当サイト管理者による解説
参議院法務委員会は8月9日夜、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の組織犯罪対策三法案、いわゆる盗聴法案について、自由民主党が質疑打ち切りの緊急動議を提出し、民主党、日本共産党、社会民主党などの抗議を押し切って、自民、自由、公明三党が採決を強行し、可決した。このため、8月13日の会期末を目前に控えた国会は大荒れとなった。
前日、夕方に始まった本会議は、民主党、日本共産党、社会民主党から提案された法務委員長荒木清寛君解任決議案に対し、円より子氏(民主党)が2時間半におよぶ趣旨説明を、また、千葉景子(同)、福島瑞穂(社民党)、吉川春子(日本共産党)各氏が長時間にわたる賛成討論を行なった。午後11時16分に一旦延会となったが、この日、午前0時47分には再開されるという異常な事態となっていた。
議事は、前日に引き続いて、法務委員長荒木清寛君解任決議案、内閣総理大臣小渕恵三君問責決議案、議長不信任決議案と続くが、自民、自由、公明三党により全て否決される。
続いて、法務委員会の報告を受けて、組織犯罪対策三法案、いわゆる盗聴法案が、一括して採決され、自民、自由、公明三党の賛成により可決される。
その後、「地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議」が提案され、民主党(高嶋)、日本共産党(八田)、社会民主党(照屋)の反対討論の後、可決される。
このため、地方行政・警察委員会の採決を得ることなく、小山峰男同委員会委員長より「私にとっては全く不本意であり、言語に絶する事態でありますが、法律の規定に従いまして粛々と以下御報告を申し上げます」との前置きをつけて中間報告が行なわれる。
続いて、「住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議院の会議において直ちに審議することの動議」が出され、民主党(藤井)、日本共産党(富樫)、社会民主党(照屋)の反対討論の後、可決される。
住民基本台帳法の一部を改正する法律案の審議に入り、自由民主党(松村)の賛成討論、民主党(山下)、日本共産党(富樫)、社会民主党(照屋)の反対討論の後、自由民主党、公明党・改革クラブ、自由党などの賛成多数により、同法案は可決された。
最後に、陣内孝雄法務大臣の問責決議案が、民主党、日本共産党、社会民主党から提案されるが、自民、自由、公明三党により否決され、長かった本会議も午後9時33分に、ようやく散会した。
※ 強調は、当サイト管理者による。
○議長(斎藤十朗君) 上野公成君外一名から、賛成者を得て、
地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議(上野公成君外一名提出)を、この際議題とすることの動議が提出されました。
これより本動議の採決をいたします。
足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二票
白色票 百三十八票
青色票 九十四票
よって、本動議は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(斎藤十朗君) 地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議を議題といたします。
本動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。高嶋良充君。
〔高嶋良充君登壇、拍手〕
○高嶋良充君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提出をされました暴挙とも言える中間報告を求めることの動議に対して、怒りを込めて反対の討論をいたします。
今、提出された動議のように、確かに国会法の第五十六条の三では「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」となっています。しかし、動議の趣旨には「特に必要がある」との理由は全く見当たらないのであります。
私は、本日、昭和二十二年の第一回国会から昨年の第百四十四国会までの審議状況と中間報告について調べさせていただきました。参議院においては、約七千件の議案がこの間審議をされてまいりましたが、そのうち中間報告を求められたのはわずか十三回しかないのであります。
初めての中間報告は、昭和二十八年の第十六回国会の電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案であり、最後の第十三回目の中間報告は、昭和五十年の第七十五国会における公職選挙法の一部を改正する法律案及び政治資金規正法の一部を改正する法律案であり、それ以降二十四年間も使われていない、まさに禁じ手であります。
国会において異例中の異例の、まさに禁じ手である中間報告を求めるには、それだけこの法案を成立させる緊急性がなければなりません。
しかし、皆さん、この住民基本台帳法改正案には全く緊急性があるとは考えられないのであります。なぜならば、この法律の施行期日は「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」となっているからであります。公布の日から起算して三年の猶予とは二〇〇二年からの施行であります。二〇〇二年から施行する法律に対して、今なぜ中間報告を行う必要があるのでしょうか。全く理解に苦しむものであります。
この住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、国民の利便性と逆にプライバシーにかかわる法案であるため、今まで与党の皆さん方も、そして野党の私どもも真摯に、かつ慎重に審議を行ってまいりました。
さらに、地行・警察委員会は八月九日、十日、そして昨日も委員会を設定しており、審議を残していることを理事懇で合意しているわけであります。これは当然、与党の理事も認められたことであります。
それなのに審議が行われなかったのは、通信傍受法、いわゆる盗聴法が法務委員会での採決なしの強行採決によって国会が不正常な状態に陥ったためであります。不正常な状態に陥って二日間の審議ができなかった理由は、まさに法務委員会における暴挙が原因であります。これはすべて自民、自由の与党と公明党の責任であります。
住基法改正案にとって今必要なのは、国会の審議の基本である委員会審議を尽くすことであり、会期が切れれば、三年間の猶予があるわけでありますから、次回国会で審議を尽くすことであろうと思います。院はその審議のありようを慎重に見守るべきでありましょう。それが良識の府と言われる参議院のとる道ではないでしょうか。
この法案の審議になぜ慎重を期さなければならないのか、その理由について申し上げたいと思います。
この住基ネットの導入が個人情報の漏えいの危険性を持つとともに、将来なし崩し的に利用分野が拡大することで、結果として国民総背番号制となり、国家が多様な国民の情報を一元管理するためのシステムになるのではないか等の懸念が国民の中に大きくあるためであります。国民の基本的な人権にかかわる問題だけに、何よりも国民の皆さん方の理解を得ることこそが必要なのであります。
なのに、参議院においては、六月二十八日に本会議で趣旨説明、質疑が行われて以来、審議時間は二十七時間二十五分でしかありません。そして、審議が深まれば深まるほど問題点がクローズアップされてきたのであります。
この法案が衆議院より審議時間をなぜ参議院で多くとらなければならないのかという理由についても申し上げたいと思います。
その理由は、衆議院において修正されているからであります。修正内容は、附則第一条に第二項を追加して、「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」という全く意味不明の修正が行われたわけであります。そして、この「所要の措置」について、自治大臣と総理大臣答弁でその内容が補強されたというのが衆議院の実情であります。
だから、私どもは、これらの修正が衆議院の、そしてさらに採決直前に行われたために、参議院ではこの内容を十分に解明する審議時間が必要であるとの認識に立っていたわけであります。そのため、私どもは審議冒頭から修正内容を解明するための慎重審議を続けてまいりました。
そうした審議の中で、個人情報保護措置について、修正案を提出された自民、自由、公明党の三党が民間利用も含む包括的な個人情報保護措置を合意されていたということが明らかになりましたが、しかし政府側を追及すると、政府内の小渕総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部の検討部会では、分野別に法制化を検討しており、整合性がなく大きな隔たりがあることも判明したのであります。だから、いまだにマスコミも報道しているように、個人情報保護法の具体像はない、また国民総背番号制への不安は消えていない、このような問題点を指摘しているのであります。
こうした意見は、国民の間にも幅広くある住基ネットに対する懸念や不安を代弁していると言っても言い過ぎではないと思います。
また、与党である自由党の小沢党首が、住基ネットは安全保障や治安維持に使わなければ意味がないと経団連で講演をされました。いわゆる盗聴法との関連で、治安維持に利用されるのではないかといった疑念も払拭をされていないわけであります。
本来、住民基本台帳にかかわる業務は地方自治体の自治事務であります。その地方自治体からも、住民基本台帳オンライン化について多くの問題点も指摘をされているわけであります。
一つは、オンライン化に要する費用は四百億円、その後のランニングコストは二百億円とも言われており、地方負担が懸念をされているわけであります。地方自治体からすると、オンライン化にこれだけの費用をかけるだけの市民サービス面での価値があるのかという素朴な疑問も生まれているわけであります。
また、もう一つには、個人情報保護条例を施行している自治体では、オンライン等個人情報の新規取り扱いについては個人情報保護運営審議会に諮らなければならないことになっていますが、法改正はこうした制度の否定を意味しているわけであります。
さらには、住民基本台帳の大量閲覧を認めていない自治体もあります。これは、個人情報保護の観点から、長年にわたる行政努力の成果であったわけですが、オンライン化されることによって、今後は全国どこでも住民票がとれると同時に、全国どこでも大量閲覧を許すことになり、これらの市の努力はすべて水泡に帰してしまうことになるのであります。
以上挙げましたほかにも、今回の法改正によって地方自治体はさまざまな問題に直面をすることとなります。法改正は直接当事者である地方自治体や地方議会の十分な議論をも保障しなくてはならないと思います。そのためにも、国会審議は慎重かつ十分な審議を必要としているのであります。
このように、本法案はまだまだ国民の十分な理解を得るに至ったとは決して言いがたく、委員会でより一層審議を尽くさなければなりません。そして、何よりも、まだ中央公聴会も開いていないのであります。国会が直ちにやらなくてはならないことは、今すぐに中央公聴会を開いて国民の意見を聞き、国民の不安や疑念にこたえることであろうと思います。
地方行政・警察委員会の小山峰男委員長は、この法案を成立させる前提として、社会的合意が必要だということをしっかりと認識され、議会制民主主義のルールにのっとりながら中立公平な立場で、沈着冷静に、そして真摯に審議を進行されてまいりました。それにもかかわらず、ここでなぜ中間報告を求められなければならないのか、私たちには全く理解できないのであります。
