自治体ホームページウォッチング  独断批評−大阪編
堺市   最終アクセス日 1999年4月30日   戻る

 1996年7月開設の伝統あるホームページです。
 フロントページに、ホームページ内の情報を任意の語句により検索するための窓があります。ホームページの情報量が多いと、訪問者が中々お目当ての情報を探せなくなります。堺市のホームページの情報量は、データサイズ、すなわち何バイトあるかという意味において大阪府下ではトップクラスですから、こうした検索機能は付けるべきでしょう。
 しかし、あたり前の話ですが、いくら検索機能が備わっていても、ホームページに住民が必要とする情報が掲載されていなければ、こうした機能も結局のところ何の役にも立ちません。堺市はどうなのか。ホームページ独断批評で、判断基準の一つとしている行政運営における基本的情報である財政、例規、計画の情報について、この検索機能を使って探してみました。
 「財政」については、32個の項目が見つかりましたが、中身は「行政改革」関係がほとんどで、財政そのものについての項目は見当たりません。
 「予算」については、5個の項目が見つかりましたが、中身は「行政改革」関係と「堺市主要プロジェクト」の一部のみで、予算そのものについての項目は見当たりません。
 「決算」については、一致する項目は全く見つかりません。
 「条例」については、21個の項目が見つかりましたが、「環境基本条例」の説明などで、条例そのものを載せているページは見当たりません。
 「規則」については、6個の項目が見つかりましたが、こちらも規則そのものを載せているページは見当たりません。
 「計画」については、67個と最も多く見つかりましたが、「新堺市行財政見直し実施計画」や「堺市行財政見直し推進計画」など、ほとんどは「行政改革」関係で、他に「環境基本計画」や「堺市主要プロジェクト」の一部について若干のあったものの、総合計画や都市計画そのものについての掲載は見当たりませんでした。
 以上のように、住民への情報公開、住民自治の推進に、このホームページがどれだけ貢献しているかという点で見ると、決して情報は豊富だとは言えません。基本情報に係って唯一詳しいのは、「新堺市行財政見直し実施計画」(全文?)など行政改革関連の情報のみです。大阪府下第2の自治体で、政令指定都市を目指す唯一の中核市らしからぬ結果となりました。
 ついでに、検索機能の実力を試してみました。検索は、住民の生活上、突発的に知る必要が生じて(夜間や休日に)インターネットで調べることがありうると思われる3つの語句で行ないました。
 まず急に子どもを預ける必要が生じ、保育情報を探す場合。語句は「保育」。18項目が見つかりましたが、内容は保育所一覧だけで入所説明などはなし。これは検索機能の問題ではなく、そもそも情報そのものがホームページに無いため。
 次は「介護」。高齢者が倒れて介護の必要が急に生じたりする場合があると思われます。結果は33項目発見。内容は介護保険情報が主ですが、「高齢者在宅福祉サービス」も12番目に見つかりました。
 私自身、一度子どものことで調べたことのある「救急」です。休日に子どもに急に熱を出されたりするとたいへんです。堺市には地図付きの「休日診療所・休日歯科診療所のご案内」のページがあります。しかし「救急」での検索結果の10項目の中には含まれていないのです。休日診療所を所管している「衛生部」は見つかるのですが、このページでは、休日診療の情報を得るには再度クリックする必要が生じます。結局、「急病」でも見つからず、「休日」のみ16項目の内2番目で見つかりました。確かに休日診療所の語句には、「救急」も「急病」も含まれていません。しかし、慌てた親の頭に浮かぶこれらの語句でも見つかるようにしていただいた方が、子どもを持つ親としては安心できるのですが。
 3項目について検索して分からなかったことは、見つかった項目の順序にどのような意味があるのかという点です。語句への一致率で並んでいるようには思えませんし、説明もありません。
 結論的には、私のテストの範囲内では若干の問題はあっても、検索機能は有功だと言えます。他の自治体でも今後、ホームページを住民の生活を支援するために充実させていくなら、検索機能の設置が必要でしょう。
