自治体ホームページウォッチング  独断批評−大阪編
茨木市   最終アクセス日 1999年6月23日   戻る

 不思議なホームページです。どこが不思議か。例えば、フロントページで「茨木市のプロフィール」を選択。次に「茨木市のあゆみ」を選択。一番下にある「はじめに戻る」をクリックします。すると「茨木市のプロフィール」には戻らず、何故か文字主体の「行政情報提供メニュー」(このとき表示されるページを仮に《行政情報メニュー1》とします)が現れます。これは、リンクの張り間違えではないようです。何故ならどのページでも「はじめに戻る」を選択すると同じように《行政情報メニュー1》へと飛ぶからです。もう一度、別のところで、やってみましょう。左側フレーム(メニュー)の「行政情報提供メニュー」を選択するとホームページらしいカラフルなページが現れます(このとき表示されるページを仮に《行政情報メニュー2》とします)。「いざという時のために」の「急な病気・ケガのとき」を選択します。次に「休日・夜間等の急病診療」を選択します。一番下にある「はじめに戻る」をクリックします。すると現れるのは、元の《行政情報メニュー2》ではなく、またまた《行政情報メニュー1》です。なぜ、こうなるのでしょうか。
 まだ他にもあります。フロントページ下部のメニューでも、左側フレームのメニューでも同じですが、「市長のメッセージ」を選択した場合、ホームページらしいカラフルなページ(写真+背景色)が現れます。しかし、このページには「はじめに戻る」リンクはありません。「メール」を選択しても同じです。また「茨木市のプロフィール」を選択すると、同じようにホームページらしいカラフルなページ(写真+動画+背景色)が現れます。このページにも「はじめに戻る」リンクはありませんが、「茨木市のあゆみ」を選択すると、あまりホームページらしくない文字だけの簡素なページ(注:私はこういうデザインのページが悪いといっているのではありません)が現れます。実は、丹念に見ていけばわかるのですが、茨木市のホームページのほとんどのページは、こうした文字主体(写真や地図がついているところもありますが)のデザインになっており、その上、各ページとも一番下に「はじめに戻る」と《行政情報メニュー1》へのリンクが張られています。
 また、《行政情報メニュー1》の各項目を順番に選択し、各ページを見ていくと、左側フレームのメニューの「市長のメッセージ」「メール」以外のページなら全てのページを見ることができるのがわかります。
 以上の現象が起きる原因を推理してみましょう。結論的に言うと、インターネットのホームページによる情報提供のシステム(仮にこのシステムを《INシステム》とします)は、もともとあった市役所など公共施設に設置した専用の公共端末やパソコン通信で、行政情報を提供するシステム(仮にこのシステムを《PAシステム》とします)を元に作られたのが全ての原因ではないでしょうか。茨木市は、もともと大阪地域情報サービスネットワーク協議会(OPAS協議会)のすすめる「スポーツ施設情報システム」に、大阪府や、豊中市、寝屋川市、堺市などとともに参加しています。OPAS協議会のホームページによりますと、このシステムは「公共施設に設置されたオーパス端末機、家庭の電話(自動応答)・パソコン通信から、公共スポーツ施設の利用抽選への参加申込み、空き案内や先着順空き予約が行えるサービス」とのことです。茨木市では、このシステムの拡張として、行政情報も見ることができるようになっているのでしょう。この部分が先に述べた《PAシステム》です。茨木市のホームページは、そのURLから推察(全てopas.gr.jpが入っている)して、このOPAS協議会のサーバーにあるようです。おそらく《行政情報メニュー1》の画面は、もともと《PAシステム》用に作られたものであり、文字主体の画面は、全て《PAシステム》用に作られたものと考えるべきでしょう。《PAシステム》の公共端末のブラウザは、HTMLをある程度理解できても、現在、一般的にインターネットのホームページを見るために使われているブラウザの様にカラフルな表示はできない(理解できるタグが限定されている)のでしょう。またパソコン通信は特別なソフトを使わない限り、文字のみのやり取りが一般的です。逆に《行政情報メニュー2》などのカラフルなページは、全て《INシステム》用に、見栄えを考えて特別に作られたものだと考えられます。このことは、カラフルなページのURLの頭にはhttp://www.opas.gr.jp/city/ibaraki/がつくのに対して、文字主体のページにはhttp://www4.opas.gr.jp:8088/www27211/がつく(参考:茨木市の団体コードは272116 最後の6はチェック・サム)ことからも推察できます。