国会法の第五十六条の三に基づいて、今、中間報告を求めることのねらいは、報告後直ちに本会議による審議と採決を強行しようとするのではないか。もしそうであるならば、この法案の今までの委員会での審議の積み重ねが全く無に帰することになるでありましょう。このような委員会審議を軽視することは、委員会の審議権を侵害することであり、絶対に容認することはできません。今後の国会運営にも大きな禍根を残すこととなるでしょう。(拍手)
私は、禁じ手である無謀な中間報告の強要に断固反対をいたします。
また、参議院本会議においてもし直接審議、採決が行われるならば、それは議会制民主主義をみずから否定することであり、自殺行為であると言わねばならないと思います。
私は、このような委員会の審議権を侵害する中間報告の強要に断固抗議を申し上げ、反対討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 八田ひろ子君。
〔八田ひろ子君登壇、拍手〕
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議に対しまして、この法案の審議を行ってきた一人としても怒りを持って反対の討論を行うものであります。(拍手)
そもそも、国会法五十六条の三に定める中間報告は、特別に必要な場合に限ってのみ許されることとされているのであります。そうでなければ、本会議から付託された委員会の審議権、審査権と自主性を奪い、議会制民主主義のルールをじゅうりんすることになることは明白であります。したがって、中間報告はこれを必要とする明確かつ具体的な理由が認められる場合でなければなりません。
しかし、地方行政・警察委員会における審議は各党理事の民主的協議の上に正常に行われてまいりました。委員会審議に何らの不正常もありません。それなのにこのような暴挙を許せるわけはありません。
次に、これまでの委員会での質疑を通じて法案の持つ問題点が明白になってまいりました。
その第一は、お年寄りから赤ちゃんまで、すべての国民が本人の意思と関係なく個人を認識する共通番号として十けたの番号をつけられる本法案のシステムによって、一人一人の生活が行政の管理のもとに置かれるのではないかという不安はこの審議の間にも国民の間に大きく広がり、このようなシステムを史上初めて導入するというのなら国民合意がなければならないのに、この国民合意が得られていない、反対の意見がますます広がっている状況であります。
第二に、プライバシー個人情報保護の問題であります。個人のコード番号、氏名、生年月日、性別、住所や付随情報が全国センターなどに蓄積され、全国をつなぐネットワークの専用回線を住民基本台帳の情報が飛び交うというこのコンピューターネットワークシステムによって、個人のプライバシーや個人情報が全国的に流出する危険性が一層高まるのではないかとの疑念は、払拭されるどころか、さらに深まってまいりました。しかも、このネットワークシステムには、四情報プラスコード番号だけでなく、実は住民基本台帳のすべての情報が流れるというのが明らかになってまいりました。
第三に、このネットワークシステムは国民にとって本当に便利になるのか、必要なのかという問題です。政府は国民の利便性が増すと言っておりますが、委員会審議の中で、住民票の広域交付にせよ、ICカードにせよ、利便性はほとんどないに等しいことが明らかになってまいりました。
四番目は、地方財政に重大な負担を強いるのがこのネットワークシステムであります。
そして第五に、改正案は四十六条しかない住民基本台帳法に新たに四十三条分をつけ加えるなど、本体以上に新設部分が多いというのも異例のものです。内容的にも異質のものが入ってきて、住民基本台帳の制度を定めるとした法律からネットワーク法とでも言うべきものになっている。
委員会での参考人質疑でも、日弁連の代表は住民基本台帳法を逸脱していると話され、マスコミ分野の参考人も、本来は別の法律とすべきだと述べておられました。将来いろいろな分野で統一的な個人認証が必要だというのなら、国民的な合意を得ながら別の法律として提起すべきものであるのは、この審議の中でも明らかであります。
第六に、本改正案は、衆議院通過の際に、包括的個人情報保護の法整備を含めたシステムなどの所要の措置を講ずることとの修正が加えられました。ところが、この包括的個人情報保護の法整備を含めたシステムなるものは、自治大臣みずからが次元の違うものと答弁しているように、本改正案の前提となるものではないことが明らかになりました。しかも、その内容はこれから検討が始まったばかりということであり、どのようなものになるかは全くわからないものであります。
多くの国民が個人情報やプライバシーの保護を求めているのに、その検討を先送りにして本改正案を先に成立させるというのでは順序が全く逆であり、本改正案は個人情報の保護法ができてから改めて出し直すべきであります。
以上、本法案に関する幾つかの問題点を挙げてまいりましたが、個人の希望でコード番号を変更することもできるから押しつけではないという説明でありましたが、実際にはこのコード番号は変更をしたとしても旧番号がきちんと蓄積されついて回るなど、審議を行えば行うほど正すべき問題点が広がっている。
国民一人一人が尊重されるべきことをうたった憲法第十三条の精神から見ても本法案の欠陥は明らかである。それなのに中間報告という形でこのような採決を進めていこうというやり方には断固反対をし、以上をもって中間報告を求めることの動議の反対討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました地方行政・警察委員会において審査中の住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、速やかに地方行政・警察委員長の中間報告を求めることの動議について、反対の討論を行います。
いや、実はこの動議が出て大変に驚きました。よもや住民基本台帳法の一部を改正する法律案について与党がこの本会議場において中間報告を求める動議を提出し、そのような手続を実行するとは予想しませんでした。その上、動議に対する討論があるというのをただいま本会議場で知りました。
さて、私は、住民基本台帳法の一部を改正する法律案の中身に関するさまざまな問題点について論ずる前に、国会法五十六条の三の中間報告をなぜこの時点で本議院に求めなければならないのか、その必要性などを中心に、主に手続論について議論を進めてまいりたいと思います。
住民基本台帳法の一部を改正する法律案が、去る六月十五日に衆議院において、「政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」との附則が付された上で修正可決され、現在、参議院地方行政・警察委員会において現に審議をしておる法案でございます。
この法案が地方行政・警察委員会に送られてまいりまして、七月十五日に浜松市、豊田町の住民票広域交付センターの視察を行い、八月五日に大宮市で地方公聴会を開催するとともに、参考人質疑を二回行い、この間、並行して法案に対する質疑を続行してまいりました。しかも、八月十日、十一日と法案に対する質疑を行うことを、小山委員長のもとで、理事懇談会の全員一致の合意で決定いたしておったのであります。私も、その期日における法案質疑のために、既に二十数項目の質問事項を通告し、自治省の担当者との間で質問レクも済ませておったのであります。
このようにして、委員会審議は、理事懇談会において定例日の定時定刻に質疑を行うという確認のもとに、これまで真剣に議論が尽くされてきたのであります。
したがって、地方行政・警察委員会において著しく審議が遅延したとか、あるいは地方行政・警察委員会が法案審議を殊さら怠ったという事実は全く存在しないのであります。つまり、地方行政・警察委員会における法案審議は尽くされていないのであります。
しかるに、本日のこの本会議で、国会法第五十六条の三を適用し、地方行政・警察委員会における審議を尽くし、採決を行うことなく、本会議での中間報告を求めることは、国会法が定める委員会審議第一主義の原則に明白に違反するものであると断ぜざるを得ないのであります。
今回の地方行政・警察委員会における法案審議や公聴会や参考人に対する質疑、このことを踏まえますと、国会法第五十六条の三を適用する要件を欠いており、まさに私は多数与党の横暴による議会制民主主義の破壊であると言わざるを得ません。そもそも一九七五年以来二十四年間、一度も行われていないあしき前例を再び利用することは、多数による少数党の意見の封殺そして委員の質疑権の略奪以外の何物でもありません。
この中間報告の問題が初めて新聞で報道されたのは私どもが大宮市の地方公聴会に出かけた朝でございまして、一部の新聞がそのことを報道いたしました。私どもは理事懇談会の席上、与党・自民党の筆頭理事に対して、よもや中間報告を求めるような手続は考えておられないでしょうねということを念を押してきた。そういうことはありませんということでありました。そうでしたね、松村理事。(「知らないと言ったんだよ」と呼ぶ者あり)
ところが、現に中間報告を求める動議が提出されるという事態になりました。八月十日、十一日に予定をされておった法案質疑がそもそもできなくなったのは、地方行政・警察委員会の委員が審議をサボったからじゃないんです。その直接的な原因は、法務委員会において荒木清寛委員長が採決なき強行採決と言われる盗聴法の強行採決をした国会混乱がその原因であります。
我が国は、そして国際社会は情報化社会であります。高度のコンピューターネットワーク社会であります。その中にあって、住民基本台帳法の一部を改正する法律案と深くかかわってくるのが国民のプライバシーの権利であります。私はプライバシーの権利は、勝手みだりに個人の私生活を公表されないという、そういう消極的な権利概念にとどまらず、憲法十三条の幸福追求権に基づく自己情報コントロール権であるというふうに考えております。
住民基本台帳法はたくさんの問題点をはらんでおりますけれども、一番大きな問題はプライバシーとのかかわりであります。今必要なのは、引き続いて地方行政・警察委員会においてさまざまな議論を尽くすことが大事であり、同時に、高度情報化社会の中で個人情報や個人信用情報が漏えいをされ、流出をし、売り買いをされて、そういうことで商品化される社会状況の中で、私ども社会民主党は、包括的な個人情報保護法の制定こそが今緊急に求められておる、そういう意味で、本動議には反対であります。
以上、終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(斎藤十朗君) これより中間報告を求めることの動議の採決をいたします。
足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一票
白色票 百三十八票
青色票 九十三票
よって、中間報告を求めることの動議は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(斎藤十朗君) これにて一時間休憩いたします。
午後四時五十五分休憩
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午後五時五十七分開議
○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
これより、住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、地方行政・警察委員長の中間報告を求めます。地方行政・警察委員長小山峰男君。
〔小山峰男君登壇、拍手〕
○小山峰男君 住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、院議をもって中間報告を求められましたので、現在までの委員会の審査の経過を御報告申し上げます。
まず初めに、このような中間報告を突如求められましたことは、私にとりまして青天のへきれきでございました。