 さて、それでは、この大阪府下トップクラスのバイト量を誇る堺市のホームページには、どのような情報が掲載されているのでしょうか。幸い、堺市のホームページ全体を把握できる「総合インデックス」のページがありますので、ここから探ってみることにします。
 「トピックス」は、「西暦2000年 世界民族芸能祭」など堺市が話題にしたいと考えていることのみ掲載されているようです。
 次に「行政情報」ですが、たいそうな名前の割には、雑然としたお知らせページに過ぎません。この中で面白いのは「新着情報」です。「新着情報」は、ホームページの内容が更新され、新たに掲載された事項を「新着」として紹介するページというのが一般的です。が、この堺市の「新着情報」は、各担当課が新しく住民に知らせる必要があると考えた事項を単に列挙しているだけで、ホームページの更新とは何の関係もありません。誤解を招く表題です。なお、堺市のホームページは、市会議員選挙結果など新しい情報が掲載されている事から見て、更新が行われていることは確かですが(フロントページに最終更新日の表示もある)、どこを更新したか分かる本来の意味での「新着情報」は、どこにも存在せず、更新の頻度などは不明です。
 ところで、この「行政情報」は行政の組織に沿ったいわゆる縦割りで作られているようです。「総合インデックス」の「堺市からのお知らせ」は、28項目ありますが、最初の4項目を除いてすべて項目名の後ろに部課名が表記されています。「堺市からのお知らせ」のページでは、これらは「各部署より」(各項目はいかにも各部課で勝手に作っているぞというレイアウト)の情報として掲載されています。また、各項目をクリックして現われるページに、「このページは○○課が担当しています」や「○○課へようこそ」などの記述があることなどからも、各ページはそれぞれの部課が独自に作成していると思われます。また「堺市行政機構図」の部課名(一部のみ)からも「お知らせ」の各項目へのリンクが張られています。
 こうした行政組織に沿った情報提供をどう考えるべきでしょうか。提供する各部課から見た場合、自分達の意志・都合でページを作ることができ、その上、内容の更新も容易いなどのメリットがあると思われます。また住民側から見た場合、提供された情報の責任の所在が明確であるという点で評価できるでしょう。しかし、こうしたやり方では、ホームページによる住民への情報提供が各部課任せになり、各部課の考え方によって情報提供の量・質に大きな差異が生じるのではと思われます。例えば、前述した「保育課」のページは、福祉事務所管内別(自分の家がどこの管内に属しているか住民はどうやって知るのか)の堺市内保育所(園)一覧表のみで、入所案内など全く無い不親切極まりない内容です。一方、「衛生部」の「保健所の業務」では所在を示す地図とともに所管区域が示され、簡単ではあるが業務案内も掲載されています。さらに全く情報を提供していない部課も「行政機構図」を見て分かるようにたくさんあります。・・・・よく見りゃ提供していない方が多い (^_^;)
 また、住民が情報を見つけ出すという点でも、縦割り方はあまり感心できません。住民が、各部課の事務分掌を把握している可能性は、まずゼロでしょう。また事務分掌を調べようにも提供しているページもありません。検索機能があるから、構わないというような問題ではないと思います。
 堺市のホームページの作り方は、各部課で別々に作成され統一性の無いパンフレットやビラの類(各部課の窓口に雑然と積んである)を単にインターネットで提供しているに過ぎないように思えてなりません。安易に縦割り方でホームページを作るのではなく、住民が情報をより簡単に取得できるように、総合的に如何に情報を整理しまとめるかに、もっと力を注ぐべきではないでしょうか。
 ところで、この「お知らせ」の中に統計情報や広報紙に関する情報もあります。しかし、統計情報は「住民基本台帳人口(町丁別) 平成11年3月末現在」がやたら詳しい(詳しく伝えたいのならExcelファイルにでもしたらいかが)だけで見るべきものはありません。・・・・・・知人(某市役所職員 元市民課勤務)の話によりますと、町丁目別人口集計表は専ら業者が取りに来るとのこと。営業用の基礎資料かなぁ?