 私は、《PAシステム》の公共端末を見たことがないのであくまでも推測ですが、おそらく、この公共端末で行政情報を見る場合、スタートページは《行政情報メニュー1》なのではないでしょうか。《行政情報メニュー1》から「市長のメッセージ」へ行けないのは、たぶんあいさつの中に「ホームページ」という語が入っているから、行けなくしているのでしょう。また、「メール」のページへ行けないのは、《PAシステム》ではインターネットの様にメールを発信できない、もしくは発信させないようにしているからではないでしょうか。
 以上のように、茨木市では、もともと整備されていた《PAシステム》を元にして《INシステム》が作られたため、ホームページを閲覧したときに、こうした不思議な現象が現れると考えていいのではないでしょうか。では、こうした方式が良いのか悪いのかと問われたらどうでしょう。確かに、ホームページとしての操作性の点で言えば、「はじめに戻る」で、元のページに戻らないなど、決して良くないことは事実です。改善の余地ありでしよう。また、各ページが他の自治体のホームページの様にカラフルでなく、文字主体で見た目が良くないことも事実です。しかし、純粋に情報を提供することのみを考えた場合、むしろ文字主体のほうが、ページの展開が早く、また視覚障害者のための文字読み上げソフトが使えるなど利点も多くあります。現に、東京都では

 障害のある方などに配慮し、多くの都民に支障なく利用いただけるシステムをめざしました。たとえば、音声読み上げソフトを利用したアクセスでも内容を十分理解できるよう、見た目を重視したホームページではなく、あえてテキスト中心のシンプルな画面構成とするなど、ホームページのデザインに対して様々な配慮を行いました。
・・・・・・・東京都ホームページ「本システムにおけるバリアフリー」より

と、文字によるデータ提供に徹しています。また、茨木市の場合、後で述べる様に業務案内・窓口案内が非常に詳しく充実していますが、これも見栄えを気にしなくてすむ文字中心のシステムであるため、各担当課から情報を掲示しやすい(各課から、タグを気にせずワープロの様にデータが入力できるのでは?)ことが、背景にあるのかもしれません。
 専用の回線や専用の機器・ソフトウェアなどを利用する公共端末による情報提供システムは、インターネットのホームページによる情報提供に比べて、維持費がかかり、利用者も限定されることから、おそらくこれ以上広がることなく、廃止の方向へ進まざるを得ないのではないかと思います(公衆回線に繋がれた普通のパソコンと普通のソフトウェアによる公共端末は別です)。こうしたシステムは、もともとインターネットが現在の様に技術的に進歩し、一般家庭に普及する前に考えられたもので、最早インターネットに太刀打ちはできないでしょう(参考 東京都ホームページ「都政情報提供システム基本計画の策定について」)。またパソコン通信による公共情報の提供も、利用者から見た場合、ホームページに比して接続や操作が難しいという問題から、同様の運命をたどるのではないでしょうか。
 専用の回線や専用の機器・ソフトウェア(オーパス端末機)などを利用する公共端末による「スポーツ施設情報システム」は、遠からずインターネットを主体とした公衆回線と普通のパソコンによる方式へと移行し、これに伴い行政情報を提供するための茨木市のホームページも、ごく近い将来大きく変わるのではないか、また変わらざるを得ないのではないかと思われます。
 前置きが長くなってしまいましたが、ここからはホームページでどのような情報が提供されているのか見ていくことにします。
 まず、行政運営における基本的情報である財政、例規などについて見てみると、これらの情報は全く掲載されていないことがわかります。また計画に関しても、「国際文化公園都市(彩都)」の開発計画と「安威川ダム」の建設計画のごく簡単な紹介があるだけです。さらに統計情報についても、「今月の市の人口と世帯数」があるだけです。また、広報紙のバックナンバーも掲載されていません。では、どんな情報があるのかというと、行政の業務案内・窓口案内・行事案内に、若干の市勢概要といったところで、住民自治のための情報公開とは程遠いものです。
 メニューに沿って具体的に見ていきましょう。「市長のメッセージ」は一般的なあいさつです。あいさつで市長は「躍進する茨木市の姿を紹介するとともに、市の窓口案内や各種催し物をお知らせしています」とホームページの性格を述べていますが、まさにこの言葉どおりのホームページです。しかし市長は、また「市民の皆さんとともに歩む『茨木市』をめざし、次代に訪れる『やさしさと活力のある、文化の香り高い都市』の実現に向け、大いにご利用ください」とも述べています。市民は、窓口案内や各種催し物を知らせるだけのホームページをどう利用すれば、『やさしさと活力のある、文化の香り高い都市』づくりに参加できるのでしょう。どう考えても理解できないあいさつです。