私は、これまで、理事会等を通じて必要かつ十分な話し合いを続けつつ、各会派の合意を得て終始円満な委員会運営に努めてまいりました。このような事態に至ったことは、私といたしましては極めて遺憾であり、断腸の思いであります。
地方行政・警察委員会といたしましては、本法律案につきまして可能な限りの手段によって審議に最大限努めてまいりましたし、さらに残余の多くの疑問点を解明するため、引き続き委員会を開会できるよう努力を続けてきたところであります。
良識の府であるここ参議院で、法律案等の審議において従来から委員会中心主義を貫き、実質的審議を深めてこられましたのは、偉大な我々の諸先輩が築いてこられた伝統と努力のたまものであります。そのいずれにもかえがたいよき伝統をいとも簡単に踏みにじる今回の理不尽きわまりない中間報告であります。
私にとっては全く不本意であり、言語に絶する事態でありますが、法律の規定に従いまして粛々と以下御報告を申し上げます。
本法律案は、住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資するため、第一に、住民票の記載事項として新たに住民票コードを加えることとし、市町村長は、住民票に、転入した住民については転入前の住民票コードを、初めて住民票を作成される住民には全国で重複しない住民票コードを記載すること。
第二に、住民は、住所地以外の市町村長に住民票の写しの交付を請求でき、住民基本台帳カードの交付を受けている住民は、住所異動の際に、転出地の市役所や町村役場に出向いて転出証明書の交付を受けることを不要とする手続を設けること。
第三に、市町村長は、住民票の作成を行ったときは、本人確認情報として、住民票に記載された氏名、生年月日、性別、住所のいわゆる四情報及び住民票コードなどを電気通信回線を通じて都道府県知事に通知し、都道府県知事は、国の機関等からの住民の居住関係の確認の求めに限り、本人確認情報を提供すること。
第四に、都道府県知事は、指定情報処理機関に本人確認情報処理事務を行わせることができること。
第五に、市町村長、都道府県知事、指定情報処理機関及び本人確認情報の受領者である国の機関等について、本人確認情報の目的外の利用、提供の禁止を初め、関係者に対して情報に関する秘密保持義務を課し、違反者には通常の公務員の秘密保持義務違反よりも重い罰則を科することにしていること、また、民間において住民票コードの利用を制限するため、この告知を求めることを禁止すること。
第六に、住民は、市町村長に対し住民基本台帳カードの交付を求めることができ、市町村は住民基本台帳カードを条例で定める独自の目的のために利用することができることなどを内容とするものであります。
本案につきましては、衆議院において、今後、地方公共団体が主体となって全国民を対象としたネットワークシステムを円滑に導入していくためには、プライバシー保護に対する不安や懸念を払拭し、国民の十分な理解を得る必要があるため、法施行に当たっては個人情報の保護に万全を期するための施策の充実を図ることが不可欠であるとの認識から、政府原案の附則に、新たに「この法律の施行に当たっては、政府は、個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする。」との一項を追加するという修正が加えられております。
本案は、六月二十八日、本会議における趣旨説明及び質疑の後、直ちに委員会に付託されました。次いで七月八日、地方行政・警察委員会では、野田自治大臣から趣旨説明を、衆議院における修正部分については修正案提出者である衆議院議員宮路和明君から説明を聴取いたしました。
その後、地方行政・警察委員会といたしましては、本法律案の審議の進め方について、理事会、理事懇談会において各会派が熱心かつ協力的な話し合いを行い、特に斎藤参議院議長の提唱されている、衆議院とは一味違った、切り口の異なる審議を行うべきであるという点で各会派の意見が一致し、これまで極めて円満に、さまざまな委員会審査の手法を用いて審議を行ってまいりました。
その実質的な審査の最初として、まず地方視察を行いました。
七月十五日、委員会全員二十一名のところ、そのうちの十七名もの多くの方々の参加を得て静岡県に出向き、まず磐田郡豊田町に参りました。同町では、希望する住民には地域カードが交付され、住民票の写しと印鑑登録証明書が発行できる自動交付機を役場に設置してあり、カードには定期検診や予防接種の情報などが記録され、図書カードとしても利用できるほか、キャッシュカードとしての機能も持たせることができるということでありました。
次いで、住民票の広域交付を行っている浜松市に参りました。同市を含む二十二の市町村間におきましては、事務委託方式により、ファクスにより、どの市町村にいてもみずからの住民票の写しの交付を受けられるということであります。このような実情をつぶさに拝見してまいり、その後の委員会審議に大変役立った次第であります。
七月二十二日の委員会におきましては、各党一巡方式の一回目として質疑を行い、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党が、修正案提出者である衆議院議員宮路和明君、同桝屋敬悟君、同鰐淵俊之君、野田自治大臣及び政府委員に対し、それぞれ質疑を行いました。
七月二十七日の委員会におきましては、午前中は一回目の残余である日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会がそれぞれ質疑を行い、午後からは一回目の参考人質疑を行い、中央大学法学部教授堀部政男君、筑波大学社会科学系教授内野正幸君、東京大学国際・産学共同研究センター教授安田浩君及び情報処理振興事業協会セキュリティセンター所長前川徹君の四名の方々に出席をお願いし、本法律案の、特に個人情報保護など法律的な分野及びセキュリティー問題を初めとしたコンピューター技術の分野についてそれぞれ貴重な意見を聴取し、さまざまな角度から各会派が質疑を行っております。
七月二十九日の委員会におきましては、各党一巡方式の二巡目としてすべての会派が質疑を行いました。
八月三日の委員会におきましては、午前中は第二回目の参考人質疑として、前回の参考人質疑とは異なった分野について、すなわちマスコミ、各種団体及び地方公共団体の関係者の出席を求めて質疑を行いました。
参考人は、毎日新聞社論説副委員長中村啓三君、日本弁護士連合会国民総背番号制度問題等対策協議会座長野村務君及び岐阜県知事梶原拓君の三名の方々であり、本法律案に対するマスコミや世論の見方、法律家から見た問題点及び自治体の長にとっての制度の利便性などについてそれぞれ貴重な意見が述べられ、委員からはいろいろの角度から質疑が行われました。
午後は、三巡目の質疑として、自由民主党及び自由党を除いた各会派がそれぞれ質疑を行っております。
八月五日は、委員長の私を初め十名の委員が午前中に埼玉県大宮市に出向き、地方公聴会を開催いたしました。
公述人は、与野市長井原勇君、埼玉県総合政策部長青木信之君、埼玉県北埼玉地域県政モニター協議会会長品川寛子君及びプライバシーアクション運営委員江原昇君の四名で、公述の要旨は、制度導入に際しての市町村の財政負担に対する国からの支援の必要性、住民票広域交付のメリットとICカードの持つ利便性、複数市町村が共同して行う住民サービス拠点整備への県の協力、県・市町村間の情報通信ネットワーク整備による公共サービスの実現、一市民にとっての住民票の果たす役割、ボランティア活動で知った高齢者にとっての住民基本台帳ネットワークの利便性、本改正が市区町村窓口業務に与える影響及び個人情報保護に関する制度の問題点などであり、それぞれの立場から意見が述べられました。
これらの公述人の意見に対して各委員より、住民サービス向上と行政改革推進のためのコンピューターの重要性、本制度導入へ向けての県における検討状況、個人情報を扱う自治体職員のモラルの向上策、広域交付による住民票を使った行政手続を行う窓口での混乱発生の懸念、不要情報の消去及び情報保存期間が法律で規定されていない問題点、高度情報化社会における地方公共団体としての基本的認識と留意点、利便性・効率性の観点からICカードに付加が見込まれる情報の内容などについて大変熱心に質疑が交わされました。
その日のうちに国会に戻り、午後には委員会を開会し、まず地方公聴会に関して派遣委員から報告を聴取いたし、その後、政府に対して各会派がそれぞれ四巡目の質疑を行いました。
これまでの委員会における質疑は、民間部門を含む包括的な個人情報保護法の必要性、本人確認情報の利用範囲拡大の可能性、住民基本台帳ネットワークシステムの費用と効果及びプライバシー保護対策、納税者番号制度への住民票コード活用の可能性、過去の住民基本台帳情報の漏洩事件、自治体の条例等によるオンライン結合禁止条項と本法律案との関係、住民基本台帳ネットワークシステムと国民総背番号制度の違い、使用済み本人確認情報の消去規定の必要性、衆議院における修正の理由と「所要の措置」の内容、政府における包括的な個人情報保護法の検討状況及び指定情報処理機関を認可法人とする理由など、各般にわたって熱心な論議が行われてまいりました。
委員会における法案審査の経過と概要は以上でありますが、委員長としては、今日まで、ただいま御報告いたしましたように、すべての可能な委員会の定例日を活用し、限られた期間内にまことに充実した審議を重ねてまいりましたが、今後も審議すべき点が残っており、八月九日の理事懇談会において、定例日である翌十日には自由民主党と自由党を除いた各会派が五巡目の法案審議を行うことで意見の一致を見たところであります。
しかるに、九日の夜、本院の法務委員会において、与党による組織犯罪対策三法に関する民主党・新緑風会の質疑中に質疑打ち切り、強行採決という、言論の府である国会における自由闊達な議論を数の暴力によって封じ込める、議会制民主主義を根底から否定する事態を引き起こしたのであります。質疑を予定した各委員は、せっかく、法案の問題点を政府等にただす機会を奪われ、本院の委員会活動は異常な事態を迎えるに至りました。かかる事態を招いた与党の責任はまことに重大であります。(拍手)
それでも、当委員会といたしましては、何とか委員会審議を進めるために、八月十日は、理事懇談会を開催して協議を重ねてまいりましたが、意見の一致を見ることができず、委員会を開会するに至りませんでした。
翌十一日は、当委員会の定例日ではなかったのでありますが、本通常国会も会期末まであと数日を残すこととなり、審議すべき内容がたくさん残っている現状では、定例日にこだわらずに積極的に審議し、衆議院とは異なった充実した審議を行うという各会派の一致した意見に従いまして、午前十時から開会を予定しておりました。
ところが、与党と公明党が強引に引き起こした法務委員会における強行採決による本院の不正常な状況に変化がないばかりではなく、衆議院において内閣不信任案が提出されたため、まさに最大級の異常事態となったのであります。その後も本院における不正常な事態が続いていたことは御承知のとおりであります。
しかし、当地方行政・警察委員会といたしましては、国民のプライバシーが守られるかどうかという大変重要な法律案でもありますから、さらに審議を深めていきたいと、私、委員長だけではなく、各会派の委員も同じ思いであろうと思いますし、まだ会期も本日を含めて二日ありますので、審議を続行したいと思っておりましたところ、本日、突然、本法案について本会議における中間報告を求める動議が提出され、可決され、中間報告を行うことを余儀なくされた次第であります。
このような中間報告を求められましたことは、院議をもって選任された国会役員の一人として、これまで、厳正、公正、一党一派に偏することなく、中立を旨として円満な委員会運営に腐心してきた私といたしましては、憲政に汚点を残すこのような事態となりましたことを大変遺憾に存じている次第でございます。