 また広報紙のページは「広報さかい」の紹介・宣伝だけで「広報さかい」の今月号すら載っていません。「広報さかい」の表紙「堺イラスト館」の1997年1月号からのバックナンバーはあっても、肝心の記事内容のバックナンバーはなく、中身より表紙の大事な広報紙のようです。結局「家庭に届いてなければ、連絡せよ」 ということを市民に知らせるためのページのようです。なんのこっちゃ。
 また、情報開示請求制度である「公文書公開制度」(総務局総務部行政管理課)の記述もありますが、根拠となる堺市公文書公開条例そのもの(条例の名称すら載せていない)を情報公開していないところがミソですね。それに、「市の施策・事業など市政に関する情報を市民の皆様に知っていただくための窓口」の「市政情報センター / コーナー」のページ(企画調整部調査統計課)とは、互いにリンクが張られていません。住民は情報センターで必要な情報を得られれば、わざわざ開示請求をしようとは考えません。情報センターが開示請求の窓口になっている自治体が多いのはそういうことからでしょう。従って行政として並列に案内すべきです。堺市のホームページは、とことん縦割りです (-.-)
 さて「堺市からのお知らせ」の一番上に「主要プロジェクト」があります。30あるプロジェクトのうち「9.国際文化交流基金事業」を除いて全て建設事業です。それぞれ、事業主体、趣旨・目的、事業概要、事業地、事業費、完成目標、進捗状況などが記載されてはいますが、大雑把な内容です。例えば、事業費については、記載されていない事業も多く、その上、記載されているものでも支出年度や補助金や地方債などの財源内訳(事業主体が他団体の場合の堺市の負担分も)などの記載がありません。また、提供されている画像もイメージ図など簡単なものだけです。今後、各プロジェクトが完了した後、趣旨・目的は達成されたのかなど実態と評価の掲載も必要でしょう。
 ところで、どうして、「プロジェクト」=「ハード整備(箱物作り)」になるのでしょうねぇ。これからの世の中を考えれば、もっと住民の生活に直結するような人づくり、制度作りなど「ソフト」に力を入れるべきではないでしょうか。余談ですが......(‾_‾;)
 そして3つめに「病原性大腸菌O157に関するお知らせ」があり、「堺市学童集団下痢症報告書(概要版)」も公開されています。あれだけの事件を起こしたのですから、こうした情報を提供するのは当然でしょう。できれば、概要ではなく全文を見たい場合、どこに行けば良いのかも書いておいて欲しいですね。
 4番目は「緊急・災害・防災情報等の記録」です。堺市のホームページは「緊急時には、トップページに緊急情報がありますといった大きなリンク見出しが現われ、そこから情報内容に飛ぶことができ」るようになっているとのことです。そしてこのページは「災害等緊急事態が発生した際や、選挙開票速報など、このホームページより一時的に発信された情報」の記録とのことです。ホームページの緊急時への対応を考えてある点はたいへん評価できます。住民が緊急時にまず堺市のホームページを見るというようになれば、こうしたやり方は本当に効果を発揮すると思われます。ただ、インターネットの家庭への普及状況や公共端末の設置状況、一般市民のインターネットやホームページに対する認識などから考えて、現状では如何なものでしょう。堺市として、こうした現状を改善するような具体的な取り組みは行なっているのでしょうか。
 さて、堺市のホームページで最も場所を取っているのが、誰が見るのか疑問に思う市勢概要の「プロフィール」(市長あいさつもここにある)、堺市にどれだけ観光客が来るのか疑問ですが、一応観光案内のような「みどころ」、全体の説明がなく各項目へのリンクしかない「伝統産業」、月毎の行事をただ並べた「祭り・イベント」などからなる「堺市あれこれ」ではないでしょうか。こうした情報の提供を否定するものではありませんが、ここにこれだけ力を入れるなら、先に述べた住民自治につながる行政運営の基本情報の提供にも力を入れるべきでしょう。インターネット、ホームページによる情報提供についての堺市の考え方(誰に何を伝えるのか)に問題があるように思います。
 もっとも、この「堺市あれこれ」の中身もいい加減です。例えば「祭り・イベント」は、更新しなくて済むように単に年中行事を並べてあるだけで、具体的に今年は何月何日に行われるのかなど新鮮な情報は見当たりません。また地場産業紹介の「伝統産業」の各ページは、「堺に連綿と継承された、伝統工芸の製作技術等を文化的視点からとらえ、これら事業所を『堺まちかどミュージアム』として整備し、堺の伝統工芸の巧の技に対する理解を促進するとともに、堺文化の情報を発信します」という文化振興部文化課の「まちかどミュージアム整備事業」へのリンクが張られていません。折角の情報が台無しです。相互にリンクを張ってあることにより、情報を次々と得られるのがWWWの醍醐味であり、リンクがホームページの利用価値を膨らませているのです。これも縦割りホームページの弊害でしょう。
