2001年4月26日、「IT革命政府」とも言うべき森政権に代わって、「構造改革」を旗印とする小泉政権が誕生した。多少トーンは下がり気味ではあるが、IT政策を「構造改革」の点から捉えるというスタンスに大きな変化は見られない。
小泉首相は、5月7日の所信表明において、不良債権の最終処理を目指す、競争的な経済システムを作る、簡素で効率的な政府を作るの「三つの経済・財政の構造改革」を断行することを表明した。IT政策に関しては、二番目の「競争的な経済システムを作る」構造改革の項の中で、「5年以内に世界最先端のIT国家を実現するという野心的目標」の「実現を確かなものとするため、『e-Japan重点計画』を着実に実行するとともに、中間目標を設定する『IT2002プログラム』を作成したい」としている。
6月26日には、経済財政諮問会議答申を元に、「国民の皆様に構造改革の重要性とこれからの日本が進むべき道筋を明確に示すため」(小泉首相談話)として、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」が閣議決定された。いわゆる骨太の方針である。
基本方針は、構造改革のための7つの改革プログラム(民営化・規制改革、チャレンジャー支援、保険機能強化、知的資産倍増、生活維新、地方自立・活性化、財政改革)を打ち出しているが、この内の3つには「IT」の言葉が見られる。該当部分を引用すると、
(2)チャレンジャー支援プログラム − 個人、企業の潜在力の発揮
個人の潜在力を十分に発揮させるために、個人の意欲を阻害しない「頑張りがいのある社会システム」を構築する。このため・・・(引用者略)・・・ITモデルエリア、IT教育支援等によってIT革命を推進する。
(3)保険機能強化プログラム
国民一人一人にとってライフステージの各段階にわたる自分の生活と社会保障制度との関わりが分かるようにする。・・・(引用者略)・・・このため、ITの活用により、社会保障番号制導入とあわせ・・・(引用者略)・・・「社会保障個人会計(仮称)」の構築に向けて検討を進める。 ・・・(引用者略)・・・医療については、医療サービスの標準化、ITを活用した医療情報の開示・・・(引用者略)・・・などからなる「医療サービス効率化プログラム(仮称)」を推進することなどにより、医療の質を落とさずにコストを下げ、維持可能な制度とする。
(4)知的資産倍増プログラム
人材大国と科学技術創造立国を実現するために、知的資産を倍増するとの観点から、教育改革を進めるとともに、ライフサイエンス、IT、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野への戦略的重点化を図る。(以下、引用者略)
と、ITを「構造改革」の様々な分野で活用しようと考えていることがわかる。
また、「第1章 構造改革と経済の活性化」の「3.経済の再生」に向けて「21世紀の日本は、科学技術創造立国及び世界最先端のIT国家を目指さなければ」ならず、その足固めとして「5年以内に世界最先端のIT国家になるとの目標達成に向け、『e-Japan重点計画』及び『e-Japan2002プログラム』に基づき、重点的かつ戦略的にIT施策を積極的に推進する」としている。
世界最先端のIT国家を目指す「IT革命」を、創造的破壊として痛みを伴う「構造改革」による「経済の再生」のために断行しようというわけである。
さらに、「第2章 新世紀型の社会資本整備 − 効果と効率の追求」の「重点的に推進すべき分野」では重点的に推進すべき分野として、(1)循環型経済社会の構築など環境問題への対応、(2)バリアフリーなど高齢化への対応、(3)地方の個性ある活性化、まちづくり、(4)都市の再生−都市の魅力と国際競争力、(5)科学技術の振興、(6)人材育成、教育の6つを示した上で、「その際、これらの分野に共通する重要課題として、『e-Japan重点計画』に基づき、重点的かつ戦略的にIT施策を推進する」としている。
そして、最終章の「平成14年度経済財政運営の基本的考え方」において、平成14年度予算として重点的に推進すべき7つの分野の一つに「世界最先端のIT国家の実現」が上げられている。
以上のように、小泉政権の押し進める「構造改革」においても、ITは重要な柱の一つであるとともに、「構造改革」を実現するための重要な道具でもあると認識されているのである。
ところで、なぜ、電子政府の実現は2003年度なのだろうか。2003年度が出てきた経過を次ぎに見てみることにする。