国会法第五十六条の三は、本来、委員会において、野党による物理的な抵抗あるいはサボタージュなどによって、審議が停滞、中断したような極めて不正常な事態となった場合に発動されるべきものであり、それは、これまでたった十三例しかなく、しかも昭和五十年以降皆無であったことが如実に物語っております。
したがって、本法律案のように、粛々と各委員が真摯にかつ精力的に質疑を続け、徐々に法案の問題点が浮き彫りになってまいりましたそのやさきに、このような中間報告を強制することは、良識の府である参議院の行うべきことではありません。(拍手)
理念なき数合わせの多数によって、今後続行されるべき委員会審議が阻止される事態は委員会の審議権を剥奪するものであり、これはまさに議会制民主主義を踏みにじる暴挙であります。猛省を促し、議員各位の良識ある今後の行動に御期待を申し上げます。
以上、内閣提出の本法律案に対する現在までの地方行政・警察委員会における審査の経過の報告を終わります。(拍手)
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○議長(斎藤十朗君) 上野公成君外一名から、賛成者を得て、
地方行政・警察委員長から中間報告があった住民基本台帳法の一部を改正する法律案は議院の会議において直ちに審議することの動議が提出されました。
よって、本動議を議題といたします。
本動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。藤井俊男君。
〔藤井俊男君登壇、拍手〕
○藤井俊男君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提出されました住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議院の会議において直ちに審議することの動議に対し、反対の討論を行うものであります。
まず、自自公三党の強引な議決により、地方行政・警察委員長に対し中間報告を強要し、委員会の審議権を著しく侵害する行為について、強く抗議するものであります。(拍手)
さて、本法律案につきましては、その内容の国民生活に与える影響の大きさ及び国民総背番号制に対する国民の懸念にかんがみ、我が民主党は、かねてから拙速を避け、慎重審議を求めてまいりました。
こうした観点から、六月二十八日の本会議における趣旨説明、質疑を受け、地方行政・警察委員会におきまして、先ほど小山委員長から報告があったように、現地視察や参考人からの意見聴取、地方公聴会の開催など、委員会の定例日をフルに使い、精力的な審査を行ってまいりました。
そして、各党各会派も審議拒否など行うことなく、まことに熱心に議論を深めてまいり、本法案の持つさまざまな問題点を明らかにしてまいりました。ここまではまさに良識の府としての参議院にふさわしい慎重かつ濃密な審査を行ってきたのであります。
こうした委員会の努力にもかかわらず、自自公三党は、今国会における成立を強行すべく、数を頼んで国会法第五十六条の三を強引に適用して当委員会に対し中間報告を求め、今また委員会から法案を取り上げて委員会採決抜きの本会議議決を強行しようとしているのであります。こうした自自公三党の暴挙を断じて許すわけにはいきません。(拍手)
言うまでもなく、国会法は議案審査につきまして委員会中心主義をとり、委員会に大幅な審査の権限を与えております。当委員会がこうした権限を放棄して審査をサボタージュしていたというのであればともかく、当委員会は、委員会に許されたさまざまな審査方法を用いて、政府に対して法案の疑問点、問題点をただし、参考人の方々からは専門的見地からの意見を聴取し、また委員会みずから地方に足を運んで現地視察を行って現状把握を行い、また地方公聴会を開催して本法案に対するさまざまな立場からの国民の意見の聴取に努めるなど、他のどの委員会にも負けない精力的な審査を行ってきたと自負しております。
こうした審査の結果、本法案についてはさまざまな問題点が浮かび上がっております。
その第一として、個人情報のプライバシー保護に関する法制度が不備である点であります。高度情報化社会の進展に対応して、行政も情報化の努力を行うことは当然でありますが、それは行政が持つ個人情報の保護措置がとられていることが最低条件であります。
本法律案におきましては、氏名、生年月日、性別、住所の四情報と住民票コード及びその付随情報が専用回線を通じて全国規模で流通することとしておりますが、このことにより個人情報に係る人数、機会がふえることになり、それだけ情報の漏えいの機会も飛躍的にふえることになります。
現在、国の保有する個人情報についてのみ法的な保護措置がとられておりますが、地方公共団体においては個人情報保護条例を持つ団体は全体の約四割にとどまっております。さらに、民間部門におきましては、法的拘束力のないガイドラインの策定にとどまっており、事実上、野放しの状態にあります。
包括的な個人情報保護法が必要なことは、衆議院段階において本法律案の附則に、政府は個人情報の保護に万全を期するため、速やかに所要の措置を講ずるものとする旨の一項が追加されており、自自公三党も認めているのであります。
こうしたことから、本法律案の成立を殊さらに急ぐことは全く理由がなく、包括的な個人情報保護法の整備と一体として考えるべきものであります。
第二に、改正の目的である国民の利便性の向上や、行政の簡素化、効率化により得られる効果と費用の関係が不明瞭であることであります。
政府は、住民基本台帳ネットワークシステムの導入に必要な経費として、初期投資額四百億円、年間経費二百億円と説明しており、システム導入により得られるベネフィットは五百十億円としております。導入経費だけでも巨額でありますが、しかしこの経費の国と地方公共団体それぞれの負担については試算さえしておらず、全く根拠のあいまいな数字であります。
また、この試算値には人件費が算入されておらず、各自治体に専門的な職員を配置することが必要になること、さらに住民基本台帳カードの発行にかかわる経費などをも考慮すれば、真に必要な経費がさらに膨張するのは必定であり、システム導入に必要なコストとそれから得られるベネフィットが合っているのかは大変疑問であります。
もし、これが国の予算によって行われる事業であったならば、このようなずさんな経費の試算は許されなかったでありましょう。しかし、この法案は地方自治体それぞれに経常的に大きな財政的負担を強いるものであることが明らかになったのであります。そして、それは当然ながら、国民の税金に最終的にツケ回されることになるのであります。
第三に、住民基本台帳カードの問題であります。
本法案におきましては、交付を希望する者に対し、ICカードによる住民基本台帳カードを交付し、転出転入手続の簡素化やIDカードとしての活用ができることにするほか、地方自治体の条例によりカードの利用分野を拡大することができることとしております。
しかしながら、磁気カードに比して大変な高価なICカードを使いながら、実際の効果は大変限られております。私は地方行政・警察委員会の視察委員の一員として、自治省の施策である地域カード事業を実施している静岡県豊田町を視察してまいりました。そこでは確かに住民票の写しや印鑑登録証明書の自動交付、保健・医療情報のカード利用が行われておりましたが、その発行枚数や利用状況を見ても必ずしも定着しているとは言い切れず、他の実施団体では軒並み撤退、縮小を余儀なくされており、この自治省のICカード事業は惨たんたる結果に終わっているのであります。
こうしたことから、住民基本台帳カードの事業性については甚だ疑問であり、カード導入の真の目的は、国民にカードを国内版パスポートとして常時携帯させ、国民管理の手段に使うことではないかとの疑問を抱かざるを得ないのであります。
本法案の抱える問題点はまだまだ指摘することができますが、こうした問題点、疑問点が何ら解決されないまま委員会から議案そのものを取り上げ、本会議において採決を強行しようとすることは言語道断の暴挙と言うべきものであります。(拍手)
しかも、委員会は今日まで精力的に審査をこなし、委員会には何らの瑕疵もないのであります。にもかかわらず、多数の横暴により、委員会審査を封殺して、無謀にも議院における審議を強行しようとしているのであります。こうした自自公三党の態度には、同じ議院に籍を置く我々としましては、怒りを通り越して悲しみの念さえ抱かざるを得ないのであります。
なるほど、国会法第五十六条の三は、中間報告を行った案件について「委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。」と規定しております。しかしながら、これには前提条件として「議院が特に緊急を要すると認めたとき」と定められております。
果たして本法律案が緊急に採決されなければならないものと言えるのでしょうか。委員会から議案を取り上げてまで緊急に採決しなければ国民が重大な被害をこうむる事態にあるのでしょうか。そのような事態にあるとは私には到底認識できません。むしろ、審議を尽くさず本案を拙速に議了しようとする態度こそ国民の信頼に背くものと考えるものであります。
良識の府である参議院が今行わなければならないことは、違法な委員会採決抜きの本会議採決を強行することではなく、本法律案が国民生活に重大な影響を及ぼすことにかんがみ、十二分に審議を尽くして、国民の前にその内容を明らかにすることであり、これこそが議会制民主主義の常道であると思うのであります。
私は、中間報告後も、地方行政・警察委員会において、残された問題点についてさらに審査を続行し、国民の納得のいくような審査を尽くすべきであることを強く主張して、本会議において直ちに審議することの動議に反対する私の討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 富樫練三君。
〔富樫練三君登壇、拍手〕
○富樫練三君 私は、ただいま議題となりました住民基本台帳法改正案を議院の会議において直ちに審議することの動議に対し、反対の討論を行います。
本動議は、国民のすべてに番号をつけて住民基本台帳の個人情報を新しいコンピューターネットワークに載せて国の行政機関などに利用しようとする住民基本台帳法改正案を、プライバシー権との関係などに寄せる国民の不安や心配を無視して、参議院でこそ慎重審議をと求める国民の声をも無視して、地方行政・警察委員会で審議が続けられているにもかかわらず、不当にも与党の多数の力をもって委員会審議を打ち切り、本会議で中間報告を求め強行成立させようとするものであり、到底認めることはできません。(拍手)
このような不当な行為に対して、私は、この法案の重要性に照らして、良識の府とされている参議院の名において、断固として反対するものであります。
反対の第一の理由は、衆参両院の審議の中で最大の焦点となった個人情報保護措置が、衆議院での修正を経てもなお不十分であるにもかかわらず、まだ委員会審議が不十分であることであります。
憲法第十三条の国民の幸福追求権に根拠を置くプライバシーの権利とは自己の情報をコントロールする権利とされていますけれども、今、日本社会に必要なことは、この権利を保障するために個人情報保護に万全を尽くすことであります。
ところが、包括的個人情報保護法も個人情報オンブズマン制度もない日本の現状のもとで、氏名、住所、生年月日、性別の四情報と住民票コードを全国ネットで結ぶこのシステムを導入するなら、今でも後を絶たない個人情報漏えい事件がさらに広がり、大量の個人情報が流出する危険が飛躍的に高まることは間違いありません。
