30条の7第3項ないし同第6項,法30条の8,法別表)。
 そして,都道府県知事及び指定情報処理機関に対し,法律の規定によらない本人確認情報の利用及び提供を禁止し(法30条の30),本人確認情報の提供を受けた者に対しては,目的外の利用又は提供を禁止している(法30条の34)。
 さらに,市町村長その他の市町村の執行機関は,法律に規定された事務等で本人確認情報の提供を求めることができることとされているものの遂行のため必要のある場合以外に,住民票コードの告知を求めることはできないとされている(法30条の42)。

B 秘密保持義務

 法は,住基ネットに関係する者(指定情報処理機関の役員,職員.これらの職にあった者,市町村又は都道府県の職員で本人確認情報の電子計算機処理等に関する事務に従事する者,これらの職にあった者,市町村長又は都道府県知事から本人確認情報の電子計算機処理等の委託を受けた者,これらの者であった者,国の機関又は法人が提供を受けた本人確認情報の電子計算機処理等に従事する職員,これらの職にあった者等)に対し,その事務に関して知り得た本人確認情報に関する秘密又は本人確認情報の電子計算機処理等に関する秘密を保持すべき義務を課している(法30条の17第1項,第2項,30条の31,30条の35,35条)。
 そして,これらに違反した場合には,罰則を科している(42条)。

C 安全確保義務

 法は,本人確認情報の漏洩等を防止するため,都道府県知事,指定情報処理機関,前二者から委託を受けた者,本人確認情報の提供を受けた市町村長等,都道府県知事等,国の機関等に対し,本人確認情報の漏洩の防止等のため必要な措置を講ずるよう定めている(法30条の29,法30条の33)。
 そして,総務省は,これを踏まえ,総務省セキュリティ基準により具体的な基準を定めている(乙1の1ないし3)。

D 国又は都道府県の指導等

 法は,国,都道府県,主務大臣,都道府県知事等に対、し,それぞれ,この法律の規定により都道府県や市町村等が処理する事務について,必要な指導.助言,勧告等を行うものとしている(法31条第1項,第2項,30条の22)。

E 報告及び立入検査

 法は,本人確認情報処理事務等の適正な実施を確保するため必要があると認める場合に,総務大臣,委任都道府県知事に対し,指定情報処理機関に対する実施状況の報告要求や立入検査を認めている(法30条の23第1項,第2項)。

F 自己の本人確認情報の開示等

 法は,何人も,都道府県知事又は指定情報処理機関に対し,自己の本人確認情報について,開示,訂正を請求できると定めている(法30条の37.30条の40)。

G 第三者機関による本人確認情報の保護

 法は,本人確認情報の保護に関する事項を調査審議し,これらの事項に閲し建議したり,あるいは,意見を述べることのできる本人確認情報保護審議会を都道府県に十本人確認情報保護委員会を指定情報処理機関に,それぞれ設置している(法30条の9,30条の15)。
 また,総務省においても.住基ネットシステム緊急対策本部及び住基ネットシステム調査委員会を設置している(乙イ12)。
 なお.原告らは,長野県侵入実験の結果は,住基ネット本体の本人確認情報に対する危険性が具体的に発生していることを示すものである旨主張するが,証拠(甲11の1ないし6,甲15ないし18.25ないし28,42,乙イ13,16ないし18.122,32ないし36,証人夫野勇雄)によれば,同実験は,その内容が住基ネットシステム自体の安全性を検証したものか疑問である上,同結果についても,住基ネット本体への侵入は失敗していること及び他の自治体(品川区)で行われたペネトレーションテストにおいても,住基ネットに対する不正侵入が成功しなかったとの結果が出ていることから,長野県侵入実験の結果によって,住基ネット本体に個人情報漏洩等の具体的危険が発生していると認めることはできず,他に個人情報漏洩等の具体的危険が発生していることを認め争に足りる証拠はない。

(e)以上のとおり,本人確認情報は,法の予定する利用の範囲内では秘匿すべき必要性は高くなく,その情報の提供等の態様は相当であり,住基ネットを通じた情報提供による利便性も認められ,個人情報保護措置も講じられているから,住基ネットによる本人確認情報の利用態様は,一般的に許容される限度を超えない相当なものであるといえる。
 なお,原告らは.法が個別選択制を採用しなかった点についても言及するが,法において個別選択制を採用するかどうかは立法裁量の問題であり,また,既に述べたとおり,個別選択制を採用するまでもなく.住基ネットによる本人確認情報の利用態様には相当性が認められるので.この点の原告らの主張は採用できない。

d 以上のとおり,法は,立法目的の合理性,住基ネットの必要性,本人確認情報の利用態様の相当性をいずれも備えているから,合憲というべきである。

(イ)所要の措置なく施行したことの違法性について

 原告らは.法を所要の措置を講じないまま施行したことが違法である旨主張するので.まず法附則1条2項の趣旨について検討する。
 法附則1条2項は,「この法律の施行に当たっては,政府は.個人情報の保護に万全を期するため,速やかに,所要の措置を講ずるものとする。」と定めており,個人情報の保護のために設けられた条項であるところ.既に述べたとおり.法そのものによって個人情報保護は図られていること及び同項の文言をみると「施行に当たっては」「速やかに」所要の措置を講ずる「ものとする」と規定されており,法の施行までに所。要の措置を講じなければならないとの定め方にはなっていないことから.同項は,所要の措置を講じなければ法を施行してはならないとの趣旨ではないと解され.原告の主張は採用できない。
 したがって.所要の措置なく法を施行しても,同項違反であるとはいえない。かえって,被告国は.法の規定(法附則1条1項)に従って,公布の日から起算して3年を超えない範囲内で法を施行したのであるから,.被告らの法の施行は適法であるといえる。

(ウ)したがって,住基ネットの施行は,憲法に適合する法令に基づく適法な施行であるから,正当行為として,差止請求の要件のうち,違法性の要件を満たさない。

ウ 以上によれば,自己情報コントロール権に基づく差止請求も認められない。

(5)結論

 よって,原告らの差止請求はいずれも理由がない。

2 争点(2)(国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の可否)について

 国家賠償法1条1項にいう「違法に」とは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することである(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁)ところ,前記1(4)イで判示したとおり,法は合憲であり,かつ,その施行も適法であるから,原告らの主張する不法行為は,いずれも合憲な法令に基づく適法な行為として,被告らの負担する職務上の法的義務に違背するものではなく,違法性がない。
 よって,原告らの国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求も理由がない。

第4 結論

 以上の次第であるから,その余の点について判断するまでもなく,原告らのI請求はいずれも理由がない。
 よって,原告らの請求をいずれも棄却することとして.主文のとおり判決する。

福岡地方裁判所第3民事部

 裁判長裁判官 一志泰滋
      裁判官 本田能久
      裁判官 三島聖子

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