 「茨木市のプロフィール」「今月のイベント」「市からのお知らせ」は、全て文字だけの「行政情報提供メニュー」すなわち《行政情報メニュー1》に含まれていますので、《行政情報メニュー1》から見てみることにします。
 先ほど行政の業務案内・窓口案内が主だと述べましたが、これがなかなか半端ではありません。「いざという時のために」「くらしの手続き」「すまいとくらしの便利帳」「福祉」「あなたの町の健康・医療」「教育」が、その窓口案内・業務案内ですが、中身はかなり詳細にわたっており、住民がこれらの情報を得ようとしたときに、たいへん役に立つのではと思われます。例えば、「福祉」の「児童福祉」の中の「保育所一覧」は、市立だけでなく私立なども含め、各園の保育内容が詳細に書かれています。保育所についてここまで詳細に掲示してあるホームページは、大阪では他にないと思います。また「あんなとき、こんなとき」は手続き案内ですが、「いざという時のために」「くらしの手続き」「すまいとくらしの便利帳」「福祉」「あなたの町の健康・医療」「教育」で提供されているページを住民が直面するいくつかの場面に沿って整理したもので、これも役に立ちそうなページです。
 行事案内である「催し物/あなたの町の情報誌」も詳しく書かれており、また「施設の利用案内」も詳細で、地図も添付されており、どちらも評価できるのですが、残念なのは、施設で行われる各行事と施設案内とに相互にリンクが張られていない点です。こうしたリンクが張られていないのは、先に述べた様に、もともと整備されていた《PAシステム》を元にして《INシステム》が作られたことに原因があるのではないでしょうか。また、この点に関連してもう一つの問題点は、もともと住民に負担をかけない公共端末で見ることを前提にして作られているからか「施設の利用案内」に添付されている写真や地図のファイルサイズが大きく、家庭のパソコンで見る場合、時間とお金がかかってしまう点です。特に写真は、「施設の利用案内」に限らず、サイズが60〜130KBと全て大きくなっています。
 「わがまち茨木」は、いわゆる市勢概要で、史跡紹介やハイキングコースの案内もあります。ただ、よくわからないのは「市からのお知らせ」がここに含まれている点です。別のところに分類できそうに思うのですが。
 「市政への参加」には、市議会の情報などとともに、情報公開制度についても掲示されていますが、中身はごく簡単なものです。情報公開条例をまずホームページで情報公開したらいかがなものでしょう。
 ところで、このホームページにはもう一つ面白いことがあります。それは、フロントページにある「教育研究所」へのリンクが、左側のフレームのメニューにはないという点です。これはおそらく、茨木市のホームページを管理している市長公室広報広聴課が、「教育研究所」のホームページは、茨木市のホームページとは別個のものだと考えている(実際、教育研究所の各ページのURLの頭にはhttp://www.educ.city.ibaraki.osaka.jp/がつきます)からでしょう。一般にリンク集に書かれている別のホームページへのリンクの様にです。そこで、私もこの「教育研究所」のページについては、今回の Watching からは除外しておくことにします (^_^;)
 さて操作性の点では、最初に述べた問題点とは別に、フレームを使っていることによる問題点があげられます。フレーム処理ができないブラウザや、ブラウザがフレーム処理にしくじった場合、どこにも行けなくなる恐れがあるページがいくつかあります。例えば、「市長メッセージ」をフレームなしで見た場合どこにも行けなくなります。この様な問題点を解消するために、こうしたページにはフロントページへのリンクを張るべきでしょう。
 最後に、住民と行政との双方向性の問題ですが、茨木市のホームページの場合、「メール」というページが設けられ、フォームを利用して簡単に質問・要望などのメール(ホームページに対すると限定していない)が送れるようになっています。こういうフォームを利用することは、住民の利便性から言えば評価できます。しかし、茨木市のホームページで問題なのは、行政側のメールアドレスの表記がどこにもないため、こうしたフォームを使わずにEメールを送ろうとした場合、もしくはフォームがうまく作動しなかった場合、メールを送ることができない点です。フォームには、送る側のメールアドレスを書くことになっていますが、行政側のアドレスが表記されていない点は、どう考えても不公平な気がします。また、送られたメールを行政内部でどう処理するのかが書かれていない点も気になります。

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