国民のプライバシー権侵害の危険は、不正利用された場合の中止請求権がないこと、行政機関による個人データの目的外使用についての刑罰規定もないこと、利用後の情報消去の条文規定もないこと、民間でのデータベース作成についても、二回目以降が知事の中止勧告の対象になるだけで、民間への住民票コードの任意提供を禁止する有効な対策がないことなどにも示されております。
特に重大なことは、政府はこれまで、ネットワークシステムに載せるものは住所、氏名、生年月日、性別の四情報に限るから安全だと説明してきたわけでありますけれども、住民基本台帳事務の上からの必要性から、実際は世帯主、続柄その他の情報もこのネットワークに載せることが明らかになったことであります。これでは、これまでの国会審議と国民への説明で政府はうそをついてきたことになるわけであります。
これらの重要な問題点について、国民が納得できるまでの解明がなされておらず、これでは参議院の存在理由が問われており、委員会審議打ち切りなどの暴挙は到底認めることはできません。
第二は、我が国史上初めて全国民に共通番号がつけられることへの国民的合意ができていないということであります。
参議院での審議が始まった後に発表されましたNHKの世論調査では、国民の五一%が反対であり、賛成はわずか二三・三%にとどまっております。参考人や地方公聴会の意見でも、死ぬまで個人識別番号がつけられ、その番号によって管理される社会へと踏み出すことへの大きな不安が寄せられております。審議を通じて、年金業務や納税者番号制度への利用など住民票コードをマスターキーにして利用範囲を拡大していく政府の意図も明らかになりました。
国民総背番号制につながるこの危険な道を進むのかどうか、共通番号制度の導入が憲法に抵触しないのかどうか、広く国民的な討議にかけ、慎重な検討がなお必要であるにもかかわらず委員会審議を打ち切るような暴挙は到底認められません。
第三は、この制度が地方自治体を主体とする分権型システムではなく、政府・自治省主導の中央集権型、情報一元化を意図したものであるということについて、まだ委員会審議が不十分であるという問題であります。
指定情報処理機関と国の行政機関との接続が専用回線とされるなど、このネットワークシステムの中に国の行政機関が完全に組み込まれています。五百六十五の地方自治体が個人情報保護条例の中でオンラインを全面的に禁止する条項を持っていますが、これらの条例はこの法案の成立によって廃棄されることになり、地方自治体が営々と築いてきた個人情報保護措置が水泡に帰すことになるのであります。
また、広域交付で得られる四情報だけの住民票は利用範囲が狭く、転出届省略が可能なのはカード提示及び転出届と引きかえとされるなど、国民にはさしたる利便がないにもかかわらず巨額の費用を国民と自治体に負担させることなどの問題点について、政府は十分な答弁をしておりません。
これらの重要な問題点について、国民が納得できるような徹底審議をこれから委員会で尽くす必要があるにもかかわらず委員会審議を打ち切るような、このような暴挙を到底認められないのは当然であります。
第四に、私は、本動議がいかに根拠なく党利党略のものであるかについて指摘をしたいと思います。
中間報告を求めることができる要件について、国会法は第五十六条の三で「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」と規定されておりますが、しかし、国民の多くが不安と心配を寄せている法案であり、委員会で慎重な審議を続けているにもかかわらず、党利党略で中間報告を求めることは全く不当であります。しかも、中間報告があった案件について、議院の会議において審議することができる要件として国会法は特に緊急を要すると認めるときと規定しているにもかかわらず、与党は何ら緊急性の根拠をも示されませんでした。
このような根拠のない党利党略の動議、国民の願いを裏切るような不当な動議を到底認めるわけにはいかないわけであります。
最後に、私は、主婦連合会の反対要請にも示されているように、包括的個人情報保護法も個人情報オンブズマン制度もない日本の現状のもとで政府案による個人情報のコンピューターネットワークシステムを不用意に導入すれば、国民のプライバシー権に被害が拡大することを重ねて指摘し、国民の願いにこたえるため、本法律案は直ちに地方行政・警察委員会に差し戻し、十分な審議をなすべきであることを強く主張し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました地方行政・警察委員長から中間報告があった住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、議院の会議において直ちに審議することの動議に反対する討論を行います。
先ほど、地方行政・警察委員会の小山委員長の中間報告を心を澄ませて聞いておりました。小山委員長は、中間報告を求められたことに対し、青天のへきれきである、極めて遺憾である、断腸の思いである、中間報告を求めることは理不尽きわまりない、こういうふうにおっしゃっておりました。あの人格者であられる温厚な小山委員長の、私は、参議院議員としての、政治家としての、本当に生きた言葉であったというふうに受けとめました。(拍手)
ところが、さきに中間報告を求める動議を提出した方は、動議提出の理由、賛成理由をこの壇上で明らかにしなかったじゃありませんか。また、今回もなぜ会議において直ちに審議をする必要があるのか、動議提出者は一切明らかにしていないのであります。
逆に、私や小山委員長の中間報告を、私みずからが地方行政・警察委員会の一委員であるがゆえに、その内容を大きな感動と感銘を持って聞かせていただきました。
委員長の中間報告にありましたように、地方行政・警察委員会では、原則として定例日、定時定刻の審議を尽くしながら、例外的に定例日でない日にも法案審議をこの間尽くしてきたのであります。しかも、その上に、衆議院では行われなかった地方公聴会すら実現をし、参議院らしい創造的な審議を小山委員長のもとで全委員が合意の上に進めてきたことは間違いのないことであります。
さて、国会法五十六条の三に「各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができる。」と定めております。したがって、中間報告を求める動議を出した人は、「特に必要がある」という、その要件をこの会議場で明らかにしなければならないわけであります。
また、「中間報告があった案件について、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附け又は議院の会議において審議することができる。」と定めております。すなわち、国会法第五十六条の三第二項で、緊急の必要性を証明しなければならないにもかかわらず、そのことを一切明らかにできないではありませんか。
私は、先ほど住民基本台帳法案の持っているさまざまな問題の少しばかりに触れさせていただきました。私ども社会民主党は、住民基本台帳法案は十分な審議を尽くした上で廃案にすべきだというふうな考えを持っております。少なくとも継続審議にして、慎重なそして十分な審議を尽くすべきでありました。
御承知のように、今は番号社会であります。さまざまな、情報化社会の中で効率や利便性を追求する余り、番号でもってその手段にせんとする傾向が強くなってまいりました。住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、我が国で初めて番号に法的な根拠を与える法律であります。
一方で、先ほど委員長の報告にありましたように、委員会審議の中で内野参考人が、みずからの存在証明を番号にしたくないという考え方もあり、かかる少数意見も尊重されるような社会でなければならないということを語っておりました。
住民基本台帳法案、これは住民票コードですべての国民に十けたの番号を付すものであります。しかしながら、本来、住民基本台帳法が予定をしておる住民というのは、これは人格を持った尊厳ある存在としての人間であります。本住民基本台帳法の一部を改正する法律案に多くの国民が個人の非人格化を感じ、人間が番号によって管理されることの不安感、嫌悪感を持っておることはもう私たちは理解をし認めることができるだろう、私はこういうふうに思っておるわけであります。
先ほども申し上げましたように、修正案を提出した修正案提出者が、委員会において、政府原案のままであれば個人情報の保護との関係で漠然たる不安がぬぐい去れない、こういうことをおっしゃっておりました。そのためにも、先ほどもこの壇上で申し上げましたが、民間を含む包括的な個人情報保護法の制定こそが私は急がれなければならないと思うものであります。
本動議は委員会の審査権の略奪であり、ひいては良識の府としての参議院の権威の失墜を招くものであります。
社会民主党・護憲連合は、多くの重要な問題が残されており、しかもいたずらにきょう採決する理由のない本法案を直ちに審議することについて、激しい憤りをもって反対をするものであります。
終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(斎藤十朗君) これより本動議の採決をいたします。
足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。本動議に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十三票
白色票 百三十八票
青色票 九十五票
よって、本動議は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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○議長(斎藤十朗君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)を議題といたします。
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〔議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
○議長(斎藤十朗君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山下八洲夫君。
〔山下八洲夫君登壇、拍手〕
○山下八洲夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、反対する立場から討論を行います。
討論に先立ち、今回極めて異例な措置である国会法五十六条の三の中間報告が二十四年ぶりに強行発動されましたことに対し、賛成した議員各位に対し苦言を申さなければなりません。同時に、むなしさを感じます。
周知のように、近年、民主主義を採用する諸国においては、議会の復権を目指した各種の取り組みがなされており、我が国においても国会改革が大きな課題とされてきたところであります。
この点に関しては、御承知のように、参議院におきましては、これまで歴代の議長のもとで参議院改革協議会や参議院制度改革検討会を中心に、参議院のあり方に関する諸問題等について真剣に検討されてきており、その貴重な成果に基づいて多くの改革が実施されてきたところでございます。委員会の審査及び調査の充実確保についても、その運営の改善措置について取りまとめが行われております。
その内容をもう一度かみしめてもらうためにもここで御紹介をいたしますと、まず第一は、充実した審査及び調査を行うには審議時間を十分に確保すべきであると確認されています。
そして第二には、特に重要議案については、これまでも二十日間の審議日数の確保を衆議院に申し入れてきたところでもあり、この点について改めて衆議院にこの旨の確認を求めるとしております。
第三には、特に会期末に十分な審議時間がないままに衆議院から法案等が送付されてきた場合には、参議院は継続審査にするか、または会期延長を要求するようにすべきであると既に指摘されています。