 「デジタル古墳百科」もたいへんな情報量です。中身は中々面白く、「古墳探索」や「古墳データベース」などは、考古学ファンにはたまらないのではと思います。ただ、残念ながら、ページの性格上、画像が多く、一通り見るだけでも相当の時間と電話代が必要です。
 フロントページにリンクがある「市民の声提案箱」は、住民と行政の双方向性を考えたシステムのようです。フォームを利用してEメールが送れるようになっていますが、「お名前・連絡先・電話番号」が必須と書かれています。匿名の者からは「堺市政に対する具体的・建設的なご提言」は得られず、無責任な発言になると考えているのでしょうか。しかし、電話や手紙では、実態として匿名が可能なのに、Eメールはどうして駄目なんでしょう。普通、どこの役所でも、相手が名乗らないといって話を聞かずに、一方的に電話を切る何んてことはしませんよねぇ。それにEメールアドレスさえ書いていれば、連絡先や電話番号がなかっても回答できますしねぇ。役所に17年も勤めていた私でさえ、役所の考えることはよう分からんわ \(- -;)   それに、行政側のEメールアドレスは、どこにも表記していないしねぇ。他人に名を名乗れというなら、まず自分のアドレスも名乗ったらいかがかなぁ。

・・・・・と指摘したところ、後日、堺市からたいへん丁寧なメールをいただきました。その中で、「紙ベースで来る投書などと同様に、住所が明記してある提案に対しては、市長名のあいさつ文をつけた回答を郵送で送っている。Eメールしか確実なあて名が明記されていない場合はEメールで回答している。回答まで時間がかかるが、名前などを明記された方には、必ず回答を返す」との趣旨の返答が書かれておりました。私にこれだけ丁寧な返事を返す堺市ですから、このことは事実でしょう。こういう姿勢で堺市も他の自治体もがんばって欲しいものですね (^o^)

 肝心の「市民の声Q&A」は、広報誌の「市民の声Q&A;」コーナーの再掲で、1997年6月号掲載分からのたった13項目。これでは、インターネットの双方向性も期待薄です。
 さて、堺市のホームページには英語表記のページがあります(何故かフロントページに英語表記ページへのリンクが無い!)。こちらにも”All Index”があり、ここで英語表記ページの全体像を見る事ができます。が、内容は、”All about SAKAI”、”The Digital Burial Mound Encyclopedia”、”World Performing Arts Festival 2000(WASSHOI ! 2000)”の三つで、日本語の「堺市あれこれ」、「デジタル古墳百科」、「西暦2000年 世界民族芸能祭 (ワッショイ!2000)」の各ページを単に英訳しただけの誰に向けての情報発信か分からないページです。もし外国からの観光客向けというなら、せめて関西新空港からの交通案内ぐらい書いたらどうですか。また「行政情報」の英訳はありません。「堺市国際化基本指針」を決め、「平成3年度より国際交流員(CIR)を配置し、行政の国際化の推進に努め 」ることが仕事の国際課という駄洒落みたいな課の情報も日本語のみ \(- -;)
 堺市は、情報弱者になりがちな日本語は読めないが、英語は読める住民(在日外国人など)に向けての情報提供など全く考えていないようです。堺市には、多くの外国人が住んでいるであろうに、これではひどすぎます(参考 外国人登録者なども加えた堺市の推計人口)。日本語は駄目だか英語は読める住民(または、これから住民になる人)向けに本気で作っている枚方市の”Living Information”のページとはかなり趣旨が違います。もっとも、今のところ大阪府下で英語表記のページを持っているのは、大阪府、大阪市(英語だけでなく中国語、韓国・朝鮮語、フランス語も)、池田市(住民向けのごく簡単な Information のみ)、羽曳野市、枚方市、泉佐野市とこの堺市の7自治体に過ぎません。あるだけまし......か?
 最後に、操作性ですが、最初に述べた検索機能や総合インデックスがあり、情報検索しやすい作りとなっており府下では優れたものの部類に入ります。また、各ページが行政機構に沿った縦割りで作られているにもかかわらず、各ページのデザインに統一性がある点も評価できます。さらに全体にフレームを使用していますが、フレームに未対応のブラウザや、ブラウザがフレーム処理にしくじっても、各ページを訪問できるように作られている点も優れています。フレームを使っている各自治体は堺市を参考にすべきでしょう。

追記 どうして市議会に関する情報が全く無いのでしょう。中世における『自由・自治都市』としての歴史を持ち、人口約80万近く、政令指定都市12市に次ぐ全国13番目の大都市で、京、阪、神に次ぐ関西第4の大都市(気持ちだけで実態が追いついていない......)なのに残念。作る計画も無いのでしょうか。

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