第四は、参議院は衆議院の状況に影響されることなく運営されるべきである旨を各会派間で申し合わせることも必要であるとの意見が既に出されておりました。
以上の点から見て、住民基本台帳法案の審査のあり方は果たして妥当であったのか疑問だらけであります。議員各位におかれましては、胸に手を当てて真摯に考えていただきたいと存じます。
地方行政・警察委員会では、限られた会期を有効に活用するために、定例日は必ず委員会を開会するなど審査等を積極的に行うとともに、質疑時間の割り当てについて小会派に配慮するなど、柔軟な委員会運営がなされるよう小山委員長を中心に努めてきたところであります。
ところが、現場の委員会における真摯な議論とスムーズな委員会運営を無視し、本日、中間報告の、特に緊急を要すると判断し得ない本法案について、委員会採決を経ずに本会議で審議、採決を行う中間報告が強行されたのであります。
このような暴挙は、委員会の存在意義を揺るがすゆゆしき問題であり、これまでの審議を根底から否定することにつながり、議員として無力感さえ覚えるものであります。また、こうしたこそくな手法は、国民には到底説明できないばかりではなく、これまで築き上げてきた良識の府としての参議院の存在意義を踏みにじり、参議院改革の火を消すことになりかねないのであります。
さて、改正案は、すべての国民にコード番号をつけ、その番号と氏名、性別、生年月日、住所の四情報及び付随情報を指定情報処理機関で管理し、市町村の区域を超えた事務処理や国の機関等への本人確認情報の提供を行えるようにするためのネットワークシステムの導入を図るものであります。
衆参を通じて、システム全体の構成とねらい、費用対効果、将来の利用分野の拡大、ネットワークのセキュリティー、ICカードの可能性と問題点、個人プライバシー保護制度と情報公開のあり方、行政改革と地方分権との関係、そして諸外国における番号制度の状況など、いろいろな角度から審議が行われ、理解を深めるとともに課題も明らかにされてきました。しかしながら、新制度が個人情報の大量流出をもたらし、国による国民監視システムにつながるのではないかといった疑問や不安が払拭されたとはまだ言えません。
特に、住民番号コードは、基礎年金番号や運転免許証の番号など、従来、行政分野ごとに特定の目的に使用されてきた限定番号と異なり、一人の個人が持つあらゆる情報にたどり着く検索ナンバー、もしくはマスターキーともなり得る共通番号であります。政府、行政に対する国民の不信感も相まって、通信傍受法案とともに国民のプライバシーが裸にされるのではないか、利用分野が次々に拡大されて、将来、国民総背番号制の基礎コードとして利用されるのではないかという強い疑念と警戒が生じているのであります。こういう状況で住民基本台帳ネットワークの導入を図るのは、時期尚早と言わざるを得ません。
以下、順次反対の理由を申し述べます。
まず第一に、個人プライバシー保護に係る法制度の不備の点でございます。
高度情報化の進展の中で、人々は、心当たりのない、皆様方もそうだと思いますが、ダイレクトメールが送られてきたり、個人情報の大量漏えい事件が多発していることに対して、行政や企業が自分の知らないうちに個人情報を収集、蓄積して活用しているのではないかという不安と不信を抱いている現状がございます。現に、電話番号をもとに、家族構成や年齢はもとより、預金や負債の残高まで容易に情報が集められている事例が明らかになっています。
全国民に付される住民票コードが導入され、一カ所で一元的に管理されることになると、クラッカー等の侵入あるいは不法な個人情報の収集、蓄積の危険性は飛躍的に高まってまいります。個人情報を保護する措置は、この法案だけで完結できるものではなく、民間を含めた包括的で厳格な個人情報保護法を制定することが不可欠でございます。まず、個人情報保護法を制定すべきでございます。
第二に、本法案自体の個人情報保護措置が不十分な点でございます。
行政機関の目的外利用は禁止されていますが、これに違反した場合の処罰規定がなく、目的に沿って使用した情報を消去する規定も明記されていません。不正に情報を使用された国民の中止請求権も規定されていません。使用済み情報の消去規定は自治省令で定めるということでありますが、このような重大な事項を政省令にゆだねるのは政治の責任を放棄したもので、その手法自体、納得ができません。
また、住民票コードの民間利用を禁止していますが、企業等が内部で使用するため住民票コードを含むデータベースを構成しても違反行為とはされず、仮に違反行為をしても処罰されるのは、違反を繰り返すおそれがある場合に知事が勧告・中止命令を出し、それにも応じなかったときとされています。さらに、漏えいしたデータの回収、原状回復の措置がないなど、到底実効ある措置とは言えません。
第三に、改正の目的である国民の利便性の向上や行政の簡素化、効率化と利用分野の限定の関連が明確でございません。
私は、行政の簡素化、効率化はどんどん進めるべきだし、高度情報化にも対応していかなければならないと思っています。しかし、そのことで基本的人権であるプライバシーを犠牲にするようなことがあってはなりません。
改正案では、市町村を越えた住民票の交付ができるようになり、一定の、国の機関等への住民票提出が不要になるなどの措置が盛り込まれており、それによって国民の利便性が増すと言われていますが、本人確認情報の提供を受ける事務を十六省庁九十二事務として利用分野を限定いたしております。この程度の事務処理効率化のために膨大な費用と人手をかけて、プライバシーの侵害の危険性を含むネットワーク化を図る必要があるのか、住民票コード導入の必要があるかという疑問は、私はいまだに解明されていないと確信をいたしております。逆に、行政の効率化、利便性向上を目指して利用分野がどんどん拡大されると、利用分野の限定を前提にした本法案の個人情報保護措置が形骸化することになります。
政府は、プライバシー侵害を危惧する意見に対しては利用分野の限定を強調し、効率や利便性を求める意見には将来の利用分野拡大を示唆するというように使い分けているのであります。将来、納税者番号としての利用も視野にあるようですが、それならば堂々とそのことを国民の前に示して、議論に供する必要があるのではないでしょうか。これでは責任ある立法態度とは言えません。
さらに、警察等の権力的機関に対しても条例で定めれば情報提供が可能となり、既に利用分野限定のセーフティーネットは破れております。治安維持に利用するという意見が与党サイドから出ていることとあわせて、この住民基本台帳ネットワークシステム導入の意図がどこにあるのか、疑惑と不信がますます深まっています。
最後に、ICカード発行の問題でございます。
八千字もの、数年すれば三万字ぐらいに簡単になると思いますが、八千字もの情報が入力できる住民票カードを希望者に発行するということですが、住民票コードと四情報については全国規模で統一し、カードの残りのエリアは自治体が条例で定めて活用することとしております。本人確認情報に関するカードの利便性はさほどのものではなく、自治体の意向とは無関係にさまざまな個人情報を集める器を国が用意しようとするのは、余計なお世話でございます。現時点では、本人申請とはいえ、将来、有権者カードとして電子投票に活用することも一部議員が主張しており、事実上強制となる可能性もあります。
住民票コードとカードを一体にして導入することについては、プライバシー保護の観点からも重大な疑義が指摘されているところでございます。
終わりに当たり、我が国が高度情報化社会を迎え、住民に高度で充実した行政サービスを提供するためのシステムの構築には、少なくとも、情報統制、プライバシー侵害という国民の抜きがたい不安を完全に払拭しておくことは不可欠であります。このことは今後の安定した社会経済の揺るぎなき発展のためには当然のことでございます。
こうした国民の声にもかかわらず、このシステムのネットワーク構築を急ぐ余り、政府は各界から猛烈な批判を浴びることとなったことは皆様方も御承知のとおりであります。そのため政府は、その後、改正試案を公表したものの、番号制度やプライバシー保護に関する懸念が依然としてぬぐい切れないことから、与党の了解が得られない事態ともなったのであります。そこで、本法案は再度手直しを経て、昨年国会に提出されたという経緯がございます。
こうした点からも、地方行政・警察委員会におきましては、懸命な審議が続けられ、その結果、多くの疑問点が明確になり、現在その解明の道半ばであります。また、与党の自民党から提案された総理に対する質問の必要性も痛感されていたところでありました。
小渕総理は、住民基本台帳ネットワークを実施する前提として、民間を含めた個人情報保護の法整備を約束しております。つまり、個人情報保護法の制定が先決であることを総理みずからが認めているわけですから、この際、住民基本台帳法改正案は一たん廃案にして、やり直すべきであることを強調いたします。この廃案にする決断が重要でございます。
私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 松村龍二君。
〔松村龍二君登壇、拍手〕
○松村龍二君 私は、自由民主党及び自由党を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
今国会で、いわゆる地方分権法が成立いたしまして、地方が工夫を凝らし、その地域の独自性を生かした行政が可能な時代になりました。一方、国、地方の財政は今後ますます厳しくなり、行政事務の効率化を一層進めなければならない状況にあります。
また、皆様御承知のとおり、デジタル革命と言われるように、インターネットの普及が数年前に比べて飛躍的にふえておりますように、年々電子情報化の時代は進んでおるところでございます。
本法案は、市町村が管理しております住民基本台帳の情報のうち、氏名、住所、性別、生年月日の四情報と住民票コード等を全国ネット化するものであります。これによりまして、住民の利便性の向上や国、地方を通じた行政事務の合理化が図られ、五百億円以上の経費削減等の経済効果も指摘されておるところであります。近年の高度に発達した情報化に対応したシステムの導入として高く評価するものであります。
以下、賛成の主な理由を具体的に申し述べます。
賛成の第一は、このシステムは市町村と都道府県が協力してこれに当たるものであるところから、現在、地方自治体の広域化ということが指摘されるわけでございますが、まさに地方公共団体自身が地域的、全国的な広域連携を図っていくことは地方分権の精神に合致するものであり、時宜を得た政策として特筆すべきものであり、大いに賛同するものであります。
そして、そのような観点から、このたび地方行政・警察委員会に参考人にお呼びした岐阜県知事や地方公聴会で埼玉県に参りましたときに与野市長さんは、コンピューター・デジタル革命の時代に地方自治体の行政のコンピューター化が今鋭意進められているけれども、その心棒に当たる住民基本台帳ネットワークシステム、これを一日も早く完成させていただきたい、やはり、一日おくれると、いろいろ地方がやるコンピューター化にむだができるというような指摘で、一日も早く実現していただきたいという声でございました。
賛成の第二は、全国どの市町村でも住民票の交付が受けられること、転出入の手続が転入先での手続一回で済むこと、恩給、共済の年金等の受給資格の申請や受験等の行政手続の際に住民票の写しを添付しなくても済むようになることなど、きめの細かいサービスの提供ができるようになります。
さらに、住民基本台帳カード、いわゆるICカードの活用によりまして、身分証明書として活用できるほか、多様なサービス、例えば印鑑登録カードとか施設利用カード、そのような広域的なサービスの提供等が可能になる等々、自治体が知恵を出すことによるいろいろなメリットが期待されるものであります。
また、埼玉県に参りましたときに地域のボランティアの方が言っておられましたけれども、寝たきりのおじいさんが年金をもらうために生存証明をもらうというようなことで役所に行くことが大変である、ぜひこのようなICカードを活用するようにしていただきたいといった指摘もありまして、地域の福祉の問題に直結する可能性を秘めておるところでございます。
賛成の第三は、国、地方を通じた事務の省力化、効率化等、行政改革にも大いに資するものであります。すなわち、窓口業務の簡素化によりまして人員配置が弾力化され、今後、地方公共団体の役割が増大する分野に効果的に人材を振り向けることが可能となります。
このネットワークのシステムは、十六省庁、九十二事務が全国センターにオンラインに、オンラインといいますか線をつなぎまして、ぜひ使わせてほしいと。このセンターは省庁からは情報は一切もらわない、一方的にこのネットワークの情報を提供するわけでありますが、そのようなことによりまして、今まで各市町村が一々これらの役所に通知をして、生存その他住所の移転について通知をしなければならない事務がすべて省けるといったことから、合理化が図られるという点、大いなるものがあると思います。また、年金の本人確認等にこのシステムから情報の提供を受けることにより、事務の簡素化、効率化が図られるなど、数多くのメリットがあるところでございます。
賛成の第四は、この住民基本台帳は、国民総背番号制ということで批判をされるわけでありますが、十けたのコードにつきましては本人の申し出で変更が可能となっておりまして、いわゆる背番号制という暗いイメージを脱しておるわけでございます。
また、利用範囲の拡大等につきましては、この四情報に限られておるのでありまして、利用につきましても法改正を一々必要としておるということで、国による一元的な個人情報の収集、管理は、絶対に法律によらなければ、この国会を通らなければ管理ができない、さらに広げることはできない仕組みになっている等、十分な対応が講じられておりまして、このような批判は当たらないものとなっております。
賛成の第五は、このシステムが円滑に運営されるためにはプライバシー保護を含む万全の対策が必要でありますが、長年にわたる検討の経緯を踏まえまして、保護措置の技術的な、専用回線暗号化、認証チェック、その他の利用、民間の利用禁止、守秘義務、刑罰の強化、センターの情報は限定した情報だけ持つというようなことによって万全を期しておるわけでございます。
この委員会の審議の過程におきまして、野党の諸先生から鋭い、あるいは公明党の先生から鋭い人権感覚に基づきますお話等もございましたけれども、参考人等のお話によりましても、現在のこの法律は万全であるということでございます。
また、静岡県浜松市・豊田町への現地視察、二度にわたる参考人質疑、さらには埼玉県大宮市における地方公聴会と、慎重な審議に加えて多角的、多面的、専門的な審議を十分尽くしてまいりまして、その結果、本法案による住民基本台帳システムは、適切であり、かつ国際的にも評価できるものとなっております。
さらに、修正の問題につきましては、先ほど御指摘があったとおりでございます。自由民主党、公明党、自由党は、個人情報の保護に関する法律について、年内に基本的枠組みの取りまとめを行い、三年以内に法制化を図るとの合意に基づき、去る六月二十三日に早速三党間において個人情報保護システム検討会を設置し、既に三回にわたる検討を行っております。
また、政府においても、個人情報の保護のあり方について総合的に検討を進めるため、去る七月十四日に小渕総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部のもとに個人情報保護検討部会を設置し、法制化の問題を含めまして検討を開始されたと聞いております。
一日も早く民間部門をも対象とした個人情報保護に関する法整備を含めたシステムを速やかにそろえることが必要であります。
御承知のとおり、情報公開ということと、個人の秘密情報の保護ということは二律背反する非常に難しい問題でありますが、この問題につきまして、鋭意、解決に向かって努力するところでございます。
今や、デジタル革命と言われる時代、どうしても行政情報の基礎中の基礎のネット化は時代の必然であるという観点から、本法案の成立にぜひ御賛同賜るよう、お願い申し上げる次第でございます。
さらに、小山委員長が大変真摯なまじめなお方で、公平な判断で、鋭意我々地方行政委員会の審議について努力してこられたところでございます。そして衆議院の総質疑時間を上回る二十七時間二十五分の質疑を行ったわけでありますが、最初に指摘されましたように、決して質疑時間を誇るのでなくて、参考人あるいは地方事情視察を踏まえて質の高い質疑を重ねるということでまいったわけでございます。また、静岡県への地方視察には、二十一名の委員のうち十七名の地方行政委員が参加いたしまして、大変に熱心にやってまいったわけでございます。
そして、議論を尽くした後には採決をするというのは民主主義の原則でございます。我々も、その議論が堂々めぐりになってまいりましたので、ぜひ採決をしていただきたいということを理事会において重ねて主張してまいったところでございます。
以上をもって、私の討論といたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 富樫練三君。
〔富樫練三君登壇、拍手〕
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
ただいま自民党から賛成の討論がありましたけれども、先ほどの討論の中で、今回、中間報告という形で緊急に採決をするということについての理由は一切明らかになっていないではないか、こういう指摘が各党からありました。これについて何らかの回答があるものというふうに期待して私は今聞いていたわけでありますけれども、強いて言えば、一日も早くこれを通してもらいたい、施行してもらいたい、こういう意見が公聴会のときにあったと、こういうお話がありました。
しかし、皆さん、この法案は、採決され、例えば法律ができても、施行されるのは三年後からであります。きょう、あすを争うような状況ではないということは皆さんが一番よく知っていることではないでしょうか。(拍手)
しかも、質疑を十分やったんだ、現地調査もやった、公聴会もやった、参考人の意見も聞いた、こういうふうに言っております。だからもう採決をするのが民主主義だ、こういうふうに言いましたけれども、皆さん、どうでしょうか。それは、十分な審議をやって法案の心配な点をきちんと解決をする、解明をしてその穴を埋める、その結果として法案が改正をされる、あるいは修正される、そういうことで採決されるのが民主主義ではないでしょうか。こういう点から考えても、きょうの段階で緊急に採決をしなければならない理由は全くないと言わなければなりません。(拍手)
この点については、先ほど地方行政・警察委員会の小山委員長から報告があったとおりであります。私もこの委員会の理事の一人として、委員長とともに十分な審議を民主的に進めよう、こういうことでほかの皆さんと力を合わせてきたわけでありますけれども、こういう状況の中で、まだまだ審議が不十分であるにもかかわらず強硬に採決をしようとしていたのは自民党であり、自由党であり、公明党であったわけであります。
皆さん、これでは本当に十分な参議院らしい審議ができる、こういう状況にはなりません。この点でも改めて十分な審議を主張するものであります。
さて、私ども日本共産党は、高度情報化社会、こう言われる中で、行政事務をコンピューターによって処理し住民サービスの向上や事務の効率化を図ることについて、機械的に反対するものではありません。しかし、今回出されております住民基本台帳法の改正案は、全国民に識別番号をつけて、自治体と国の行政機関を結び、個人情報を利用する新しいネットワークをつくる、こういうものであります。
私どもは、こういうシステムを我が国が初めて全国的に採用する、導入する、そのことに当たっては、それが憲法第十三条の国民の幸福追求権やプライバシー保護などに照らして、主権者国民にとってどういう利便があるのか、またどういう弊害があるのか、諸外国の経験にもきちんと学びながら、技術的にも制度的にも十分な検討を尽くさなければならない、このように考えているわけであります。
私は、政府の態度に見られるように、国際化や情報化への対応を急げ急げという財界の要求に押されて、国民の暮らしへの影響やあるいは検討を軽視するならば、日本社会の未来に障害を招きかねない、このことを指摘しつつ、以下、具体的に反対の理由を申し上げます。
反対の理由の第一は、先ほども触れましたけれども、審議の中で、審議を進めれば進めるほどこの法案は大変穴だらけであり、不十分なものだということがはっきりしてきたということであります。
例えば、この法案に関してこういう意見が出されております。
住民基本台帳法、この改正問題について、日本弁護士連合会、税理士会、市民団体、学者や文化人の皆さん、そして婦人団体、市町村議会、さらに労働組合など多くの団体や個人が不安、心配、疑問、反対の声を上げておりますが、参議院でもこの法案の慎重な審議を求める声がたくさん要請されているわけであります。
八月四日の主婦連合会の会長名による要請文書、「住民基本台帳法案について」という中では、「住民基本台帳のネットワーク化は、引っ越しの際に一つの窓口で行政手続きが済むといった便利性のある一方、将来は利用が広がり、国民の一人ひとりが生まれたときから番号をつけて行政管理がされ、納税、年金、福祉、教育など各自のプライバシーが行政内部で裸にされ、さらに、意図しなくても民間による利用が重なって個人の尊厳が犯される危険性をはらんでいます。また、生まれてから死ぬまで同一番号となりますので、一度漏洩したプライバシーは永久に回復できないという怖さをもっています。」、このように主婦の連合会は、会長さんが言っているわけであります。
あるいは、東京都足立区の外郭団体に届け出た個人情報が漏れて銀行口座から預金が引き出されていた被害や、京都府宇治市では、住民基本台帳リストに関連し、二十一万七千人もの台帳掲載データをもとに作成した乳幼児健診用のデータが外部委託業者の従業員によって持ち出されたものがひそかに売り出されていた、こういう事例などもあります。
今日の日本社会の状況は、国民のプライバシー被害が広がる深刻な事態になっているわけであります。したがって、改めて制度面や技術面、運用面にわたって個人情報の保護に万全の措置が講じられるよう、こういう体制をしなければ心配だというのが圧倒的な国民の声になっているわけであります。
衆議院での審議を通じて、プライバシー権確保のために、民間部門をも網羅する包括的な個人情報保護法の制定が本法案施行の前提であることを全会派が求めましたが、参議院の審議の中では政府はそれを約束はしておりません。ネットワークシステムの法施行は急ぐとの態度は示したわけでありますけれども、これは全会派の一致した要求に背くものであります。包括的な個人情報保護法の制定を待って、これと同時に本法案の審議を尽くした上で施行する、このことが国民が納得する筋道ではないでしょうか。
反対理由の第二の問題、先ほども触れましたけれども、我が国史上初めて全国民に共通番号がつけられることになります。
この番号というのは、生まれたときにつけられたのは死ぬまでつくわけでありますけれども、本人の申請によって変更は可能であります。ところが、個人確認情報としてオンラインに乗せられる情報は、住所や氏名などの四情報プラスこの住民票コードであります。プラス付随情報というのがあります。それは、転居の経歴や、あるいは名前が変わった、こういうのも含まれるわけでありますけれども、実はこのコードナンバー、これも一緒にくっついてくるということでありますから、変更した意味が全くなくなるわけであります。
こういう中で、国民の心配は非常に大きい、国民的な合意ができないというのが現状であります。NHKの調査の結果は先ほども申し上げました。反対が半分以上であります。
委員会の中では、大臣が、四年前からこれを準備してきて、一年半前に国会に提出したんだ、国会ではきちんと説明をしてきた、こういうふうに答弁をいたしました。四年前から準備して、一年半にわたって国会で説明した割には、それでも賛成者は二三%にしかすぎない、反対者が五一%いるわけであります。ここにこの法案の不十分さ、これがはっきりとあらわれているではありませんか。
さらに、第三の問題でありますけれども、この制度が政府の言うような地方自治体主体、先ほども自民党からの討論にありましたけれども、分権型システムだ、こういうふうに言っております。
しかしながら、実際の問題は、地方自治体にあるそれぞれのコンピューターから都道府県レベルのコンピューターにその情報が送られ、そのコンピューターから全国一本の全国センター、指定された情報処理機関、これはただ一つでありますけれども、ここにすべての情報が集約されるわけであります。しかも、その全国センターから国の十六省庁、九十二事務には、その全国の個人情報がすべて九十二事務とここが接続される、こういうぐあいになっているわけでありますから、それが全部専用回線でつながるということになっているわけでありますから、まさに中央集権体制、一元化、そういう仕組みであります。説明では地方分権と言いますけれども、実態はまさに中央集権であります。
しかもその中身は、自治大臣が認可した全国センターでなければこれができない、こういうふうになっているわけでありますから、まさに国が一億二千万の国民の個人情報をすべて握ることができる、こういうふうになっているではありませんか。この点でも、地方分権型というのは言葉だけで中身はそうではない、このことがはっきりしているわけであります。
あわせて、地方分権型だと言うならば、先ほど私が指摘をしましたけれども、今、全国の自治体の中で、自治体が持っておりますコンピューターと県や国などの外部のコンピューターとはオンライン接続を全面的に禁止している、そういうところが五百六十五自治体あるわけでありますが、今度の住民基本台帳法が改定されるならば、これらの自治体の条例は、そこの部分については無効になるわけであります。条例よりは法律の方が上でありますから。
こうやって地方自治体がみずから決めたことを頭ごなしにそれを否定すること、これが何で地方分権だと言えるんでしょうか。この点から見ても、まさに国が法律でもって地方自治体の地方自治権を侵害する、こういう中身になっていると言わなければなりません。
以上、私は、プライバシーの保護の問題、あるいはネットワークシステムそのものが持っている問題、そして市民の利便性や費用の問題、また中央集権型のシステムであるということ、あらゆる点から見てこの法律は問題が多過ぎるものであります。だからこそ、国民的な合意をしっかりとつくり上げてからこの法律をつくること、このことが大事であります。施行が三年後であるにもかかわらず、なぜ急ぐのか、その理由も明らかにされておりません。
以上、幾つかの点を申し上げましたけれども、こういう理由によりまして、私は、この住民基本台帳法の改定に反対するものであります。
以上でございます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇、拍手〕
○照屋寛徳君 仏の顔も三度までと言いますから、お許しをいただきたいと思います。
私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
冒頭私は、先ほどの賛成討論の中で、民主主義の社会では審議を尽くしたら採決をすべきだというお話がありました。そんなことは百も承知、二百も合点であります。ところが、問題なのは、八月十日、十一日に、まだ審議が尽くされていないということで、賛成討論をされた理事を含めて全理事者が理事懇談会で、審議を尽くそう、こういう合意を見たにもかかわらず、本日は、委員長に対して中間報告を求める必要性も、中間報告を受けてこの場で審議をする緊急性について一片の理由も述べることなく多数をもって採決をすることこそ、私は民主主義に反することだというふうに思います。(拍手)
住民基本台帳法の一部を改正する法律案は、住民基本台帳を基礎に、全国民に漏れなく十けたの統一したコード番号を付し、この住民票コードと氏名、住所、性別、生年月日のいわゆる本人確認情報をコンピューターネットワークシステムで管理せんとするものであります。
現代社会は、高度情報化社会であり、コンピューターシステム社会であります。かかる情報化社会では、効率化の名のもとに番号が国民管理の手段として使われることになります。本改正法案によって導入される住民票コードの番号こそは、我が国で初めて法的根拠を付与される番号と言えます。
本来、住民基本台帳法は、市町村において住民の居住関係の公証などに資することを目的としており、本改正法案が目指す住民基本台帳ネットワークを構築し、全国規模で本人確認を行うことなどは全く予定をしていないのであります。
さて、本改正法案の是非を論ずる場合、最も重視されなければならないのは、国民のプライバシーの権利とのかかわりであります。
先ほども申し上げました。私は、プライバシーの権利を、憲法十三条の幸福追求権に基づく自己情報のコントロールの権利であると理解をいたします。
従来、プライバシーの権利は、単に私生活をみだりに公開されないという意味での消極的な権利として理解をされておりました。だが、今日の高度情報化社会にあっては、憲法上の幸福追求権という視点から、みずからに関する情報の取得、収集、保有、利用、伝播といったさまざまな段階において、自分に関する情報をだれにどこまで知らせるのか教えないのかを自分で判断し決定する権利として理解すべきであります。
かかるプライバシーの権利の視点で本改正法案を考察いたしますと、本改正法案は、国家による国民の一元的管理を実現し、プライバシーの権利を侵害するものであると断ぜざるを得ません。だからこそ、多くの国民が本改正法案を国民総背番号制と批判するゆえんであります。
私は、現在の我が国において個人情報やさまざまな個人信用情報が漏えいし、流出し、商品として流通に置かれ、売り買いされ、結果的にプライバシーが侵害されている現状にあって、今緊急に取り組まなければならないのは、包括的個人情報保護法の制定だと思います。
本改正法案には、プライバシーの権利を侵害する具体的な危険性以外にも、次のような問題をはらんでおります。
まず第一に、住民基本台帳ネットワークシステムと住民票コードの導入は、国民にさしたる利便をもたらさないということであります。住民票の広域交付が可能になることは事実であります。だがしかし、広域交付でもらう住民票の写しは本籍の表示を省略したものでありまして、パスポートや運転免許証の申請には全く役に立たない、使用できないのであります。また、転入転出手続にしても、転出証明書の添付が省略されただけで、ほとんど簡素化あるいは利便には役立たないのであります。そのようなシステムをつくるのに、初期の投資で四百億円、一年間の維持費に二百億円かかるというんです。
第二に、本改正法案は、本人確認情報の提供を受けた者に対し、単に目的外使用をしてはならない旨規定するのみで、データベースの構築を禁止せず、使用済みの本人確認情報の消去も規定しておりません。提供目的違反に対しての刑罰の定めもなく、国民の側からの中止請求権も認められておらないのであります。
第三に、本改正法案は、民間での住民票コード告知要求を禁止し、住民票コードの記載されたデータベースの構築を禁止しておりますが、任意ないし任意を装った住民票コードの告知は抑止されておりません。自家用と申しましょうか、自社用のそれは禁止されていないのであります。もちろん、本改正法案にはこれらの問題点以外にも、地方分権、地方主権とのかかわりなど多くの論点がございますが、時間の都合で論究することはままなりません。
この間の地方行政・警察委員会に法案付託後の審議については、先ほど中間報告で小山委員長から詳細に説明がなされました。
繰り返し申し上げますが、地方行政委員会における審議は、著しく遅延したこともなく、また地方行政委員会が本法案の審議を殊さら怠った事実も全くございません。むしろ、法案審議は十分尽くされていないというのが真実であります。
しかるに、本日の本会議で、国会法第五十六条の三を適用し、委員会での審議を尽くし採決を行うことなく、本会議での中間報告をもって法案の本会議採決に持ち込んだことは、国会法が定める委員会審議中心主義の原則に明確に違反するものであります。今回の場合、国会法第五十六条の三を適用する要件を明確に欠いており、多数与党の横暴による議会制民主主義の破壊であると断ぜざるを得ません。一九七五年以来一度も行われていないあしき前例を再び利用することは、多数による少数党の意見の封殺、委員の質疑権の剥奪以外の何物でもありません。
しかも、本改正案の施行の前提として包括的個人情報保護法の必要性を認めるのであれば、引き続き慎重に審議を続ける余裕は十分にあり、採決をいたずらに急ぐ理由はないのであります。
しかも、修正案提案者は、どのような包括的個人情報保護法を目指すのか、その理念や中身について一切国民に明らかにしていないではありませんか。それにもかかわらず、中間報告を求める理由も明らかにしない、この本会議で審議、採決をする緊急性も何ら明らかにしない、こういうことで本当によろしいんでしょうか。
会期末が迫ったというそれだけの理由で国民の権利義務に関する重要法案の採決を強行することに対し、満身の怒りを込めて弾劾する気持ちであります。
社会民主党は、実効性ある包括的個人情報保護法の制定に全力を挙げるとともに、その保障なき与党体制のもとにおける住民基本台帳のコード化、ネットワーク化の廃止を今後とも粘り強く求めてまいります。
最後に、いよいよ第百四十五回国会は、あしたをもって閉会となります。この国会でさまざまな重要法案が十二分な審議が尽くされないままに、そして国民的な理解、合意が得られないままに、まるで在庫一掃セールのごとく成立をした。極めて残念であります。これから暑い夏に向かって、国民は夏服を求めておるのに、国民は夏服を欲しているのに、まるでオーバーやコートを押し売りするような理不尽なやり方であります。
小渕総理は今国会の冒頭、みずからの政治信念、政治哲学を富国有徳とおっしゃいました。新ガイドライン関連法の強行成立、地方分権推進一括法の名のもとにおける自治事務に対しても国家の関与が強化される、そして日の丸・君が代法制化の強行、盗聴法の制定、これらを見た場合に、私は小渕総理が言う富国有徳という政治信念、政治哲学は、恐らく後世の歴史家、そして今この日本に生きている多くの国民は、富国有徳ではなく国を滅ぼし徳に背く亡国背徳である、こういうふうに言うであろうことを申し述べて、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────
○議長(斎藤十朗君) これより住民基本台帳法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
足立良平君外八十九名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕
○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕
○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十九票
白色票 百四十六票
青色票 九十三票
よって、住民基本台帳法の一部を改正する法律案は可決されました。(拍手)